2016年12月23日(金)東京都千代田区内で、ブラック企業大賞実行委員会による「第5回 ブラック企業大賞2016」授賞式&シンポジウムが行われた。
大賞に選ばれたのは、2015年末に新入社員・高橋まつりさんが過労自殺をして今年の9月30日に労災認定されたことで過酷な労働実態が明らかになった、大手広告代理店の電通だった。
(取材・文:城石裕幸)
※1月13日テキストを追加しました!|特集 芸能と権力とメディアの癒着の闇
2016年12月23日(金)東京都千代田区内で、ブラック企業大賞実行委員会による「第5回 ブラック企業大賞2016」授賞式&シンポジウムが行われた。
大賞に選ばれたのは、2015年末に新入社員・高橋まつりさんが過労自殺をして今年の9月30日に労災認定されたことで過酷な労働実態が明らかになった、大手広告代理店の電通だった。
■ハイライト
ノミネート企業の発表に際しては、11月9日に厚生労働省が主催した「過労死等防止対策推進シンポジウム」に登壇した高橋さんの母・幸美さんの発言が紹介された。読み上げる司会者が、涙で言葉を詰まらせる場面も見られた。
電通の過酷な労働実態については、IWJ代表の岩上安身が元博報堂社員で、『電通と原発報道』『原発プロパガンダ』等の著者である本間龍氏にインタビューをしてお聞きしている。ぜひ、以下の記事もあわせてお読みいただきたい。
また、授賞式後の実行委員によるシンポジウムでは、芸能プロダクションの株式会社ジャニーズ事務所をノミネート企業にしてほしいと希望するメールや手紙が、実行委員会宛てにSMAPのファンなどから多数寄せられたことが、明らかにされた。
実行委員の河添誠氏は「SMAPの解散にいたる経緯から『ジャニーズ事務所はブラック企業ではないか』という多くの声に実行委員会も検討はしたものの、ノミネートの基準に達していなかった。しかし、たしかに様々な問題がありそうな企業だ」と語った。
実行委員会によれば、「ブラック企業」とは、①労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業、②パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人(学校法人、社会福祉法人、官公庁や公営企業、医療機関なども含む)である。
また、「ノミネート基準」とは、裁判において企業側の非が確定した案件や、行政処分がなされた企業など、広く社会的に明白に問題があるとされたかどうか、である。
過去には、2012年に東京電力、2013年にワタミフードサービス、2014年にヤマダ電機、2015年にセブン-イレブン・ジャパンが不名誉な大賞を受賞している。
2012年に大賞を受賞した東電の労働環境については、福島第一原発事故後の賠償業務に従事するうちにうつ病を発症し、自力で労災申請をするとともに東電の内部の状況を告発、東電からは解雇を言い渡された一井唯史氏に岩上安身が単独ロングインタビューを行っている。一井氏の「告発」をくわしく伝えたメディアは、2017年に年が改まった1月時点でもまだ、IWJのみである。ぜひ、こちらのインタビューもご視聴いただきたい。
なお、「ブラック企業大賞」の授賞式の模様は、2013年、2015年にもIWJが取材しているので、こちらもぜひ、ご視聴いただきたい。