「いくら理不尽を、本土に向かって訴えても、政府からは対応らしきものは一切なされない。しかも、中国や北朝鮮との緊張の高まりを理由に、沖縄への米軍基地新設を積極的に求める声すら、本土からは聞こえてくる」──。
2014年4月26日(土)、東京都内の法政大学市ヶ谷キャンパスで、普天間・辺野古問題を考える会と法政大沖縄文化研究所の共催で、シンポジウム「沖縄の問いにどう応えるか ―北東アジアの平和と普天間・辺野古問題」が開かれ、ノーベル賞作家の大江健三郎氏、琉球大学教授の我部政明氏、オーストラリアの歴史学者、ガバン・マコーマック氏(オーストラリア国立大名誉教授)が講演を行った。
この日の登壇者たちに共通していたのは、「すでに沖縄は、本土を見限り始めているのではないか」との認識である。この集会のために沖縄からやってきたスピーカーからは、本土を突き放すような発言も見られた。
冒頭、あいさつに立った法政大学総長の田中優子氏は、「江戸時代には『沖縄』と呼ばれた場所はなく、琉球王国という独立国が存在しており、その石高(こくだか)を薩摩藩に収奪されていた」と指摘した。「当時、江戸幕府は琉球王国をひとつの王国として認めつつも、同時に幕藩体制の下で収奪を行っていたのだ。この二重性は、今の日本の、本土と沖縄の関係に十分に重なる」。
田中氏は「沖縄は1972年に日本へ、いわゆる『復帰』を果たした。しかし、沖縄の人たちの立場に立てば、『日本国憲法は、自分たちに適用されているの?』という疑問が沸いてくる」と言葉を重ね、「沖縄の人たちは、その疑問を、本土に暮らすわれわれに向かって、『どう思うのか』と繰り返しぶつけている」と強調した。