【特番・第3弾】運命の分かれ道・2016年夏の参院選を徹底予想分析スペシャル!「今は、戦後最大の分岐点! 緊急事態条項の怖さを多くの人に伝えてほしい」 2016.6.20

記事公開日:2016.6.21取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・花山格章)

特集 2016年 参議院議員選挙 特集ページ | IWJ選挙報道プロジェクト

※7月6日テキストを追加しました!

 「私たちは、今、戦後最大の分岐点にいる。本当に危機的状況。ひとりひとりができることを、悔いのないようにやっていくしかない」──。

 2016年6月20日、IWJの「2016年参議院選挙特番」の第3回目が行われた。元日経新聞政治部記者の宮崎信行(みやざき のぶゆき)氏をゲストに迎え、司会を岩上安身、プレゼンターをIWJ記者の原佑介、城石エマ、平山茂樹が務めた。参院選の分析をする中で、宮崎信行氏は今回の選挙を「戦後最大の分岐点」と位置づけ、国民ひとりひとりの奮起を呼びかけた。

 岩上安身は、安倍政権が目指す改憲について、「2015年11月11日、安倍総理は閉会中審査の中で、『緊急事態条項の新設を目指す』と明言した。さらに、2016年3月14日の参議院予算委員会で、『大規模な災害が発生して、緊急時に国民の安全を守るため、国家国民はどのような役割を果たすべきか、憲法に位置づけるのは極めて大切な課題だ』と強調した」と振り返り、自民党の改憲は、緊急事態条項の新設で来るだろうと警告した。

 その上で、改憲勢力が票を伸ばすことを懸念し、「今回、野党共闘で85議席以上を取れば、改憲の発議を阻止できる。絶対に、自民、公明、おおさか維新、こころ、新党改革の改憲勢力に入れたりしないでください」と呼びかけた。

記事目次

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  • 日時 2016年6月20日(月) 19:00~
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改憲したいのなら、「憲法をこう変えます。皆さんの考えを選挙で示してください」と言うのが筋だ!

岩上安身(以下、岩上)「安倍総理は6月19日の『ネット党首討論』で、改憲議論の進め方について、『次の国会から、憲法審査会を動かしていきたい』と発言しました。これは、おかしい。なぜなら、自民党は改憲草案を3年前に掲示し、『われわれは改憲する』と何回も言ってきたのです。選挙で3分の2議席を取る前に、『(改憲は)これでやります。選挙では、皆さん(その是非を)考えてください』と言うのが筋でしょう」

宮崎信行氏(以下、宮崎・敬称略)「衆議院と参議院の憲法審査会は、共に3分の2の賛成で発議となります。安倍総理は、これを秋から動かしたいと言っています」

岩上「ならば、選挙前に、憲法のどこを変えるのか説明すべき。『秋の臨時国会で、憲法のどの条文を改正するか、具体的な議論を始める姿勢を示した』と報じられたが、それは、自分の命がかかる大事な保険契約を結ぶ時に、『まず、契約してください。そのあとで、この商品の内容を決めます』と言われるのと同じ。こんなことがありえますか」

宮崎「ありえない」

岩上「こういう、ありえない不当取引を安倍晋三氏はやっているわけです。現段階で、憲法審査会の議論がまとまっていないからといって、『今回の選挙で争点とする必要は、必ずしもない』とするのは、おかしい。国民に対して、『憲法の、この条を変えますから』と言わないのは、ごまかしです」

「終身議員、終身内閣、終身総理」の誕生!──無限の独裁が可能になる緊急事態条項の怖さ

宮崎「6月19日のNHK『日曜討論』、最後の1分で、NHKの島田敏男解説委員が、『安倍総理は、今年初めのこの番組で、改憲勢力3分の2を得たいと言っていましたが』と発言した。安倍さんは、ものすごくあわてふためき、『決まってないんですから、決まってないんですから、何条変えるか、決まってないんですから!』と応じました」

岩上「憲法の何条を変えるか決めていないのに、承認サインを国民に求めると言っているんですね」

宮崎「嘘をごまかそうとして、『何条か決めてません』と。安倍さん本人の中では、9条に決まっています」

岩上「いやいや、緊急事態条項だと思います。安倍総理は2015年11月11日、国会の閉会中審査の中で、憲法改正について、『緊急事態条項の新設を目指す』と明言しています。

 そして、2016年3月14日の参院予算委では、『大規模な災害が発生して、緊急時に国民の安全を守るため、国家国民はどのような役割を果たすべきか、憲法に位置づけるのは極めて大切な課題だ』と強調した。これ(緊急事態条項)で来ます。

 9条と緊急事態条項は、どう違うか。憲法は1条ずつ改正しなければいけない。戦争をやるために国民総動員体制にするには、国民に人権があったら不都合です。1条ずつ自民党の改憲草案をやっていたら、何十年かかるかわからない。だから、緊急事態を宣言して一発でやろう、と。

 緊急事態条項の問題は、まず、国会の事前同意は必要ないこと。あらゆる人権が制限され、法律と同じ効果を持つ政令の制定が可能です。総理大臣が予算措置もできます」

宮崎「これだと、国会はいらない」

岩上「その通りです。ヒトラーよりひどい。ヒトラーは、緊急事態条項と、その後の全権委任法案(授権法)で、4年の期限と言っていたが、自民党案は期間の制限なしです。終身議員の、終身内閣の、終身総理ができあがって、無限の独裁が可能になる。始める前も、始まってからも、止められる装置がありません。一度やってしまえば、変えようがないのです」

宮崎「衆議院選挙も、やってくれないですね」

岩上「7月10日の参院選の投票日まで、あと20日。今、日本は崖っぷちなんです」

自民、公明、おおさか維新、こころ、新党改革の改憲勢力には、絶対に投票してはいけない!

