「沖縄の人たちに、沖縄のことを決めさせない戦略があった」 ~辺野古問題などを論議、大江健三郎氏ら 2014.4.26

記事公開日:2014.5.9取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)

 「いくら理不尽を、本土に向かって訴えても、政府からは対応らしきものは一切なされない。しかも、中国や北朝鮮との緊張の高まりを理由に、沖縄への米軍基地新設を積極的に求める声すら、本土からは聞こえてくる」──。

 2014年4月26日(土)、東京都内の法政大学市ヶ谷キャンパスで、普天間・辺野古問題を考える会と法政大沖縄文化研究所の共催で、シンポジウム「沖縄の問いにどう応えるか ―北東アジアの平和と普天間・辺野古問題」が開かれ、ノーベル賞作家の大江健三郎氏、琉球大学教授の我部政明氏、オーストラリアの歴史学者、ガバン・マコーマック氏(オーストラリア国立大名誉教授)が講演を行った。

 この日の登壇者たちに共通していたのは、「すでに沖縄は、本土を見限り始めているのではないか」との認識である。この集会のために沖縄からやってきたスピーカーからは、本土を突き放すような発言も見られた。

 冒頭、あいさつに立った法政大学総長の田中優子氏は、「江戸時代には『沖縄』と呼ばれた場所はなく、琉球王国という独立国が存在しており、その石高(こくだか)を薩摩藩に収奪されていた」と指摘した。「当時、江戸幕府は琉球王国をひとつの王国として認めつつも、同時に幕藩体制の下で収奪を行っていたのだ。この二重性は、今の日本の、本土と沖縄の関係に十分に重なる」。

 田中氏は「沖縄は1972年に日本へ、いわゆる『復帰』を果たした。しかし、沖縄の人たちの立場に立てば、『日本国憲法は、自分たちに適用されているの?』という疑問が沸いてくる」と言葉を重ね、「沖縄の人たちは、その疑問を、本土に暮らすわれわれに向かって、『どう思うのか』と繰り返しぶつけている」と強調した。

記事目次

■ハイライト

  • 総合司会 屋嘉宗彦氏(法政大学沖縄文化研究所所長)/開会あいさつ 田中優子氏(法政大学総長)
  • 講演 大江健三郎氏(作家)/我部政明(がべ・まさあき)氏(琉球大学教授)/ガバン・マコーマック (Gavan McCormack) 氏(オーストラリア国立大学名誉教授)
  • 発言 西川潤氏(早稲田大学名誉教授)/和田春樹氏(東京大学名誉教授)/川瀬光義氏(京都府立大学教授)/島袋純氏(琉球大学教授)/佐藤学氏(沖縄国際大学教授)/古関彰一氏(獨協大学教授)/遠藤誠治氏(成蹊大学教授)/コーディネーター 西谷修氏(立教大学教授)

復帰を疑問視した在沖ジャーナリスト

 そして、この集会の主役のひとりとして登壇した大江健三郎氏は、まず、田中氏の議論を引き継ぐ形で、「もはや、本土は沖縄から問われていないのではないか」と問題を提起。自身が尊敬する沖縄の知識人たちの発言からは、いくら本土に向かって訴えても、まともに受け応えてもらえない現実に対する不満が伝わってくるばかりか、沖縄の人たちはすでに「本土」を見切り始めていることが十分にうかがえる、と訴えた。

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入よりご覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 300円 (会員以外)

関連記事

■お買い求めはこちらから

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です