大阪地検特捜部による証拠改竄隠蔽事件で、犯人隠避罪に問われ、一審の大阪地裁で懲役1年6ヶ月、執行猶予3年の有罪判決を受けた元部長の大坪弘道被告および元副部長の佐賀元明被告の控訴審で、大阪高裁は両被告の控訴を棄却し、有罪とした一審判決を支持する判決を言い渡した。
判決の後、弁護団とともに会見した大坪被告は、「最高検の見解にくみした、はじめから結論ありきの、後から理由をつけていった不公正な判決だ」と批判し、「真実は我にあり。私は無罪を確信している」と語り、最高裁に上告する意向を明らかにした。佐賀被告の弁護団も、「上告期限は2週間あるので、上告するか慎重に検討したい」と述べた。
郷原弁護士「検察は陸山会事件の対応も反省すべき」
控訴審から大坪被告の弁護団に加わった、元検察官の郷原信郎弁護士は、「(弁護団の公式見解ではなく)個人的見解だが」と前置きし、「本件は、職務行為が犯人隠避とされた特異な内容。どういう行為が違法になるのか示されていない。これまでの検察のあり方を考えると、大坪氏を犯人隠避で訴えるなどありえない」と指摘。「今日の判決は、はるかに高いところに検察としての義務を課している」とし、「陸山会事件における検察の対応が問題にされないのに、大坪氏の件が問題にされるのは理不尽だ。およそ現実とかけ離れた空想のような世界を前提としているとしか思えない」と厳しく批判した。その上で、「検察はこの判断を真摯に受け止め、陸山会事件などの対応についても反省すべきだ」と皮肉を込めて苦言を呈した。