「1年以上も待たされた挙げ句、この内容…。正直、腹が立ちます」ーー。
「子ども・被災者支援法」の実現を見届けてきたFoE Japanの満田夏花(みつたかんな)氏は、怒りを隠さなかった。
復興庁は30日、1年以上先送りしてきた支援法の基本方針案を突然発表した。同日、被災者、弁護士、市民団体が参議院議員会館で記者会見を開き、支援法の理念や規定を無視した骨抜きの中身に異議を唱えた。
基本方針の策定には被災者の声を反映するため、政府主催による公聴会を実施することが定められている。しかしこの1年2ヶ月の間、政府は一度もヒアリングを実施していない。また、支援対象地域は、被曝線量が年間1ミリシーベルトを超えた地域を対象にすべきだとの要望に反し、対象となったのは、福島県東部の33市町村に限られた。
- 発言者(予定) 西川峰城氏(那須塩原市)/片岡輝美氏(会津若松市)/阿部治正氏(流山市)/宇野さえこ(福島市から京田辺市に避難)/大城聡氏(弁護士)/満田夏花氏(FoE Japan)
子ども・被災者支援法は、昨年6月に成立するも、基本方針が定められず、具体的な支援に至っていなかった。22日には、一年以上も方針を策定していない状態は違法だとして、被災者である原告19人が国を提訴したばかりだ。それを受けての、突然の発表なのかーー。弁護団の一人でもあり、福島の子どもたちを守る法律家ネットワークの大城誠弁護士はIWJのインタビューに対し、「支援法を1年以上も放置してきた国を提訴した直後、今度は骨抜きの基本方針案を出してきた。歓迎のコメントを出せる心境ではない」と語った。
被災者たちはこれまで何度も、福島県や避難先から足を運び、復興庁に切実な声を届けてきた。しかし、その声を無視した基本方針案は、多くの関係者を落胆させた。会見にのぞんだ被災者の中には、「こんな基本方針ならない方がいい」と非難する自主避難者もいた。
復興庁は30日から、2週間のパブリック・コメントを開始した。その後、政府は閣議決定を目指すとしている。これに対し被災者や弁護士らは緊急署名運動を展開しており、公聴会の開催や基本方針案の抜本的見直し、パブリック・コメント期間の延長を求め、9月2日(月)、復興庁に申し入れを行う予定でいる。