大阪地検特捜部が2018年5月31日、森友学園への国有地払い下げをめぐる問題で告発されていた財務省幹部ら38人全員を不起訴処分とした。この不起訴処分を受け、背任と証拠隠滅の罪で、佐川宣寿(のぶひさ)・理財局長(当時)や美並義人・近畿財務局長、池田靖・国有財産管理官(当時)を告発していた「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」が6月4日、大阪検察審査会に審査を申し立て、記者会見に臨んだ。
- 森友問題、検察審査会に申し立て 佐川氏らの不起訴不服(朝日新聞、2018年6月4日)
午前10時30分から、東京・霞が関の司法記者クラブで行われた記者会見には、東京大学名誉教授で同会の呼びかけ人・醍醐聰教授、申立代理人のひとりの澤藤統一郎弁護士、そして、いずれも申立人の、「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」事務局の渡邊力氏、老人党リアルグループ「護憲+」管理人の笹井明子氏、児童文学作家の佐々木江利子氏が出席した。
2017年11月28日の衆院予算委員会で、与党公明党の竹内譲衆院議員が、「地中の埋蔵物を放っておくと、瑕疵担保責任が問われて、大変なことになる」例として、豊中市が新関西国際空港株式会社から給食センター建設を目的として土地を購入した際、ボーリング調査で大量のコンクリートがらなどが出たケースを引き合いに出している。
これに対して、豊中市はゴミ撤去費用として14億3000万円を新関西国際空港に求め、現在協議中。
しかし、醍醐教授は、給食センターの例を出すことについて、語気を強めながら次のように述べた。
「給食センターと森友学園では、二つの点で全く違う! 埋設されていたゴミが森友学園のような生活ゴミではなく、コンクリートがらなどであり、撤去しなければ建設工事ができなかった。そして、豊中市は実際に撤去工事をして、損害賠償請求している。森友のケースでは、政府は『ゴミを撤去するかどうかは、最終的に買い主の判断だから、我々はとやかく言わない』と言っているではないか!」
そして醍醐教授は、大阪地検特捜部が下した不起訴処分の判断については、「前代未聞の悪しき判例を残した、恥ずべき不起訴決定だ!!」と断じた。
また、申立代理人の澤藤統一郎弁護士は記者会見前日の6月3日、自身のブログで大阪検察審査会の審査員にこう呼びかけている。
「審査員皆様の任務は、被疑者・被告発人の有罪を断定するものではありません。あくまで、本件が裁判官に有罪か無罪かを判断してもらうにふさわしい事案であるかどうかの判断なのです。その意味では、過度に有罪の確信にこだわる必要はありません」
- 大阪検察審査員の皆様に訴えます(澤藤統一郎の憲法日記、2018年6月3日)
IWJはこの呼びかけについて、改めて真意を質問すると、澤藤弁護士は次のように述べた。
「審査員の皆様にご理解いただきたいのは、最終的な責任をあなたが負うわけではないということ。あなたが佐川氏らを有罪と断定するのではない。裁判所の判断を仰ぐにふさわしい疑惑がある事件と判断されるのなら、不起訴不当、起訴相当と考えていいのです」
IWJではこの他、森友学園をめぐる問題を最初に追及した木村真市議の岩上安身によるインタビューや、保釈直後の籠池泰典・諄子夫妻の記者会見をはじめ、数多くのコンテンツで森友学園の問題に迫っている。ぜひご覧いただきたい。
会見翌日の6月5日には、神戸学院大学の上脇博之教授らが大阪検察審査会に審査を申し立てた。IWJでは、上脇教授にも近畿財務局の「相談記録」が開示された際に、岩上安身がインタビューしている。