日刊IWJガイド・非会員版「ロシアの極超音速ミサイル『キンジャール』を撃墜!? ウクライナ・米国側とロシア側で主張が真っ向から対立!」2023.5.25号~No.3906号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~ロシアの極超音速ミサイル「キンジャール」を撃墜!? ウクライナ・米国側とロシア側で主張が真っ向から対立! 真相を検証!

■5月に入り、IWJの第13期も残り3ヶ月に! しかしながら、IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 4月のご寄付は126件、209万3200円、月額目標の54%でした! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から4月まで9ヶ月間の累積の不足額は、1600万円を超えています! 5月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、ご支援をよろしくお願いします! また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

■ご寄付をくださった皆さまからの応援・激励メッセージに、岩上安身がご回答いたします!

■【中継番組表】

■<インタビュー告知>本日午後5時半より、「サミットで見えてきたG7とグローバル・サウスの溝!! 6月1日に迫った基軸通貨ドル・覇権国米国のデフォルト危機 『脱ドル』が進むグローバル・サウス!」(仮題)として、岩上安身によるエコノミスト・田代秀敏氏へのインタビューを、ライブ中継でお送りします!

■国家の利益を中心に据えた20世紀の国際法ではなく、人間の利益を中心に据えた21世紀の国際法のあり方を反映させた形で入管法の見直しを! 入管法の根本問題は、在留資格制度と難民認定制度! 5月20日と21日、大阪と東京で、入管法改正案に反対する大規模デモが行われる!

■【スタッフ募集・事務ハドル班】事務ハドル班は、岩上安身によるインタビューのアポ取りとスケジューリング、各種リサーチ、公共コンテンツの取材のためのアポ取りや、中継スタッフやテキストスタッフと連携して、IWJの活動予定を組み立て、指示を出す、重要な役割を担っています。翌日以降の中継・配信予定と、撮影後に記事化された動画の情報を整理し、翌日の日刊IWJガイドの番組表へ反映する、IWJコンテンツ構成の要となる部署です。

■【スタッフ募集・テキスト(赤反映担当)班】記者として日刊IWJガイドや記事の執筆、エディターとして編集業務を行っていただける方を募集します。特に深夜業務での校正作業を厭わない方は、優遇し、最優先で募集します! 深夜に及んだ場合は、社用車での帰宅が可能です。時給はスタート時は1300円から、能力・実績次第で昇給します。深夜業務は法にのっとった割り増し残業代を支払います。『サビ残』は一切ありません!
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■はじめに~ロシアの極超音速ミサイル「キンジャール」を撃墜!? ウクライナ・米国側とロシア側で主張が真っ向から対立! 真相を検証!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 ロシアの極超音速ミサイル「Kh-47M2 キンジャール」が、5月4日キーウ上空でウクライナ軍の広域防空用の「地対空パトリオット」によって撃墜されたと、6日、ウクライナ軍参謀本部が発表しました。

※ロシアの極超音速ミサイル「キンジャル」、キーウ上空でウクライナ軍が「パトリオットで迎撃」(読売新聞、2023年5月7日)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20230507-OYT1T50095/

 5月9日には、米国防総省のパトリック・ライダー報道官が、パトリオット防空システムを使ってロシアの極超音速キンジャール型弾道ミサイルを撃墜したとするウクライナの主張を認めています。

※ジャーナリスト、Moshe Schwartz氏の5月10日のツイッター
https://twitter.com/YWNReporter/status/1656007575307993088?s=20

 さらに、16日には、ウクライナ当局は、ロシアの極超音速ミサイル「キンジャール」6発を空軍が撃墜したと発表しています。

※ウクライナ、ロシアの極超音速ミサイルを迎撃したと発表 ロシアは防空システム破壊と主張(BBC、2023年5月17日)
https://www.bbc.com/japanese/65618372

 ウクライナ側の発表によると、5月4日と16日の二度に渡り、ロシアの極超音速ミサイル「Kh-47M2 キンジャール」合計7発をパトリオットで撃墜した、とされます。

 ウクライナ紛争の最前線で、極超音速ミサイルであり、既存のミサイル防衛システムでは迎撃不能といわれた「キンジャール」が撃墜されたとの情報が本当ならば、この紛争の戦局を左右するだけでなく、米国による中露への「代理戦争」戦略全体に影響を与えるほどの重大な問題です。中露の極超音速ミサイル開発の先行が、開発が遅れている米国に対してさして大きなアドバンテージをもっていない、ということにもなります。

 他方、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は16日夜、ロシアはウクライナが撃墜したと主張するほど多くの「キンジャール」(IWJ注:16日の6発)を発射していないと述べています。

