「安倍政権は、アクセルだけの、ハンドルが右にしか切れない車だ。暴走する安倍政権に、松山市議選で怒りをぶつけよう」──。
2014年4月6日、愛媛県松山市の松山市総合コミュニティセンターで、松山市議会議員選挙への、日本共産党立候補予定者の演説会が開かれた。4人の立候補予定者の意見表明に続き、小池晃日本共産党副委員長が演説を行った。松山市議会議員選挙は、4月20日告示、27日投票、定数は43名。共産党からは、現職の小崎愛子氏、宮内ともや氏、杉村ちえ氏の3名に、新人の大嶋けいた氏を加えた4名が立候補を予定しており、全候補者60名の中で議席を争う。
- 日時 2014年4月6日(日)18:30〜
- 場所 松山市総合コミュニティセンター(愛媛県松山市)
4月27日の松山市議選に向けて
冒頭、伊方等の原発をなくす愛媛県民連代表幹事、和田宰氏が登壇、「2月6日、原子力規制委員会に、伊方原発について徹底調査を求め、再稼働をさせないように要請をした。また、四国内の95市町村に陳情、請願した」などと活動報告をし、「伊方原発再稼働を止めるため、4人を当選させよう」と訴えた。
次に、4名の立候補予定者が登場し、市議選への決意を表明した。まず、33歳の新人、大嶋けいた氏が、自身の立候補の動機を、「父が50歳前にリストラに遭い、学費が払えず、大学を中退した。今、生きづらい人が増えているのは、政治がもたらした結果だ。これを変えるべく立候補しようと思った」と語った。
4割の市民が年収200万円以下の松山市
次に、現職の松山市議の杉村ちえ氏がスピーチに立ち、憲法改正、増税、原発再稼働、子どもの未来、TPPによる医療制度の改悪について訴え、安倍政権の暴走に警鐘を鳴らした。また、松山市議会の市民無視の現状を批判、共産党議員団への応援を求めた。
宮内ともや氏(現職)は「1998年から、所得は年々減少、4割の市民が年収200万円以下になってしまった。提案してきた住宅リフォーム助成制度や中小企業振興基本条例は、労働環境の改善を織り込んでいる。その実現のために、市議会で4議席を確保したい」と述べ、地域経済の活性化を訴えた。
小崎愛子氏(現職)が登壇、国民健康保険制度や介護保健の改悪、年金削減、消費税増税などの高齢者いじめを訴え、「住宅リフォーム助成制度の拡充のためにも、4議席確保を実現したい」と市民の支援を求めた。
暴走する安倍政権に、この選挙で怒りをぶつける
小池晃氏が登壇。まず、「この松山市議会議員選挙を、暴走する安倍政権に怒りをぶつける選挙にしたい」と述べた。
「安倍政権は、集団的自衛権の行使で、日本の同盟国(アメリカ)の戦争に加担するというが、今まで、アメリカが他国から攻められたのは真珠湾攻撃くらい。それ以外は全部、アメリカが勝手に世界に出ていって侵略戦争をやった。そんなことに、自衛隊を使うのは許されない」とした小池氏は、「石破幹事長は(自衛隊が)地球の裏側まで行くこともありうると言う」と、安倍政権の憲法解釈による集団的自衛権の行使容認を批判した。
続いて、安倍政権の靖国神社参拝問題、慰安婦問題、戦争への反省について指摘。さらに、「マスコミ出身の野志克仁松山市長は、希代の悪法、特定秘密保護法を是認した」と断じ、辺野古新基地建設、オスプレイ配備、国民投票法案改革、教育問題などの問題点を列挙。「安倍政権は、アクセルしかない、ハンドルが右にしか切れない車だ」と揶揄した。
年金や生活保護の削減は、大企業減税のため?
消費増税については、小池氏は「物価は上がり、賃金は変わらない。増税をするから景気対策もすると言うが、8兆円の増税のために、6兆円の景気対策をやるなら、最初から増税をやめるべきだ。そして、大企業にしか恩恵のない法人税の減税をやった。さらに、東日本大震災の復興のための企業の法人税増税は、3年やるところを2年に短縮した。そもそも、消費増税は社会保障に使うと言っていたではないか。それなのに、年金削減、医療費窓口負担の増額、介護保険の改悪、生活保護の削減だ。大企業減税のための消費増税など、許せない」と指摘し、次のように続けた。
「増税が決まったとたん、大型開発、軍事費増額だ。増税するなら富裕層から取るべき。野志松山市長は『消費増税は、地方の大事な財源』と言って、増税の後押しをした。松山市長への怒りの一票を託してほしい」。
「先回、共産党は参議院選挙で11議席を獲得、議案提案権を得ることができた。私たちは、ブラック企業規制法案を提出し、厚労省は『若者の使い捨てが疑われる企業の対策』を打ち出した。大臣も、企業名を公表すべきと言い始め、ワタミと言う名前が出たらどうしようと思った」と、会場を笑わせる一幕もあった。
あのオスプレイが伊方原発上空を飛ぶ
「松山市政は、自民党の暴走政治の言いなり。市民サービスは切り捨て、大型公共事業は推進。まるで営利企業のようだ。松山市民1人当たりの所得は10年間で80万円減っている。松山市長もオール与党の市議会も、住民の痛みを感じる心が欠けている」。
このように、松山市の現状を指摘した小池氏は、伊方原発についても懸念を示した。「3.11のあと、日本中の原発が停まっても、電気は不足しなかった。原発はゼロにできる。伊方原発は30年を超える老朽施設で、中央構造線の上にある。活火山の阿蘇山も近い。また、佐田岬の上空は米軍の飛行ルートだ。あの危険なオスプレイが、伊方原発上空を飛ぶ。背筋が寒くなる。しかし、松山市長は、伊方原発の再稼働を反対しない」と問題視した。
松山市議選でも問われる民主主義
続けて小池氏は、「TPPに参加したら、愛媛の農業は壊滅する。安倍首相は農業所得の倍増を謳うが、内容は大規模農業の推進だ。非関税障壁の撤廃。株式会社の病院経営と混合診療の解禁。外資の保険会社の日本侵略を助長する」とTPPの危険性を訴えた。
外交問題にも触れ、「対中国、北朝鮮に対して、安倍政権の進める軍事で対抗したら悪化するだけ。今、ASEAN(東南アジア諸国連合)では、問題の外交解決に努力している。共産党は、北東アジア平和協力構想を打ち出した。領土問題、6ヵ国協議も外交で解決し、絶対に戦争は起こさない」と熱弁を振るった。
「アジアの平和を目指し、基本的人権、国民主権、民主主義を守る。政権政党が税金を平気で山分けしていては、税金のムダ使いを糾すことなどできない。今回の松山市議選も、それを問われている」。そう力を込めた小池氏は、改めて4名の立候補予定者への支援を求め、「ひとりは微力であっても無力ではない。まとまれば大きな力になる」と訴えた。