2014年12月17日(水)10時30分から、2014年度第46回原子力規制委員会が開催された。関西電力・高浜原子力発電所3、4号炉について、設置変更許可に関する審査書案が承認された。これにともない、2014年12月18日から2015年1月16日までの間、科学的・技術的意見の募集が行われる。
2014年12月17日(水)10時30分から、2014年度第46回原子力規制委員会が開催された。関西電力・高浜原子力発電所3、4号炉について、設置変更許可に関する審査書案が承認された。これにともない、2014年12月18日から2015年1月16日までの間、科学的・技術的意見の募集が行われる。
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関西電力・高浜原子力発電所3、4号炉について、設置変更許可申請書に関する審査書案が承認された。2014年12月18日から1カ月の期間で科学的・技術的意見の募集が行われる。
審査書案および意見募集について、プラント面に関して審査した更田豊志委員は、川内原子力発電所1、2号炉と類似点はあるが、違いもあるとし、セキュリティの観点から大規模損壊への対処は審査書案には概要のみを書いたとコメント。また、審査書案は最低限の要求事項が書かれており、それ以上の自主的な対策は各事業者の裁量にゆだねられているとコメントした。
石渡明委員は、自然災害対策は満足できるレベルになっていると発言し、田中知委員は、緊急対策室等の対策が実質的に有効か、本当に使えるのか、今後の工事計画や保安規定の審査でチェックしていただきたいとコメントした。中村佳代子委員は、1、2号炉に燃料を装荷しないことが本当に担保できているのかと質問。説明した市村勝也・規制庁安全規制管理官は担保できていると回答した。
このような各意見のコメント、意見により、審査書案および意見募集等の実施は承認された。
高浜原子力発電所3、4号炉は、「1、2号炉は燃料を装荷しない」という前提で審査申請が出された。適合性審査もその前提で行われ、本日承認された審査書案も、その前提条件のもとでの審査書案だ。1、2号炉に燃料を装荷すると、審査の前提が崩れるため、3、4号炉は使えなくなる。
現在、高浜原子力発電所1号炉は、冷温停止維持を前提とした高経年化技術評価審査の認可を本年2014年11月12日に受けており、2号炉も同審査中だ。
1、2号炉を冷温停止維持ではなく、燃料を装荷し使用するのであれば、1、2号炉について審査申請することが必要であり、改めて1、2号炉に燃料を装荷する条件で3、4号炉についても審査申請し、審査を受ける必要があるという。
また、高浜原子力発電所はすでにMOX燃料を装荷することが許可されている原子炉だ。今回の審査申請も、その前提で申請されているため、特にウラン燃料の場合、MOX燃料の場合と別々に考慮することはなかったという。ただし、MOX燃料を装荷することは法的に許可されているが、実際にMOX燃料を使うかどうかは別問題だと規制庁は答えている。事業者の裁量に任されているという認識だ。
原子力の規制基準に関しては、さまざまな民間規格を活用している。日本機械学会の規格も活用しているが、その中の「溶接規格」の改版、「設計・建設規格」の訂正に伴い、規制庁の規則を修正、それにともなうパブコメの実施、原子力発電所に影響するかどうかを電力事業者に報告させることを、事務方が提案し、了承された。
更田委員は、今後も民間規格を活用するにあたって、今回のような正誤をどうするかなどを意見交換したいと要望。池田克彦・原子力規制庁長官は、できるだけ早く準備すると返答した。
米国の規格も、対象とした規格を翻訳してとりいれていることから、石渡委員は、地震、火山など自然災害が少ない米国の規格・基準をそのまま日本にとりいれていいのかと疑問を呈し、日本独自の厳しい基準が必要だと意見した。それを受け、田中委員長は、「単なるデッドコピーではだめということだから、その点はよく考えるように」と規制庁に指示した。
今後の廃炉等に伴う放射性廃棄物に関する規制基準が整っていない。それを整備するため、事務方から「放射性廃棄物の規制に関する検討チーム」を設けることを提案、検討チームメンバー案とともに委員会で議論した。
更田委員は、”核燃料施設等の新規制基準に係る議論、成果を最大限に活用”するという方針を是非守ってほしいと要望。この方針の方向を変えるのであれば、改めて議論したいと述べ、一年なら一年という期限を決め、「いつまでもだらだらと議論せずに」結論を出すよう指示した。
加えて、17日に示された検討チーム案では了承できない、大いに不満だと意見し、「主役は検討チームだ、外部の専門家に決めていただきましたでは役所の責任逃れだ」と主張。検討チーム案に「原子力規制庁担当職員」とあり、規制庁職員の名前を出さないことが規制庁をだめにすると強く意見した。
田中知委員は、廃棄物を俯瞰的に考えていくなど難しいところがあるがしっかりやっていきたいとコメント。中村委員は、この案では、検討チームが何を議論して何を決めるのかがわからないと意見。説明した前川之則・安全規制管理官は、委員会に諮る、事務方が作る案、それの基になる案を検討すると返答した。
この返答を受けて更田委員は、「それでは保安院の意見聴取会と同じだ」「規制庁が表に出て、自らの名前で、公開の席で、責任を持って基準を作らないといけない」と強く意見。「出直してもらったほうがいいと」と話し、池田克彦長官は直して再提出すると返答。再度委員会で議論することになった。
日本原子力研究開発機構(JAEA)は、過去の保安検査で、不適合なことや火災等の多発が見つかっていた。規制庁が、2014年10月から12月に行う第3四半期の保安検査実施中に、再び不適切事案を確認。その報告と対応案を議論するもの。
通常なら保安検査終了後の1月から2月ごろに委員会に報告し、不適合事案の対策を議論する。JAEAは不適合が見つかり規制委が是正を指示しているが、一向に改善されないことから、本日、報告するという。
大村哲臣・長官官房審議官は、廃棄物や設備の老朽化に伴うところがあると報告。田中知委員は、その点は大きな問題としてとらえ、しっかり考える必要があるとコメントした。
更田委員は、今回の指摘内容について、保安検査ではなく日常の巡視で判明できないところに問題があると意見。さらに、研究用・教育用の設備はさまざまなものがあり、そのリスクもさまざまだだとし、リスクの大きさに応じた規制について議論する必要があると意見した。
石渡委員からは現場を視察したいと要望があり、田中委員長は、さまざまなリスクの大きさ、研究・教育という使い方や状況に応じて考えないといけないとコメント。今後、老朽化の問題や廃棄物の点も含めて、どのようなアプローチをとるか、少し議論したいと意見した。
■jaikoman氏によるツイート