2013年3月10日(日)、北九州市小倉北区の勝山公園で「さよなら原発!3.10 北九州集会」が行われた。北九州市周辺では、九州電力の玄海原発(佐賀県)と四国電力の伊方原発(愛媛県)が、早ければ7月にも再稼働が模索されている。共に、北九州から約100kmの距離に位置するが、福島第一原発事故級の大事故が起これば、甚大な被害は免れない。
集会は、午前中からバンド演奏や大道芸などで幕を開けた。今回、真新しかったのは、北九州大学の大道芸愛好会による演技である。
午後からの本集会では、スペシャルゲストとして、ジャーナリストの広瀬隆氏と俳優の山本太郎氏が登壇し、現在の原発をめぐる問題や震災がれきの広域処理問題について、痛烈な批判を交えて語った。
- 10:00~ 祭りの広場開会・あいさつ・出店オープン
- 11:00~ オープニング(青い空合唱団)バンド演奏 Dady津田&チキビー+織田/ひなたぼっこバンド/北九大・大道芸愛好会/サックスソロ演奏(能美氏)
- 13:10~ 開会あいさつ/オープニング(夢限太鼓)
- 13:25~ トークライブ 広瀬隆氏・山本太郎氏/コーディネータ(深江氏)
- 14:00~ 主催者あいさつ・呼びかけ人あいさつ・福島原発被災者からの発言
- 14:46~ 黙祷
- 14:50~ 閉会あいさつ
- 15:00~ デモ・パレード Aコース 九電北九州支店まで/Bコース 小倉駅前まで
広瀬氏は「私の東京の自宅は、福島第一原発から約230キロだが、土を測るとチェルノブイリの汚染地帯と変わらない数値が出る。私は4人の孫がいるが心配でたまらない。福島では、検査した3万8千人の内、既に10人に甲状腺ガンや疑いが強い子供が見つかっているが、疫学的に言うと100倍~200倍の子供が既に甲状腺ガンになっている可能性が高い。これからどんどん増えていくだろう。言いたくはないが、そんな状態が東日本である」と語った。
また広瀬氏は玄海原発について、「昨年1ワットも発電をしていない。しかし維持費だけで年間約1000億円も使っている。止まっている全国の原発は、維持費と対策費で年間2兆円かかる。こんな電気を生まないものに、金を使っていいはずがない」と批判した。
震災がれきについては、「今、東京では魚はすべて九州産と書いてある。こんなところで、震災がれきの焼却はやって欲しくない。九州の皆さんは、この気持ちを全然わかってくれていない」と訴えた。
新たな代替エネルギーについて広瀬氏は、「関東では、3日に1度は地震が頻発している。私は、地震が起こるたびに気が気ではない。運転を停止していても、福島第一原発(4号機)は爆発した。原発に再び、火を入れてはいけない。たとえ運転を停止していても、運転中に熱をもっていたら冷やすのに膨大な時間がかかる。
自然エネルギーはいいが、自然エネルギーだけでは現実的ではない。欧米では、20年前からガスコンバインドサイクルが主流。最新のものは、原発の2倍のほぼ60%のエネルギー効率がある」とし、原発の再稼働には恒久的に強く反対した上で、現実的なエネルギーシフトの方策として、ガスコンバインドサイクルによる火力発電を強く推奨した。
次に登壇した山本太郎氏は、「玄海原発や川内原発を再稼働させない為に、九州電力の社長の前で1万人を集めたらどうか?効果的な反対の意思表明をしなければいけない。九州は、佐賀県(玄海原発)や鹿児島県(川内原発)など食料自給率の高い県にほど、原発が置かれている。東日本だけでなく、西日本が放射能で汚染されれば、いよいよ我々は行き場がなくなる」と批判。
北九州市での震災がれき焼却については、「本当に罪深いこと」と語り、「絆キャンペーンは、40億円の宣伝広告費が使われて、マスコミに多くの国民が騙された。しかし、震災がれきは、現地で十分に処理できる量。当初の予定よりも、ずいぶん早く(1年も前倒し)でがれきの受け入れが止まったのは、現地で全国に出すほどのがれきが無くなったから。震災がれきの広域処理は、九州まで震災がれきを運ぶのに輸送費だけで14億円もかけられ、復興予算がネコババされた。橋北九州市長や北九州市議会の罪は重い。どうして北九州市議会では、全会一致でその嘘を見抜けなかったのか?どうしてこれまで弱者に寄り添ってきた共産党まで、がれき焼却には反対しなかったのか?」と。共産党の関係者も多く参加するこの集会の中、北九州市政について厳しい口調で批判した。
集会はその後、福島原発被災者の生々しい生活の現状がスピーチされたあと、14時46分に黙祷が捧げれれ、小倉駅と九州電力(北九州支店)までのパレードで幕を閉じた。
最後に、集会を締めくくった深江守代表によると、共産党まで批判した山本太郎さんの発言に抗議して、一部参加者が開場を途中退場したという。
昨年の「さよなら原発!3・11北九州集会」集会の翌日、北九州市議会は共産党まで含め、全会一致で震災がれきの受け入れに賛成する決議を下した。
昨年、がれきの試験焼却が強行された際に、逮捕者を出した北九州市。
反原発、反被曝集会で、避けては通れないこの話題に、広瀬隆氏、山本太郎氏が言及。
4/5の27分あたりから、山本太郎氏が強く、がれきの広域処理が抱える問題ーー焼却によって拡散される放射性物質、化学物質、農薬のみならず、広域処理による復興予算の分捕り構造、「絆」の美名のもとに情緒的なすり替えが行われている実態、それらを見過ごした北九州市議会の責任などについて発言。
北九州市以外の方にも、ぜひ、見て知って共有してほしい内容です。