山梨選挙区にて参院選にのぞむ自民党公認・高野つよし候補(68)が2016年6月24日、夜7時半から山梨県身延町にあるホールで演説会を開いた。自身の公約として地域経済の活性化を強調。地元住民らを前に、「山梨における3本の矢」が必要であると訴えた。
「第一は地域経済の再生。果樹大国と言われている山梨で、様々な果樹や野菜をブランド化する流れはいま個人の努力で進んでいる。これらを県外・海外へ出していくようなブランドづくりをしっかりしないとダメだ。インバウンド(訪日旅行者)においても、地域の素晴らしい所を自分たちで発掘して日本に来る人達にどんな魅力を感じてもらえるか、そういったブランド化も重要だ」
▲地域経済の活性化を訴える自民党公認・高野つよし候補
- 弁士 高野剛氏(参院選山梨選挙区候補・新人)/茂木敏充氏(自民党選挙対策委員長、衆議院議員)
- タイトル 高野つよし 演説会(山梨県身延町) ―弁士 茂木敏充・自民党選対委員長
- 日時 2016年6月24日(金)19:30〜
- 場所 身延町総合文化会館(山梨県身延町)
- 告知 高野剛氏Facebook
中国と対決しつつ、景気回復のために中国をあてにする安倍政権のあきれたご都合主義
インバウンドで消費を牽引しているのは、その大半が中国からやってくる観光客である。いわゆる「爆買い」需要だ。そのインバウンド効果を期待する一方で、消費増税再延期のロジックとして、中国など新興国経済に陰りが見えたと主張する安倍政権。おかしいとお感じにならないのだろうか? 中国経済が衰退しているのが事実なら、インバウンド効果など望めないではないか。
また、安倍政権が押し進めている軍事国家化路線の先に、中国との緊張が高まり、万が一にでも軍事的衝突となれば、中国からの訪日客は途絶え、インバウンド消費は冷えきる。
中国と対決しつつ、景気回復のために中国をあてにする。矛盾しているのではないだろうか。まったく、このご都合主義には、めまいすら覚える。
“山梨版3本の矢”の2本目に挙げたのが、エネルギー政策。マニュフェストにも水素ステーションの整備や、日本一の日照時間や豊富な水量などを活用する、太陽光や水力などの再生可能エネルギーの導入推進を訴えている。
3本目は「暮らし安全、子育て安心、後期高齢者に対する医療&介護サービスの充実」だ。「団塊の世代が後期高齢者になる時に備え、今から看護師や介護士を確保し、そのためには待遇問題にしっかりと取り組む必要がある」と強調した。
「そのためには、アベノミクスのエンジンを再点火して、分配の好循環というのも取り上げながら、日本全国に豊かさが回っていかなければならない。山梨県においては非常に重要な経済対策費を確保し、山梨の豊かさをしっかりと確立するために頑張っていきたい」
この日、高野氏の応援に駆けつけた同党の茂木敏充・自民党選対委員長も、アベノミクスの重要性を強調した。
地方の少子高齢化と、若年人口の県外流出による若年人口減少はどこでも深刻なテーマである。この課題に取り組まなくてはならない、という問題意識の点では与党と野党に差がないらしい。
「一億ほぼ総貧困」まで「道半ば」!「成長の果実」のトリクルダウン(おこぼれ)到来説を安倍政権のブレーン・竹中平蔵氏と政調会長の稲田朋美氏が否定
しかしそこからが違う。自民党の候補だと、そこでアベノミクスを持ち出す。
「地方に行くと景気の回復を実感できないという声が聞こえてくる。地方創生をもっともっと進めていかなければならない。こういった意味でアベノミクスはまだ道半ば。道半ばではあるが、この道は間違いなく正しい道だ。さらにこの道を力強く前に進んでいくのか、それとも4年前のあの民主党政権時代の混乱・混迷の時代に時計の針を戻すのか。今回の参議院選挙、まさに前進するのか、後退してしまうのかがかかっている!」
一部の富裕層、一部のグローバル企業しか潤わないことが明かなのに、まだそんな世迷い言が地方で話されていることには、実際に目のあたりすると、打ちのめされる思いがする。
自民党は言葉を選ぶのが巧みだ。失敗しているにも関わらず、国民をごまかせるキーワードとして選び出した「道半ば」。
地方に、中小零細企業に、没落する中流とさらに没落する下流に、いつか「成長の果実」がおこぼれ(トリクルダウン)としてやってくる。その「ゴール」が少し遠ざかった。まだ「道半ば」だ。でもあともう少しだ、頑張れ、というメッセージ。しかし、これには何重にもウソがある。
第一に「アベノミクス」によって、成長が加速していない。日本のGDPの成長率は0.49%で、先日行われた先進国首脳会議(G7)参加国中、最低である。アベノミクスでは経済は成長しないのだ。もう結果は出ている。
茂木氏は民主党政権時代を「混乱・混迷」というが、安倍政権が発足して、アベノミクスのエンジンに点火されてからもう3年半。民主党時代が「混迷」なら、自民党の安倍政権時代は「空ぶかし」のあげくの「低迷」の時代というべきだろう。
第二に、一部の人間が豊かになり、グローバル企業は空前の内部留保を蓄えるようになっても、それは一般の国民に還元されない。
「パナマ文書」が明らかにしたように、ひと握りの富裕層や大企業は海外のタックスヘイブンに租税回避を行っており、その総額は70兆円を超えるという。しかし安倍政権のもと、日本政府はこの問題に対する調査すら行おうとしていない。富めるものは課税を逃れ、その分、空洞化した税収を地方の庶民からももぎ取る消費税で穴埋めしてきたのである。
第三に、これまではアベノミクスとセットでトリクルダウンが起こると喧伝されてきた。しかし今年に入って安倍政権のブレーンの竹中平蔵氏が「トリクルダウンはない」と言い出し、自民党の稲田政調会長も「安倍政権はトリクルダウンの考えは採ってません」と発言している。だから再分配は起こらない。分け前は貧しき庶民には与えられないのである。茂木氏は「道半ば」という。これはおこぼれにあずかる日まで「道半ば」という意味ではないだろう。「一億ほぼ総貧困」まで「道半ば」だ、頑張れ、と彼は励ましているのだ。
観客を中央に集めてメディアが会場の賑わいを演出し、「今日の演説会、アットホームな雰囲気でしたね」と談笑。まったく緊張感のない「取材」をする番記者の日常