国家公安委員長・拉致問題担当大臣の山谷えり子氏が9月25日、日本外国特派員協会で記者会見を行った。29日に開催される中国の瀋陽での日朝局長級協議を前に、拉致問題担当相としての取り組みについて述べた。
一方、会見場に集まった記者の質問は、取り沙汰されている山谷氏と在特会を巡る問題に集中。ヘイトスピーチ、ヘイトクライムに対し、国家公安委員長としてどのような認識を持っているのかを問う質問も相次いだ。
「在特会と、この組織が象徴するやり方や感情を、この場で無条件に退ける意志があるか」という問いに対しては、「一般論として、いろいろな組織について、コメントをするというのは、適切ではないと考えております」と、はっきりした立場を示さなかった。
山谷氏は、在特会の関西支部長だった増木重夫氏と、少なくとも2枚の写真を一緒に撮っていたことが分かっている。この増木氏との関係について山谷氏は、「その増木さんという方が、在特会の関係者ということは存じ上げておりません」とこれまでの説明を繰り返した。また、増木氏と初めて会った時期や、これまで何度会ったことがあるのかについても、記憶はないという。
「在日特権」はあるのか
会見中、最も紛糾したのは、最後に出たTBSラジオからの質問に山谷氏が答える場面だ。TBSラジオの番組「荻上チキ・Session-22」では18日、山谷氏に対して、書面による質問状を送っている。その回答の中で、山谷氏の在特会に対する認識は、次のように語られている。
質問に立ったTBSラジオ関係者がこの一節を読み上げ、「在日韓国人・朝鮮人問題」および「在日特権」とは何を指すのかと質した。これに対する山谷氏の返答は、次のようなものだ。
「このところ、ほんとうにたくさんの取材を受け、たくさん回答をしております。
今、お読みになられた部分は、おそらく、在特会のホームページから引用したものを、そのまま記しているのだろうと思います」
ここまでの回答に対して、記者会見場の田中龍作氏から、「在日特権とは何か」と説明を求める声が上がる。山谷大臣は自身の発言を次のように続けた。
「在特会が言っている『在日特権』というのが、詳しくは何を示すのか。『在日特権』というですね、定義というものは……、それは、いろいろなグループが、いろいろなことを鍵カッコ(「」)で言っているのだと思いますが、法律やいろいろなルールに基づいて特別な権利がある、というのはですね、それはそれで、私が答えるべきことではないと思っております」。
通訳が口を開く前に、再び田中氏が声を上げる。司会のマイケル・ペン氏は、「外国特派員協会には、非常にタフな質問が飛ぶという評判があったものだ。今日はそれが復活したようだ」とユーモアを交えて場をおさめようとする。山谷氏も笑顔を見せる。しかし田中氏は、「大臣が、『在日特権』があると認めた回答ですよ!」と譲らない。
会場は一時騒然となりかけたが、山谷氏は最後に、「拉致問題の解決のためには、国際連携が大切でございます。どうぞ皆様、力をお借しいただければと思います」と言い残し、会場を後にした。
「いろいろなグループがぶつかっている」という現状認識
江川紹子氏は、警察がヘイトスピーチ参加者の取り締まりに積極的でないことを示す事例を挙げ、次のような質問を行っている。
彼女が言ったのは、ヘイトスピーチのデモとカウンターデモの間で暴力沙汰にならないようにしたい、というそれだけでしたね。ヘイト側を取り締まるという立場は一切表明しませんでした。国内のメディアが報じてくれない分、海外のメディアにはこの非常識な国家公安委員長のことを、目一杯報じてもらいましょう。
今の日本の政治家には「甘え」と「反発」が同居してますね。早い話が」子供と同じ。日本社会もですが。