IWJ原佑介記者(以下、原)「今、反共キャンペーンがすごいです。安倍総理は先週、『民進党には、もれなく共産党がついてくる』と発言。礒崎陽輔元首相補佐官は、『民進党の岡田代表の顔が、共産党顔になってきた』とまで言っています」

岩上「自民党議員に『創価学会顔になってきました』なんて言う人はいません。礒崎さんの悪口の言い方は、ネトウヨ並みに低劣だ。本当に勉強しなかったことがわかる。彼は、立憲主義を知らないと言った人だから」

※2012年5月27日の礒崎陽輔元首相補佐官のツイート

宮崎「法的安定性なんてどうでもいい、とも言った人」

岩上「今度の参院選で、自民、公明、おおさか維新、日本のこころを大切にする党に投票することは、とても恐ろしい。この『改憲勢力』で78議席を獲得すれば、全体の3分の2である162議席に到達します。

 逆に、野党共闘が85議席以上取れば、改憲の発議を阻止できる。強い意志を持って、この問題に危機感を抱いている人を選んでほしい。

 (視聴者の皆さんが)自民党が好きでもいいし、自民党の政策がいいと思っていても結構です。しかし、改憲だけは譲れない。この緊急事態条項が使われる状況になっていいのか、ということ。絶対にやってはいけない」

宮崎「今、われわれは、戦後最大の分岐点にいます」

岩上「選挙ドットコムは、改憲勢力が勝つのではないかと言っている。皆さん、絶対に、自民、公明、おおさか維新、こころ、新党改革の改憲勢力に入れたりしないでください」

岡山選挙区(定数1)、民進は引退する江田五月氏の議席を守れるか!?

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原「では、地域別の分析の続きに移ります。岡山選挙区(定数1)は、自民党から小野田紀美さんという新人が出る。元東京都北区議会議員ですが、参院選に出るため、去年の10月に辞職しています。対する野党統一候補は、黒石健太郎さん。民進党の新人で、リクルート出身の方。先日、岩上さんがインタビューをしました」

宮崎「岡山選挙区は定数1で、江田五月さんが議席を持っていたが、引退で黒石さんに託した。6年前、全国の1人区で、民進党は山梨と岡山だけ、議席を持っていた。今回、山梨は輿石さん、岡山は江田さんが引退する。民進党としては、引き続き、議席を保てるかどうか。逆に自民党側は、久々に取り返すチャンスなんです」

原「小野田さんは、自民党の公募に応じた。それまで本命と見られていたのが、稲田朋美政調会長の元秘書、小野隼人さん。岡山県議会議長の小野泰弘さんの息子です。この方が出れば当選確実と見られていたが、結果的に、逢沢一郎衆議院議員が推薦した小野田さんに決定した」

岩上「民進の黒石さんは、今年1月に擁立決定。一方、小野田さんは、昨年10月に決定している。民進は出遅れました。引退する江田さんに代わって名乗りを上げた黒石さんは、『江田五月の後継者』をアピールして、江田人気の取り込みを図っています」

宮崎「岡山県内の民進党地方議員は、『これほどわからない情勢の選挙は、過去にない』と断言している。江田五月さんは、衆議院で丁寧に各事務所を回って指導していたので、岡山は民進党が強いと言われています」

原「2010年、江田さんが当選し、民主党に風が吹いていた時は、54%の票を取っている。2007年、2004年も、民主党の候補者が勝った。最近の選挙では、前回の2013年に自民が勝っているが、それ以前は民主が連勝。民進党も接戦できる選挙区です」

岩上「黒石さんは、自民党から出馬もできるような、地元の大きな洋服チェーンの坊ちゃんです。岡山の家業を見て、マーケットがなくなっている状況から、(地方経済をジリ貧にする自民党の政策は間違っていると思い)自分なりに判断したのでしょう。

 地方経済の衰退は、人口減少があるからに決まっている。それがわかっていながら、3000億円の子育て支援をやらないのが、自民党。そういう自民党に、黒石さんは相当腹を立てている。地方は本当につらい。小野田さんは悪い人ではないと思うが、とてつもなく凶悪な緊急事態条項を出す自民党から出る人には、落ちていただきたい」

宮崎「小野田さんは、今回、自民党から出ている時点でダメ。(緊急事態条項の危険性を)わかっていなかったと言ってもダメです」

広島選挙区(定数2)は、SMバーの領収書を通す自民・現職と、失言で法相辞任の民進・現職が分けあう?

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原「広島選挙区(定数2)では、宮沢洋一さんが改選を迎えます。66歳で、自民党現職、経済産業大臣や内閣府副大臣を務めた方です。民進党からは、柳田稔さん。この方も現職で、当選は3回。菅直人内閣時に法務大臣を務めた。広島選挙区は定数2なので、野党統一候補ではありません」

宮崎「柳田さんは、あまり知られていないが、民進党の岡田克也代表と仲の良い人。初当選は同期で、年齢も一緒。衆議院議員時代には、政治改革を必死にやっていた。自民党の宮沢さんは強いですが、民進党の柳田さんにも地方議員の支援があるし、造船所の労働組合もある」

原「高見篤巳さんは、共産党の新人。党県常任委員です。おおさか維新からは灰岡香奈さん。新人で、元山口県和木町議会議員。日本のこころからは、中丸啓さん。2012年の衆議院議員選挙で、日本維新の会から出て当選している。2014年は、次世代の党から出馬して落選しました」

岩上「日本のこころは中山恭子さんが代表で、『緊急事態条項を憲法に』と堂々と言っている党です。申し訳ないけど、日本のこころとおおさか維新は改憲勢力です」

宮崎「今回のダークホースは、おおさか維新の灰岡さん。唯一、女性で若くて目立ちます。改憲勢力打破という点では、共産党の新人が入ればと思いますが」

原「平成16年から4回連続で、自民と旧民主党が1議席ずつ分け合ってきました。自民の宮沢氏と民進の柳田氏という閣僚経験のある現職2人に、新人が食い込めるかが焦点。そして、自民、民進ともに微妙な候補者でもあります。

