【沖縄名護市長選】この選挙は辺野古を守る「最後の砦」 ~岩上安身によるインタビュー 第385回 ゲスト 社民党・照屋寛徳衆院議員 2014.1.13
普天間飛行場の辺野古移転の命運を賭けた名護市長選挙。1月12日、一貫して移設反対を掲げる稲嶺進・現市長と、移設推進を公言する末松文信候補による戦いの火蓋が切って落とされた。
普天間飛行場の辺野古移設に対して、明確に「賛成」「反対」で分かれた名護市長選挙は初だという。これまでは移設賛成派の候補者も、一応は「慎重派」であるように立ちまわっていた。しかし今回は、昨年末に仲井真弘多沖縄県知事が、辺野古移転の受入れを承認したこともあり、表立って「移設推進」を掲げる候補者があらわれた。
辺野古移転を受け入れることで「米軍再編交付金」を手にし、それを元手に街づくりをすると訴えるのは、末松文信氏。島袋吉和・前市長のもとで副市長を務めた人物である。
これまで、末松氏の応援には、自民党衆議院議員・小泉進次郎氏と沖縄県知事・仲井真弘多氏、そして普天間飛行場を抱える宜野湾市の佐喜眞淳市長らが駆けつけている。それぞれが辺野古移設の利害当事者だ。
国、県の思惑を背負って出馬した末松氏を迎え撃つのは、現役名護市長・稲嶺進氏だ。2010年の市長選で「反移転」を掲げて、当時の島袋市長にせり勝ち、初当選を果たした。以降、辺野古移設は進められておらず、それまで名護市に支払われていた多額(年間17億円)の米軍再編交付金も打ち切られた。
防衛省からの補助金は打ち切られたが、独自の政策で、文科省や農水省から補助金を引き出すことに成功した稲嶺市政は、名護市の積立金をこの4年間で倍増させ、法人税の収入を伸ばすことにも成功した。
米軍再編交付金は、移転が済んだと同時に打ち切られるため、いずれにしても名護市長には、基地に頼らない経済・雇用の具体的な政策の実行が求められるといえる。
名護市長選挙は、「イチ市長選挙」とはいえない。他国(米国)に自国の土地の一部を委ねるか否かの答えを出す選挙でもあるからだ。辺野古移転で建設が予定されている新基地の耐用年数は、200年。米軍基地の固定化が懸念される。独立国・日本在り方を示すことにもなる、重要な問題である。
現役の名護市議会議員・東恩納琢磨氏は、名護市長選挙における国や県の露骨な、恣意的な介入を批判し、次のように語る。
「国がこれほどまでに介入してくるのは、国の押しつけに『No』という自治体ができることに恐怖を感じているからかもしれない。何もこんなサンゴやジュゴンがいるような海を埋め立てて基地を造りますか?
自分のとこで考えてみれば、誰でも反対するだろう。では、なぜ沖縄は反対してはいけないんですか?
『反対してはいけない』とばかりに、国が押し付けようとしてくる。こんなやり方は民主主義ではない」
日本の未来を占う「名護市長選挙は」、1月19日に投開票日を迎える。
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