(再掲)米国海兵隊の英雄スメドリー・バトラー将軍の「告発」~「戦争はいかがわしい商売だ」前編(吉田健正著『戦争はペテンだ バトラー将軍にみる沖縄と日米地位協定』より) 2015.2.14

記事公開日:2015.2.14 テキスト
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 戦争の足音が、着々と近づいてきている。最近の世界情勢と、安倍政権の「暴走」を見ていると、そう感じざるを得ない。

 中東ではイスラム国が勢力を拡大し、4者協議によって停戦合意に至ったものの、ウクライナ情勢は依然として先行き不透明だ。昨年夏にはイスラエルがパレスチナのガザ地区に侵攻し、多数の犠牲者が発生した。国際情勢は、確実にきな臭さを増している。

 そのような中で安倍政権は、米国の意向に従い、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、特定秘密保護法を施行した。米国とともに戦争をするための準備を、着実に進めつつあるのだ。

 ではなぜ、国家は、血みどろの蛮行である戦争を、繰り返そうとするのか。「なぜなら、戦争は儲かるからだ」――。そう喝破したのは、他ならぬ米国海兵隊の「英雄」スメドリー・バトラー将軍である。

 バトラー将軍は、1898年から1931年まで海兵隊に身を置き、2度も叙勲を受けた「英雄」である。しかし、バトラー氏は、退役後の1931年、自らの半生を振り返って、こんな衝撃的な告白を述べている。「私は(海兵隊に)33年間もいたが、その大半は大企業、ウォール街、銀行の高級用心棒」、「資本主義のためのラケティア(ゆすり屋)であった」。

 以下に掲載するのは、バトラー氏が残したパンフレット「War is a Racket(戦争はいかがわしい商売だ)」の全文である。パンフレットでは、自身の従軍経験から、戦争によって資本家の利益のために軍が利用され、悪用され、侵略を繰り返し、そのたびに将兵が血を流してきたという内情を暴露するとともに、戦争がいかに資本家にとって儲かる商売であるか、ということが詳細に述べられている。

 このテキストは、元桜美林大学教授で、国際ジャーナリストである吉田健正氏の著書『戦争はペテンだ バトラー将軍にみる沖縄と日米地位協定』に全文掲載されていたものを、氏の許諾を取り、メルマガ「岩上安身のIWJ特報!」に転載したものの再掲である。戦争が、資本家の強欲さの延長線上にセットされていることが、お分かりいただけるかと思う。ぜひ、ご一読いただきたい。


戦争はいかがわしい商売だ

もっとも古い悪質な商売

 戦争はラケット、すなわちいかがわしい商売だ。これまで、いつもそうだった。

 戦争は、おそらくもっとも古く、何にもましてもっとも金になり、はっきり言ってもっとも悪質な行為だ。唯一、国際的な広がりをもつ。そして、儲けをドルで、損失を命で勘定する唯一のものだ。

 いかがわしい商売とは、大半の人々にとってはそうは見えないもの、と言ってよいだろう。その実体を知っているのは内部の少数グループだけだ。それは、大勢の人が犠牲を払って、ごくわずかな人々の利益のために行われる。ものすごく少数の人だけが戦争から膨大な利益を得るのだ。

 第一次世界大戦では、一握りの人が戦いの儲けに浴した。この戦争〔第一次大戦〕で、少なくとも2万1千人の百万長者や億万長者が新たに誕生した。それだけの人が、所得税申告で多額の利益を報告したというわけだ。ほかに申告をごまかした戦争成金がどのくらいいたかは、誰も知らない。

 ところで、これら百万長者のうち何人がライフルを担いだだろうか。何人が塹壕を掘っただろうか。ねずみが走り回る地下壕でひもじい思いをするのがどういうものか、何人が知っていようか。銃弾や散弾や機関銃弾をよけながら、恐ろしい、寝られぬ夜を、何人が過ごしただろうか。敵が突く銃剣を何人がかわしただろうか。何人が戦闘で負傷し、あるいは殺されただろうか。

 国々は、戦争に勝てば、それによって新たな領土を獲得する。単に奪い取るだけだ。この新しい領土は、戦血から金儲けをした同じ少数の連中が利用する。ツケを払うのは一般大衆だ。

 ツケって?

 それは恐ろしい計算になる。新しく建てられる墓石。めちゃくちゃになった遺体。粉々にされた心。失われた望みと家庭。経済的な不安定。憂うつと、それに伴う苦痛。何世代にわたって人々を悩ませ続ける税金。

 長い間、兵士として、戦争はいかがわしい商売だ、と私は疑ってはいた。しかし、退役して民間人になるまで、そのことをきちんと認識していなかった。世界的に戦雲が近づいている今〔1933年〕、私はそのことに向きあい、声を上げなければならない。

 今度もまた各国は敵と味方を選んでいる。フランスとロシアは手を組むことに同意し、イタリアとオーストリアも急ぎ同様の取り決めを行った。ポーランドとドイツは、とりあえず彼らのポーランド回廊紛争を忘れて、互いに色目を使いあっている。

 ユーゴスラビアのオブレノビッチ・アレクサンダー国王の暗殺が、ことを複雑にした。長い間仇敵だったユーゴスラビアとハンガリーは戦争寸前だったし、イタリアは参戦に乗り気だった。フランスとチェコスロバキアは待機していた。いずれにせよ、これらすべての国が戦争を待ち構えていた。実際に戦い、費用を払い、死んでいく大衆は別である。待っていたのは、戦争をたきつけ、安全な後方にとどまって金儲けができる人だけである。

