高レベル放射性廃棄物は地下300メートル以下に埋めてしまえば安心!? 非常に危ないのは、“たったの”1000年!? 国民は、国の方針に対して理解と同意しか求められていない!! 経産省など主催の「地層処分」シンポジウム 2016.5.9

記事公開日:2016.5.13取材地: テキスト動画
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(IWJ・太田美智子)

※5月23日テキストを追加しました!

「このシンポジウム自体が合意形成の場なのか、同意を求める場なのか」――。

 鋭い問いが投げかけられた。原子力発電所から出た高レベル放射性廃棄物の埋め立て処分に関するシンポジウムが、2016年5月9日、経済産業省資源エネルギー庁と原子力発電環境整備機構(NUMO: Nuclear Waste Management Organization of Japan)の主催で、東京都千代田区の大手町サンケイプラザにおいて開かれた。そのシンポジウムのひとコマである。

 シンポジウムは、「トイレなきマンション」と言われる原発の“トイレ”を、地下300メートル以下の地層につくる「地層処分」について、国民や自治体の理解を得ることを目的としていた。

 3.11以降も、国は原発再稼動と原発輸出に邁進している。今年4月14日と16日には熊本で震度7が続けて発生し、震度3の揺れは1カ月を経過しても続いている。

 そんな中、登壇した資源エネルギー庁電力・ガス事業長の多田明弘部長、NUMOの近藤駿介理事長らは、「国民の皆さまのご理解」を得ようと、きわめて丁重な言葉遣いと姿勢を保ち続けた。

 ところが、近藤理事長が顔をしかめた一瞬がある。

 にこやかな笑顔を浮かべながら、地層処分の安全性を強調する説明を終えたとき、「それは同意を求めているんじゃないですか」という鋭い声が、会場から飛んだときだ。

 図星を指され、近藤理事長はこわばった表情で、いったん切ったマイクのスイッチも入らないまま「事実をお伝えしている」と答えた。そして、マイクを机の上に置く瞬間、うつむきながら眉をしかめたのだ。

記事目次

■ハイライト

「シンポジウムの目的は合意でも同意でもない。ご理解を求めている」!?

 参加者から「同意を求めているのではないか」という声が飛んだきっかけは、30分ほど前にあった。質問に立った男性が、「今回のシンポジウムは国民との対話をうたっているが、このシンポジウム自体が合意形成の場なのか、同意を求める場なのかを教えていただきたい」と尋ねたのだ。

 その質問に対して、資源エネルギー庁の多田部長は、「今日の趣旨・目的は、合意でも同意でもないと思う」と回答した。「私どもが今日、お伝えしたいことは、原発から発生する廃棄物の問題について、法律はつくったものの、選定のプロセスにまだまったく入れていない状況。これを現世代の責任として、しっかり果たしていかなければならない。

 国として、原発を推進している資源エネルギー庁の立場としても、しっかりと道筋をつけていく、最初の一歩を歩み始めなければいけない。その一環として、科学的有望地を今年度中に示したいということで、ご説明をし、ご理解を求めているという状況である」。

 「説明」をし、「理解」を求めるとは、つまりは「同意」を求めている、と答えたのもと同様である。しかし、この質疑でさえ、対話形式ではなかった。挙手した人の中から3人ずつまとめて質問を受け、その質問にまとめて答えていく。多田部長が回答した後、質問者が問い返す機会はなかった。

原発を稼動し続ける限り、増え続ける使用済み燃料~すでに1万8000トンが存在

 原発の“排泄物”にあたるのが、使用済み燃料を再処理し、ウランやプルトニウムを取り出す際に生じる、高レベル放射性廃液だ。この廃液を、溶かしたガラスと混ぜ、30~50年かけて温度が下がるのを待って「ガラス固化体」にし、地層に埋める(製造直後の発熱量は約2300ワットが、30~50年後には560~350ワット程度になる)。

 ガラス固化体の大きさは、高さ約1.3メートル、直径約40センチ、重さ約500キログラム。現在、青森県六ヶ所村の再処理工場に約2000本貯蔵されているが、国内には今、約1万8000トンの使用済み燃料があり、ガラス固化体に換算すると約2万5000本に相当するという。

 このガラス固化体を金属製の容器(オーバーパック)に入れ、緩衝材として粘土で包み、地下300メートル以下の岩盤に埋設する。これが「地層処分」だ。「変形しにくい岩盤」「地温が低い」「地下水の流れが緩やか」「地下水が酸性ではない」の4つの条件を満たせば、地層処分に好ましい場所と言えるのだそうだ。

「X×Y=Z」で、XとYの値は不明だが、Zは大したことがない=安全???

 経済産業大臣の諮問機関、総合資源エネルギー調査会の地層処分技術ワーキンググループ委員長で、原子力安全研究協会技術顧問の杤山修(とちやま・おさむ)氏は、「最初の1000年ぐらいは熱があって非常に危ないですから、そういうときに活断層が直撃したら容器は破壊されて、ある程度、溶け出すかもしれない」と、地層処分のリスクに言及した。

「どのくらい溶け出すかというのは、そのときのガラスの溶解速度と元素の溶解度による」「断層ができて、地下水の流れが速くなって、ある程度、運ばれていく。あまり好ましいことじゃありませんから、活断層を避けましょうと言っている。でもそれを評価しても、非常に危ないことにはなりませんという評価をしている、というのが、今の内容」だと話した。

 1000年もの間、非常に危ない状態が続くにもかかわらず、さながら、X×Y=Zという数式を示しながら、Xの値もYの値もその根拠もまったく示さないまま、Zの値だけは「大したことがない」と説明されているようなものだ。ひどく楽観的なXとYの数値を持ち出されても困る。いくら説明されても、これではなんとも納得も同意もしようがない。

(…会員ページにつづく)

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