「この裁判は、子どもたちの未来や健康を守るためのもの。原発事故を風化させないためにも、多くの人に興味を持ち続けてほしい」──。
2013年12月19日、大阪市住吉区の大阪市立大学で、原発賠償関西訴訟原告団代表の森松明希子氏を講師に迎え、「東日本大震災4年目に向けて、原発事故の被害をどう回復するか ー原発避難者講演会 第2弾」が開催された。福島県郡山市から母子避難して大阪に暮らす森松氏は、避難者の現状について語った。
(IWJテキストスタッフ・荒瀬/奥松)
「この裁判は、子どもたちの未来や健康を守るためのもの。原発事故を風化させないためにも、多くの人に興味を持ち続けてほしい」──。
2013年12月19日、大阪市住吉区の大阪市立大学で、原発賠償関西訴訟原告団代表の森松明希子氏を講師に迎え、「東日本大震災4年目に向けて、原発事故の被害をどう回復するか ー原発避難者講演会 第2弾」が開催された。福島県郡山市から母子避難して大阪に暮らす森松氏は、避難者の現状について語った。
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福島の原発事故を受けて、福島県郡山市から大阪に母子避難をしている森松氏は、事故当時の様子について、「マンション8階の自宅は、各家庭にある貯水タンクが壊れて水が膝下まで浸水し、住めなくなってしまった。夫の働いている病院で、ひと月、避難生活をしたが、生後5ヵ月の赤ちゃんがいたため、おむつやミルクもない中で、赤ちゃんの世話や日々の食事のことで精一杯だった」と語った。
福島第一原発から200キロ離れた東京の浄水場から、放射性物質が検出され、「それよりも近い福島の水道水は、当然、汚染されていると感じながらも、生きるために、水を飲まなければならなかった」と話した。
事故直後は、自宅の窓を開けることも、子どもたちを外で遊ばせることもできず、休みが取れた週末には、車で3時間かけて新潟県や山形県へ出かけ、子どもたちを公園で遊ばせる生活をしていた、という。
森松氏が避難を決意するきっかけとなったのは、ゴールデンウィークに、大阪の親戚のところで過ごした際に見た、関西のローカルTV番組だという。「番組では、福島原発事故とチェルノブイリ原発事故の比較をやっていた」。
「福島のローカル局の番組とは、まったく異なる内容を放送していた。それまで、先に避難していった知人のママたちが、『1回、(福島の)外に出たらわかる』と言っていたことが、客観的な数値を見ることができて、理解できるようになった」と森松氏は語った。
森松氏は、国や東電を相手に裁判を起こすと決意したことについて、「以前は、自分が国を相手に裁判をするなど、考えたこともなかったが、9月の段階で、27世帯80人が提訴した。さらに、2次提訴としての集団訴訟が起きている。この裁判は、子どもたちの未来や健康を守るための、人権裁判だと考えている。汚染水問題もあり、原発事故は、まだ終わっていない。事故を風化させないためにも、多くの人に興味を持ち続けてほしい」と語った。
樫葉涼子弁護士は、2013年9月17日に提訴したこと、さらに、2次訴訟により120名が原告になったことを報告し、「原告1人当たりの賠償額を1500万円に決めた。避難者は、事故により平穏な日常を奪われ、将来にわたる健康被害に怯えることになった。避難生活や生活再建にかかる費用負担などを考えると、これは、決して高いものではない」と述べた。
また、「裁判の目的は、国や東京電力に対して、完全な賠償を求めること。さらに、原告だけでなく、被災者全員に対する救済措置を設けるように働きかけることである。原告の人数はさらに増える予定であり、国は、立法によって、被災者の救済と対策をするべきである」と訴えた。