8月7日、東京電力福島第一原子力発電所3号機の燃料プールから使用済み燃料を取り出すための「燃料取扱機」が、原子力規制庁による使用前検査の真っ最中、検査官が注視する中で警報を発して停止するというトラブルを引き起こした。
3号機の使用済燃料プールには、現在566体の燃料がある。こうした燃料棒を、被災した原子炉建屋からより安全な共用プールへ移動するために、「燃料取扱機」が用いられる。プール内の燃料を直接つかんで、構内輸送容器へ装填、その後共用プールへ輸送するというプロセスのために必要な、最も重要な機器が不具合を起こしてしまったのだ。廃炉のための中長期ロードマップで、東電自身が示した2018年11月中の「燃料取り出し」に黄色信号がともった形だ。
燃料取り出しにはこの「燃料取扱機」とあわせて、燃料が装填された輸送容器を地上の輸送車両に降ろすためのクレーンがあるが、この米国製のクレーンも5月に輸出時の電圧設定ミスから、2か月間原因がわからないまま試運転にも入れない状態が続いていた。
8月8日の会見では、この「燃料取扱機」のトラブルの発表に関して資料も用意せず、また説明も事実関係が二転三転して、会見は紛糾。
翌9日が奇しくも「原子力安全改革プラン進捗報告(2018年度第1四半期)記者会見」が開かれるとあって、記者からは「この公表の仕方は上層部から圧力があったのではないか」との質問も飛びだした。東電広報はその姿勢までも問われる結果となった。