 ロシアは、時速1万1000キロメートル(おそよマッハ9)で飛ぶ「キンジャール」を破壊できる防空システムは、世界に存在しないと強調しています。

 12日の『SPUTNIK 日本』は、6日に発表されたウクライナの「キンジャール」を撃墜したとする主張に対して、「意図的な虚偽である」と反論するロシア国防省高官の談話を報じています。

 「キンジャール迎撃に成功したというウクライナ政権の発表については露国防省の高官は、意図的な虚偽とし、『キンジャールのミサイルの飛行速度はパトリオットを含め、西側諸国の地対空ミサイルシステムの戦闘レジームの速度の限界を凌駕している』と説明している。

 また、『キンジャール』ミサイルは、飛行の最後で対ミサイル操作を行い、ターゲットを垂直に攻撃するため、キンジャール迎撃の可能性は排除される」

※米「パトリオット」に露「キンジャール」ミサイル迎撃は無理 ロシア国防省(SPUTNIK 日本、2023年5月12日)
https://sputniknews.jp/20230512/15957067.html

 このように、「キンジャール」の撃墜をめぐる情報は、ウクライナ・米国とロシアで真っ向から対立しています。

 日本のメディアは、ウクライナや米国発表の情報に一方的に頼り、「キンジャール」が撃墜されたという前提で、その背景やロシアの戦略を分析している記事が大半です。

 そうした中で、12日付の『CNN』が、4日の「キンジャール」撃墜について、興味深い見方を示しています。

 この記事は、ロシアの「キンジャール」による攻撃の目的が、パトリオット防空システムの破壊にあったとする米政府当局者2人の話を伝えているのです。

 「ロシアは先週、ウクライナの米国製パトリオット防空システムを極超音速ミサイルで破壊しようとしたと、2人の米政府当局者がCNNに語った。

 この攻撃は失敗し、代わりにウクライナ軍がパトリオットシステムを使ってミサイルを迎撃したと、一人の当局者は述べた」

 続けて、この2人の当局者は、「キンジャール」がパトリオットをどう狙ったかを説明しています。

 「米国当局は、ロシア軍がパトリオットから発せられる信号を拾い上げ、キンジャールまたはキルジョイと呼ばれる極超音速ミサイルを使用してシステムを標的とすることができたと考えている。

 パトリオット・ミサイルシステムは、長距離に飛来する標的を探知する強力なレーダーを搭載しており、弾道ミサイルなどを迎撃できる強力な防空プラットフォームとなっている。しかし、遠距離の脅威を発見するために必要なレーダー電波発信は、敵がパトリオットバッテリーを探知し、その位置を把握することも可能にしてしまう。

 また、ウクライナに提供されたいくつかの短距離防空ミサイルは移動式で狙われにくいが、大型パトリオット・バッテリーは固定式システムであるため、ロシア軍はいずれその位置に照準を合わせることができる」

※Russia tried to destroy US-made Patriot system in Ukraine, officials say(CNN、2023年5月12日)
https://edition.cnn.com/2023/05/12/politics/russia-patriot-missiles-ukraine/index.html

 ロシア国防省の高官は、先述したように、「『キンジャール』ミサイルは飛行の最後で対ミサイル操作を行い、ターゲットを垂直に攻撃するため、キンジャール迎撃の可能性は排除される」と述べています。

※米「パトリオット」に露「キンジャール」ミサイル迎撃は無理 ロシア国防省(SPUTNIK 日本、2023年5月12日)
https://sputniknews.jp/20230512/15957067.html,

 ウクライナ軍には、現在、米国とドイツから、パトリオット・システムを2基供与されています。

 軍事/生き物ライターのJSFさんが、5月12日に、4日の「キンジャール」撃墜について、「キンジャールの残骸について比較と推定」という検証記事を発表しています。

※キンジャールの残骸について比較と推定(よく分かる軍事記事解説、2023年5月12日)
https://min.togetter.com/v6Qirg7

 JSFさんによると、ウクライナ側は「5月4日にパトリオットでキンジャールを撃墜、5月6日に公式発表、5月10日に証拠の残骸を展示」という順で情報を公開しています。

 JSFさんの検証の結論は、残骸の操舵翼の形状の一致したことで、キンジャール/イスカンデル系で確定されたと、としています。

 JSFさんは、記事の中のQ&Aで次のように述べています。

 「Q.『何でJSFは5/4のキンジャール撃墜をずっと懐疑的に見ていたのに、急に手のひら返ししたんですか?』
 A. 『5/10に操舵翼の残骸が公表されたから』

 これ間違いなくキンジャール/イスカンデル系の部品なんですよ」

 ほぼ、このウクライナ軍が展示した残骸は「キンジャール」と見て間違いないと思われます。

 問題は、この「キンジャール」の残骸がどのように発生したかでしょう。

 5月11日付『YAHOO』に「キンジャール撃墜の残骸が新たに公開、操舵翼がキンジャール/イスカンデル系と完全一致」という記事を発表したJSFさんは、記事の末尾で、ウクライナ軍が展示した「キンジャール」の残骸に関して、重要なことを述べています。

