8月29日、ドイツ・ベルリンで約3万8000人が参加する大規模な「反コロナ」デモが実施されたとBBCが報じている。右派の扇動者たちが石や瓶を投げていたとして、300人が逮捕されたということだが、一部に過激な行動をした者がいたとしても、ほとんどの参加者は平和的にデモをしていたということである。
ブランデンブルク門の前に集まった約1万8000人の参加者に対し、警察が「ソーシャルディスタンスを守っていない」としてデモを強制解散させた。時事ドットコムによれば、これに怒った参加者が石や瓶を投げて抵抗し、極右政党「ドイツのための選択肢」が「メルケル辞めろ」と連呼していたという。その他、同じ8月29日に、 ロンドン・トラファルガー広場でも約1000人、パリでも約300人が集まり、「ワクチン強制接種」や「マスク着用」に抗議したということである。
日本の「反コロナ」「反マスク」「反ワクチン」は連動し始めた!?
こうした動向は、日本でも広がっている。国民主権党の平塚正幸氏は8月9日に渋谷でマスクを着用しないデモ「第10回クラスターデモ」を行い、その後、マスクを着けずに山手線に乗り一周する「クラスタージャック」を決行した。この中に、自覚症状のない陽性者が混じっていれば、この集団内部にも、同じ車両に乗りあわせた人々にも感染させた可能性がある。
▲国民主権党のHP
また、8月24日には、「新型コロナウイルスは存在しない」「コッホの4原則の条件に新型コロナウイルスは満たしていない」と主張する徳島大学の大橋眞名誉教授が、議員会館の院内集会という形で、講演会を開き、110数名がマスクなしで参加した(IWJスタッフを除く)。その講演会は5時間にも及んた。
▲大橋眞・徳島大学名誉教授(徳島大学のHPより)
日本での「反コロナ」「反マスク」「反ワクチン」主義者は、バラバラではあるものの、連動する動きもみられ、新型コロナウイルスに対する、多くの人々の、感染予防行動の努力を台なしにする可能性がある。
これは、いうならば、「権利」と「権利」のぶつかりあいである。
「マスクをしない自由」「マスクをしない権利」を声高に叫んで行動する人々の「自由」や「権利」を認めるとしても、コロナを恐れ、マスクをして感染しない・させない予防行動を徹底している他の大ぜいの人々を脅かし、巻き込んで、彼らの「予防する権利や自由」を侵害していい、という理屈にはなりらない。
ベルリンの「反コロナ」デモに、ロバート・ケネディ・ジュニアが登壇!
29日に、ベルリンで行われた 「反コロナ」デモには5000人もの参加者が集まった。その規模も桁違いだが、著名な弁護士で、元司法長官のロバート・ケネディの息子である、ロバート・ケネディ・ジュニアが集会に登場し、12分30秒のスピーチを行ったことでさらに注目を集めた。
▲ロバート・ケネディ・ジュニア氏のインスタグラム
ロバート・ケネディ・ジュニア氏は、政治的には民主党であり、これまで米国における「反マスク運動」の中心になっていたトランプ支持者、共和党支持者とは別の立ち位置である。
ロバート・ケネディ・ジュニア氏は、その演説の中で、デモに集まった人たちは「(ナチズムの支持者ではなく)民主主義を愛する人々」、「人間の尊厳、政治的自由」を重視する人々だと述べている。
「私たちは」、「開かれた政府」と、「嘘をつくことのないリーダー」、「製薬業界に利権を持たず、大手製薬会社ではなく、私たちのために働いてくれる医療関係者を求めている」と聴衆に語りかけた。
これまで「反マスク運動」を担い、新型コロナウイルスを軽視するのは極右的な勢力だと思われてきた。しかし、ベルリンでの平和的な行進と ロバート・ケネディ・ジュニア氏の登場は、「反コロナ」運動がさらに社会に浸透したポピュリズム運動になってきたことを示している。
ロバート・ケネディ・ジュニア氏は、環境法の専門家であるとともに、『リバーキーパーズ―ハドソン川再生の闘い』(朝日新聞社、2000)などで知られる著名な環境活動家であり、最近では「反ワクチン」活動家として知られている。
ビル・ゲイツとアンソニー・ファウチがコロナ・パンデミックを計画!?
ロバート・ケネディ・ジュニア氏は演説の中で、「(マイクロソフトの創始者である)ビル・ゲイツや(米国立アレルギー・感染症研究所長の)アンソニー・ファウチ」のように、製薬業界と深いつながりのある人々が、このパンデミックを計画したかもしれないと婉曲に述べている。
▲ビル・ゲイツ氏(Wikipediaより)