日本が戦争のできる国になるかどうか、瀬戸際の攻防が国会内外で続く。
安保関連法案が参院で審議入りした週の2015年7月31日(金)、学生ら有志「SEALDs」が国会前で9回目となる抗議集会を開き、法案を数の力で押し通そうとする安倍政権に怒りの声を上げ、法案の撤回を求めた。
この日の集会には25000人(主催者発表)が参加し、「安倍は辞めろ!」「憲法守れ!」「民主主義って何だ!」「火事と戦争一緒にするな!」とコールを合わせた。
(取材:ぎぎまき、芹沢あんず、川島安乃 写真:記事・原佑介)
日本が戦争のできる国になるかどうか、瀬戸際の攻防が国会内外で続く。
安保関連法案が参院で審議入りした週の2015年7月31日(金)、学生ら有志「SEALDs」が国会前で9回目となる抗議集会を開き、法案を数の力で押し通そうとする安倍政権に怒りの声を上げ、法案の撤回を求めた。
この日の集会には25000人(主催者発表)が参加し、「安倍は辞めろ!」「憲法守れ!」「民主主義って何だ!」「火事と戦争一緒にするな!」とコールを合わせた。
記事目次
■ハイライト
国会前の抗議開始と同時にスピーチに立ったのは、早稲田大・水島朝穂教授(憲法学)だ。この日は国会前の集会に先んじて、「安全保障関連法案に反対する学者の会」とSEALDsが共同で屋内集会、国会請願デモを行っていたが、水島教授は屋内集会から参加していた。
「憲法で飯を食っている人間がここに来ないのは、やっぱりヤバイ、ということで今日、初めて来て、感動しました」
1989年、ベルリンの壁崩壊当時、東ベルリンに住んでいたという水島教授は、今回、SEALDsのデモに参加し、東ドイツの民主化を求めた市民たちの姿を思い出したという。当時、東ドイツでは、弾圧を恐れながらも民主化運動に取り組んだ市民がいた。最初はライプツィヒで1000人。継続していくたびに5000人、2万人、7万人と増えていったという。
「それを見たベルリンの人たちが『俺たちもやろうじゃないか』と言ったんです。89年の11月4日、アレクサンダー広場に100万人が集まった! 弾圧された政治指導者も立ち上がって、『We are the People』って言ったんですよ。『俺たちが人民だ』と。この5日後、ベルリンの壁が崩れたんです」
これを踏まえ、水島教授は「今、新しい民主主義が国会前で始まっている」と主張し、続ける。
「(デモのコールで)『民主主義って何だ』って問うたら、『これだ』と言っていた。私、憲法で33年、飯を食ってきましたが、今日、初めて、憲法が何だか分かりました。これなんですよ。俺たちが人民なんです。だから、それに反対する政権には退陣を願いましょう」
SEALDs KANSAI(シールズ関西)のメンバーで、神戸大学大学院の津田研人さんもこの日は国会前に駆けつけた。津田さんは小学校の頃に沖縄戦を勉強して以降、「戦争と平和」に関心を持つようになったという。
「安倍首相は戦争ができるようになることで、日本が普通の国になれると考えています。でも、普通って何でしょうか。他の国もやっているから日本もやらなければならないということでしょうか。しかし、他の国がやっていることは正しいことではなく、間違っていることなのです。
ベトナム戦争だって、アフガニスタン戦争だって、イラク戦争だって、自衛の名のもとに多くの人の命が奪われました。他の国もやっているから自分もやる、そんな馬鹿な考え方がありますか。間違っていることには、断固として間違っていると主張していく勇気が、本当に平和を作っていく上で必要とされているのではないしょうか」
さらに、「デモに参加すると就職できない」などといった無責任な言説、誹謗について「少なくとも僕たちがやってることは間違っていないし、否定されるべきではないことだと思います。僕たちの活動をちゃんと見てください。何も知らないのに、デモは危険というステレオタイプで見るのは、もうやめにしませんか」と呼びかけた。
集会では、8月2日(日)に渋谷で「戦争法案に反対する高校生によるデモ」を主催する、高校生らで構成される「T-ns Sowl(Teens stand up to oppose war law・ティーンズソウル)」のメンバーも挨拶した。
(…会員ページにつづく)