新規制基準のもと、初めて、原発再稼働に必要である「地元の同意」がなされた。
鹿児島県議会が7日、臨時会の本会議で、川内原発再稼働を求める陳情を賛成多数で採択。その後、伊藤祐一郎知事は記者会見を開き、原発再稼働への同意を表明した。知事は薩摩川内市の岩切市長と同じく、再稼働を認めながらも「同意」という言葉遣いを避けた。
(取材・細井正治、記事・原佑介)
新規制基準のもと、初めて、原発再稼働に必要である「地元の同意」がなされた。
鹿児島県議会が7日、臨時会の本会議で、川内原発再稼働を求める陳情を賛成多数で採択。その後、伊藤祐一郎知事は記者会見を開き、原発再稼働への同意を表明した。知事は薩摩川内市の岩切市長と同じく、再稼働を認めながらも「同意」という言葉遣いを避けた。
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※会見の模様は、動画開始後7分頃から51分頃までとなります。
以下、会見の模様をお伝えする。
伊藤知事「川内原発の再稼働については、諸般の状況を考え、『やむを得ない』と判断いたしました。政府の方針については、小渕優子前経産大臣から文書をいただき、再稼働の前提となる安全性が確保され、国が責任を持って対処することを明確にしていただきました。
また、宮沢大臣にも文書でエネルギー政策などについて説明いただきました。安全性の確保については、規制委員会で1年以上、新規制基準に基づく厳格な審査が行われました。世界最高水準の安全性は担保されたと田中委員長も言っています。
そのうえで、県では1日も早い再稼働を求める陳情が採択されたことで、議会の意向が示されました。立地自治体の薩摩川内市、岩切市長からも同様の意向が示されています。原発から10キロ圏内の避難計画は終了しており、国の原子力防災会議でも合理的なものだと了承されました。
避難計画の説明会を25回実施し、規制庁にも来ていただいて、5度、住民説明会を実施し、さらにエネルギー政策についての追加説明会も開催しました。住民の理解の補助に寄与したと思っています。今後も、あらゆる機会でさらに県民の理解を進めたいと思います。
国には、次のように要望します。実際の再稼働までにはまだ手続きがあるので、事業者の手続きが適性であることを、規制委のほうで厳格にみていただきたい。また、安全対策については、引き続き政府に配慮をお願いしたい。事故でUPZ(緊急時区域)の対象となる市町が30km内にまで増えたので、新たな地域振興策も具体的に提示して欲しいと思います。
九電には、安全性の確保を最大の目標に発電所を運転していただき、もし事故やトラブルが発生したら、すぐに正確な情報提供をし、事故の原因究明に努めてほしいと思います。また、国や県との連携に努め、地域振興策に協力することをお願いしたいと思います」
続いて、質疑応答へ。
幹事社「同意ではなく、『やむを得ない』と表現する意図は何でしょう」
伊藤知事「エネルギー問題などの諸般の情勢を判断すると、『当分の間は原発を活用せざるを得ない』という意味で『やむを得ない』ということです」
幹事社「知事の同意責任についてのお考えをお聞かせください」
伊藤知事「大変重い判断をしました。身を引き締めて、役割を果たせるかを考えていきたいと思いますし、厳格な気持ちで臨みたいと思います」
朝日新聞「『やむを得ない』というのは、同意したとみてもいいですか?」
伊藤知事「『地元の同意』が法的要件になっていないことを考えると、必ずしもそこを整理しなくていいと思いますが、九電には了承する、国には理解する、という立場から、『やむを得ない』という言葉を使いました」
朝日「なぜ同意と言わないのでしょう?」
伊藤知事「再稼働には賛否いろんな意見があるので同意とは言えませんが、しかし、いろんなことを考えると、日本はまだ原発を活用する以外に道はない、という意味で『やむを得ない』という言葉を使いました」
西日本新聞「要援護者の避難計画が不十分だとも言われていますが」
伊藤知事「避難計画ですが、鹿児島は案外スムーズに進むと思います。要援護者の支援計画も来年(2015年)2月にはできると思う。その次は実効性です。実効性について、法律の問題などを指摘する人もいますが、日本は災害が多発する国で、これまで多くの事例もあります。広島の大水害では、自衛隊などが動き、的確な避難を導きました。原発事故でも、あまり心配する必要はないと思います。
したがって、再稼働の『同意』の範囲も、従来のスキームでいい。一律に同意を得る範囲を拡大して、原発についての知識が薄い自治体が一定の結論を出す、というのは、必ずしもいいわけではありません。UPZ圏内に11人の住民が住む姶良市は、市議会で廃炉決議をしました(笑)。UPZ圏内に11人が住んでいるからといって廃炉にするかね? と思います」
(…会員ページにつづく)