 「※残骸の展示ではキンジャールだけでなく他種のミサイルの部品も一緒に展示されている様子が映っています。Х-55/Kh-55巡航ミサイルやトーチカU弾道ミサイル、地対空ミサイル、多連装ロケット弾などです。このような雑多な展示だと、場合によっては説明ボードが間違った位置に置かれているなどの可能性も有り得ますので注意してください」

※キンジャール撃墜の残骸が新たに公開、操舵翼がキンジャール/イスカンデル系と完全一致(YAHOOニュース、2023年5月11日)
https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20230511-00349063

 つまり、展示された残骸は、「キンジャール」だけではなく、多くの他のミサイルの残骸と一緒だったのです。

 この展示からは、この残骸が「キンジャール」のものを含むとは言えても、それが、どのようにして、残骸となったのかはわかりません。

 12日付の『CNN』が報じた米国当局者2人の話が正しいとすれば、「キンジャール」の残骸は、第1に、パトリオットを破壊したときにできた残骸、第2にパトリオットに迎撃されてできた残骸の2つの解釈が、論理的にはできます。

 ただし、この4日のパトリオットによる「キンジャール」撃墜という主張以降も、16日にも6発の「キンジャール」を撃墜したというウクライナ側の主張が正しければ、キーウで2基稼働しているパトリオットは、少なくとも、1基は4日以降も稼働していたことになります。

 つまり、キンジャールの残骸が掲示されたところで、それは目標に命中し、ミサイルとしての目的を果たして爆発したあとの残骸かもしれないのです。

 もっとも、奇妙な点は、ウクライナ側も米国側も、4日と16日に、標的になったパトリオットの画像や詳しい情報を一切公開していない点です。

 米国当局者の話として伝わってくるのは、「未詳の発射体がキーウのパトリオット近隣に落ち、一部の損傷があった」「損傷の程度は依然として把握中だが、システムは引き続き運営中」というものだけです。

※ロシア「パトリオット破壊」主張に ウクライナ「軽微な損傷…運用持続中」(中央日報、2023年5月19日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/330360ddf72af33574fce086bc769ec90892c45a

 もう少し、時間が経たないと、「キンジャール」撃墜の真相は見えてこないと思われます。

■5月に入り、IWJの第13期も残り3ヶ月に! しかしながら、IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 4月のご寄付は126件、209万3200円、月額目標の54%でした! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から4月まで9ヶ月間の累積の不足額は、1600万円を超えています! 5月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、ご支援をよろしくお願いします! また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 5月に入り、昨年8月1日から始まったIWJの第13期も、残り3ヶ月となりました。

 4月の1日から30日までの30日間でいただいたご寄付は、126件、209万3200円でした。これは月間目標額390万円の54%にあたります。

 厳しい経済状況の中、ご寄付をお寄せくださった皆さま、誠にありがとうございました!

 しかし、今期第13期4月末までの累積の不足額は、1660万5900円となりました。

 5月は1日から24日までの24日間で、127万0000円、月間目標額の33%にあたるご寄付をいただいています。ありがとうございます。

 ぜひ、皆さま、今月5月こそは、まずは月間目標額を達成できますよう、どうぞ緊急のご支援をお願いいたします!

 そして、累積の不足額を少しでも削れるように、引き続き、どうぞご支援をお願いします!

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けて、まだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費とご寄付・カンパの両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 ウクライナ紛争に続き、「台湾有事」を口実とする米国の「代理戦争」の、「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために今後も全力で頑張ってゆきたいと思います。

 2月、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出しました。日本の新聞・テレビなどのメインストリーム・メディアは、一切このスクープを報じませんでした。

 IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。

※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5

 私は、ロシア軍がウクライナに侵攻して1年となる2月24日の岸田総理会見で、ハーシュ氏のスクープについて岸田総理に直接、質問しました。

 私が「日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?」と質問したのに対し、岸田総理は、「米政府は完全なるフィクションであるという評価をしております」「ノルウェー外務省もナンセンスと言っています」「多くの国においてこうした記事に関しては、否定的な評価がされている」とはぐらかし、日本政府・日本国総理としての独自の判断を示しませんでした。

※【IWJ代表:岩上安身質問】ノルドストリーム爆破疑惑について、日本は独自に検証や調査を行なっているのか?岸田内閣総理大臣記者会見-令和5年2月24日(Movie IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=9uUrTxr_Mss

※はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!~(日刊IWJガイド、2023年2月25日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230225#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51926#idx-1

