国有地の破格値での払い下げに焦点があたる「学校法人森友(もりとも)学園」(籠池泰典理事長)は、ただの「学校法人への利益供与疑惑」で終わらせてはいけない――。
2017年2月、IWJは「森友学園」が経営する大阪府大阪市の「塚本幼稚園」に子どもを通わせ、自主退園に追い込まれたという保護者の方々に取材を行った。その一人ひとりの口から出てくる「証言」の数々に、思わず言葉を失わずにはいられなかった。
すでに、複数のメディアでこの幼稚園が「ヘイト文書」を配布していた事実を報じている。しかし、それはこの幼稚園が行っている「常軌を逸した教育」のほんの一例にすぎないのではないか――? 保護者たちの口から語られる事実の数々は、そう疑わせるに充分な説得力を持っていた。
この保護者たちにヒアリングを行ったある国会議員は、「人権問題が含まれるのではないか」と口にした。
いったい、園の中で何が行われているのか。さまざまな角度から見えてきた、この幼稚園の「実態」に迫る。
IWJはこれまでに、「森友学園」の問題を、「極右学校法人の闇」シリーズとして、連続報道している。ぜひ、これまでの記事もお読みいただきたい。
「臭いからバッグは捨ててやった」――副園長・籠池諄子氏の異常な行動に限界を覚え自主退園を迫られる母親たち
「行かせたことを後悔している」――。
自主退園に追い込まれたというAさんは、はっきりと断言した。集まったのは、ここ数年で塚本幼稚園を退園した子どものお母さんたちだ。一番下の2才児コースから年長まで、通わせていた学年はバラバラである。
「うちの息子のことを、『臭い、臭い』って。『あんまり臭いから、バッグ捨てたった』って、本当に捨てられたんですよ」
2歳の息子を園の最年少コースに入園させたAさんは、在園中、副園長の籠池諄子氏の常軌を逸した行動に限界を覚え、自主退園に追い込まれた。損害賠償を求め、現在、園と訴訟中である。
「だってね、おもらししたウンチを、先生が下着にくるんで、そのまま幼稚園バッグにじかに入れるんですよ」
Aさんの言葉に、その場にいたお母さんたちは「そうそう、ウチもあった」と口を揃えた。
さらにAさんは、こう語った。
「『それ(汚れたパンツをじかにカバンに入れる)が原因じゃないですか?』っていうふうに言ったら、うちは犬飼ってるんですけど、突然『犬臭い』とか言い出して。『犬、犬が原因だ』って。『お弁当に犬の毛が入ってた。だから捨てたった』って。それは本当に捨てたかどうかわからないんですけども」
「『トイレ』って言ったら怒られんねん」――トイレも水を飲むのも決まった時間だけ!? 園の「軍隊的」教育で園児が萎縮
塚本幼稚園のホームページによれば、園は「21世紀の立派な人づくり」をコンセプトに教育を行っているという。「立派な人」とは、「けじめ・しつけができている」「善悪の区別がつく」「親孝行である」「初志貫徹する実行力がある」「社会のために役立つことをしたいと願う気持ちがある」ことを指すそうだ。
一見して、おかしな方針ではないようだが、その教育内容は、あまりにも「特異」だ。教育方針には、「先人から伝承された日本人としての礼節を尊び、それに裏打ちされた愛国心と誇りを育てる」とある。ホームページには、かわいらしい園児たちが、「教育勅語」や「五箇条の御誓文」を暗唱する動画が掲載されている。