ようやく実った党首会談で「野党共闘」が実現するのか、それとも足並みが揃いきらないパフォーマンスで終わるのか――。
民主党、日本共産党、維新の党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちの野党5党は2016年2月19日、国会内で党首会談を行い、昨年9月に成立したとされる安全保障関連法の廃止を目指し、2本の廃止法案を衆院に提出。ほかにも、与党や補完勢力の議席数を減らすため、今夏の参院選で可能な限りの選挙協力を行うことで合意した。狙うは「安倍政権打倒」である。
党首会談直後の会見で、共産党の志位和夫委員長は「参院選の1人区の候補者調整にあたっては、安保法制廃止、戦争法廃止、立憲主義回復という大義の実現のために、思い切った対応をしたいと考えている」と発言。4月24日投開票の北海道5区の補欠選挙では、新人橋本美香氏の公認を取り下げ、民主、維新、社民の3党が推薦する池田真紀氏を統一候補として支援することを了承したばかり。その直後の発言とあって、共産党は今後、参院選の一人区において、候補者取り下げを積極的に行うと見られる。
- タイトル 民主党 岡田克也代表 定例記者会見
- 日時 2016年2月19日(金)15:00〜
- 場所 民主党本部(東京都千代田区)
民主党の覚悟は!? 岡田代表「この4点を提案したのは私です」
「勝つために、共産党として『思い切った決断をする』ということであれば、評価できる」。
岡田代表は19日に行われた定例会見で、志位委員長の発言を歓迎した。「国民連合政府」構想を一旦凍結する意思を示したことについても、「(国民連合政府を)前提としないという意味であれば、一歩前進」と評価し、「共産党の『思い切った決断』がどう具体化していくのか見極めたい」とも付け加えた。
共産党任せの姿勢が色濃く出ている岡田代表の発言だが、選挙協力における民主党自身のスタンスはどうなのか。「思い切った決断をする覚悟が民主党にはあるのか」――。IWJの質問に対し岡田代表は、「4点を提案したのは私だ」と回答。野党第一党としてのリーダーシップを発揮していく構えを見せた。
党内外の「共産党アレルギー」をどう解消していくのか
この間、掲げる政策の違いから「共産党とは相容れない」という声が民主党内から相次ぎ、最大支持母体である日本労働組合総連合会の神津里季生会長らも「共産党アレルギー」を隠さず民主党を牽制してきた。
新潟では、生活の党県連代表の森ゆうこ元参議院議員を野党統一候補に推す調整が進んでいた中、突如、民主党が対抗馬を立てるなど、野党間の連携不足が露呈。民主と維新の合流も先行きがはっきりしないまま、維新と共産が非公式会合の場を設けるなど、「野党共闘」は事実上、暗礁に乗り上げていたかに見えた。
野党が最大限の選挙協力をしなければ、与党の議席を減らすことなど論外であり、与党を利することにもなりかねない。いつまでもくすぶっている民主党に対し、一部の市民や学者からは不満が噴出し、野党間からも批判の声が出始めていた矢先に実現した5党党首会談。今後、各党の幹事長、書記局長らは早急に選挙協力をめぐり協議を重ねていくというが、党内外の「共産党アレルギー」を民主党がどう解消していくのかも、大きな課題となる。
19日に野党5党首が一致した4点は以下の通り。
- 安保法制廃止、集団的自衛権容認の閣議決定撤回を共通の目標とする
- 安倍政権打倒をめざす
- 国政選挙で現与党とその補完勢力を少数に追いこむ
- 国会における対応や、国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う