 このウクライナ紛争は、ロシアを弱体化させるための米国主導の戦争です。

 ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツが多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、ロシア産の格安の天然ガスが入らなくなって窮地に陥った欧州に、米国産の高値の天然ガスと石油を売りつけて市場を奪い取ったということになります。

 つまり、米国は「敵国」のロシアだけでなく、米国の重要な同盟国であるはずのドイツにも大損害を与えた疑いがあるのです。これが真実であるならば、同盟国への重大な背信であり、裏切りです。犠牲を払わされたドイツと同じく、同盟国とは言いながら、ジュニア・パートナー(主権のない従属国)扱いされている日本も、同じ目にあわされる可能性があります。

 IWJでは、独自のIWJ検証レポートによって、ドイツとロシアを直接結ぶノルドストリームの建設を米国政府・議会が何度も妨害してきた事実、そして、完成はしたもののウクライナ紛争の勃発と対露制裁によって使用できなくなり、さらに爆破テロに見舞われるまでの経緯を、お伝えしています

※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプラインノルドストリームの阻止!!」~2022.4.27
(その1)https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505188
(その2)https://iwj.co.jp/wj/open/archives/508187

 お読みいただければわかりますが、この経緯を知ると、ウクライナ紛争以前から、米国はノルドストリームの完成と開通を何としても阻みたいと思っていたという事実が明らかになります。

 5月18日未明に、シーモア・ハーシュ氏の最新記事を、「IWJ号外」として発行しています。有料サポート会員の方は、メールの受信ボックスを確認していただいて、ぜひお読みください。非会員の方も、この機会に会員登録をしていただいて、号外の全文を、ぜひお読みください。

 岸田文雄総理は、1月早々、昨年末に閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて鼻高々でした。

 国会での議論と承認がなされなくても、米国からの要請があれば、「安保3文書」を閣議決定し、軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が身代わりに犠牲となり、日本はウクライナのように、米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 上記の4月24日の岸田総理会見で、私は、「米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのか」「有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか」と問いました。

 岸田総理は「自衛隊及び米軍は、各々独自の独立した指揮系統に従って行動をする、これはいうまでもないこと」などと、自衛隊の指揮権はあたかも米軍から独立して存在しているかのように述べました。

 しかし、この総理の発言は、事実と異なります。従来の幕僚長を事実上廃止し、新たに米軍との「統合司令部」を設置する「安保3文書」の改定は、自衛隊を米軍の司令下におく「2軍」にしてしまうものです。

 自衛隊が米軍と司令部を統合してしまい、自身で状況判断するための目と耳(情報衛星他)をもたず、独自に判断する頭(内閣に直結し、米国から独立した司令部)をもたない、そんな日本が、安全保障において、米軍から独立した主権をもつ、といくら岸田総理が口先だけで言っても、自衛隊のおかれたリアルな現実を国民に説明していることにはなりません。

 3月28日、「安保3文書」の改定を踏まえ、防衛費を大幅増額した2023年度予算案は、政府案どおり成立しました。

※令和5年度予算(財務省)
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/fy2023.html

 日本は、このまま米国追従を続け、米国の単独一極覇権を支えるために、日本自らは世界最悪の財政危機に直面しているというのに、米国の要請に従って、軍拡という重い財政負担を背負うのはあまりに愚かではないでしょうか!?

 そもそも日本が依存している米国は、誠実な、信頼に値する同盟国といえるのでしょうか!?

 4月12日の日刊IWJガイドの記事(※)も、ぜひあわせてお読みください。米国は、同盟国に対して、当たり前のように盗聴を仕掛けています。ドイツなどは米国政府に抗議しましたが、日本政府は、まったく抗議していません。

※『ニューヨーク・タイムズ』が報じた、ウクライナ紛争をめぐる米国とNATOの戦争機密文書漏洩事件! 漏洩文書に韓国政府内の議論が含まれていたことから、CIAによる韓国国家安保室盗聴が発覚! 謝罪を求めない尹政権に韓国与党も「卑屈極まりない」と批判! 2013年のスノーデン氏による盗聴暴露問題も再燃し、米国のダブルスタンダード、繰り返される同盟国への盗聴に韓国メディアが猛批判を展開! 日本も盗聴されているはずだが、沈黙し続けるのか!?(日刊IWJガイド、2023年4月12日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230412#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52117#idx-1

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として立つべきです。同時に、エネルギーと食料の自給ができず、資源をもつ他の国々からの海上輸送に頼らなければならない「島国」であるという「宿命」を決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?

 皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

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ゆうちょ銀行
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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

 岩上安身

■ご寄付をくださった皆さまからの応援・激励メッセージに、岩上安身がご回答いたします!

