築地市場の移転予定地とされる豊洲新市場の「土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会」の第6回が、3月9日、築地市場講堂で行なわれた。
前回の開催が昨年2014年の2月24日で、1年以上ぶりの協議会の開催となった。さらに、今回の第6回の協議会は、昨年12月に開催予定を告知していたものの、開催前日になって急遽、開催延期をした経緯がある。
(IWJ・石川優)
特集 築地市場移転問題
築地市場の移転予定地とされる豊洲新市場の「土壌汚染対策工事と地下水管理に関する協議会」の第6回が、3月9日、築地市場講堂で行なわれた。
前回の開催が昨年2014年の2月24日で、1年以上ぶりの協議会の開催となった。さらに、今回の第6回の協議会は、昨年12月に開催予定を告知していたものの、開催前日になって急遽、開催延期をした経緯がある。
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※冒頭のみの撮影許可のため、短い動画となっております。
築地市場の移転で、移転推進の中心人物とも言える全国水産卸協会、東京都水産物卸売業者協会の伊藤裕康会長は、東京都に対して再度釘を刺した。
伊藤会長は、昨年2014年2月に、豊洲新市場の建設事業等について都と市場関係者とで協議する「新市場建設協議会」で、新市場のソフト・ハード面に関し都を徹底的に糾弾。市場関係者の間で懸念されている豊洲新市場の問題点を、公の場で指摘した。
この日は、昨年11月に開催された「土壌汚染対策工事に関する技術会議」での議論を踏まえて、協議会の委員に対し土壌汚染対策工事と地下水管理モニタリングなどについて、都から淡々と報告がなされた。
意見交換の時間になると、開口一番、伊藤会長が口火を切った。伊藤会長は、その日、取引先の仲卸業者と昼食を取っていたところ、築地の市場関係者の間で広がる土壌汚染問題に関する疑惑についての話題が出たことに言及。
伊藤会長は、仲卸業者から聞いた話として、土壌汚染対策工事をしたのち、汚染物質が環境基準値を超えてきてしまっているのではないか、といった話は、一部の市場関係者の間で広まっていたとし、こう発言した。
「土壌を全部入れ替えて、きれいにしたところが、段々、汚染が広がってきて、ベンゼンなどが、あと僅かで規制値にきてしまうと、私は聞いています。これじゃあ心配ですよね、というような話が出ました。これが噂というようなことなら、とんでもないこと。事実であれば、これもまた大きなこと」
実際に、東京都中央卸売市場のHPに掲載されている地下水モニタリングの第1回目の調査結果でも、5街区で、基準値に迫る値が検出されている。
これに対して、都は、5街区で高い値を検出された箇所は、2回目のモニタリングでは、ベンゼンが不検出だったことから「日付によって、値に変動がある」との見解を示した。
しかし、伊藤会長は「もし、基準値を超えちゃったら、どうするんですか」と、都に迫った。
若林茂樹・中央卸売市場基盤整備担当部長は、「状況をまず、確認させていただきたい。 対策の検討についても行なっていく必要がある場合には、専門家の知見をいただきながら、取り組んでいきたい。その場合は、この協議会で情報を共有し、意見交換を行なっていきたい」と答えた。
このベンゼン検出に関して、協議会委員の丸茂克美・富山大学理学部教授は、「数字が出ちゃうと、基準値以下だったとしても、ベンゼンがあるじゃないかと誤解が出ちゃう」
と指摘。都に対して可能なら対応してもらいたいこととして、次のように語った。
「都に降っている雨水の中にベンゼンがどれくらい入っているかのデータがあるはず。その濃度に比べて、著しく高かったら、仕方ない。雨水自身にもともと、ベンゼン入っていたら。それは、自動車を使う限り、ガソリンの中に必ずベンゼンが入っているから、それが回って大都会の雨水には必ずベンゼン入っちゃう。ごく微量ですが」
丸茂氏の提案は、高い値のベンゼンが検出された場合、雨水に含まれているベンゼンと比較するというもの。実際に、雨水の中には土壌汚染に影響するほどのベンゼンが含まれているのか。
築地市場の移転先、豊洲の汚染問題について詳しい、畑明郎・元日本環境学会会長は、IWJのメール取材に答え、「残置汚染により0.0083mg/Lとか、0.0074mg/Lという環境基準0.01mg/Lの7~8割に達しているので、将来的に基準値を超える可能性がある」と指摘。次のようにコメントした。
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