「行政は、水銀を検出したにもかかわらず、自然由来と評価した」 〜第2回愛媛のごみ問題を考える意見交換会 2014.1.25

記事公開日:2014.1.25取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 「レッグ最終処分場では、処分できる容量は21万2846立米(立法メートル)だった。2005年に軽微変更許可が下りて、1割ほど増加している。ところが、最終的には25万492立米となっており、2万ほど超過していた」──。松山市の谷口博徳氏は、処分場の容量オーバーを指摘した。

 三瓶(みかめ)町の松木泰氏は、三瓶町産廃処理場新設に対し、「申請書の不備とねつ造疑惑。環境アセスメントのずさんな内容と調査方法。汚染燃焼ガスの垂れ流し。また、重金属の流出も懸念されることから、松山地裁に訴えた」と語った。

 2014年1月25日、愛媛県松山市の愛媛県美術館で「第2回愛媛のごみ問題を考える意見交換会」が行われた。2013年8月の第1回に続くもので、汚染水漏れ問題を起こした松山市の「レッグ」産廃最終処分場をはじめ、愛媛県各地のごみ処分場計画などの最近の状況について、報告と議論が行われた。

■全編動画(13:35~ 2時間8分)

  • 報告1 松山市 産業廃棄物処理業者・レッグの問題について
  • 報告2 西予市三瓶町 産業廃棄物処理施設設置許可取り消し訴訟について
  • 報告3 今治市 ごみ処分場問題について
  • 報告4 久万高原町 産業廃棄物最終処分場問題について
  • 日時 2014年1月25日(土) 13:30~
  • 場所 愛媛県美術館(愛媛県松山市)
  • 主催 愛媛のごみ問題を考えるシンポジウム準備会

行政との不透明なやり取りが続いたレッグ最終処分場問題

 冒頭、今治市の小川平氏があいさつをした。続いて、松山市の谷口博徳氏から、産業廃棄物処理業者レッグの最終処分場について、報告があった。

 「1986年、レッグには愛媛県から認可が下りたが、2013年、松山市が認可取り消しをした。1998年、愛媛県から松山市に認可権は譲渡されていた」と前置きをした上で、処分場問題の概要を説明した。また、「この最終処分場では、処分できる容量は21万2846立米だったが、2005年に軽微変更許可が下りて、1割ほど増加している。ところが、最終的には25万492立米となっており、2万ほど超過していた」と容量オーバーを指摘した。

 「その後、地下にたまったガス抜きなど、6回ほど行政指導をしたが、改善されず、2010年、市の検査で水銀を検出したにもかかわらず、自然由来の水銀と判定された。さらに、2013年、地下水路からヒ素、水銀も検出した」など、処分場と市との不透明なやり取りを指摘した。

 事故後の対策は、「鉛直遮水案(事業費76億円)と廃棄物全量撤去(269億円)が検討され、鉛直遮水案で決まった」として、谷口氏は報告を終えた。

 松山市議の武井多佳子氏が登壇し、レッグ最終処分場と横谷埋立センターの環境汚染について(松山市議会で継続審査となっている一般廃棄物最終処分場「市横谷埋立センター」での浸出水処理設備改良工事の件)、近況報告があった。

 「レッグの岩盤は強固だというが、地質学者によれば、花崗岩でたいへん脆いらしい。全量撤去だと財政問題も立ちふさがる」と補足説明をした。

上水源の近くに産業廃棄物処理施設の計画

 三瓶町の原告団代表、松木泰氏が「西予市三瓶町 産業廃棄物処理施設設置許可取り消し訴訟について」の報告をした。「その建設予定地は、三瓶町の上水源に近く、水質汚染の恐れがあり、建設許可取り消しを求めて、県を訴えた」と経緯を語った。

 「2013年8月14日、原告団20人、弁護団6名を編成し、松山地裁に提訴。10月8日、第1回公判開廷、原告側の意見陳述をした。12月17日は、第2回公判だった」。

 続けて、県を訴えた3つの具体的な問題について、「申請書の不備と、ねつ造疑惑。環境アセスメントのずさんな内容と調査方法。汚染燃焼ガスの垂れ流し」と述べ、「また、重金属の流出も懸念される」と説明した。

 松木氏は「ガス燃焼方式による産廃焼却施設だが、構造や維持管理基準の問題など、各有識者の意見も取り入れて検討したい。3月4日、第3回目の公判予定だ。すでに工事は始まっているが、中止運動は続けていく」と語った。

住民の意志を無視。どんどん進むごみ処分場計画

 次に、今治市の小川平氏から 「ごみ処分場問題について」の話があった。小川氏らは、同市町谷の焼却ごみ処理施設の新設に反対を訴える活動をしている。「県は、現在、住民の反対意見を無視し、計画を進めている」と訴えた。

 続けて、愛媛県久万高原町の産業廃棄物最終処分場問題について、石丸常氏が報告した。「TO(大宝砕石工業とオオノ開発共同出資)という会社が、最終処分場を計画。三坂峠の100万立米ある、安山岩採石場跡地につくるという。TOは、産廃最終処分、産廃収集、一般廃棄物処分、運搬のできる会社だ」。

 「すでに5年前から、愛媛県循環型社会推進課と事業者は、何回も打ち合わせをしていた。さらに、計画予定地は、2012年11月に買収済み。建設工事は、周辺住民の反対を無視し進行中だ」と事業概要と反対運動の現状を話した。

採掘跡の復旧方法まで明示しなければならない採石事業

 香川県豊島問題に詳しい石井亨氏が、それまでの各報告に補足をした。

 「豊島では、全量撤去の作業中、汚染水が漏れないように、鋼矢板で周囲に遮水壁を埋設。汚染水の漏水を16分の1にまで防いでいる。レッグの問題を言うと、市議会など行政の懸念は手続き上のことで、現地での汚染は別次元の話。この2つを一緒にしてはいけない」と見解を述べた。

 また、「今治市も三瓶町の問題も、弊害を受ける当事者は誰か、はっきりさせることが重要だ」と述べ、採石事業について説明した。「事業者は、採石の許認可を受ける時、最終的な復旧計画まで含めなければならない。しかし、埋め戻し工事は金がかかる。そこで、産廃やごみで埋め戻して復旧させる。行政も黙認してしまう」と、行政と事業者の癒着を語った。

 石井氏は「そのためにも、採石業者と行政の契約に関する資料を、情報公開条例で取り寄せて検討すべき」とアドバイスをした。そのあと、参加者たちとの質疑応答があり、主催者が今後の活動予定、反対運動の要点などを述べ終会した。 

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「「行政は、水銀を検出したにもかかわらず、自然由来と評価した」 〜第2回愛媛のごみ問題を考える意見交換会」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見より) より:

    松山市の産廃、三瓶町の産廃処理施設設置許可取り消し訴訟、今治市のごみ処分場問題、久万高原町の産廃最終処分場問題。子孫にツケを残す問題は伊方原発だけじゃない。

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