 IWJにご寄付をいただいた皆さまから、応援・激励のメッセージをいただきました。ありがとうございます! ここに感謝を込めてご紹介させていただき、岩上安身がご回答させていただきます!

 はじめに、日刊IWJガイド5月24日号のM.T.様への回答の中で誤りがありました。ここにお詫びし訂正いたします。

 間違った個所は、「戦後直後の状況と一緒、いや、あの時より食料自給率はあがり、高齢化率は格段に高まっているので、より大変です。」です。正しくは「戦後直後の状況と一緒、いや、あの時より食料自給率はさがり、高齢化率は格段に高まっているので、より大変です」でした。

 M.T.様の応援・激励のメッセージと岩上安身の回答を再掲します。

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 IWJへのカンパのあと、帰りの途中にある小さな団子屋さんに寄りました。昔からある家族経営のお店で、とても美味しく良心的な団子屋さんです。

 スーパーなどで売っている団子と比べてとてもて大きく、3種類を取り交ぜて7本買ったのですが、年配の私ども夫婦にとっては夕ご飯の代わりにもなるほどのボリュームです。値段はと言うと500円でお釣りがくる安さです。

 しかし、美味しさは変わらないのですが以前と比べて、あんこの量が少なくなっていることに、食べ終わってから気がつきました。

 気になって調べてみると、小豆も胡麻も外国からの輸入です。一日の売り上げが一月分の家賃でなければ成り立たないといわれる小売り業で、このお店は持ち家で、年老いた親と、そこそこのお年になられた娘さんだけでやっているからこそ成り立っているのでしょう。

 しかし、それでもこの物価高の中、値段を維持するためにあんこの量を減らさざるをえないのでしょう。

 経済不安や戦争と緊張の拡大。多極化に進む世界の構造変化。これらの事柄が、今後どのように展開していくのでしょうか?

 この団子屋さんや、私たちの様な年金に頼っている者の生活は? 子供を抱え、必死で働いている甥や姪たちの将来は?

 考えれば考えるほど、夫婦揃って今をどう生き、何に備えなければ成らないのか。いや、どのような覚悟を持って生きなければならないのかを考えてしまいます。

 IWJのスタッフの皆様、岩上様、これからもまともな意見の収集、フェイクへの反証、大勢に流されない正しい情報をお願いします。

(M.T. 様)

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M.T. 様

 ありがとうございます!

 お団子を食べたくなるような、おいしそうなお便り、ありがとうございました。

 値段は変えないが、あんこを少し減らす。そんな工夫で何とかインフレ下の不況を乗り切ろうとしている様子がひしひしと伝わってきます。

 IWJもまた、日々、涙ぐましい支出の削減に取り組み続けています。お団子屋さんの気持ちも、お客さんの気持ちも、非常によくわかる気がします。

 今後、何に備えるかといえば、この国にとって、マイナスの影響しかもたらさない戦争を、何としても止めることです。

 もうひとつは、エネルギー資源と食料の確保ですね。

 政府はすでに、有事の際の食料の統制を考えつつあります。実際には、配給される食料だけでは足りないでしょう。といっても、闇市場で食べるものを調達すれば、違法行為扱いされてしまいます。戦後直後の状況と一緒、いや、あの時より食料自給率はさがり、高齢化率は格段に高まっているので、より大変です。

 大変な時代がやってきます。いや、そんな時代がこないように、今のうちに食い止めることが肝要です。

 戦争という愚行を止めるべく、私もIWJも微力ながら、力を発揮したいと思います。

 どうぞ、今後とも、応援、ご支援をよろしくお願いします。

岩上安身

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◆中継番組表◆

**2023.5.25 Thu.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ_YouTube Live】17:30~「岩上安身による エコノミスト 田代秀敏氏インタビュー」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 岩上安身による田代秀敏氏インタビューを中継します。これまでIWJが報じてきた田代秀敏氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E7%94%B0%E4%BB%A3%E7%A7%80%E6%95%8F

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◆中継番組表◆

**2023.5.26 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ_YouTube Live】14:00~「日本外国特派員協会主催 橋田康氏( 元ジャニーズJr.・俳優・ダンサー)記者会見」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 「日本外国特派員協会(FCCJ)」主催の記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた日本外国特派員協会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A4%96%E5%9B%BD%E7%89%B9%E6%B4%BE%E5%93%A1%E5%8D%94%E4%BC%9A
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【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee

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■<インタビュー告知>本日午後5時半より、「サミットで見えてきたG7とグローバル・サウスの溝!! 6月1日に迫った基軸通貨ドル・覇権国米国のデフォルト危機 『脱ドル』が進むグローバル・サウス!」(仮題)として、岩上安身によるエコノミスト・田代秀敏氏へのインタビューを、ライブ中継でお送りします!