 宮沢洋一さんは2014年、資金管理団体『宮沢会』が、2010年に広島市内のSMバーに政治資金を支出していたことが発覚しています。宮沢さんは、『SMバーに行ったのは事務所関係者。私には、そういう趣味はない』と言っていましたが」

岩上「それなら、こんな領収書を通してはいけない。おかしいですね」
 
原「民進の柳田さんは、法相だった2010年11月、『法務大臣はいいですね。2つ覚えとけばいいんですから。個別の事案については、お答えを差し控えます。わからなかったら、これを言う。あとは、法と証拠に基づいて適切にやっております。この2つ』という発言が問題視されて、辞任しました」

合区となった鳥取・島根選挙区(定数1)は、鳥取地盤の無所属・福島氏と島根地盤の自民・青木氏の対決

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原「次は、今回の参院選から合区となった鳥取・島根選挙区です」

岩上「野党統一候補の福島浩彦さんには私がインタビューしました。無所属で出ます。福島さんは消費者庁長官を務めた人。地方自治をやりたいと、千葉県我孫子市長を3期やっていた。現在は、中央学院大学の教授です。『普通の選挙だったら断っていたかもしれないが、今回ばかりは、そんなことは言っていられない。本当に日本は崖っぷちである』と。今の時代がわかっている方です」

原「自民党からは、現職の青木一彦さん。当選回数は1回。この人は落選対象議員第8号です」

岩上「青木さんは、親子2代で島根に王国を築いてきた。福島さんは、縁があるのは鳥取。島根 vs 鳥取という形にもなっています」

原「島根は、衆院小選挙区で無敗を誇る全国有数の自民王国。その力の源泉のひとつは、インフラ整備です。ただ、自民党組織は高齢化が進んでいる。 2006年に約2万5000人いた県内の党員数は、2010年以降は1万3000人台で推移しています」

宮崎「島根県には、青木道路などと言われる道ができて、インフラ整備も進んでいます。しかし、鳥取もそうですが、毎年数千人、人口が減っているんです」

岩上「それなのに(安倍政権は)社会保障を切る。自分たちの数少なくなった子どもや孫が結婚して次世代につなげていけるように、シフトしようとは思わないのでしょうか」

原「合区になった影響で、島根の青木陣営は8対2の割合で、鳥取の支持集めに奔走中です。対する福島さんは米子市生まれ。鳥取県内のJAは、青木さんを推薦しています」

岩上「TPP、いいんですか? 農業は本当に潰れますよ。そして、青木さんは600万円の出所不明金問題で刑事告発されていますね」

原「2010年参院選の選挙運動に関する収支報告書に、政党支部から1600万円の寄付を記載していたが、政党支部の収支報告書には1000万円の記載しかなかった。差し引き600万円が出所不明金となり、刑事告発されています」

岩上「自民党議員の政治資金問題は、信じられないくらい同じ手口が多い」

宮崎「政治団体と政党支部をうまく使う」

原「鳥取・島根は保守が強くて、2013年の得票結果では、自民党候補がダブルスコアに近い形で勝利している。野党は共産党を足しても、かなり差があります」

岩上「(自民党候補は)選挙に通ったら、党議拘束で緊急事態条項を入れてしまう。その時にはジ・エンド。よく考えて投票してほしい」

安倍総理のお膝元、山口選挙区(定数1)から野党統一候補の纐纈氏を参院に送り込めるか?

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原「続いて、山口選挙区です。自民党からは江島潔さん。この方も落選対象議員です。現職で、国土交通大臣政務官を務めてきた。野党統一候補は、無所属の纐纈(こうけつ)厚さん、山口大学名誉教授です」

岩上「纐纈さんは、大変な学者。どちらかというとリベラル派、ハト派でありながら、軍事や近現代史も研究しているし、政治学の先生でもある。そして、現在の安保法制の問題にも詳しい方です」

宮崎「江島さんは下関生まれなので、(山口が地盤の自民党議員として)安倍さんと林芳正さんがいる中で、下関市長に回った。国鉄出身で、自民党系首長のスキャンダルの典型みたいな人です」

原「江島さんは、2013年から2014年の間に、243万円超えの出所不明金によって政治活動を行っていたことが発覚し、刑事告発されています」

岩上「これは地元の人たちが、『どういうことだ?』と問い合わせをしたり、公開討論会などで質問するべきです。地元の新聞もやるべきだが、安倍さんの顔色をうかがっているのではないでしょうか。

 林芳正さんの前回(2013年)の得票結果は、自民が強く、79.4%で圧勝。対抗馬は共産だけでしたが、16.6%を取っています。山口県における共産党を馬鹿にはできません。

 野党連合に対して、冷ややかな態度をとったり、冷水を浴びせる発言をするような、人としてどうかと思う議員も多くいます。しかし、ここ山口では民進党が主体になっています。ところが(野党共闘のために)下りた共産党の候補者は、『纐纈さんに、がんばってもらいたい』と、至る所に応援に行っています。こういう当たり前の感覚でやっている人たちが、実は多いということを知っておいていただきたい」

原「衆院の4選挙区を自民が独占する山口選挙区。安倍総理のお膝元で、保守王国。2013年4月に参院補選が行われ、今回出馬する自民党の江島さんが、民主・みどり推薦の平岡秀夫さんに、ダブルスコア以上の得票差で勝利しました。野党統一候補となった纐纈さんだが、連合山口は『共産党とは考えが相容れない』として推薦を見送り、支持にとどめています」

岩上「実際、応援団の中核は民進党です。山口の連合が、乗るか乗らないか。そして、一般市民がどれだけ応援するか。保守票から、流れるところがあるか。本当に安倍さんでいいのか。いくら山口県民でも、日本がどうにかなって本当にいいのか、真剣に考えてほしい。国政に必要なインテリジェンスを持っているという意味で、外交や安全保障を話せる沖縄の伊波洋一さんと山口の纐纈さんを、絶対、国政に送り込んでもらいたい」

宮崎「衆議院2区の話だが、山口県では8年前にも、平岡さんが自民党候補に2万票差で勝っています。山口県全域では、どうでしょうか」

岩上「山口県民は、必ずしも安倍さんを拝している人ばかりではない。リアルに国全体で考えたら、山口の皆さんも本当に危ない目に遭います。ぜひ、考えてほしい」

香川選挙区(定数1)の野党議員は、野党共闘唯一の共産党候補、田辺氏を全力で応援すべき!

