2013年4月20日(土)、東京都千代田区の在日本韓国YMCAで「時代に逆行する共通番号はいらない! 4.20集会」が行われた。冒頭、韓国における住民登録番号制度の問題点を紹介する映像を上映した後、14時30分から有識者による問題提起が行われた。冒頭、司会を務める「反住基ネット」の白石孝氏が、「国会議員の質・レベルが史上最低」と厳しく指摘し、反TPPの立場をとる一部の政党を除き、TPP問題への国会議員の不勉強さや認識の甘さを嘆いた。(記事後半へ続く)
※14:30からの集会の模様を20:10から録画配信しました。
- 13:50~ 「韓国の住民登録番号制度」上映(中継には含まれません)
- 14:30~
国会情勢報告
清水勉氏(弁護士)「共通番号法 民主党案 VS 自民党案」
「共通番号法 ここが問題!」
石村耕治氏(PIJ代表)「アメリカでは共通番号から分野別番号への流れ」
田島泰彦氏(上智大学)「情報統制の中の共通番号法 ― 情報を市民に取り戻すために」
黒田充氏(自治体問題研究所)「共通番号カードの国内パスポート化で市民生活はどうなる」
藤田倫成氏(神奈川保険医協会)「共通番号で医療費抑制・医療産業化が加速する!?」
- 日時 2013年4月20日(土)
- 場所 在日本韓国YMCA(東京都千代田区)
- 主催 4.20集会実行委員会
続いて、「やぶれっ!住基ネット市民行動」の井上和彦氏が登壇し、衆議院内閣委員会審議を傍聴した内容について報告した。この中で井上氏は、「甘利大臣(甘利明経済財政再生相)などは、官僚の答弁をそのまま繰り返しているだけ。山本大臣(山本一太IT相)に至っては『エシュロンを知っているか』と通告外の質問をいきなりされて、『名前は聞いたことあるけどよく知らない』と。そんな状況で審議が進んでいる」と述べ、共通番号化を推進する所管大臣や推進側議員の不勉強さを批判した。
そして、共通番号の問題点として、「法律の理念の中に、民間利用も含めて拡大していくということがはっきり書かれている」と指摘したほか、「法人番号」について問題点を挙げた。共通番号制度案では、個人番号だけではなく法人番号が振られることが検討されている。企業のみならずNPO、NGO、市民団体などあらゆる団体に振られることから、「これが警察とか入国管理局とか治安維持とかに使われたら恐ろしいことになる。しかも、個人情報ではないので、どういうふうに使われようが個人情報保護法には抵触しないという問題がある」と懸念を示した。
そして、共通番号など使わなくても情報連携基盤の構築が可能であること、共通番号制度による情報流出や不正利用、なりすましの問題、古くから共通番号を導入したアメリカにおいて、様々な問題が発生していることから、アメリカ国防総省などで共通番号を廃止する動きが出ていること、共通番号カードを世帯ごとに郵送することによる問題、費用対効果の問題などを述べた。
講演者のトップバッターとして、清水勉氏(弁護士)は、「共通番号法 ここが問題!」というテーマで講演した。清水氏は、まず、大手新聞における共通番号法案に関するちぐはぐな取り扱いについて紹介し、その迷走ぶりに対して、「記事をちゃんと見て、『ここ、間違ってるよ』と教えていくのが重要」と述べた。
現時点で反対運動が低調なことについて、住民基本台帳制度施行のときの反対運動を振り返り、「当時、反対運動が非常に盛り上がったのは、(法律が可決されるときではなく)3年目の施行直前のところ。『このまま施行させていいのか』と運動が盛り上がってきた。そのことから考えると、いまはかなりスタートが早いかなと私はむしろ思っている」と述べた。そして、「切羽詰まらないと『動くべきだ』というムーブメントがなかなかつくりにくい。この法案が通ってしまった後に、自動的に、政府や経済界が言うように制度がスムーズに展開していくかというと、間違いなくそれは無理」と述べ、法律運用上の様々な課題が山積していることから、円滑な実施には程遠い状況であることを説明した。
その上で、「国民自身が、『時代に逆行した、世界から笑いものになるようなアホらしいもの、くだらないハコモノというのをやめよう』と目覚めていくならば、これは3年以内にむしろ壊せるのではないか」と述べ、仮に法案が成立しても、3年後の法律施行までの間に実施不能に追い込める可能性があることを述べた。また、「(国は)費用対効果の説明は絶対できない」とし、さらに、「健康保険の番号と共通番号をどうやって間違いなく対照させていくのかという作業は、自動的にはできない」と述べ、「この番号制というものは、私たちからすれば、ここから崩壊が始まるというふうに考えていいだろう」と締めくくった。