トランプ次期大統領が来年1月20日の就任初日に「TPPを離脱する」と、11月21日に公言したことで、協定の発効はもはやありえないという状況になった。にもかかわらず、安倍政権はTPP推進の政府方針には変更はないと、臨時国会を延長してまで承認案や関連法案の成立を目指している。
国際条約は衆院が優先されるため、仮に参院で可決に至らなくても、30日経てば自動承認されるというルールがある。12月9日がその自動承認の日である。しかし、安倍政権は自動承認を待つ気はさらさらないらしい。11月11日には参院で審議に入っており、12月9日には採決に進むというから異常である。
参議院TPP特別委員会でいわゆる中央公聴会が開かれた2016年11月25日、参議院議員会館前では、TPP協定に反対する座り込み行動が行われた。”STOP TPP”と印字されたネクタイやバッジをつけ、毎日のように座り込み行動を続けてきた元農林水産大臣の山田正彦氏は、「安倍政権はTPP協定に沿って国内法を変えようとしている」と訴え、協定が漂流したと言われる状況でも気を抜かず、TPP反対の声をあげ続ける必要性を訴えた。
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安倍総理は「TPPの発効が非常に厳しい状況にあることは認識している」と答弁しながらも、TPPをゴリ押ししようとしている。いったいなぜなのか。山田氏はIWJのインタビューに対し次のような見解を述べた。
「発効できないのにやろうとするなんて考えられないこと。だが、安倍政権はTPP協定を生かしておくことで国内法を変え、日米の財界の言いなりになろうとしているのだろう。国民の生活を無視して一部の利益のために国内法を変えるなんて許されない」
トランプ氏の協定離脱発言にともない「TPPはもう紙切れ同然だ」という声も聞こえてくる。しかし、山田氏は同協定が座礁したとしても、形を変えた新たな経済連携協定が現れるだろうと警鐘を鳴らす。
「米韓FTAのように、今後『日米FTA』も出てくる可能性がある。(TPPが無理でも)形を変えた新しいTPP協定のようなものをワシントンの連中たちは考えるだろう。我々は大企業のためのグローバリゼーションを絶対に許してはいけない。
自由貿易よりも、トランプ氏が言っているように、各国内で内需中心で頑張らなければ。食糧、医療、介護、教育、水道を守るために自主関税は必要です」