 

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岩上「定数1の香川選挙区では、田辺健一さんが野党統一候補です。野党共闘の中で唯一、共産党の候補者です」

IWJ城石エマ記者(以下、城石)「自民党候補は、磯崎仁彦さん。現職で当選1回。参議院法務委員会理事です。自民党の副幹事長を務めたこともあります」

宮崎「香川は、2007年は民主党系が勝っています。3年後、自民が公募で新人を投入した。それが磯崎さんです」

城石「2013年参院選の得票結果では、当選は自民党の三宅伸吾さんで、56%の得票率。次点で34.2%得票したのが、植松恵美子さん。無所属ですが、民主党にいて、消費税増税に反対して民主党を出た方です」

宮崎「2007年の選挙では、民主党の植松さんが圧勝した。ここは衆議院議員が2人いるので、民主党の票が、どれだけ田辺さんに乗るか。全部乗っても、2013年の結果では、自民党に勝てませんが」

岩上「民進党は、他のところで共産党に応援してもらってるんだから、ここは田辺さんを全力で応援するのが義理というものです」

宮崎「33の1人区があって、31が民進党の候補者。ひとりだけ共産党の候補者が出ているのが香川なのです」

城石「田辺さんは、生活の党の推薦と社民党の支持を受けています。民進党は自主投票に決定。これについて、共産党の小池晃書記局長は『前進だ』と前向きに評価しています」

岩上「ここは、野党共闘の候補者を勝たせるべきです。共産党を勝たせる、という話ではないはず。党利党略を考えるべきではありません。非改憲勢力が勝たなければならないんです。ぜひとも、香川の方々、田辺さんを応援してあげてほしい」

宮崎「香川県内の衆議院議員も、全力でやってほしいです」

岩上「玉木雄一郎衆議院議員(民進党)は、『共産党を応援することはありません』とツイートしました。なんて情けない。本当に器が小さい。これは大義のためにやっていることです。ここで応援せず、1議席を失うことが、どれだけ大きな損失になるか。改憲されていいのか。緊急事態条項に賛成なのか、反対なのか、はっきりしてもらいたい!

 生活の党は、香川県に基盤はないが、小沢一郎さんは香川を訪問し、田辺さんを応援していきました」

城石「社民党は田辺さんを支持しているが、社会党を含めての歴史で、共産党候補を支持、推薦するのは初めてです。 2016年5月には、盤石に見える自民党の県議会で、会派分裂騒動が起こりました。県議会の最大会派、自民党議員会の28人のうち11人が、野党会派と協調しました」

岩上「国政選挙といっても、実際に動くのは県議会議員や市議会議員たちです」

合区になった徳島・高知選挙区(定数1)、「高知の候補者が出ないから盛り上がらない」と言っている場合ではない!

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城石「徳島・高知選挙区(定数1)。自民党は中西祐介さんで、落選対象議員第6号。一方の野党候補は、大西聡さん。無所属で野党統一候補、弁護士の方です」

岩上「大西さんは弁護士として大物です。徳島弁護士会の会長で、日弁連の理事もやっている。ここまでの人物が、(出馬依頼があっても)これまで出てこなかった。今回は本当に危機感を持っていて、『出るしかない』と自分から名乗り出た」

宮崎「まさに、市民連合候補」

城石「中西さんは、選挙資金計345万6977円の虚偽記載と、後援団体による『会費』名目での違法な寄付により、告発されています」

岩上「(自民党は)至るところにダーティー議員がいる」

宮崎「高知県は6年前、民主党が勝っています。それがどうなるかということだったが、民進党の現職の広田さんは、衆議院に回ることになった。単純に合算すれば、可能性は五分五分です」

城石「2013年の得票結果。どちらも、自民党候補が当選しています」

岩上「高知の人の気持ちを、どれだけつかめるか。つかんだ人は互角の選挙戦を戦っているので、そちらが勝つ。そういう意味では、共産党の票をもらうことができれば、かなり有利になる。こういうことがあるのだから、民進党の幹部は、『うちの大西をお願いします。香川では田辺さんを応援します』と(共産党に)言うのが当たり前。共産党を孤立させるやり方は得策ではない」

城石「初の合区制度導入により、選挙区の面積は従来の高知選挙区の1.6倍、徳島選挙区の2.7倍に拡大しました。有権者は約2倍に増え、120万人を超える。候補者は、2人とも徳島出身。そのせいか、高知県民の参院選に対する関心度は61.5%と低迷しています。また、徳島県内では64.4%の人が合区に反対していました」

岩上「今回の選挙は、平時の選挙ではない。『候補者が高知から出ないから、つまらない』という話ではない。絶対に投票に行ってください。緊急事態条項によって、憲法秩序を根こそぎ破壊されてしまう、大一番なんです。もう、この恐ろしい政治的詐欺師に騙されちゃいけない」

城石「民進党、共産党、社民党、新社会党が、大西氏を推薦。共産党が、大西氏の要請なしに推薦を決定したことで、保守票の取り込みを狙い、単独推薦にこだわっていた民進党の徳島県連が戸惑いを見せていました」