 岩上安身は、本日午後5時半より、中国社会や経済について詳しいエコノミストであり、<シグマ・キャピタル株式会社>のチーフエコノミストである田代秀敏氏に、G7広島サミットの意味、そしてG7を主導してきた米国のデフォルト危機・銀行破綻などの金融危機を中心にお話をうかがいます。ぜひ御覧ください。

 21日、G7広島サミットが閉幕しました。米国が主導するG7サミットの共同声明は、中国への非難を強めるもので、中国側は反発しています。22日付『グローバル・タイムズ』は、中国のオブザーバーの言葉として「米国がアジア太平洋地域で『ウクライナ危機』を再現しようとする意図を露わにし、地域諸国の分裂を深め、この地域で代理戦争を起こす可能性さえある」と警鐘を鳴らしました。

 ウクライナのゼレンスキー大統領が突如、広島を訪問し、G7広島サミットの21日の会合にも出席し、G7諸国から更なる支援を取り付けました。その目玉は、F-16戦闘機でした。バイデン大統領によるゼレンスキー大統領へのF-16戦闘機授与式の舞台に広島が悪用されたかのごときG7サミットでした。

 今回のG7サミットの焦点のひとつはウクライナ支援と対露制裁でしたが、もうひとつ、対中国包囲網の形成という側面も見逃してはなりません。中国が最大の貿易相手国であり、米国が主導しようとしている中国との「デカップリング」は、日本経済にとっては致命傷になる可能性があります。

 田代氏は、G7共同声明の2つのポイントは、「法の支配にもとづく国際秩序の堅持」と「グローバル・サウスへの関与の強化」だと指摘しています。

 田代氏は「法の支配にもとづく国際秩序の堅持」とは、圧倒的な軍事力と経済力を礎にした米国覇権「パックス・アメリカーナ」を正当化する方便にほからない、と述べています。しかしながら、米国の経済力の衰退、銀行破綻リスク、米国債のデフォルト、アフガニスタン戦争の敗北など、「パックス・アメリカーナの前提は失われつつある、あるいは、既に失われている」と指摘されています。

 田代氏は、もうひとつのポイント「グローバル・サウスへの関与の強化」とは、対中国包囲網の形成の一環だと看破されています。米国とG7諸国が焦点をあてているのはインドです。IMFの予測では、2028年のGDP世界シェアで、G7諸国は27.8%に低下し、中国は19.7%に、インドは8.7%に上昇します。インドを「西側」に引き入れることができれば、中国を経済的に包囲できる、という思惑が背景にあります。

 しかし、米国と日本を含めたG7の国々こそ、かつて「第三世界」といわれたグローバル・サウスの国々を分断、支配、収奪してきた帝国主義列強に他なりません。現にインド、ASEAN諸国、アフリカ諸国はウクライナ紛争に対して中立を堅持しています。

 田代氏は、G7は、グローバル・サウスをパックス・アメリカーナに引き入れようとしているが、これまでさんざんパックス・アメリカーナのダブルスタンダードに振り回されてきたグローバル・サウスが、そう簡単に米国の思惑通りには動かないのではないか、と指摘しています。

 一方で、米国もかつてないほど危機的な状況にあります。上で述べたように、経済力の衰退、銀行破綻リスク、米国債のデフォルト危機といった経済的なかげり、そして軍事面でもアフガニスタン戦争の敗北など、かげりが見えてきています。それだけではなく、中国がサウジアラビアとイランの仲介を成し遂げるなど、中国と比べて米国の外交面での影響力にもかげりが見えてきました。

 米国の債務上限問題のデッドラインは、6月1日と、もう1週間後です。上院は民主党、下院は共和党とねじれ議会になっているために、バイデン政権のリーダーシップの弱さが際立って見えます。債務上限問題の行方を田代氏はどう見ているのでしょうか。岩上安身が詳しくお話をうかがいます。ぜひ御覧ください。

 最近行われた、岩上安身による田代秀敏氏へのインタビューは以下で御覧になれます。

※「次の日銀総裁になるということは、火を噴いている船の船長になれということ」「今や日本は『衰退途上国』」~岩上安身によるインタビュー第1110回 ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 2023.2.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514129

※「円安で日本は『買い負け』、マグロの大トロなんて東京では食べたこともないが、上海で中国人に奢ってもらったという日がくる!?」~岩上安身によるインタビュー第1102回 ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 2022.10.10
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/511372

※「急速な円安は『アベノミクス』の経済的帰結!? 安倍元総理の国葬よりも『アベノミクス』の国葬を!」~岩上安身によるインタビュー第1099回 ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 2022.9.26
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/511025

※「頑張って働いた分が海外に流出し、働けど働けど暮らしは楽にならず」の日本はこれからどうなるのか!~岩上安身によるインタビュー第1097回 ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 2022.9.16
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/510693

※ペロシ米下院議長が訪台強行で東アジア緊迫! 中国を挑発する米国、米中「代理戦争」の戦場は台湾と日本!~岩上安身によるインタビュー 第1085回 ゲスト エコノミスト田代秀敏氏 2022.8.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/509265

■国家の利益を中心に据えた20世紀の国際法ではなく、人間の利益を中心に据えた21世紀の国際法のあり方を反映させた形で入管法の見直しを! 入管法の根本問題は、在留資格制度と難民認定制度! 5月20日と21日、大阪と東京で、入管法改正案に反対する大規模デモが行われる!

