安倍総理がTPPをゴリ押しする理由とは!?山田正彦元農水大臣「批准しなくても、日米の財界のために国内法を変えようとしている」~TPPを批准させない!採決強行を許すな!座り込み行動 2016.11.25

記事公開日:2016.11.26取材地: テキスト動画
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(取材・文:ぎぎまき)

特集 TPP問題
※12月9日テキストを追加しました!

 トランプ次期大統領が来年1月20日の就任初日に「TPPを離脱する」と、11月21日に公言したことで、協定の発効はもはやありえないという状況になった。にもかかわらず、安倍政権はTPP推進の政府方針には変更はないと、臨時国会を延長してまで承認案や関連法案の成立を目指している。

 国際条約は衆院が優先されるため、仮に参院で可決に至らなくても、30日経てば自動承認されるというルールがある。12月9日がその自動承認の日である。しかし、安倍政権は自動承認を待つ気はさらさらないらしい。11月11日には参院で審議に入っており、12月9日には採決に進むというから異常である。

 参議院TPP特別委員会でいわゆる中央公聴会が開かれた2016年11月25日、参議院議員会館前では、TPP協定に反対する座り込み行動が行われた。”STOP TPP”と印字されたネクタイやバッジをつけ、毎日のように座り込み行動を続けてきた元農林水産大臣の山田正彦氏は、「安倍政権はTPP協定に沿って国内法を変えようとしている」と訴え、協定が漂流したと言われる状況でも気を抜かず、TPP反対の声をあげ続ける必要性を訴えた。

▲山田正彦元農水相

▲山田正彦元農水相

 安倍総理は「TPPの発効が非常に厳しい状況にあることは認識している」と答弁しながらも、TPPをゴリ押ししようとしている。いったいなぜなのか。山田氏はIWJのインタビューに対し次のような見解を述べた。

 「発効できないのにやろうとするなんて考えられないこと。だが、安倍政権はTPP協定を生かしておくことで国内法を変え、日米の財界の言いなりになろうとしているのだろう。国民の生活を無視して一部の利益のために国内法を変えるなんて許されない」

 トランプ氏の協定離脱発言にともない「TPPはもう紙切れ同然だ」という声も聞こえてくる。しかし、山田氏は同協定が座礁したとしても、形を変えた新たな経済連携協定が現れるだろうと警鐘を鳴らす。

 「米韓FTAのように、今後『日米FTA』も出てくる可能性がある。(TPPが無理でも)形を変えた新しいTPP協定のようなものをワシントンの連中たちは考えるだろう。我々は大企業のためのグローバリゼーションを絶対に許してはいけない。

 自由貿易よりも、トランプ氏が言っているように、各国内で内需中心で頑張らなければ。食糧、医療、介護、教育、水道を守るために自主関税は必要です」

■ハイライト

政府がTPPを急ぐ理由はTPP利権!? 反対の声が拡大する前に法案を通せ!安倍政権がゴリ押しする別の狙い

 山田氏は座り込み抗議のスピーチで、「TPP承認案や関連法案の廃案に向けて、何としても会期延長に断固反対しよう」と訴えたが、4日後の29日、衆議院本会議で国会会期の14日間延長が承認された。政府与党はTPPを何としても押し通す構えなのだ。

 日本政府はこれまでに「攻めの農林水産業への転換」「地域の『稼ぐ力』強化」「新たな市場開拓支援」などと題された、約1兆1900億円の関連予算を組み、協定の発効に備え、すでに4800億円を超える予算を使い込んでいる。安倍政権がTPPから引かない理由に、「すでにTPP利権ができ上がっているのでは」と指摘する声もある。

 政府が急ぐ理由は他にもまだある。国会での審議時間が長引くほど、TPPの中身が国民に徐々に知られることになる。反対の声が拡大する前に法案を通してしまいたいという狙いが透けてみえる。

 10月26日に行われた岩上安身によるインタビューで山田氏は、「(TPP協定の)中身の議論をしたら、政府が国民に出している情報が『嘘』だということがバレてしまう」と話し、政府が出している協定の仮訳6300ページには、いたるところに「罠」がしかけられ、700ヶ所以上では誤訳が見つかっていると指摘した。そんないい加減な情報をもとに、政府はTPPの承認案と関連法案を成立させようとしているのである。これがまともな国民国家の政府の姿であろうか。

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