岩上「そういう細かい人がいるんだろうな、と思った。ただ、ライバルの中西さんには傷がいっぱいあって、公明党が推薦を見送っているんです」

宮崎「比例の関係もあるのだろうが、これは大きい。広い選挙区だと、選挙上手な組織が応援したほうがいいですから」

岩上「もう1点。大西さんの奥様の幸恵さんは、国民怒りの声に公募して、比例から出ます。奥さん共々、大西さんを応援してほしい」

愛媛選挙区(定数1)、戦争法議員の山本順三氏に、野党統一候補・永江孝子氏がどこまで迫るか

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城石「愛媛選挙区(定数1)では、自民党から山本順三さん。当選2回で現職の方です」

宮崎「山本順三さんは、今回改選になる自民党議員で唯一、去年の平和安全法制特別委員会の委員だった人。彼は自ら委員になり、昨年9月の強行採決後は、10月の内閣改造で国土交通副大臣になりました。見え見えでわかりやすい人事、論功行賞です」

岩上「山本さんは戦争法議員ですよ。本当に、この人でいいのか。これは、平時の選挙ではない。国全体の命運がかかっています。言論の自由も、基本的人権も、国民主権も、すべてなくなるんです」

城石「野党統一候補は永江孝子さん。元衆議院議員です」

宮崎「2009年の選挙で、永江さんは選挙区でなく比例で復活。その後、小沢ガールズの中でも年長ということで、まとめ役として3年3ヵ月やってきて、消費税の時は執行部側について活躍した方。議席を失って政界引退の発表もあったが、請われて今回、参院選に出ます」

岩上「今度は民進党ではなく、野党統一候補です。どれだけ市民の押し上げ、他の野党の支援があるか。戦争法確信犯の山本議員の支持層に、どれくらい入りこめるかということ」

城石「2013年の得票結果を見ると、自民党候補が66.6%を獲得して当選。愛媛県は保守が強いと言われています。当時、民主党の永江さんが擁立されるという話が出ていたが、みんなの党との調整がうまくいかず、擁立を見送った。また、11%取っている共産党の植木さんもいます」

岩上「共産党の場合は、候補者にかかわらず、票が出ます。これが乗っかって、勝負になるか」

城石「公明党は山本さんを推薦。民進党、社民党は永江さんを推薦。共産党は支持。南海放送の元アナウンサーで、全県で顔と名前が知られている野党統一候補の永江さんは、自民党にとっては手ごわい存在で、『油断はできない』と見ています」

岩上「新たに選挙権を得る18〜19歳の若者、約2万人の取り込みがポイントです。若い人は、よく考えてほしい。君たちの選挙デビューと共に崖っぷち、というのは気の毒だが、その第一歩で、そのまま転落していくのか、そこに橋を渡して、今まで通りの平和な、人権が守られる国を続けることができるのか。皆さんの1票にかかっています」

宮崎「2007年の四国で、当時の民主党系が4つ全部勝った時、最後の1週間で(戦局が)オセロゲームのように黒から白になった。四国はひとつと言われるが、ひとりひとりがよく考えて立ち上がり、身近な人に声をかけてほしい」

1議席増えた福岡選挙区(定数3)は、自民、公明、民進で決まり?

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IWJ平山茂樹記者(以下、平山)「福岡選挙区は、定数が2から3に増えました。現職は、自民党の大家敏志さん。福岡なので、麻生副総理が選対本部長を務めている。対する民進党の新人は、古賀之士さん。福岡放送のアナウンサーで、地元での知名度は高い。定数が増えたことで、公明党は24年ぶりに候補を立てた。新人の高瀬弘美さんで、財務官僚です」

岩上「自民と公明が割れます。それでも、3つのうち2議席を、自民と公明で取れるだろうと」

平山「共産党も立てています。新人の柴田雅子さんで、党の県平和部長。社民党も、高校教師の竹内信昭さんを新人として擁立。おおさか維新は、新人の森上晋平さん。外資系コンサルティング会社の方です。地元は大阪だが、落下傘的に福岡で立つ。日本のこころを大切にする党からは、新人の石井英俊さんが出ている。2013年は定数2で、自民と民主で分け合う形でした」

宮崎「大家さんは、もともと麻生さんの系列で、参議院自民党では国会対策や議員運営委員会をしている人。古賀さんは20年以上、平日の帯番組でメインキャスターを務めており、極めて知名度が高い。公明党が立てた高瀬さんは、創価学会員だと思われます。外務省は、創価学会率が非常に高いので。定数3だと、大きな波乱はないように思いますね」

「社民王国」の大分選挙区(定数1)では野党統一候補が有利か。自民候補は人権停止OKの弁護士

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平山「大分選挙区は1人区。ここは、野党有利と言われています。現職は、民進党の野党統一候補の足立信也さん。医師であり、鳩山内閣と菅内閣で厚生労働政務官を務めた。自民党は新人で古庄玄知さん、弁護士です。前回は、礒崎陽輔さんでした。礒崎さんは、内閣総理大臣補佐官として、いろいろ問題発言がありました。『立憲主義は知らない』とか」

岩上「いずれにせよ、礒崎さんは言うことのレベルが低い」

平山「野党が大分で強いというのは、村山富市元総理を輩出した『社民王国』だからです。今の社民党の党首、吉田忠智さんも大分出身。大分方式というのがあって、参院選では旧民主党と社民党が交互に候補を出し合う、非自民の共闘が行われてきた。今回は、民進党の足立さんで一本化が成立した。民進が有利ではないかと言われているが、2015年の統一地方選、大分市長選では自民党が勝っています」

岩上「ここは、市民の底上げが必要です」

宮崎「6年前、足立さんはゼロ打ち当確(=開票率ゼロ%での当確)が出たが、それができるのも、社民党の村山富市さんや自治労といった力の結集のおかげです」

岩上「自民から出ている人は、改憲オッケー、緊急事態条項オッケーという弁護士だ。人権を停止してもかまわないと思っているわけだから、容赦なく落としていただきたい。足立さんに勝ってもらいたい。応援するのは市民です」

地震で大変な状況の熊本選挙区(定数1)では「選挙どころではない」の声も。投票率低下が懸念される!

