「福島の小児甲状腺がんの発症率、日本の平均比では20~50倍」!! ~岡山大学・津田敏秀教授が警告「県や県立医大は認識が甘い。チェルノブイリ並みの『多発』に備えた対策を」 2015.10.8

記事公開日:2015.10.17取材地: テキスト動画
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( 取材:ぎぎまき、文:IWJテキストスタッフ・富田充)

※10月17日テキストを追加しました!

 「福島では日本全国と較べて、高いところで約50倍の甲状腺がんの多発が起こっていることが推定された。低いところでも20倍」

 2011年3月に起きた東京電力福島第一原発事故のあと、福島に多発している小児甲状腺がんは、そのかなりが「被曝」によるもの、と示唆する学術論文が発表された。

 論文は岡山大学の津田敏秀教授(環境疫学)らの研究チームがまとめたもので、2015年10月7日に、国際環境疫学会が発行する医学雑誌『Epidemiology』のオンライン版に掲載された。18歳以下の県民約37万人を対象に、2011年から2014年末まで行われた、福島県による甲状腺の超音波検査の結果を分析しており、中通りと呼ばれる県内の中部地域(二本松市、本宮市、三春町、大玉村)では、甲状腺がんの年間発症率が日本の平均比で約50倍!と、もっとも高く現れたことや、県内の他の場所でも、発症未検出の一部地域を除けば、同20~40倍と高い値をつけたことなどが明らかにされた。

 津田教授は2015年10月8日、東京都内にある日本外国特派員協会で記者会見に臨み、「1986年に起きたチェルノブイリ原発事故のあとに甲状腺がんの発症が多発したケースが、福島に重なる事態は避けがたい」と警告。政府へ早期の「対策立案」を強く求めた。

記事目次

■ハイライト

「私に対して批判があれば、直接議論しましょう」

 福島県や福島県立医科大学は、小児甲状腺がんの検出数が多いのは、スクリーニング効果(未検査の集団に大規模な検査を行なったことで無症状の病気まで発見されること)や、治療しなくても大事に至らない病気まで診断した「過剰診断」による可能性が大きい、との見方を崩さない。それに対して津田教授は、「過剰診断、スクリーニング効果を指摘する論文では、それらによる検出はせいぜい2~7倍だ」と指摘した上で、福島では一桁多い度合で「多発」が起きている現実を真摯に受け止めるべきだと訴えた。

 「私を直接批判をしてくれる人が日本人にはいない。もし、私に対する批判を聞いたら、直接本人と議論するように言ってください」

 自身の研究結果に自信をのぞかせる津田教授はこう話し、反論がある場合は積極的に議論する用意があることを会見の中で示した。

チェルノブイリのデータを無視、「福島では何も起きていない」としてきた関係者たち

 はじめに津田教授は、今回の論文の概要を説明し、福島の小児甲状腺がんの発症率が、日本の他の地域に比べて非常に高いことを説明していった。

 福島県による甲状腺の超音波検査の結果は、2013年2月以降、日英の2ヵ国語で県と県立医大のホームぺージにアップされている。津田教授は、そこには病気発症の原因などを究明する「疫学的分析」が、ほとんど実施されていないことを指摘し、「データ(数値)だけが示されているのに近い掲載状態は、被曝と発症の因果関係の把握や、臨床的対策の立案、さらには将来予測や被災地住民への情報公開という点では、大いに不満だ」と表明した。

 そして、1986年に起きたチェルノブイリ原発事故を受け、ベラルーシの14才以下の子どもでは、翌年から比較的小幅な、甲状腺がんの増加が認められていることを示すグラフを映し出し、「県も県立医大も、こうした小幅な多発を多発と認めず、『今は何も起こっていないはずだ』と結論づけている」と眉をひそめた。

 グラフでは、チェルノブイリ原発事故から4年目になると増加の度合いが跳ね上がっており、その勢いが続く5年目以降のものと同様の多発が、福島にも起こることは避け難いと、津田教授は警鐘を鳴らす。「それにもかかわらず、県や県立医大は、今なお主張を変えておらず、何ら準備もなされていない」。 (取材:ぎぎまき、文:IWJテキストスタッフ・富田充)

通常、過剰診断やスクリーニング効果による多発は2~7倍。福島は一桁多い

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