大阪府豊中市の国有地を、周辺土地価格の「9割引」で払い下げられていたことが問題視されている「学校法人 森友(もりとも)学園」(籠池泰典理事長)。IWJではこの「森友学園問題」について、国有地払い下げの件だけでなく、その極端に右翼がかった「教育方針」の内容の問題について、これまで集中的に取り上げてきた。
- ヒ素や鉛の検出された国有地「9割引」払い下げ、軍国教育、ヘイト文書、そして安倍総理夫妻との蜜月・・・「森友学園問題」とは何なのか〜「極右学校法人の闇」第6弾 2017.2.20
- 「戦前の全体主義に向かってゆく流れを予感」塚本幼稚園で暗唱させられる教育勅語はなぜ危険なのか!? 岩上安身による上智大学教授・島薗進氏インタビューより〜「極右学校法人の闇」第7弾 2017.2.20
国有地払い下げの問題にいち早く気づき、情報公開請求を行った市議会議員の木村真(まこと)市議は、2月8日、国有地の売買価格を非開示とした近畿財務局の決定は違法だとして、大阪地裁に提訴している。IWJは木村市議にインタビューしているので、こちらもぜひご覧いただきたい。
この森友学園が運営する「塚本幼稚園」の園児たちが、教育勅語を暗唱するよう「教育」されていることは既にお伝えした通りだが、塚本幼稚園のホームページには他にも、園児たちが海上自衛隊の艦船に日の丸を振る様子など、戦前の「軍国主義」を連想させる写真が多数掲載されている。
森友学園の戦前回帰志向は、それだけにとどまらない。現在建設中の「瑞穂の國記念小學院」は「日本で唯一の神道の学校」をうたい、敷地内に「瑞穂神社」という神社を造営するのだという。
しかし、教育勅語や軍人勅諭が国民生活上の規範とされ、「国家神道」が猛威をふるった戦前の教育現場は、戦後の民主主義的な教育を受けてきた大多数の日本国民にとっては想像を絶する、実にグロテスクなものであった。戦前・戦中に皇民化教育を受けた世代も高齢化し、「お国のために死ね」と幼い子どもに徹底的に叩き込む教育の過酷さがどのようなものであったか、若い人々が実態を聞く機会も少なくなっている。また、私たちがその実相を知るのは、年々困難になっていく。
沖縄へのヘイトデマをたれ流した「ニュース女子」問題と、そのスポンサーであるDHCの吉田嘉明会長の、中国・韓国に対するおぞましいほどのヘイト思想。中国人ヘイトだけでなくユダヤ陰謀論まで持ち出したアパグループの元谷外志雄会長。そして塚本幼稚園を経営し、問題の小学校を開設しようとしている学校法人・森友学園の籠池泰典理事長のような「極右」がことあるごとに台頭するのには、私たちに戦前・戦中に関する情報、特に生々しく訴えかける視覚的な情報が欠けているためではないだろうか。
そうした問題意識のもと、戦前・戦中の広告やチラシ、書籍、雑誌などを大量に収集し、『「愛国」の技法』『神国日本のトンデモ決戦生活』『「日本スゴイ」のディストピア』といった著作を立て続けに刊行しているのが、編集者の早川タダノリ氏である。
岩上安身は、2016年10月18日、11月5日、12月9日の3回にわたり単独インタビューを行い、「国家神道」とそれにもとづく教育勅語が猛威をふるった戦前・戦中の教育現場の様子について詳しく話を聞いていた。以下、インタビューからの抄録というかたちで、早川氏が教育勅語に言及した箇所を掲載する(下記の図版は、早川氏からの許可を得たうえで掲載している)。