日本原子力学会は1月7日(水)、第36代会長である藤田玲子氏を始めとする年初会見を行なった。
(IWJ・松井信篤)
※1月12日テキストを追加しました!
日本原子力学会は1月7日(水)、第36代会長である藤田玲子氏を始めとする年初会見を行なった。
■ハイライト
昨年2014年、会長に就任した藤田氏から、事故後の廃炉が安全かつ円滑に進められるよう活動している「福島第一原子力発電所廃炉検討委員会」が、2014年8月から3回実施されたと報告があった。 他にも「福島特別プロジェクト」として、福島県の住民向けに放射線の健康影響や除染に関して、正確な事実・知識の情報提供や理解促進を高めるためにシンポジウム等を行なっているという。
日本原子力学会が設置した「東京電力福島第一原子力発電所事故に関する調査委員会」によれば、マグニチュード9.0の巨大地震の影響を受けたにも関わらず、原子炉格納容器内の主要な配管・機器系統に大きな損傷はなかったと判断されている。一方、新規制基準では、断層評価の判断基準やプラントに与えるリスク評価手法が必ずしも明確ではないことから、土木学会と原子力学会を中心に「断層の活動性と工学的なリスク評価」調査専門委員会が2014年10月1日に設置されたと、調査専門委員会主査で北海道大学大学院教授の奈良林直氏が報告した。奈良林氏は、「安全に終わりはないと。常にリスクを最小化する努力をしながら、これからも安全性を高めていく」と述べた。
福島第一原子力発電所廃炉検討委員会の委員長である宮野廣氏からは、学会として事故炉の廃止措置支援などのサポートを行なっていくことが発表された。廃炉に至るプロセスは、30~40年という長期に渡る作業だと宮野氏は語る。そして、廃炉に必要な個別課題に対し、掘り下げて検討していく必要性があることから、分科会を設け、原子力以外の専門家や学会との連携も積極的に行なっていくという。