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平山「熊本選挙区(定数1)、現職は、自民党落選対象議員第2号の松村祥史さん。3500万円もの出所不明金がありました。対する野党統一候補は、新人の阿部広美さん。弁護士で、全国で最初に野党統一候補になった人です」

岩上「阿部さんは、市民連合が強く推している。ぜひ、勝ってほしい」

平山「松村氏は、3500万円という巨額の寄付を政党支部から受け取りながら、収支報告書に不記載だった。神戸学院大学の上脇博之教授が刑事告発しました」

岩上「松村氏は3500万円について、いまだに何の説明もしていません。これでいいのか、と問いかけたい」

平山「 2013年参院選での得票結果は、自民党が60%を獲得して勝利しました」

岩上「今回、民主(民進)候補に共産候補の票が乗っかったとしても、40%いかない。基礎票は非常に厳しい」

平山「熊本は、なんといっても地震があったことが大きい。震源地に近い地区では、投票所の設置に苦慮しています。選挙どころではない、という声も上がり、投票率の低下が危惧されます。松村さんは、約500団体の推薦を得るなど、手堅い組織戦を展開中です。

 IWJの高橋記者が、阿部さんを6月2日に直撃取材しています。地震があったということで、緊急事態条項について尋ねた。阿部さんは、『現場を知らない内閣に権限が集約されるのは、ちょっと考えただけでも恐ろしい。今回の震災で、制度が実態に即しておらず、切り捨てられる人が多いと思った。だからこそ、ひとりひとりに寄り添っていかなければならないのに、人権を制約する緊急事態条項は、まったく正反対のものだ』と語りました」

岩上「その通りです。被災地は、問題なく自由な経済活動を行っているところから、バックアップされて立ち直っていきます。それを、震災が起こったから日本全国で人権を停止するという。意味がわからない。これをやる理由が、まったくわかりません。

 そして、恐ろしいことに、自民党改憲草案の緊急事態の定義として、『我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等』とある。問題は『等』です。以前、石破さんは『国会前の抗議行動はテロだ』と言ったが、たとえば、『これはテロ行為』とお上が言えば、市民のデモや抗議行動によって、全国に緊急事態宣言が出されることになってしまう」

宮崎「阿部弁護士は、よくわかっていらっしゃる。さすが、最初の野党統一候補。これはママの会も含めて、本当に注目です」

岩上「これから、津波、地震、事故など、いろんなことが起きるたびに、緊急事態宣言をされてしまうかもしれない。でも、法律レベルでは、現在も原子力緊急事態宣言が出たままです。そうした、実際の災害ごとの法整備はなされている。この国の国会を止めること、私たちの人権を止めることが、なぜ災害救助になるのか。ちょっと考えればわかることで、とんでもない話です」

宮崎「緊急事態宣言で、地方自治も停止されます。すべての地方公務員も、考えてみたらいい」

宮崎選挙区(定数1)は、自民・現職の松下氏と野党統一候補・読谷山氏の一騎打ち!

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平山「宮崎も1人区。現職が、自民党で3選を目指す松下新平さん。総務副大臣や内閣府副大臣を歴任しています。対する野党統一候補は、新人の読谷山(よみやま)洋司さん。総務省の官僚で、岡山市の副市長を務めました。この2人の一騎打ちです。

 自民・現職の松下さんは、県医師会や県の建設業協会など、約200団体から推薦を受けて組織戦を展開しているが、その一方で、TPPをめぐり、JAグループ宮崎の政治団体とは微妙な距離感があります。推薦は得ているが、JAが全面的に支援はしないという状況です」

岩上「自分が戦争に行ってもいいか、あるいは日本列島が戦場になってもいいか、本気で考えてみましょう。戦争を遂行するためには、全員が命令に従わなければなりません。早い話、個人(安倍総理)の自由で、主権をぶっ潰す。そして、独裁の下、アメリカの属国になるのです」

佐賀選挙区(定数1)、野党統一候補の中村哲治氏はJA票を取り込めるか

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平山「佐賀選挙区も1人区。現職は、自民党の福岡資麿さん。対する注目の候補が、野党統一候補の中村哲治さん。元職です。今回は、民進党からの出馬になります」

岩上「中村さんは、本来は奈良に基盤がある人。しかし、どうやら県連の馬淵澄夫さんが認めなかったようです。原口一博さんがこの窮状を知り、『佐賀が決まっていないので、出てくれないか』という話になり、思い切って佐賀へ行くことになったそうです」

平山「2013年は、自民党の山下雄平さんが64.6%で、民主党の青木一功さんが24.1%でした」

宮崎「佐賀県は面白い状況がある。6年前の参院選、当時の民主党の得票率は47都道府県で最低だった。ところが、次の衆議院選挙になると、比例で民主党票が20%を超え、全国で5番目くらい。なぜかというと、衆院選に出てくる原口一博さんと大串博志さんの後援会があるから。だから、衆議院の比例では出てきます。要するに、原口さんと大串さんが強い、ということ」

平山「中村さんは、原口さんら民進党の有力議員の支援を得て、選挙戦を展開。落下傘候補であることを、いかに跳ね返すかです。重要なポイントは、JAグループの政治団体が、TPPに関する自民党への根強い不信感から、福岡氏を推薦せず、自主投票を決定したこと」

岩上「これは大きい。九州は福岡以外は農業ベースの、地方らしい地方です。農業人口はダイレクトに大きくなくても、農業にぶら下がっている地場産業や小さなサービス産業が多いので、農業がダメになると全部ダメになります」

