任期満了にともなう東京都知事選挙の告示日(6月18日)まで1ヶ月となった5月18日、自民党の下村博文選挙対策委員長と安倍晋三総理が会談を行い、自民党の独自候補擁立見送りの方針を確認したことが報じられた。
- 自民、都知事選に擁立見送り 首相「やむを得ない」(朝日新聞デジタル、2020年5月18日)
小池百合子都知事はまだ出馬表明を行なっていないが、再選出馬は確実視されている。自民党はコロナ対策で連日メディアに顔を出す小池氏との対決を避け、求められれば小池氏に推薦を出す方向だ。都知事選の投開票は7月5日となる。
2016年7月に当選した小池都知事は、翌2017年8月、突如「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式」に、追悼文を送らない方針を決めた。
関東大震災が発生した9月1日、都立横網町公園(東京都墨田区)内の東京都慰霊堂では、毎年「東京都慰霊協会」主催の大法要が行われる。この大法要には毎年、秋篠宮家が参列している。この大法要と同じ日、同じ公園内の朝鮮人犠牲者追悼碑前で、日朝協会などによる「9.1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典実行委員会」主催の「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式」が行われている。追悼式には毎年、歴代都知事が追悼文を送ってきた。
小池都知事の方針変更は「関東大震災での朝鮮人虐殺の事実を否定するもの」として、市民から知識人まで、抗議の声が大きく広がった。
- 「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式」に、追悼文を送らない方針を決めた小池百合子都知事に都庁前で『九月、東京の路上で』を読み聞かせ!?~「小池知事は歴史を直視しろ」!! 2017.8.31
- 【抗議声明/声明とりまとめ:加藤直樹(「九月、東京の路上で」著者)】東京都に朝鮮人犠牲者追悼式典への「誓約書」要請の再考と横網町公園の趣旨に反する集会への対処を求める 2020.6.11
その後も毎年、多くの抗議の声にもかかわらず小池都知事は追悼文を送っていないが、近年では村山富市氏、鳩山由紀夫氏など、総理大臣経験者からの追悼の辞も寄せられている。
その一方、小池都知事が追悼文送付をやめた2017年以来毎年、9月1日に行われる追悼式典の目と鼻の先、ほんの30mほど離れた場所で、在特会(在日特権を許さない市民の会)とも関係の深い女性極右ヘイト団体「日本女性の会 そよ風」が「真実の関東大震災 石原町犠牲者慰霊祭」と称して「地元震災犠牲者の慰霊祭」を装い、関東大震災時に「不逞朝鮮人が震災に乗じて略奪、暴行、強姦を行い、日本人が虐殺された」などと、デマにもとづくヘイトスピーチを行なってきた。