 今、兵役についている人々は世界中で4千万人もいる。ところが、政治家や外交官たちは、戦争は起きっこない、という。

 そんなはずがあるもんか! これら4千万の男たちは、ダンサーになるための訓練を受けているというのか。

 イタリアでは違う。これらの男たちが何のために訓練を受けているか、ベニート・ムッソリーニ首相はご存知だ。少なくとも、彼はそれを認めるのにやぶさかではない。ご首領様(イル・ドュチェ)は、つい先日、カーネギー国際平和財団が発行する『国際和解』で、こう語ったのだ。

 現時点における政治的思惑とはまったく別の人類の将来と発展を考慮し観察すると、ファシズムは永続的な平和の可能性も利便性も信じない。戦争のみが、あらゆる人的エネルギーを最高の緊張に運び、それに対応する勇気をもつ人々に高貴のスタンプを押す。

 ムッソリーニはそのつもりなのだ。訓練の行き届いた彼の軍隊、彼のすごい航空隊、そして彼の海軍さえ、戦争の用意ができており、明らかにそれを待ち望んでいる。先日ハンガリーがユーゴスラビアと対立した際に彼がハンガリー側についたのは、その証拠だ。ドルフスが暗殺された〔オーストリアの首相兼外相だったドルフス・エンゲルベルトは、1934年、ナチスの武装蜂起により暗殺された〕あと、軍隊を急いでオーストリア国境に動員したのも、そうだ。戦争へ向けて武力を誇示しているのは、ヨーロッパにはほかにもいる。

 ムッソリーニと同じぐらい、いやそれ以上に平和を脅かしているのは、ドイツの軍備拡大を要求し続けているアドルフ・ヒトラーだ。フランスもつい最近、兵役期間を12カ月から18カ月に延長した。

 そう、多くの国が武器をもって野営している。ヨーロッパの狂犬どもがほっつき歩いているのだ。東洋では、もっと巧妙だ。ロシアと日本が戦った1904年、われわれは旧友・ロシアを蹴って、日本を支持した。当時、きわめて寛容なわれらが銀行家たちは日本を財政的に応援した。ところが、今は、反日感情をかきたてようという流れになっている。

 中国に対する「門戸開放」政策とは、われわれにとってどういう意味をもっているのか。米国の対中貿易額は年間およそ9千万ドルである。フィリピンの場合はどうか。米国は過去35年間にフィリピンで約6億ドルを使ったが、わが国の銀行家や経済界や投機家たちが投資したのは2億ドル以下だ*。

*1916〜31年の1米ドルは当時の日本円でおよそ2円。当時の物価や給料と現在の物価や給料を比較すると、当時の1米ドルは現在の日本円で4千〜5千円に相当すると思われる。すなわち1億ドルは約4千〜5千億円ということになる。

 そこで、9千万ドルの対中国貿易を救うため、あるいはフィリピンにおける2億ドル足らずの民間投資を守るため、われわれは日本への憎しみをかきたてられ、戦争をやれとかきたてられるのだ。何千億ドルかかるか、何万人もの米国人が命を失い、何万人もの人が身体に障害をきたすか精神のバランスを失うかも知れないのに。

 もちろん、この損失と引き換えに、利益もあるだろう。何百万ドル、何億万ドルものお金がふところに入るだろう。ごく少数の人々のふところに。武器メーカー、銀行家、造船業者、製造業者、精肉業者、投機家。彼らはうまみにありつけるだろう。

 彼らは次の戦争への用意ができている。そうでないはずがないではないか。戦争はいい儲けになるのだから。

 しかし、殺される男たちは儲かるだろうか。彼らの母親や姉妹たち、妻や恋人たちは、どんな儲けになるだろうか。彼らの子どもたちは?

 戦争で大儲けするごく少数の人々以外に、誰が儲かるだろうか。

 それは国だろうか。国はどのような儲けにあずかるのだろうか。

 米国を例にとろう。わが国は、1898年まで北米大陸以外には、まったく領土をもっていなかった。当時、わが国の財政赤字は10億ドルちょっとであった。その後、米国は世界に目を開いた。そして、国父のアドバイスを忘れ、あるいは脇へやってしまった。われわれは「からみつく同盟(entangling alliances)」についてのジョージ・ワシントンの警告*を忘れて、戦争をやってしまったのだ。

 国際問題に首を突っ込んだ結果、戦争期間が終わった段階で、わが国の負債は250億ドルに跳ね上がった。この25年間におけるわが国の国際貿易収支は、240億ドルの黒字であった。つまり、帳簿上、年々、負債が貿易黒字を少しずつ上回ったというわけだ。戦争がなければ、対外黒字は負債を帳消しにしたかも知れないのに。

*実際にはトーマス・ジェファソンの言葉。ただし、ワシントン大統領も1796年のお別れのスピーチで次のように述べている。「いかなる外国とも恒久的な同盟を結ばないというのがわれわれの真の政策である。……現行の関与は真摯に守ろう。しかし、私の考えでは、これらをさらに拡張するのは、不必要であり、賢明ではないだろう。ある程度の防衛体制をとるようにしておけば、われわれは非常事態に対しては暫定的同盟に安心して依存することができよう。

 金や命で戦争のツケを払う個々の米国人にとって、外国での紛糾から遠ざかった方が(安全なのはもちろんだが)安くつく。酒の密造やその他の裏世界のいかがわしい商売と同じく、この商売もきわめて少数の人にとってはいかがわしい儲けになるが、費用は国民に回される。国民にとって一銭の得にもならないのに。

儲かったのは誰だ

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