「犯人隠避罪の成立を肯定することは到底困難。原判決を破棄した上で、直ちに無罪の言い渡しがなされるべきである」~郷原信郎弁護士緊急記者会見 2012.11.6

記事公開日:2012.11.6取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・久保元)

 2012年11月6日(火)17時半、大阪市北区の大阪地方裁判所司法記者クラブにおいて、郷原信郎弁護士による緊急記者会見が開かれた。

 いわゆる「郵便不正事件」における捜査の過程で、大阪地検の大坪弘道特捜部長(当時)が、押収した証拠資料(フロッピーディスク)の改ざんを、部下の前田恒彦検事(当時)から告白されたのに適切に対処せず、上司に虚偽の報告をしたなどとして、証拠隠滅および犯人隠避の罪に問われ、一審の大阪地裁で執行猶予のついた有罪判決を受けた。

 これを不服として、弁護団は大阪高裁に対し、控訴趣意書を10月31日に提出した。この日の会見で、大坪被告の弁護を務める郷原弁護士は、控訴趣意書の提出に至った背景や理由を説明した。

■全編動画 大坪弘道元大阪地検特捜部部長の控訴趣意書について

  • 日時 2012年11月6日(火)
  • 場所 大阪地方裁判所司法記者クラブ(大阪市北区)

郷原弁護士の主張

 郷原弁護士は、一審判決における犯人隠避罪の認定について、「法令適用上の解釈に誤りがある」と指摘した。犯人隠避行為として、「身代わり犯人の自主的な自白という、最も直接的な犯人性認定の証拠を提供し、真犯人に対する刑事司法作用が害される蓋然(がいぜん)性が定型的に高いもの」を典型的な事例として挙げた上で、「非定型な行為については、『真犯人の検挙や処罰を妨げる』ことについて、目的が明白であり、なおかつ、行為と結果発生との間の因果関係も明らかな場合に限られるべき」とした。

 また、今回の裁判を、「検察庁内部における、捜査の実行に関する判断や、それに関連する上司への報告という、検察官の職務行為そのものが、犯人隠避罪に問われた事件である」とした。その上で、一審判決について、「検察官の職務行為が、いかなる場合に犯人隠避に当たるのか、解釈を示していない」と苦言を呈し、「本件が判断の当・不当の問題を超え、犯人隠避とされるのであれば、職務行為一般が犯人隠避に当たり得ることになり、検察実務は大混乱する」と批判した。

 さらに、一審で、「『前田(元検事)が本件改ざんを行ったこと』の事実を(大坪被告が)認識していたか否か」ということが主要な争点とされたことに疑問を呈し、大坪被告が前田元検事から告白を直接受けた立場ではないことなどを挙げた上で、「大坪(被告)の『故意改ざんの認識の程度』こそが、争点である」と強調した。

 郷原弁護士は、いわゆる「陸山会事件」における虚偽捜査報告書作成事件での検察の対応などを類似例として挙げた上で、「控訴審においては、法令適用の誤りを是正し、いかなる場合に犯人隠避罪が成立するのかについて、適切な事実認定に基づく判断が行われねばならない」と述べ、「犯人隠避罪の成立を肯定することは到底困難。原(一審)判決を破棄した上で、直ちに無罪の言い渡しがなされるべきである」と強調した。

■資料

※会員ページにて、全文書き起こしを掲載しています。

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入よりご覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 300円 (会員以外)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です