関口鉄夫講演会「震災がれきの広域処理を考える」 2012.4.21

記事公開日:2012.4.21取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・久保元)

 2012年4月21日(土)18時30分、愛媛県松山市の愛媛県男女共同参画センターにおいて、「関口鉄夫講演会『震災がれきの広域処理を考える』」が開かれた。市民団体「ごみを考えるネットワークえひめ」が主催した。関口氏は内部被曝研究会の会員で、環境汚染や健康被害の調査、福島第一原発事故による汚染地域の放射線測定などを行っている環境科学の専門家である。専門家としての豊富な経験と知識を活かし、全国各地の住民運動などの支援も行っている。

■全編動画
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  • 日時 2012年4月21日(土)18時30分
  • 場所 愛媛県男女共同参画センター(愛媛県松山市)

 講演で、関口氏は、「政府は、国民同士で助け合おうなどと言っているが、助け合っているのは原子力マフィアやゼネコン、政治家だ」と皮肉った。また、「がれき処理が進まないから、復興が遅れているのではなく、国の無策で復興が進まないことを、災害がれきのせいにしてごまかしているだけだ」と批判した。

 関口氏は、国が広域でのがれき処理を強行しようとする動機を、「除染廃棄物を処分するための一里塚だ」と鋭く指摘した。国が進めている除染事業によって、膨大な量の除染廃棄物が発生するが、国が「低レベル」と定義する10万Bq(ベクレル)/kg以下の廃棄物を全国に分散させて、各地で処理させようと目論んでいると説明した。その上で、「原発と同じ構図だ。一度でも災害がれきを引き受けたら大変なことになる」とし、がれき受け入れによる焼却場の新設に補助金を投下し、これが利権となっていることを説明した。また、「技術には限界がある。処分場のシートの破断もある。長期にわたる汚染の監視が必要」と述べるなど、数々の問題点を指摘した。

 このほか、海洋汚染による魚への放射性物質濃縮の問題や、飼料や稲わらを通じた畜産業に拡がる汚染、汚染された砕石による放射能コンクリートの問題、食材汚染など、多岐にわたる分野から有益な情報を聴講者に提供した。関口氏は、「細野豪志環境大臣が『被害が出れば国が対応する』などと言っているが、かつての公害や薬害問題では、常に被害者を切り捨ててきたではないか」と厳しく指摘し、「未来の世代は、現世代が下した判断に異議を唱えることができない。すなわち、今の判断が未来の子供たちに影響を与える。もっと声を上げなければならない」と聴講者に呼び掛けた。

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