2014年11月26日(水)14時30分から、原子力規制庁庁舎で田中俊一規制委員会委員長定例記者会見が行われた。福島第一原発の事故対策の現状について、「もう少しリスク低減を考えてやってほしい」と苦言を呈し、周辺住民が安心できる方策を優先して行うよう要望した。
2014年11月26日(水)14時30分から、原子力規制庁庁舎で田中俊一規制委員会委員長定例記者会見が行われた。福島第一原発の事故対策の現状について、「もう少しリスク低減を考えてやってほしい」と苦言を呈し、周辺住民が安心できる方策を優先して行うよう要望した。
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11月26日午前に開催された第41回原子力規制委員会の中で、東京電力福島第一原子力発電所に関して、リスク低減のため、マイルストーンを設定することが提案され、中長期ロードマップにも反映させる必要があるとの考えを示した。
福島第一原子力発電所の対応については、「もう少しリスク低減を考えてやってほしい」と注文。リスクの大きさだけでなく、実現可能性も含めて提言を出し、それをふまえて議論することを要請した。
田中委員長は、現状の対策に対して「早くまわりの人が安心しできるような方策を優先的に進めていただきたい」と要望。事故後3年以上経っていながら、リスク低減や安心を得られることができていないことについて、「少し苦言に近いが具体的なことを申し上げた」とし、「若干しびれを切らしていると言ったほうがいい」と述べた。
他方、東京電力の廣瀬直己社長とは面談を通じて意見交換しており、現場環境の改善が進み、作業員の被曝低減が進んでいることを高評価。また、廃炉推進カンパニーが発足していることから、同カンパニーの増田尚宏CDOとも意見交換し、本音を聞く機会を持ちたいと述べた。
新規制基準適合性審査に関して、田中委員長は記者からの質問に答え、安全確保のために行ってきたが、再稼働の十分条件ではないと、これまでの主張を繰り返した。「このことでゼロリスクとは申し上げていない」とも明言し、国会でも何度も答えてきたことから、これ以降のことについはコメントすることはないと発言した。
午前の委員会で、南相馬市で見つかったセシウム基準値超えの玄米は、3号機がれき撤去が原因ではなく、2011年の事故以降にフォールアウトしたものが米に移行したとの見解が示された。
田中委員長は、これまでがれきによる汚染と言われてきたが、「そうでないことがほぼ確実になった」と発言。しかし、周囲の環境が汚染されており、それがどういう形で米に移行してきたかは「わかりません」と答えた。
現在でも、何が特定の原因なのかは、可能性を含めて何も言えない状況にあるとしながらも、「何もわかりません」では、かえって住民が心配になるため、はっきりさせる必要があると説明。その上で、今後同様なことが起きないようにするが、万が一起こっても、コントロール下におけることが住民にとっても大事だとの考えを示した。