宮崎「こういうJA関係の団体の動きは、東北では見たけれども、九州ではあまり見なかった動きです」

平山「佐賀の農協については、昨年の知事選で、自公候補ではなく野党側の候補を支援して、山口義徳さんを当選させています。佐賀では影響力が強いと言われています。今回、自主投票となったことが、どう影響するのでしょうか」

岩上「中村哲治さんは、どう考えてもギリギリです。何の準備もなく、落下傘候補なのですから。しかし、原口さんと大串さんの後援会や、もしかすると佐賀農協の支持で、風が吹くかもしれない」

長崎選挙区(定数1)は衆参議席を自民党が独占。不思議なほどの「自民王国」

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平山「長崎選挙区(定数1)。自民党は、現職でベテランの金子原二郎さん。この方は衆議院議員を5期、長崎県知事を3期務めています。これまで、選挙で負けたことがありません。対する野党統一候補は、民進党の西岡秀子さん。西岡さんは、参議院の議長を務めた故西岡武夫氏の長女です」

岩上「長崎県といえば、いろいろなことを連想します。まずは、原爆。それから、食べ物では長崎ちゃんぽんやカステラとか。ハイカラなイメージのある土地ですが、実は衆参議席を自民党が独占している自民王国なんですね」

宮崎「長崎は、不思議なくらい自民王国です」

岩上「当然のことながら、長崎の地元メディアは核の惨禍を訴えています。言っていることは平和主義。革新側が言ってきたことと、近いことを言う人はたくさんいるはずなのに、政治は圧倒的に自民党が主流。この辺が、福井や富山の自民王国と違うところです。

 しかし、この西岡秀子さん、選挙基盤は長崎県内に数万人いる西岡党の人々です。秀子さんの祖父の竹次郎氏の代から、強固な組織を維持しています」

平山「2013年の参院選では、自民党の古賀さんが50.2%を取って当選。民主党の大久保さんも30%。29ポイント差で他よりは少し詰まっている印象はあります。ただ、共産党と合わせても、まだ足りません」

鹿児島選挙区(定数1)の農業・公共事業が、TPPで全部アメリカに食われてもいいのか

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平山「鹿児島選挙区も定数1です。現職は落選対象議員第4号の、自民党の野村哲郎さん」

岩上「この人は、本当に農協頼み。JAが、そのまま出てきたようなものですね」

宮崎「今の森山農林水産大臣も、JA鹿児島中央会の出身です。尾辻英人さんという、参議院副議長を務めた人もJA鹿児島中央会出身。鹿児島県の中央会は、ずっと前から連続して当選しています。全国の農政関係者は注目してください」

平山「対する野党統一候補は、無所属で新人の下町和三さん。この方は連合の副会長。福井の横山龍寛さんも連合の方で、連合組織内の候補はこの2人です」

岩上「鹿児島の有権者は、TPPのことをよく考えてほしい。名産品の産地表示ができなくなるかもしれません。鹿児島では黒豚が有名だが、ブランドを流通させることはまかりならない、となる可能性があります。そして、地産地消がダメ、となる可能性も。

 TPPでは、公共事業が全部アメリカ側に解放され、分配されます。『フェアな競争』を掲げて参入してくる外資に食われる。また、TPPは農業だけではなく、日本の公共事業も、アメリカの桁違いのゼネコンが食っていきます」

宮崎「そろそろ反乱を起こしましょう。鹿児島で土木をやっている建設会社の社長さんに言いたい。あなたの親や祖父母の代は、農業だったのではないか。農業ができれば、農業をやっていればよかったはずです」

岩上「鹿児島といえば、川内原発があります。山本太郎議員だけが懸念しているが、川内原発にミサイルが飛んできたら、どうするのでしょうか。安倍総理は、『ミサイル防衛システムで撃ち落とす』と言ったが、天下の大ウソです。ミサイル防衛システムは、東京都心の防衛庁など、一部しか守っていない。全国の県庁所在地さえ守っていないんです。原発に通常弾が飛んできたら、皆さん、おしまいです」

平山「野村さんは落選対象議員です。JA鹿児島県中央会から、主に自民党議員を支援する政治団体の鹿児島県農民政治連盟に、2008年から2014年まで毎年950万円、計6650万円もの寄付が行われていた。さらに、その一部は野村議員に違法に寄付されている。それで、刑事告発されています」

岩上「刑事告発されているので、どうなるかわからないが、不起訴だけでは済まないかもしれません」

平山「そして、重要なのが、鹿児島県知事選挙との同日選になること。現職の伊藤祐一郎知事に対して、野党側は、元テレビ朝日の解説者の三反園訓さんで一本化した。川内原発の再稼働という争点も、はっきりしてきました」

岩上「参院選、下町さんは連合の候補ということで、ドブ板をやりたがらない可能性があるが、がんばって歩き回ってほしい」

沖縄選挙区(定数1)の伊波洋一氏は日米関係、安全保障、軍事に精通。参議院に必要な人材だ

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平山「最後に、沖縄選挙区(定数1)です。現職が、第三次安倍内閣の内閣府特命担当大臣で、自民党の島尻安伊子さん。この人は落選対象議員の第1号です。対するは、無所属で元宜野湾市長の伊波洋一さん」

岩上「伊波さんほど、日米関係や安全保障、軍事について精通している人は他にいない。本土の人とは違います。目の前に米軍基地があり、その米軍とやり取りしながら、『米軍とは』『米国の政策とは』を肌で理解してきた人です」

宮崎「伊波さんが国政に出るのは、初めてではないでしょうか。まさに、参議院に必要な人です」

平山「島尻さんは、顔写真入りカレンダーを無償で選挙区内に配布したり(公職選挙法違反の疑い)、自民党沖縄県参議院選挙区第二支部の借入金、計1050万円を収支報告書に記載しなかったことで刑事告発されています」

