TPP交渉参加を阻止する1万人キャンドル集会 2012.4.25

記事公開日:2012.4.25取材地: テキスト動画
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(文字起こし:ボランティアスタッフ 大泉 リライト:jade)

特集 TPP問題

 2012年4月25日(水)、日比谷公園 野外音楽堂、噴水前広場、楡の木広場で行われた、「TPP交渉参加を阻止する1万人キャンドル集会」の模様。

■全編動画

  • 日時 2012年4月25日(水)
  • 場所 日比谷公園 野外音楽堂、噴水前広場、楡の木広場(東京都千代田区)

鈴木宣弘教授講演 (0:35:09 ~ 0:44:16)文字起こし

(*)鈴木 宣弘(Wikipediaより)(すずき のぶひろ、1958年 – )
日本の経済学者。専門は農業経済学。三重県志摩市出身。東京大学農学部卒。農林水産省入省。九州大学農学部助教授、教授を経て、2006年9月から東京大学大学院農学生命科学研究科教授。

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(*)TPP(Wikipediaより)
環太平洋戦略的経済連携協定(かんたいへいようせんりゃくてきけいざいれんけいきょうてい、TPP、Trans-Pacific Partnership、またはTrans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)は、環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定 (EPA)である。

司会「それでは再びトークでございます。東京大学教授の鈴木宣弘さんに今日はお越しいただきました。鈴木さんは研究者のお立場から一貫してTPP(*)反対を訴えてこられました。本日は改めて『TPPの本質はこれだ』と、そういったテーマでお話をいただきます。鈴木さんよろしくお願い申し上げます。どうぞ皆さま大きな拍手をお送り下さいませ」

鈴木「皆さんこんばんは。ご紹介いただきました鈴木でございます。私も研究者として、TPP阻止に向けて覚悟を決めて取り組んでおるひとりでございます。この通りでございます。私はAKB48に負けないように『TPP48』(*注)という本も出しました。DVD(*注)も出しました。頑張っております。

(*注)「TPP48」:「よくわかるTPP 48のまちがい(農文協ブックレット4)  TPPが日本の暮らしと経済を壊すこれだけの理由」(著者:鈴木宣弘 、木下順子 、定価:840円 (税込)、発行日:2011/12、出版:農山漁村文化協会(農文協))(上記、田舎の本屋さん 農山魚村文化協会より)

(*注)「DVDも出しました。」:「DVD 知っていますか?TPPの大まちがい」(田舎の本屋さん 農山魚村文化協会より)
(著者:農文協 企画・制作、ナビゲーター(解説)東京大学大学院 教授 鈴木宣弘さん、定価:8,400円 (税込)、発行日:2012/03、出版:農山漁村文化協会(農文協)、判型/頁数:DVD 35分)

 さて、TPPの交渉の現状につきましては、国内向けには情報収集のための事前協議と言われておりますが、これは嘘です。実質的な交渉が進んでおります。アメリカは『TPPに入れて欲しいなら頭金を払え』と、いちゃもんのような懸案事項を突きつけてきています。それに対して密約条件も提示し、何とかクリアしようと必死の画策が続いております。これが整えば参加、成立となります。そのタイミングを模索しているのが今の段階なわけです。
 そもそもTPPの推進論は嘘で塗り固められております。『TPPでアジアの成長を取り込むんだ』、嘘です。『日本の医療制度が影響を受けることはない』、嘘です。『食品の安全性が歪められることはない』、嘘です。『アメリカの輸入牛肉の輸入基準緩めても大丈夫だ』、大嘘です。今朝、カリフォルニアでBSEが見つかりました。『農業が強くなって、輸出産業になる』、嘘です。『製造業の輸出が伸びて景気が回復する』、嘘です。ISD条項はアメリカが乱用して、カナダやメキシコでも、人の命を守るルールや社会のセーフティネットまで損害賠償と撤廃に追い込まれています。お隣の韓国では『韓米FTA(*)で韓国人の主権は韓国国民にあらず、今は米国企業にあるんだ』、と嘆いております。このようななかで日本政府は、『ISD条項は日本も他のFTAで入れているんだから何がおかしいんだ』と。こんな嘘はありません。

(*)FTA(外務省、経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)平成24年7月より)
FTA:特定の国や地域の間で,物品の関税やサービス貿易の障壁等を削減・撤廃することを目的とする協定

 それから野田総理は何と言いましたか。『世界に誇る医療制度と美しい農村を断固として守りぬく』、真っ赤な嘘です。徹底して国民を騙して、国を売り飛ばしても平気なのです。こういう人たちに情報を出せと言っても、まともに出すわけがございません。こんなに平気で嘘をつくことが許されて良いのでしょうか。
 皆さんは、TPPのメリットを具体的に聞いたことがありますか。言うに事欠いて、最近は“ベトナムいじめ論”というものが出ています。『直接投資、サービスが自由化されれば、日本もアメリカからいじめられて国民は職を失うが、経営陣はその分をベトナム、もっと弱いベトナムを責めていじめて儲ければ良いんだ』と言っているわけです。
 だからTPPというもので、日本の雇用は失われるわけです。完璧にTPPというものは、産業の空洞化を進めるわけですから、日本人の雇用はどうしても失われる。ですから、この点を考えれば『製造業だからTPPに賛成だ』というのは間違いです。日本の99パーセントの方は、TPPで苦しむことになる。アメリカでも、先程、山田正彦(*)先生がおっしゃいました、69パーセントの国民が、『もうTPPも、FTAも止めてくれ』と、つまり『雇用が失われる』と言っているわけですよ。

