2012年1月14日、15日に開催された「脱原発世界会議2010」。2日目のイベントの一つ、「原発も核兵器もない世界へ」。そのの中で、ヨルダン国会議員による、日本政府、原発メーカーによる原発輸出に反対する発言があったので紹介する。
現在、90%以上のエネルギーを近隣国から輸入しているヨルダン。紛争による石油価格高騰の影響をうけ易い不利な立場を脱するため、政府は原子力発電に舵を切った。しかし、ヨルダンは中東紛争のホットスポットであり、原子力発電に欠かせない、「水」の資源が最も貧しい国の一つだ。宗教、歴史、政治、経済的な難しさからも原発立地には向いていない、とヨルダンの国会議員らは訴えた。
過去数十年間の中東での民間発電所の爆撃の歴史
(イベントで紹介された資料から引用)
1980 | イランがイラクの平和なIAEAに守られていたはずのオシラク原子力発電所を爆撃 |
1981 | イスラエルがオシラク発電所を爆撃 |
1985-88 | イラクが、イランのIAEAに守られていははずの民間機関の発電所を7回攻撃 |
1991 | アメリカがオシラク発電所を爆撃 |
1991 | イラクがディモナを攻撃 |
2007 | イスラエルが申告されていないシリアの発電所を爆撃 |
そんな背景がある中で、日本政府と原発メーカーがヨルダンに対し、原発輸出を進めている。
ジャマール・ガッモー氏は言う。原発を輸入することは、今まで大切にして来た、環境や人間関係が破壊されます。原発により経済は円滑になると、政府は嘘の数字を国民に提示しています。また、ウランの埋蔵量も政府発表よりも少ないことが分かっています。一年のうち340日もの間、太陽が照りつけている国土には、言うまでもなく、再生可能エネルギーを模索していくべき、というのが専門家の意見です。
原子力発電所の建設が計画されている街には100万人近くの住民が暮らしている。福島の事故を目の当たりにしてから、国民の不安は最高潮にあり、120人の国会議員のうち、64名がこの原発輸入プロジェクトへ反対の署名をし、その数は日々増えているという。
国際的に禁止されている劣化ウラン弾。核廃棄物から作られているのは周知の通りだ。紛争が続く中、ヨルダンの癌の発症率も日々上がっている。すでに、環境、人体に悪影響を及ぼしている歴史がすでにある。
「事故、兵器開発に繋がらないように、日本のみなさんにも協力してほしい」。ガッモー氏らは、ヨルダンから来日している弁護士と共に、日本のヨルダンへの原発輸出を阻止するため、ロビー活動を行う。1月16日、夕方から下記の緊急集会が行われる。