日本郵政の西室泰三社長は、12月26日に記者会見し、日本郵政グループ3社(日本郵政株式会社・株式会社ゆうちょ銀行・株式会社かんぽ生命保険)の株式上場をする方針を決めたと発表した。ゆうちょ・かんぽの金融2社の株式については、まずは50%を売却して、段階的にすべての株式を売却していく方針だ。
西室社長は、日本郵政の役割について、「私どもは存在することに意義があります。企業は、経済合理性を求めるのが最初の発言だが、私どもは経済合理性は求めないで、ネットワークの維持、地域経済への貢献というのが義務であると、それを認識してやっているので、視点が違う。地方地域の砦になれば、それは良いことだと思う」と発言。株式上場後も地域に根ざした公的サービスとしての役割は続けることを強調した。
戦後最大の疑獄事件になるといわれた『かんぽの宿問題』で露呈した郵政民営化に関する諸問題の疑問が何ら払拭されないまま金融二社と持ち株会社の株式が上場されるということに非常に違和感を持つ。2009年3月1日テレビの生放送中に、亀井静香氏が目の前にいる竹中平蔵氏に面と向かって東京地検への告発宣言をしたときに竹中氏の目が宙を泳いだ。何故目が泳いだのか。麻生太郎氏は総理大臣在職中に『かんぽの宿』の売却を中止させた鳩山邦夫総務大臣(当時)の首を切ったが、今回の担当大臣が麻生太郎氏だということにも非常に違和感を持つ。総務大臣の首を切ってまで守ろうとしたものは何か、何が起きていたのか。
竹中氏の目が宙を泳いだ二日後の2009年3月3日に東京地検が突如として小沢一郎議員の秘書を逮捕したのは何故か。その問題に対して自民党には類は及ばないと官房副長官が発言したのは何故か、何を知っていたのか。そもそも株しか持たないはずの持ち株会社に郵便事業の土地の所有権が付け替えられているのは何故か。
多くの疑問を残したままの株式上場には危機感を覚える。有史以来一円の税金も投入していない優良資産の外資への売り渡しの疑問から多くの自民党議員が反対した郵政選挙、ペーパーカンパニーの怪しい会社が登場する『かんぼの宿問題』、鳩山邦夫総務大臣の更迭、小沢一郎議員の秘書の逮捕と裁判の訴因変更、土地問題に登場する神戸人脈、何の疑問も解決されないままの株式売却は国益を大いに損ねる可能性が高い。
西室泰三先生あてに
御就任僅かにして御退任とは誠に残念です。郵政関連3社のうちでも、かんぽ生命は数多くの問題点を残し民営化されたが
この状態では後々大変だと思い危惧します。特に末端ユーザに、なぎ掛けた不祥事だけは必要最小限度その実態を掌握し方向付けなり改善解決策なりの陣頭指揮をよろしくお願いしたい。先生の英知をもって最後のひと踏ん張りをお願いできれば誠に幸いです。