(*)山田正彦(Wikipediaより)
山田 正彦(やまだ まさひこ、1942年4月8日 – )は、日本の弁護士、政治家。衆議院議員(5期)、衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長。
農林水産大臣(第51代)、衆議院農林水産委員長などを歴任した。

 それならば、誰のためのTPPなんでしょうか。ごく一部の大企業と、それに結びつき資金源にしている一部の政治家の皆さん、それから天下りで結びついている一部の官僚の皆さん、それからスポンサー料で結びついている一部のマスコミの皆さん、こういう方々がごく1パーセントの利益を拡大するために、このような協定を推し進めようとしているわけです。
 やみくもに規制緩和を徹底し、多数が雇用を失い、食料や医療までもが十分に受けられなくなるような人が続出するような格差社会を拡大することがこれ以上許されるのでしょうか。
 TPPは例外なしに関税も撤廃し、日本社会のシステムを崩壊させます。TPPはこれまでとくらべて、過去最大の損失を伴う最大のFTAです。そして得るものは、どの他のFTAと比べても一番小さいのです。失うものが最大で得るものが最少なんですから、これは史上最悪のFTAとなるわけです。
 このような最悪の選択肢を我々は受け入れることができません。目の前に、日中韓FTAは5月から、日EUは6月から、ASEAN+3(*)も年内に具体化しようとしています。TPPと距離を置いて日本、アジア、そして世界にとって均衡ある社会の発展と人々の幸福に繋がる真に互恵的な経済連携を日本が率先して具体化し、史上最悪のTPPの拡大を食い止めることこそが日本の使命ではないのでしょうか。

(*)ASEAN+3(外務省ホームページより)ASEAN+3(日中韓)とは東アジア諸国の協力を目的とし,ASEAN諸国に日本・中国・韓国を加えた体制。(平成24年7月時点の記載内容)

 ごくわずかな人々の利益のために国民に情報をひた隠し、嘘をついて曖昧にして気がついたら参加が決まっていたというような、このような状況を作り出すために必死に画策している。こんなことをしてまで国民を騙し、何とも思わないのでしょうか。一部の官僚、一部の政治家、一部の大企業、一部のマスコミの皆さん、国を売り飛ばすのが皆さんの使命なのでしょうか。そのような行為を我々は許すわけにはいきません。
 私にも『君もそろそろトーンダウンしたほうが、将来のことを考えると身のためではないか』と、ありがたいご忠告もいただいております。さらには、私が『CIAに狙われているのではないか』という噂までありますが、私もそう簡単に引き下がるわけにはいきません。冗談ではありません。断罪されるべきは私ではなく、国民を騙して国を売り飛ばそうとしている人たちではありませんか。こうした人々がきちんと牢屋に入っていただく仕組みを作らなくてはいけません。
 放射能の情報を隠したのも殺人罪ですが、TPPの情報を隠しているのも殺人罪に匹敵します。政治家の皆さんにも今こそ問いたい。今こそ日本に政治家がいる意味が問われています。保身と見返りを求めて国民を見捨てて生き延びたとしても、そんな人生は楽しいのでしょうか。『日本にも本当に立派な政治家がいたな』と、言われて政治生命を終えていただけないでしょうか。地元に帰ると『反対』と言って、東京に戻ると口を濁している政治家の皆さんには、今度こそ退場していただきたい。与野党を含めて半数以上の国会議員の先生方が反対をしておられるわけですから、その総力を結集すれば必ず政府の暴走は止められるはずではありませんか。
 そういう点で、昨日、今日お集まりの先生方が決起してTPP反対議員集会(*注)を開かれた。これは本当に画期的な動きだと思います。さらなる覚悟を持って行動をしていただければ、大変な期待がかかります。そして、その政治を動かし、国民を救うのは国民の力です。皆さん動きましょう。この問題は『頑張ったけど駄目でした』では済まない問題です。ここにお集まりの皆さん、そしてたくさんの方々に声をかけていただいて、その総力を結集して、この『TPP48』の本も、DVDもご活用いただきまして、TPPを止めるまで供に頑張りましょう」

(*注)「TPP反対議員集会」とは、2012年4月24日(火)、衆議院第一議員会館で行われた、「訪米時のTPP交渉参加表明に反対する議員集会」のことを指していると思われる。(IWJより)

司会「鈴木先生どうもありがとうございました。大変に力強いお話をいただきました。お忙しい中、今日はご参加いただきましてありがとうございます。もう一度大きな拍手をお送り下さいませ。ありがとうございました」

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