 5月20日と21日、大阪と東京で、現在参議院で審議中の入管法改正案に反対する大規模な集会・デモが行われました。

 20日、大阪市北区の扇町公園で行われた集会では、名古屋出入国在留管理局収容中に死亡したスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんをめぐる、梅村みずほ参院議員(日本維新の会)の発言を非難する声明が採択されました。

 大阪府選挙区選出の梅村議員は、12日の参院本会議の代表質問で、2年前に名古屋入管で収容中に死亡したウィシュマさんについて、偏見と差別に満ちた発言を行い、大問題となりました。

 梅村議員は、「資料と映像を総合的に見ると、よかれと思った支援者の一言が、ウィシュマさんに『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながったおそれも否定できない」「支援者の助言は、かえって収容者にとって見なければよかった夢、すがってはいけない『わら』になる可能性もある」と発言し、参議院本会議が抗議の声などで騒然となりました。

※「支援者がウィシュマさんに淡い期待させた」 維新・梅村氏が発言(朝日新聞、2023年5月12日)
https://digital.asahi.com/articles/ASR5D6KX1R5DUTFK017.html

 20日に行われた扇町の集会の声明では、梅村議員に対して、「差別と偏見に満ちた発言」として謝罪と撤回を要求しました。集会の後のデモ行進には、およそ500人が参加しました。

※大阪で入管法改正反対デモ(ロイター、2023年5月22日)
https://jp.reuters.com/article/idJP2023052001000987

 他方、21日には、渋谷でも、入管法改正案に反対するデモが行われました。デモ参加者は7000人でした。

 デモにはウィシュマ・サンダマリさんの妹2人も参加しました。

※入管法改正に「ノー」 渋谷でデモ ウィシュマさんの妹2人も集会に(毎日新聞、2023年5月21日)
https://mainichi.jp/articles/20230521/k00/00m/010/186000c

 21日の渋谷のデモの様子は、ツイッター「0521入管法改悪反対渋谷デモ」で観ることができます。

※0521入管法改悪反対渋谷デモの5月21日のツイート
https://twitter.com/suginami0507/status/1660639510923976704?s=20

 現在、難民認定申請中の外国人は一律に送還が停止されることになっていますが、改正案では、3回目以降の難民認定申請者は原則として申請中でも送還できるようなり、多くの人々が懸念しているのです。

 出入国在留管理庁は、この点を次のように説明しています。

「(2)送還忌避問題の解決

1)難民認定手続中の送還停止効に例外を設けます。

 難民認定手続中は一律に送還が停止される現行入管法の規定(送還停止効)を改め、次の者については、難民認定手続中であっても退去させることを可能にします。

◆3回目以降の難民認定申請者
◆3年以上の実刑に処された者
◆テロリスト等

 ただし、3回目以降の難民認定申請者でも、難民や補完的保護対象者と認定すべき「相当の理由がある資料」を提出すれば、いわば例外の例外として、送還は停止することとします。

2)強制的に退去させる手段がない外国人に退去を命令する制度を設けます。

 退去を拒む外国人のうち、次の者については、強制的に退去させる手段がなく、現行法下では退去させることができないので、これらの者に限って、一定の要件の下で、定めた期限内に日本から退去することを命令する制度を設けます。

◆退去を拒む自国民を受け取らない国を送還先とする者
◆過去に実際に航空機内で送還妨害行為に及んだ者

 罰則を設け、命令に従わなかった場合には、刑事罰を科されうるとすることで、退去を拒む上記の者に、自ら帰国するように促します。

 そもそも命令の対象を必要最小限に限定しており、送還忌避者一般を処罰するものではありません。

3)退去すべき外国人に自発的な帰国を促すための措置を講じます。

 退去すべき外国人のうち一定の要件に当てはまる者については、日本からの退去後、再び日本に入国できるようになるまでの期間(上陸拒否期間)を短縮します。

 これにより、より多くの退去すべき外国人に、自発的に帰国するよう促します」

※入管法改正案について(出入国在留管理庁、2023年5月23日閲覧)
https://www.moj.go.jp/isa/laws/bill/05_00007.html#midashi03

