民主党代表選挙候補者は1月16日(金)18時より、東京都新宿区の新宿NSビルで集会を行い、長妻昭・元厚生労働大臣、細野豪志・元民主党幹事長、岡田克也・民主党代表代行が登壇。代表選に向けた、政見と今後の政権戦略について語った。
この日の集会を主催した民主党中央代表選挙管理委員会の江田五月参議院議員は、冒頭挨拶で「全党挙げての議論の中、党員・サポーターの投票によって、国民との双方向の対話の中で民主党再生のきっかけをつかんでいこうと決断をした」と、集会の趣旨を述べた。
(IWJ・前園由美子)
※1月20日テキストを追加しました。
民主党代表選挙候補者は1月16日(金)18時より、東京都新宿区の新宿NSビルで集会を行い、長妻昭・元厚生労働大臣、細野豪志・元民主党幹事長、岡田克也・民主党代表代行が登壇。代表選に向けた、政見と今後の政権戦略について語った。
この日の集会を主催した民主党中央代表選挙管理委員会の江田五月参議院議員は、冒頭挨拶で「全党挙げての議論の中、党員・サポーターの投票によって、国民との双方向の対話の中で民主党再生のきっかけをつかんでいこうと決断をした」と、集会の趣旨を述べた。
記事目次
■ハイライト
※以下、発言要旨を掲載します
長妻昭候補「代表選挙に立候補したきっかけは、つい先月(2014年12月)の総選挙の経験でございました。本当にこんな選挙は初めてでした。皆さんから真剣な眼差しで、切実な訴え、助けてくれというお話、何人もからいただきました。
民主党は何をしたいかが分からない。信頼なんてまだ回復していないぞ。しっかりしろ。特に格差の件では涙ながらの訴えもたくさんあって、私も何度ももらい泣きをしました。こんな選挙は本当に初めてでした。
日本国中に非常に大きな危機感が充満している。国民の皆さんは、自民党に歯止めをかける、そういう大きな強い野党が活動されている、この道しかないんじゃなくて、もう一つの道も示してほしい。本当に思っておられる。
その大きな野党になりうるのは民主党なのか。どうなんだろうとみんな迷っておられる。私は今、民主党が変えなければ後がない。非常に強い危機感を持って、この民主党という政党がきちっと国政のど真ん中に座っていなければ、日本が危うくなった時にいったい誰が歯止めをかけて選択肢を示すんだ。こう強い使命感を持って立候補いたしました。
民主党はきちっと目指す社会像を明確にもっと掲げるべき。そして原発政策や安全保障政策ももう少し分かりやすくお示しするべきだ。今、旗がちょっとぐらついているから、なかなかバラバラ感、これが払拭できない。明確に打ち立てることで必ず民主党が日本を良くする。
格差の話ですけれども、たかが格差じゃありません。限界まで拡大をして、成長の基盤も人間の基盤も社会の基盤もボロボロになりつつある。私が申し上げたいのは、格差をこれだけ拡大して、人間を潰しておいて何が成長なんだということです。
大学進学率、年収400万以下のご家庭だと3割、今、意欲と能力があっても銭がないと大学に行けないという傾向がどんどん強まっています。親の介護で辞める方、子育てで会社を辞めざるを得ない方、どんどん増えてます。人の能力を発揮させないでいて何が成長なんだ。
非正規雇用が4割近く増えた。結婚率も正社員の2分の1です。こんな国ありません。能力を発揮させない若者をどんどん増やしておいて何が成長なんだ。過労死だってこれから増えます。残業代ゼロ法案出てきます。若者を過労死で潰しておいて何が成長だ。生活保護だって、それを受けているお子さんの4人に1人が大人になっても抜けられない。貧困の連鎖が起こっている。
一昨年前には貯金ゼロの世代が3割を超えました。格差を是正して、一人一人の能力が最大限発揮できる、そういう社会を作ることこそが、日本の再生に繋がる大きな道だ。日本がもっとよくなると確信を持っているんです。
きな臭い動きの話ですが、今年戦後70年。いろいろな方と意見交換しました。戦争体験者の方と。日本という国は情報を制限して、空気さえ作りあげれば、皆さまを一つの極端な方向に持っていくことができる。70年前の戦争の経験です。教訓です。
ナショナリズムを煽る。あの国が悪い、とんでもない。煽れば煽るほど、政治家は人気が出るかもしれないけれども、そのナショナリズムが大きくなりすぎて、その政治家も誰もコントロールできなくなって、国が危うい方向に動いてしまう。安倍内閣は、その教訓・反省に立っているとは到底思えません。民主党が歯止めをかける、その宣言を明確にしていく。国会で戦っていくということが必要です。
そしてもう一つは、民主党は元祖改革政党だったはずなんです。政官業の癒着に切り込んでいく。消えた年金問題や原発の安全神話。また原発の安全神話が出ています。この古い役所の体質を変える、この戦いをさらに加速しないと改革政党のお株、維新の党に取られる。
