【滋賀県知事選】「10年続けた国会議員を辞して、嘉田知事の県政を引き継ぐ」 ~三日月大造候補 個人演説会 2014.7.6

記事公開日:2014.7.6取材地: テキスト動画
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(取材 柏原資亮 /文 IWJテキストスタッフ・奥松)

 2014年7月6日(日)18時30分から、滋賀県東近江市の八日市商工会議所で、滋賀県知事選挙に出馬した三日月大造候補(前民主党衆院議員)の個人演説会が行われた。三日月候補を後継者に指名した嘉田由紀子滋賀県知事、「チームしが」呼びかけ人の武村正義氏(元新党さきがけ代表)、林久美子参議院議員(民主党)らが駆けつけ、三日月候補の実績や人柄を語り、支持を訴えた。

 嘉田知事は「知事というのは、大きな愛情が必要な仕事。私は、三日月さんに太鼓判を押す」と述べた。林議員は「集団的自衛権の憲法解釈を、たった19人の閣僚が密室で決めるような、おごり高ぶった政治ではなく、本来の政治の姿を」と訴え、「草の根の政治を願う滋賀県民の声を、中央に突きつけてほしい」と聴衆を鼓舞した。

 「ムーミンパパ」の愛称で知られた武村氏は、かつて自身が所属していた自民党について、「数を占めると、あぐらをかくのが欠点。今回の集団的自衛権は悪い見本だ」と批判。その上で、「三日月大造には、愛嬌と優しさと勇気がある。彼なら中央と渡り合える」と期待を寄せた。

 三日月候補は「10年続けた国会議員の職を辞して、無所属で立候補した。嘉田知事の『もったいない県政』を引き継ぎ、滋賀から新しい政治の流れを作りたい」と意気込みを語った。

■全編動画

  • 日時 2014年7月6日(日)18:30〜
  • 場所 八日市商工会議所(滋賀県東近江市)
  • 候補者ページ 三日月大造

「もったいない県政」の継承を

 はじめに、嘉田知事がマイクを握り、「もったいない県政」と名付けた、自身の8年間を振り返った。「ダムや新幹線の駅、あったらいいけれど、なくてもやれる。もっと人を大事にする政策を、という皆さんの選択で誕生した『もったいない県政』は、無駄な公共事業をカットし、8年間で借金900億円近くを減らした。その分を福祉や教育、環境政策に投資し、貯金は900億円増やした」。

 「やり過ぎだと言う人もいるが、必要なところにはお金を入れて、暮らしやすくした」と、高速道路や医療施設の充実もアピールし、「だが、私も64歳、孫が5人。そろそろ、この重いバトンを誰かに渡したいと思っていた時、民主党の国会議員を辞めて、勇気を持って立ってくれたのが三日月さんだ」と微笑んだ。

 「2人で徹底的に話し合い、党派を超えて作ったのが『チームしが』。よびかけ人は、大先輩の武村正義さん。特定の国政政党ではなく、私たちは草の根自治で、滋賀県のことは滋賀県で決める」。

 このように話した嘉田知事は、「知事というのは、県民はもちろん、県民を取り巻く自然環境まで視野に入れた、大きな愛情が必要な仕事。愛情あふれる三日月さんに太鼓判を押す」と力を込めた。

上から目線の政治に「NO」を突きつけてほしい

 次に、林議員が登場した。三日月氏と10年仕事をしたという林議員は、「彼は仕事ができて、正義感が強い。今、議会でのセクハラヤジが問題になっているが、国会も同じ。私が性差別的な発言を受けた時、ほかの男性議員は知らんぷりだが、三日月さんだけは相手に言い返してくれた。クリーンな県政を託せるのは三日月さんしかいない」と話す。

 さらに、「今、政治がおかしい。集団的自衛権の憲法解釈を、たった19人の閣僚が密室で決めてしまった。数があるから何でも好きにやるという、おごり高ぶった政治ではなく、本来の政治の姿を取り戻したい」と述べ、「草の根の政治を求める滋賀県民の声を、中央に突きつけてほしい。私たちの思いが大事にされる政治を作るために、三日月さんに支援を」と強く訴えた。

原発を動かさなくていいエネルギー社会を

 続いて、額に鉢巻き姿の三日月候補が登場した。かつて、武村正義氏が滋賀県知事時代に築き上げたクリーンな県政の流れと、嘉田知事の「もったいない県政」をしっかり受け継ぐことを表明した三日月候補は、政治を志すきっかけとなった大津の中学時代を振り返った。

