運用されない「子ども被災者支援法」に“しびれ”切らした市民たち!海渡弁護士「国がやらないのであれば、民間で実現していこう」〜療養費給付事業「3.11甲状腺がん子ども基金」受付開始! 2016.11.28

記事公開日:2016.12.8取材地: テキスト動画
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(取材・文 青木浩文)

 「『これはあきらかに福島原発事故起源ではない』というように、因果関係が明確に否定されないかぎり全部支給する。それが我々の基準です 」

 東京電力福島第一原発事故以降に甲状腺がんと診断された子どもに対して、経済的支援を行う「3.11甲状腺がん子ども基金」は、2016年11月28日都内で記者会見を行い、「手のひらサポート」事業(療養費給付事業)の申請受付を開始することを発表した。

 全国からの約480件の寄付金があり、2千万円強が集まったという。第1期の療養費給付申請の受け付けは、今年12月1日から来年3月31日まで行う。

■ハイライト

  • 出席者 崎山比早子氏(代表理事)、海渡雄一氏(副代表理事)、河合弘之氏(理事)、吉田由布子氏(理事)
  • 日時 2016年11月28日(月) 10:30~
  • 場所 日比谷図書文化館(東京都千代田区)

 給付対象者は、原発事故以降に甲状腺癌やその疑いがあると診断され、1都14県(東京都、岩手県、宮城県、山形県、福島県、新潟県、栃木県、群馬県、茨城県、千葉県、埼玉県、神奈川県、静岡県、山梨県、長野県)に住む25歳以下の患者らで、同基金から療養費10万円を給付する。また、アイソトープ治療(放射性ヨウ素治療)の必要があると診断された患者には追加で10万円を給付するとした。

▲同基金の理事を務める弁護士の海渡雄一氏(左)と代表理事で医学博士である崎山比早子氏

▲同基金の理事を務める弁護士の海渡雄一氏(左)と代表理事で医学博士である崎山比早子氏

海渡弁護士「国がやらないのであれば、民間で実現していこう」〜療養費給付事業「3.11甲状腺がん子ども基金」受付開始!

 同基金の理事を務める海渡雄一弁護士は、「この基金の重要なポリシーは(福島原発事故との)科学的因果関係を問わずに、甲状腺がんにかかった子どもは、あまねく支援していくというもの。これは、2012年に制定された『子ども被災者支援法』の考え方だと思う」と語った。

 「しかし、その後の政府の施策によってほとんど顧みられることがなく、この考え方自身は法律のなかには書かれているけれども、実現せずにいる」

 その上で、海渡氏は「科学的な因果関係を問わずに支援していくということを国がやらないのであれば、まずは民間でお金を集めて実現していこうではないか」と、この療養費給付事業に込める思いを語った。

 2013年5月27日、国連人権理事会が選任した特別報告者・アナンド・グローバー氏は、「『子ども被災者支援法』の基本計画策定に際し、住民の参加を確保すること」などの勧告を発表した。その発表を受けての日本政府の対応は、不十分かつ不誠実であったとして、市民から批判の声が上がっている。詳細については、下記の記事もあわせてお読みいただきたい。

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