企業団体献金だって禁止しなければいけない。先進国の中でGDP比で今、日本は公共事業一位。子育て予算や教育予算は最低レベルです。私は背景に企業団体献金の弊害があると思います。
そういうものを法律で禁止して、政治の体質をきちっと変える改革政党が民主党。そして明確な社会への提言をする。これを車の両輪として地道に繰り返せば、必ず道が開ける」
細野豪志候補「私が代表選挙に立候補した理由は二つあります。まず第一は今の政治状況です。格差の問題、安倍政権が取り組む様子はありません。そして安全保障の問題、非常に懸念される動きが出ています。
特に私が忘れてはならないと思うのは、昨年(2014年)の7月1日に国会が休会をしている時に、閣議決定によって集団的自衛権の問題を動かしてしまった。安全保障の最も重大な問題を立法機関を経ずしてやるというここに、この国の民主主義の危機があると思います。今、この流れにストップをかけることができるとするならば、野党しかありません。その中でも堂々と政策論争をして安倍政権に対峙できるのは、我々民主党しかありませんので、この危機感を持って今回代表選挙に立候補いたしました。
もう一つ、私がこの代表選に立候補しましたのは、民主党に対する愛着です。民主党の旗を掲げて戦ってきたのが、私、細野豪志です。ですから2年前幹事長に就いた時、綱領改定をして、改めてこの旗を掲げたいと思いました。そこには、こう書いた。『生活者、納税者、消費者。それに加えて働くものの立場に立つ』ということを書いたんですね。この働くものの立場というのは、連合の皆さんはもちろんですが、連合に加盟していない方も含めて、派遣社員の方々も含めて幅広い働く人たちを代弁をする、この立場はこれからも変わりません。
そしてもう一つ、この綱領には重要なことが書いてあります。共に生きる社会を作るということです。20年前、阪神淡路大震災がありました。あの時、私は友人から頼まれまして、直後に物資を持って歩いていった。行方不明者を探している人たちがたくさんいました。そこを歩きながら考えたんです。私はこのまま引き返すべきではない。大学4年生。時間もありました。体力もありました。ここに2ヶ月留まって神戸のために何かやろうと思ったから。それをやろうと思ったのには理由があります。
大学3年生の時に父親が会社を辞め、大学の学費を免除してもらった。私は社会から支えてもらって学生生活を送っていたから、逆に自分に力がある時には、支える側に回りたい。これが私の生き方なんです。民主党が掲げる共に生きる社会という考え方に共鳴したから、私は今、民主党にいるんです。
福島で原発事故がありました。あの時、私は官邸で補佐官をやっていた。逃げるべきではないと思いました。日本の屋台骨が揺らいで、非常に際どい局面になったけれども、絶対に逃げるべきではないと考えまして、この問題に取り組んできた。我々は福島の問題に取り組まなければなりません。共に生きる社会という旗を掲げ続けて、しっかりと前進をしていかなければならない。
ただ一方で、今の民主党を取り巻く環境は厳しいです。私は過去と決別という厳しい表現を使っています。過去と決別するという言葉は、ちょっと強すぎるという方もいらっしゃる。しかし、私が申し上げたいことは、民主党の理念と人材が大事だと思うがゆえに、この理念を実現するためには、我々は変わらなければならない。
まず第一に変わらなければならないのは、経済政策です。我々は格差問題、社会保障の充実を言っている。ならばその財源をどこに求めるのか。ここに我々は失敗したんです。今、企業は法人税の減税をされることによって儲かると言っているけれども、それはほんの一部の大企業に限定されている。そうではなくて、中小企業の社会保障負担を軽減をすることができれば、今、派遣社員で頑張っている人たちが年収でいうなら400万、500万もらえるようになって、結婚して子供を作ることができるような経済政策が実現できるんです。
二つめに変わらなければならないのは、安全保障です。普天間の問題で理想を掲げたのは、私は悪いことではないと思います。しかし、現実は何も変わらなかったじゃないですか。同じことを繰り返してはなりません。私たちは現実の問題と向き合って、尖閣諸島や朝鮮半島の問題が起こった時に、民主党ならばしっかり対応できる、そういう政党に変わらなければならないんです。
国民が民主党に任せたら安全保障が不安だと思っている限り、我々に政権は戻ってきませんから、そこを皆さんに分かってもらいたい。もちろん平和主義は貫きます。戦争はしない。その旗をしっかり掲げながら、現実的な平和主義に我々は進化していかなければならない。