 「同和問題などがあり、荒れている友だちが多かった。少しでも学校を良くしたいと、スローガンを作って生徒会活動などを一生懸命やった。生まれたところ、住んでいるところで、若い子の将来が左右されるような差別は許されない。家庭に問題があってもがんばれる、そういう環境を作りたい」。

 2011年の東日本大震災で、「この国は、どうなるんだろうと思った」という三日月候補。与党民主党の国会議員として、被災地の復旧復興に関するさまざまな法律作りに奔走したものの、政党の違いで法律がスムーズに通らない事態に直面。「政党政治の限界を感じた」と話す。

 そして、「政党の垣根で物事が決まらない政治ではなく、みんなの力をひとつにしたい。もう1回、この滋賀から新しい政治の流れを作りたいと思い、国会議員の職を辞して、無所属で知事に立候補した」と決意を語った。

 三日月候補は「原発再稼働の動きもあるが、避難計画が十分ではないし、安全対策にも納得がいかない。福井で原発事故があれば、滋賀県は被害地元。3.11を教訓にして、原発を動かさなくていいエネルギー社会を、この滋賀から作りたい。県内ではすでに、太陽光発電やバイオマス発電、川の流れを利用した水力発電にも取り組んでいるが、さらに進めていきたい」と述べ、省エネと再生可能エネルギーの推進に意欲を見せた。

 さらに、医療、福祉体制や教育体制、交通網についてのビジョンを、次のように語った。「医師や医療スタッフを充実させ、どこにいても最新の医療を受けられる体制を作りたい。また、老人施設については、お年寄りが住み慣れた地域でケアを受けられるように、空き店舗などの活用も考える」。

 「学力も大事だが、子どもたちには生きる力を身につけさせたい。少人数学級をさらに進め、多くの大人の目と心が、子どもに注がれる体制を作っていきたい。商業高校、農業高校、工業高校での学びが、しっかり仕事につながるように応援する」。

 交通インフラについては、三日月候補はJR西日本での勤務経験があるだけに「近江鉄道の活性化」を挙げ、「たとえば、鉄道の敷地は行政が持ち、運行は近江鉄道が行う上下分離方式で料金をもっと安くできないか」と述べた。

 最後に、「これらの実現のために、ぜひ、力を貸してほしい。『もったいない県政』を引き継ぎ、草の根自治を守ろうではありませんか」と支持を訴え、会場から大きな拍手と声援を受けた。

東京にペコペコする知事は駄目だ

 武村氏が登場し、「40年前の、自分の知事選を思い出す」と話し始めた。武村氏は国政に出る前に、滋賀県知事を3期務めている。

 「あの時、相手候補から『労働組合や社会党が支持する知事では、中央が補助金を出さない』と言われた。実際には、そんなことはなかった。今回、三日月氏に対しても同様の言説があるようだ。相手候補は東京からやって来た官僚で、安倍さんの肝入りというのが自慢らしい。だが、東京にペコペコする知事では、逆に予算はつかない。堂々と渡り合える知事でなくてはいけない。三日月大造なら、それができる」。

 さらに、「私も自民党にいたので、悪口は言いたくないが」と前置きして、次のように続けた。「あの党には2つ欠点がある。まず、多数を占めるとあぐらをかくこと。集団的自衛権は悪い見本だ。もうひとつの欠点は、利権体質だ。滋賀県政にも、利権と汚職の時代があった。二度と、そこに戻ってはいけない」。

 最後に武村氏は、「三日月大造は、嘉田知事が辞めると決めていないうちから『後を継ぎたい』と申し入れた。嘉田知事はびっくりしたらしいが、何度も話すうちに『この人なら任せられる』と惚れ込み、自分の引退と後継者指名を決めたのだ」と明かした。そして、「ぜひ、この男を県政の責任者に」と聴衆に呼びかけた。

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「【滋賀県知事選】「10年続けた国会議員を辞して、嘉田知事の県政を引き継ぐ」 ~三日月大造候補 個人演説会」への2件のフィードバック

  1. @takashi_asoさん(ツイッターのご意見より) より:

    応援!

  2. @imagontyuさん(ツイッターのご意見より) より:

    チームしが いいんじゃない!

@takashi_asoさん(ツイッターのご意見より) にコメントする コメントをキャンセル

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