「日本のメディアは、ハワイ閣僚会合でTPPは最終合意に至ると見ていたが、実際は違った。メキシコが、国益に関わることを日米が勝手に決めることに立腹したのだ」──。元農林水産大臣の山田正彦氏は、TPPをめぐる日本の外交は、明らかに失敗していると断じた。
「TPP(環太平洋経済連携協定)交渉差止・違憲訴訟の会」は、2015年8月21日、TPP交渉差止・違憲訴訟の第2次提訴を東京地方裁判所に行い、都内で記者会見を開いた。今回の提訴は、5月15日の1063人の原告による第1次提訴に続くもので、原告の数は527人である。
第1次提訴も第2次提訴も、投資家対国家紛争解決制度(ISD)条項による国の司法主権の奪取や、TPP交渉の秘密性がもたらす「知る権利」の侵害に加え、交渉結果が食の安全、医療制度や保険、教育、公共事業、知的財産といった分野で、憲法に基づく国民の諸権利を脅かすことを問題視している。
元衆議院議員の辻恵弁護士は、「原告の合計数が増えていくことを期待している」と発言。訴訟の会としては、1万人規模の原告団を目指しているという。
訴訟の会の理事長を務める山田氏は、会見の終盤で、7月下旬にハワイで行われたTPP交渉の閣僚会合について報告。日本政府のみが、前のめりになっている印象が強いと語った
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