そして最後に、民主党の文化を変えなければなりません。いざという時に、バラバラになるような政党ならば、もう民主党は必要ない。あの東日本大震災が起こった時に、民主党の屋台骨はぐらつきました。消費増税という難しい問題が出てきた時に、民主党はバラバラになってしまいました。バラバラではない民主党を作るために、3人で徹底的に議論をして最後決まれば、その代表の下でしっかりと再スタートを切る。その民主党に私はしたいと思いますので、どうぞお力を貸していただけますようよろしくお願い申し上げます」
岡田克也候補「私自身、1993年に与党自民党を離党いたしました。私の生涯における一大決断。何のためにそうしたのか。それは、自民党の限界、日本政治の限界に気付いたからです。一つの政党だけが政権をとり続ける中で、いろんな奢りやリクルート事件などが起こっている。それを正していくためには、複数の政党がお互いに競いあっていくという、先進国で当たり前の政権交代可能な政治を自らが作り出していかなければいけない。そういう思いの中で、自民党を離党いたしました。以来、20年以上になります。
この間、いろいろなことがありました。かつての仲間達、政治部を失ってリタイアした人や、失意のうちに亡くなった人や、あるいは自民党に戻った人や、いろいろな方がいますけれども、幸いにして私は多くの方に支えられてブレずに政権交代のある政治を作るという信念を今日まで貫くことができました。これは本当に多くの方のお支えがあってのことだと思います。
ただ、今の現状、民主党は国民の信頼を失っている。安倍政権が国家主義に走り、右翼的な発言を繰り返している中で、野党が、民主党が今、立ち直ってしっかりしなければならない。政権交代ある政治をなんとかして作るラストチャンスじゃないか。そのためには、自分が前面に立って頑張らなければいけない。そういう思いで立候補させていただきました。
民主党にとって必要なのは、原点回帰だと思います。一つは民主党の立ち位置です。消費者、生活者、納税者、そして働く人の立場に立つ。そういう立ち位置の民主党です。もう一つは、多様な価値観を尊重しあう寛容な社会。民主党が目指す社会です。そして三番目に、未来志向の改革政党です。一番目、二番目に述べたことを実現していくために、厳しくても辛くても既得権を切って改革していく政党でなければいけない。
この三つの立ち位置、考え方、その原点にしっかり戻って民主党を立て直すことが重要だと思っています。
経済政策について少しお話したいと思います。アベノミクス、特に三本目の矢、そのことについて全否定するつもりはありません。持続的な経済成長を遂げていくためには、生産性を高めなければいけない。そのためには、成長戦略や規制改革が必要だ。私はその考え方は間違っていないと思います。
ただ、安倍さんは、その方向を間違えたり、実際にはできていないから問題なんです。例えば、派遣法の改悪、法人税の減税、カジノ。こういうことが安倍さんの成長戦略になっている。これは方向性がまったく間違っている。
そして野田政権でもやった新しい産業、医療・介護や農業、エネルギーや新エネルギー、そういったところについて、実は安倍さんの三本目の矢は動いていない。だから成長できない。
成長は果実です。その果実をどう分けるかということについて、つまり再分配について全く答えがないのが安倍さんです。これは民主党がやらなければいけない。
今、先進国は、どこも経済のグローバル化の中で格差の拡大が問題になっています。私はこの日本でこそ、民主党こそが先進国の中で格差の少ない社会を、もう一回新しいモデルを作り出していく、その責任が民主党にあると思います。
所得の格差が大きい、所得税や相続税、もう少しカーブをつけるべきではないか。若者や子どもたちの貧困。安定して働ける、そういう働き方を増やすべきじゃないか。子ども、子育ての予算にもっと重点をあてるべきじゃないか。さまざまな政策をひとつのパッケージにして、旗を立てて訴えていく。それが民主党の使命だと思います。
もう一つは外交です。戦後70年、安倍さんは非常に危ない。私はこの問題を10年間、小泉さんや安倍さんとも議論してきました。戦後70年、日本がやってきたこと、国際的に高く評価されています。そのことをしっかり踏まえながら、平和で豊かなアジアを日本が作っていく。その中で日本の平和と豊かさを実現していく。そういった開かれた国連の考え方に立って、外交政策をやっていくべきだというふうに思います。
私は民主党代表として国会で先頭に立って、しっかり議論したいと思います。春の統一選挙を前に、予算委員会、党首討論、ここで民主党の立ち位置をはっきりさせて、そして安倍総理ともちろん批判だけではありません。建設的な議論も含めてしっかり議論していく中で、まず民主党がもう一度立ち直った姿を国民の皆さまに認めていただく。そして民主党を改革していく。とにかく民主党を立て直していくために、今までの全てを注ぎこんで、先頭に立つことをお約束申し上げたいと思います」