宮崎「島尻さんは、説明も二転三転して良くなかった」

岩上「島尻さんで、もうひとつ決定的なのは、国から補助金をもらっている学校を親族が経営していること。理事長は旦那さんで、その法人が島尻さんに献金しています。これは迂回献金になり、違法です。

 さらに、島尻さんは出馬する時、米軍基地の移転先を『辺野古から県外へ』と言って、市民運動の力をバックに当選したんです。ところが、当選後は手のひら返しで自民党に入り、あろうことか国会で、『もっと厳しく市民運動を取り締まれ』と言い、辺野古でケガ人を出すような過剰警備をさせている。珍しいくらいの、恩知らずです」

宮崎「島尻さんは、いくらなんでもひどすぎる。今回、福島選挙区の岩城法務大臣と、沖縄選挙区の島尻大臣は、議席を失う可能性が高いと思います。ただし、『福島と沖縄で安倍内閣の大臣が落選』という見出しが踊っただけで溜飲は下げないでほしい」

沖縄女性殺害事件で日米地位協定の改定に触れた島尻大臣。ならば、ケネディ米大使に直言を!

宮崎「今度の参院選は、6月23日に公示されると言われていたのが、22日公示に閣議決定されました。1日前倒しにしたのは、6月23日が沖縄慰霊の日だからです。沖縄県での式典には、民進党から枝野幹事長が出席予定。政府や自民党から誰が行くかは、現時点(6月20日)で発表されていません。

 昨日の県民大会には、元海兵隊員で米軍属の男による、沖縄の女性強姦死体遺棄事件に抗議する市民が6万人集まったが、自民党と公明党は参加しませんでした。沖縄慰霊の日に、政府自民党から誰が出席するかが気になります。安倍総理に行っていただきたい」

岩上「また、帰れコールがわき起こって、それをNHKや民放は全部消して流すのでしょう。IWJは、音声入りでお伝えしたい」

宮崎「安倍総理は、今回、正々堂々と那覇市に入って、島尻大臣の弱い地域などで街頭演説をすればいいんです」

岩上「島尻さんは、女性が殺された時、『すぐにコメントできない』と言いました。様子を見たあげく、これは大変だとなってコメントを出し、日米地位協定を改定すると言い始めました。これは危機感の表れだと思う。

 しかし、安倍総理は日米地位協定の改定には踏み込まない。地元記者の人たちは、記者会見で質問してもらいたいものです。島尻さんと並んで演説する時には、『日米地位協定をどうするのか。この閣内不一致をどうするのか』と訊ねてほしい」

宮崎「先週、民進党の岡田代表が、アメリカのケネディ大使に直接、日米地位協定の改定を要求しています。今の政府は、それくらいやってほしい。ケネディ大使も『軍属の定義を変えたい』と発言したようですから、島尻さんは直接、ケネディ大使に言ってもらいたい。まあ、できないだろうと思っていますけど」

岩上「当たり前だけど、島尻さんは、やれないことを言ってはいけない。選挙の前だけ、ごまかすというのでは、沖縄の人たちが傷つきます」

平山「島尻さんは、辺野古の問題、態度の変更、政治資金規正法違反、記者会見で歯舞(はぼまい)群島を読めなかったことなどがあり、苦戦中です。公明党の沖縄県連は、辺野古新基地建設に反対の立場なので、島尻氏への推薦を出していません」

岩上「厄介な問題が、今井絵理子さん。選挙区では自民、比例は公明という約束だったのに、今井絵理子さんを出したために、公明党の沖縄県連がヘソを曲げ、『島尻を手伝わない』と言って推薦もやめました。もちろん、今井さんの応援もせず、公明党は独自になりました。これはいいことです」

平山「今井絵理子さんは、夫のスキャンダルがかなり響いています。沖縄では評判が悪いようです」

オール沖縄の支持を固め、小規模な会合や講演会にも出席する伊波氏は基盤を拡大中

平山「伊波さんはオール沖縄の支持を固めて、小規模な会合や講演会にも出席し、着々と基盤を拡大しています」

岩上「離島も含めて、島尻さんは伊波さんより早く回っているので、伊波さんも徹底して沖縄を回らないと。沖縄では、1人単位でどこに投票したかわかるくらい、徹底した選挙戦をやります。日本で一番ベタな、ドブ板選挙をやっているところです」

平山「伊波さんはIWJのインタビューで、『島尻さんに対して、県民の怒りは強い。軍属の犯罪は、米軍内での腐敗や規律の乱れがフェンスの外に持ち出されているからで、その結果が、沖縄での米軍関係者らによる事件や事故なのだ』と言われました」

岩上「米軍のフェンスの中には、独身者も女性兵士もすごく多い。内部でも、すごい数のレイプ事件があります。実は、米軍の中は地獄だと言います。暴力沙汰が絶えない。規律の乱れがひどく、それをフェンスの外に持ち出してくるのです。米軍の暴力や強姦に対する意識の低さは、アメリカ国内でも社会問題になっています。

 そして、沖縄だけの問題ではありません。日本の国土のあちこちに米軍基地があるし、そもそも、米軍の司令下に自衛隊が置かれて使われること自体が大問題です。これらを含めて、皆さんに真剣に考えていただきたい」

宮崎「ひとりひとりができることを、やっていくしかありません。悔いのないように。緊急事態条項の危険性は、なかなか伝わらないかもしれないが、改憲勢力に3分の2を取らせてはいけません。本当に、危機的状況です」

岩上「選挙の電話掛けといえば、創価学会が有名です。今回限りは、創価学会に学びましょう。とにかく、知り合いの人たちに緊急事態条項の危険性を広めて。3分の2議席を改憲勢力に取られてしまったら、白紙委任になってしまう。安倍総理が、それを目指していることを、皆さん、忘れないように!」

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