原水爆禁止日本国民会議(原水禁)が、「被曝78周年原水禁世界大会」と、放射能汚染水の海洋放出反対キャンペーン「ミライノウミ プロジェクト」という2つのテーマの記者会見を、2023年7月7日、東京都千代田区の連合会館で行った。
第1部の「被爆78周年原水禁世界大会」については、原水禁共同議長・大会共同実行委員長の藤本泰成氏があいさつ。今年の課題として、まず「核兵器廃絶」をあげ、ウクライナ紛争で、核抑止の問題が新たな形で現れたと指摘、G7の「ヒロシマ・ビジョン」を批判した。もう1つの課題は「放射能汚染水の海洋放出」で、韓国では政権を揺るがす大問題と訴えた。大会では、これらをテーマに国際シンポジウムが開催される。
続いて大会での具体的テーマを、原水禁事務局長・大会事務局長の谷雅志氏が紹介。まず原水禁の基本的テーマとして「被曝の実相」を学び、次世代につなげていくことをあげた。次に、核兵器禁止条約(TPNW)批准に消極的な岸田総理の、核兵器保有国と非保有国を「橋渡し」するとの説明に、戦争被爆国日本は、間に立つのでなく、核兵器をなくす流れの先頭に立つべきと主張。また日本の原発再推進への抵抗を訴えた。
最後に福島大会(7月30日)、広島大会(8月4日~6日)、長崎大会(8月7日~9日)の詳細を説明。特に福島の開会集会は「汚染水反対の総決起集会」として実施されるとのこと。
- 被爆78周年原水爆禁止世界大会・総合案内(原水禁ホームページ)
第2部の「ミライノウミ プロジェクト」については、まず、谷原水禁事務局長が概要を説明。立ち上げのきっかけは、「ALPS処理水は安全」との広告で、生活者が放出もやむなしと諦めることへの懸念という。長期間続く問題を鑑み、未来への責任の観点からも、「反対」だけに特化せず、「こうありたい」との発信をしたいという。
プロジェクトの「主張」として、「汚染水海洋放出に反対」「政府・東電が主張する安全性に反証」など7項目をあげた。「思い描くミライ」として、「原発事故で放出された放射性物質を恐れることのない安全な暮らし」など。「具体的なとりくみ」は、署名、多言語ホームページ(7月17日「海の日」開始予定)、ショートムービーなど。呼びかけ団体は、原子力情報資料室、原水禁、福島県平和フォーラムだが、賛同団体・個人を募り、反対運動のプラットフォームをめざすという。海洋放出強行の場合は放出を止める運動にするとのこと。
続いて、原子力資料情報室事務局長の松久保肇氏が、「そもそもなぜ汚染水を放出しなければならないのか」と根本的疑問を提示。政府・東電は、放出は、廃炉のために土地が必要だからと言うが、そもそも廃炉最大の難関、880トンのデブリの取り出しは、やっとグラム単位での取り出しができるかという状況で、廃炉後の建屋の処理も未定、廃炉時の放射性廃棄物を置く土地の使用計画もない状況にもかかわらず、「土地が必要」とは、「そもそも説明になっていない」と厳しく批判した。
次に福島県平和フォーラム事務局長の引地力男氏が、リモートで登壇。IAEAの報告書も出され、いつ放出されてもおかしくない状況とした上で、「各国の原発から出されるトリチウムより少ないというが、稼働原発と福島第一原発の汚染水は全く違う。福島第一原発のはデブリに触れた汚染水だ」「汚染水にはトリチウム以外の核種も多く入っており、それを薄めたからいいのか? 福島だけの問題でなく、全世界の人に考えてほしい」と訴えた。
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