「集団的自衛権をめぐる憲法解釈変更の閣議決定は、立憲主義を無視したやり方である」——。
明日7月13日に迫った滋賀県知事選。IWJでは、三日月大造候補(元民主党議員)に、「集団的自衛権」「原発」「TPP」「滋賀県民の声」の気になる4点について質問を行い、書面にて回答していただいた。以下、その内容を掲載したい。
なお、3候補の中では、坪田五久男候補(共産党推薦・共産党県役員)にはすでにインタビュー取材を行っている。小鑓隆史候補(自公推薦・経産省官僚)については、どうしてもスケジュールの都合がつかないとのことでインタビューは叶っていないが、個人演説会や街頭演説の模様を可能な限り配信しているので、そちらを参考にしていただきたい。
集団的自衛権の行使容認の閣議決定の影響は
【質問】
——三日月候補は、集団的自衛権の行使容認の閣議決定について、反対の立場を表明している。集団的自衛権と付随して進められている京都のXバンドレーダー基地は、有事の際には敵国の最優先の標的となり、その時は滋賀県も多大な影響を被ることになると思われるが、この点について考えをおうかがいしたい。
【回答】
「集団的自衛権をめぐる憲法解釈変更の閣議決定は、立憲主義を無視したやり方である。同時に、国の安全と国民の生命にかかる重大な問題であるにもかかわらず、 国民に見える開かれた議論がされぬまま、 性急に決定した政府のやり方に強く抗議します。
「集団的自衛権の行使は、憲法第9条に違反し許されない。」という、歴代内閣の解釈を、時の内閣が、正面から否定し、集団的自衛権を容認する解釈の変更は許容される範囲ではありません。
また、京都府の京丹後市にXパンドレーダーが配置されるということですが、政府がこのほど発表した集団的自衛権の行便事例には、「米軍に向かう弾道ミサイルの迎撃」も示されました。京丹後の基地はその最前線にあたることになります。仮に敵国の最優先の標的となるならば近畿の日本海沿岸上には陸海空自衛隊の基地もあり、本県でも饗庭野演習場があり、また福井県に原発群もあり標的になりかねないか危惧します」
「原発銀座」の事故対応と防災対策は
【質問】
——三日月候補は、福井県若狭湾の「原発銀座」で事故が起きれば、滋賀も被害地元になると訴えているが、この点について詳しくお聞きしたい。三日月候補は個人演説会などで「避難計画が十分ではないし、安全対策にも納得がいかない」と指摘されているが、原発事故を念頭に置いた時、現状の滋賀県の防災対策において、どのような点で不十分、不備があると考えられるのか?
【回答】
「福井県若狭地方には15基の原発があります。最も滋賀県に近い敦賀原発まではわずか13kmしかありません。とにかく県民の生命と安全、琵琶湖の水を守るためには、次の4点が必要です。
- 事故発生と原発の状況に関する情報の共有。住民(県民)への情報の発信。
- 原発事故発生に伴う、放射性物質の拡散や汚染状況と、スピーディなどのシミュレーションデータや、モニタリング施設(固定型、移動車)や住民等による実測結果の整理をして、住民に発信する。
- 現在のものでは十分ではないが、避難計画(屋内退避、屋外避難、ヨウ素剤服用指針等)に基づいて、市町や関係部局と協力しながら、避難の実施をして、住民の被害の最小化に向けた対策を講じる。
- あわせて、関西1,450万人の水源である琵琶湖への汚染物質の影響について、シミュレーション予測や実測データを活用して、実態を把握し、琵琶湖周辺だけでなく、下流の関連浄水場での放射性物質(セシウム、ヨウ素等)の除去処理対策を行い、同時に住民や水利用者への情報提供を行い、水利用にどもなう社会的混乱を防ぐ。
上記のことを可能とすべく国への働きかけとしては、本来、避難ルートの確立、飲料水確保などの原発防災対策の強化には、国や電力事業車は大きな役割を果たすべきであり、国の責任での住民被害、事業者被害の最小化を強く求め、関連機関への応援を要請していきます」
▲福井県の「原発銀座」・京都「Xバンドレーダー基地」と滋賀県の位置関係(IWJ作成)
医療や農林水産業に密接に関わるTPPの問題
【質問】
——基本政策では、医療の充実や、農林水産業の活性化を掲げているが、それらに密接に関わるTPPについて、どのような考えをお持ちか?
【回答】
「包括的な自由貿易協定は一定止むを得ないと思いますが、仮に農業分野において重要 5 品目の関税率の引き下げや低関税輸入枠の拡大といった不利な合意内容となった場合には、県内の農業・農村も深刻な打鍵を受けます。
こうした場合、閲係農家に対して万全の 経営支援策を講じるよう国に求めるとともに、県としても外国からの輸入産品と競合しないよう、近江米や近江牛の食味水準や品質の向上に向けて、支援を強化します」
滋賀県民の声は
【質問】
——選挙運動で滋賀県内をまわられている感触として、県民の知事選への意識はどうか。県民の多くが、今回の県知事選には無関心である、という声も聞くが、県民の選挙への盛り上がりについて、三日月候補の実感をお聞きしたい。
【回答】
「地元の地方紙である京都新聞の調査では知事選に「大いに關心がある」「ある程度関心がある」と答えた有権者は74.8%に上ります。日々追うごとに関心が高まっていると感じています。
ご意見では『地域の医療や福祉を何とかしてく ださい』『景気や雇用の対策をしっかりしてください』など。 もちろん原発問題の声も多数お聞きします。 政府が集団的自衛権を閣議決定後には 『中央からの言いなりではなく滋賀の自治を守って』という声が日増しに多くなっています」