 出入国在留管理庁は、「3回目以降の難民認定申請者でも、難民や補完的保護対象者と認定すべき『相当の理由がある資料』を提出すれば、いわば例外の例外として、送還は停止することとします」と述べていますが、「相当の理由がある資料」とはいったいどんなものなのか、具体的にはまったく不明で、しかも日本にいる難民申請者にこの資料を提出させるという、非合理な制度なのです。

 この改正案が通れば、「強制送還」が増えるのは明らかです。

 出入国在留管理庁によれば、2022年12月末時点で、送還忌避者の数は、4233人います。こうした人々は、基本的な人権が剥奪されています。働くこともできない、医療を受けることもできない、社会保障を受けることもできない状態に置かれています。

 アムネスティ・インターナショナルは、入管法改正案の問題点として、次の5つをあげています。

1.命や自由が脅かされかねない国への追放や送還を禁止する国際習慣法「ノンルフールマン原則」に反し、深刻な人権侵害を受けるおそれのある国への難民の強制送還が可能になる。

2.難民申請中など、在留資格を持たない人に送還を強制し、従わないと刑事罰を与える命令制度の新設。

3.収容に関する決定に司法審査が導入されず、行政機関である入管庁の裁量が大きいまま

4.収容期限の上限が定められず、無期限収容が可能なまま。

5.収容に代わる措置として導入される「監理措置制度」は対象者の自由が保障されておらず、また、あいまいな要件での再収容を行政判断で可能としている。

※日本の難民・移民 – 外国人の収容問題(アムネスティ・インターナショナル、2023年5月23日閲覧)
https://www.amnesty.or.jp/human-rights/topic/refugee_in_japan/immigration.html#longer

 こうした難民認定のない人々の声を、IWJは、5月7日の入管法改悪デモの取材でお伝えしてきました。

※ここから先は【中略】とさせていただきます。御覧になりたい場合は、ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して御覧ください! 会員へのご登録はこちらからお願いいたします。

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

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 IWJは、これまで、入管法に関する問題点を多角的にお伝えしてきました。

 この機会にあわせてぜひ御覧ください。

※IWJのこれまでの入管法に関する取材記事一覧
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E5%85%A5%E7%AE%A1%E6%B3%95

■【スタッフ募集・事務ハドル班】事務ハドル班は、岩上安身によるインタビューのアポ取りとスケジューリング、各種リサーチ、公共コンテンツの取材のためのアポ取りや、中継スタッフやテキストスタッフと連携して、IWJの活動予定を組み立て、指示を出す、重要な役割を担っています。翌日以降の中継・配信予定と、撮影後に記事化された動画の情報を整理し、翌日の日刊IWJガイドの番組表へ反映する、IWJコンテンツ構成の要となる部署です。

 ご応募の資格は、第一に穏やかな性格で明るく協調性のある方。第二にトラブルなく対外的な交渉をできるコミュニケーション能力の高い方。第三にPCスキルがある方です。時給は1200円から、仕事の習熟に伴って昇給していきます。

 入社ご希望の方は、下記のURLのスタッフ募集フォームにご記入の上、履歴書、職務経歴書(書式自由)を添付の上、admin@iwj.co.jpまでお送りください。

※スタッフ募集フォーム
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdiPIiSuiFyoVpF_HRNqdbKlIucA_Vdk6DEWqCq7mCQM6O1kw/viewform

■【スタッフ募集・テキスト(赤反映担当)班】記者として日刊IWJガイドや記事の執筆、エディターとして編集業務を行っていただける方を募集します。特に深夜業務での校正作業を厭わない方は、優遇し、最優先で募集します! 深夜に及んだ場合は、社用車での帰宅が可能です。時給はスタート時は1300円から、能力・実績次第で昇給します。深夜業務は法にのっとった割り増し残業代を支払います。『サビ残』は一切ありません!

 日刊IWJガイドや記事の執筆、編集などの作業のうち、主に日刊IWJガイド校了前の赤反映業務に携わってもらいます。パソコンのスキルが必要です。時に深夜まで及ぶことがありますが、社用車での帰宅、あるいは自宅への送りが可能です。

 雇用形態はアルバイトまたは契約社員で時給1300円からのスタートになります。能力と実績次第で昇給します。正社員登用の途もあります。在宅勤務や業務委託契約も相談に応じます。残業代、深夜残業代もきっちりお支払いします。

 入社ご希望の方は、下記のURLのスタッフ募集フォームにご記入の上、履歴書、職務経歴書(書式自由)を添付の上、admin@iwj.co.jpまでお送りください。

※スタッフ募集フォーム
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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

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IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、尾内達也、浜本信貴)

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