日米両政府は外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を2015年4月27日にニューヨークで開催し、まだ国会に提出さえされていない安保関連法制の内容を前提にした「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の改定に合意した。
法案は通るものだと見越して、行政協定を結んでしまう。民主主義の原則を蔑ろにし、国会を軽視する安倍政権に対し、日米ガイドラインの改定に反対する市民らは同日、首相官邸前で「日米ガイドライン改定反対!4・27官邸前行動」を開催し、抗議の声をあげた。
主催は「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」で、主催者発表によれば800人もの参加者が集まった。
国会議員になって15年になるが、今ほど危機感を持ったことはない。
▲「国会議員になって今ほど危機感を持ったことはない」と訴える長妻昭民主党代表代行
抗議行動では、衆議院議員の長妻昭・民主党代表代行がマイクを握った。
「腑に落ちないのは、まだ国会に安全保障の法案が出ていないのに、先にアメリカで集団的自衛権を前提とした日米ガイドラインを結んでしまうこと。これは、国会軽視、国民軽視であり、とんでもない話だ」
長妻氏はさらに「日本という国は情報を制限して空気さえ作り上げれば、国民を極端な方向に持って行くことができる。政治家が煽ったナショナリズムが大きくなり過ぎて、政治家自身がコントロールできなくなって、日本があらぬ方向に行ってしまったというのが、70年前の戦争の反省だ。
今と似ているのではないか。色々な動きがジワジワ来る。一気には来ないのだ。そして、どんなにあがいても後戻りの出来ない地点に近づいているのではないか。国会議員になって15年になるが、今ほど危機感を持ったことはない」と訴えた。
そのうえで、「『そんなバカなことが、世の中通るわけがないから、自然に止まるんじゃないか』などと思ってはいけない。一人一人が理性的にちゃんと声をあげて、きっちりと行動して、不正やおかしなことをひとつずつ潰してゆく。そして大きな声を出してゆく。全国津々浦々の国民から『これはおかしい』と声が上がれば、政治は抑制的なる。しかし、国民の関心がなければ、そのまま行ってしまう」と呼びかけた。
憲法学者も声を上げる――内容的にも、手続き的にも暴挙だ
▲安倍政権の憲法違反、日米安保違反を指摘する日体大・清水雅彦准教授
日本体育大学の准教授で憲法学者の清水雅彦も続いた。清水氏は「今回のガイドライン再改定は、内容面と手続き面、二つの面で問題があると思う」と指摘する。
「『内容面』としては、日米ガイドラインの改定によって、自衛隊がグローバル有事に対応できるようになるというのは憲法9条のもとでは到底考えられない。日米安保条約の第6条によって、米軍は名目上、極東の、そして日本の平和と安全のために、日本に駐留していることになっている。しかし、今回のガイドライン再改定によって、極東地域を越えて活動するということであれば、本来は安保条約を改正しなければできないはずだ。そういう点では、憲法9条に反するだけではなくて、安保条約にも反している」
さらに、もう一方の「手続き面」については、「本来、条約の締結権は内閣にあるが、それには国会の承認事項だ。今回、内容的には条約を改正しなければならないが、それをガイドラインという文章ですませてしまうということは、要するに国会に議論をさせないということだ」と主張した。
清水氏は、政府が安保条約改定に踏み切れないのは、60年、70年の安保闘争の影響があるからだと分析する。そのうえで、「安倍首相の祖父、岸首相は安保改定を強引にやったが、国民の闘いによって引きずり降ろされていた。今回の安倍首相はガイドラインの再改定を強引にやるのだから、私たちは彼を政権から引きずり降ろさなければならない」と述べ、連帯を呼びかけた。
新日米ガイドライン合意!「国会軽視、国民軽視だ」安倍総理訪米に市民が怒り! 長妻昭民主党代表代行は「15年の国会議員生活で最大の危機感」 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/243799 … @iwakamiyasumi
こういう抗議活動を伝えなくて、何が報道だ。IWJさん、ありがとう。
https://twitter.com/55kurosuke/status/593545021904670720