「沖縄県民の本当の声は、保守対リベラルの二項対立的な今のメディア状況では拾い上げられない」三宅洋平氏、鳩山元総理と対談で「沖縄の実相」を語る 2015.3.27

記事公開日:2015.4.6取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富田)

※4月6日テキストを追加しました!

 「本土の人たちは、『翁長知事の誕生が沖縄の民意によるものなら、なぜ、もっと大勢の県民が、たとえ1日でもいから、辺野古のゲート前に集まらないのか』という疑問を抱いているだろう」──。

 東日本大震災後、東京から沖縄県本部町に移住し、2013年7月の衆院選では脱原発派の緑の党の比例区から出馬、落選したものの、「選挙フェス」という独特の選挙運動を展開して注目を集めた音楽家で日本アーティスト有意識者会議(NAU)代表の三宅洋平氏。2015年3月27日、東京都内で開かれたトークイベントで、三宅氏は元首相の鳩山友紀夫(由紀夫)氏と対談し、基地問題をめぐる沖縄県民の心境について語った。

 沖縄社会にある「反基地・平和主義」は、東京の人たちが想像しているような単純なものではない、というのが三宅氏の主張だ。基地移設反対デモに、全県民規模での市民集結が実現しないことの理由は、「実際に、沖縄に住んでみないと見えてこない」と話し、今のメディア状況では、「沖縄県民の本当の声は拾い上げられない」と、沖縄が抱えるジレンマを語った。

 翁長雄志沖縄県知事については、「(移設問題をめぐる)彼の行動には期待している部分はある」と三宅氏。鳩山氏は、「だからこそ、沖縄の人たちは『あなたを信じている』というメッセージを、翁長知事に送り続けることが肝要だ」と述べた。

 なお、鳩山氏からは、最近、議論を呼んだ「クリミア訪問」に関する言及もあり、「私がおかしなことを言っていると思うのなら、ぜひ、クリミアに飛んで、自分の目と耳で確かめてほしい」と口調を強める場面があった。

■ハイライト

  • 出演 鳩山由紀夫氏(友紀夫氏、元首相)x三宅洋平氏(日本アーティスト有意識者会議〔NAU〕代表、音楽家)/ナビゲーター 冨田貴史氏
  • 日時 2015年3月27日(金)19:00〜21:00
  • 場所 北沢タウンホール(東京都世田谷区)

鳩山氏「米国はロシアを悪者に仕立て上げようとしている」

 クリミア訪問が話題になると、鳩山氏は、「日本に入ってくる海外ニュースは『米国』というフィルターを通したもの」と強調した上で、話し始めた。

 ウクライナの首都、キエフで2013年11月に始まった、旧ビクトル・ヤヌコビッチ政権への市民らの抗議デモが、2014年2月、死者80人余りを出す銃撃戦にまで発展したことについて、鳩山氏は、「銃撃戦があったのはソチ五輪と重なる、ロシアが手を出せない時期だった。当時のヤヌコビッチ大統領は親ロシアであり、日本では、ウクライナ市民が彼を国外に追い払ったかのような調子で報じられているが、同政権の崩壊を画策したのは米国だ」とし、こう強調した。

 「銃撃戦では、市民の側(デモ隊)からも、治安部隊の側からも、死者が多数出た。それだけの銃弾を放つことができたのは、米国がバックにいる、デモをけん引してきた新保守勢力である、という見方が有力だ」

 鳩山氏は、ヤヌコビッチ政権崩壊後の2014年2月に誕生した、親欧米のウクライナ暫定政権が、公用語にロシア語を使うことを定めた言語法を廃止したことに触れ、クリミアの動きを次のように解説した。

 「クリミアの住民の過半数はロシア人だ。よって、ロシア語が公用語でなくなると困る人たちが大勢いる。そこで、クリミアでは(2014年3月に)住民投票が行われ、9割超の人がロシア編入に賛成したのだ(投票率は83%)。これは極めて民主的な手続きの結果であり、米国が主張する、『ロシア軍の脅しによって、もたらされた結果』というのは、まったくの嘘。住民らは、あくまでも自分たちの自由意思で投票したのだ」

 その上で、今回のクリミア訪問で把握したことを、こう伝えた。

 「ロシアがクリミアを自国に編入してから1年が経ち、市民らの表情は明るかった。学生たちからは、『この1年間で、クリミアは本当に良くなった』という言葉を聞いた」

 問題なのは、日本の新聞やテレビが、こういった事実をまったく伝えず、米国寄りの立場から「クリミア半島を強引に偏入した」などと、ロシアを悪者扱いするニュースを垂れ流すことだ、と鳩山氏は言い重ねる。

 「私が、おかしなことを言っていると思うのなら、ぜひ、クリミアに飛んで、自分の目と耳で確かめてほしい」

二項対立のメディア報道からは見えてこない沖縄の現実

 沖縄に関する議論では、鳩山氏が、沖縄県民である三宅氏に話題を振った。

 「このところの沖縄の選挙では、辺野古への米軍基地移設に反対する候補者が、すべて勝っている。翁長知事は今、沖縄の民意をバックに、政府が進める海底ボーリング作業を停止させようと頑張っている。私は、翁長知事を信頼しており、彼がやることを適宜サポートしつつ見守っていこうと考えているが、沖縄に住む三宅さんは、移設問題の行方をどう読むのか」

(…会員ページにつづく)

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「「沖縄県民の本当の声は、保守対リベラルの二項対立的な今のメディア状況では拾い上げられない」三宅洋平氏、鳩山元総理と対談で「沖縄の実相」を語る」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    「沖縄県民の本当の声は、保守対リベラルの二項対立的な今のメディア状況では拾い上げられない」三宅洋平氏、鳩山元総理と対談で「沖縄の実相」を語る http://iwj.co.jp/wj/open/archives/240659 … @iwakamiyasumi
    鳩山氏の「クリミア訪問」についても同じことが言える。報道の欺瞞
    https://twitter.com/55kurosuke/status/585187971319668738

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