日刊IWJガイド・非会員版「シーモア・ハーシュ氏『ウクライナ紛争の終わりは時間の問題です。ゼレンスキーがあと何人、自国民を殺したいかという問題です』」2023.2.20号~No.3812号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~『デモクラシー・ナウ!』によるシーモア・ハーシュ氏インタビュー(その1)ハーシュ氏「ウクライナ紛争の終わりは時間の問題です。ゼレンスキーがあと何人、自国民を殺したいかという問題です。もう終わりです」、「米国大統領が勝つ見込みのない戦争のために同盟国を凍えさせたノルドストリーム爆破は、長い目で見れば甚大な影響を及ぼすでしょう」

■IWJは最大の経済的危機です! 第13期6ヶ月間の累積の不足額は、1月末時点で1117万円にまで増えてしまいました! 岩上安身からのIWJの借り入れ総額は、現時点で1600万円になります! 岩上安身の私財には限界があります! このままでは、皆さまのご支持・応援、会費、そしてご寄付・カンパによるご支援がなければ、活動が立ち行かなくなります。米国が自らの覇権維持のために世界の緊張を高める「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、緊急のご支援のほど、よろしくお願いします!

■【中継番組表】

■<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その38)>第二部 蒼ざめた異族「第六章 ロシアの〈他者〉なるチェチェン ―一九九一年十一月―」(part10)
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■はじめに~『デモクラシー・ナウ!』によるシーモア・ハーシュ氏インタビュー(その1)ハーシュ氏「ウクライナ紛争の終わりは時間の問題です。ゼレンスキーがあと何人、自国民を殺したいかという問題です。もう終わりです」、「米国大統領が勝つ見込みのない戦争のために同盟国を凍えさせたノルドストリーム爆破は、長い目で見れば甚大な影響を及ぼすでしょう」

 おはようございます。IWJ編集部です。

 2月15日、『デモクラシー・ナウ!』が、「シーモア・ハーシュ記者『アメリカはいかにしてノルドストリーム・パイプラインを排除したか』独占TVインタビュー」を公開しました。

 『デモクラシー・ナウ!』は、エイミー・グッドマン氏とユアン・ゴンザレス氏が主催し、国際情報ニュース番組を制作する独立系メディアです。

 岩上安身は、エイミー・グッドマン氏が2014年に来日した際に、トークイベントで共演したことがあります。奇しくも、ウクライナ紛争の種がまかれたユーロマイダン・クーデターの年です。対談の中身も、現在の状況を予見していたかのような内容です。

※「日本は米国の要請に従って軍国化している!」~岩上安身、エイミー・グッドマン氏と語る 2014.1.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/120424

※IWJが取材したエイミー・グッドマン氏のコンテンツは以下です。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/amy-goodman

 サイトの自己紹介には「1996年に開設され、9つのラジオ局で放映された。それから20年以上が経過し、米国を拠点とする世界有数の独立系デイリーニュース放送の1つに成長した」、「1996年の設立以来、デモクラシー・ナウ!は、政府の資金提供、企業の後援、引受、または広告収入を受け入れないという当社のポリシーを堅持してきた」とされています。

※Reporter Seymour Hersh on “How America Took Out the Nord Stream Pipeline”: Exclusive TV Interview(シーモア・ハーシュ記者『アメリカはいかにしてノルドストリーム・パイプラインを排除したか』独占TVインタビュー)(Democracy Now、2023年2月15日)
https://www.democracynow.org/2023/2/15/nord_stream_sy_hersh

※同全編動画(Democracy Now、2023年2月15日)
https://www.democracynow.org/shows/2023/2/15?autostart=true

 『デモクラシー・ナウ!』によるハーシュ氏のインタビューの内容(概要の書き起こし)は、ハーシュ氏の記事の内容と重複する部分もありますので、重複しない部分を中心に、2回に分けて抜粋でご紹介します。

 番組の冒頭で、エイミー・グッドマン氏が、ハーシュ氏のレポートの概要を紹介し、ロシアが侵攻する前の2022年2月7日に開催された、バイデン大統領とドイツのオラフ・ショルツ首相の共同記者会見で、バイデン大統領が、ロシア軍がウクライナに侵攻した場合「ノルドストリーム2はなくなる」、「我々にはそれができると約束します」と述べたことを取り上げています。

 グッドマン氏は、ヴィクトリア・ヌーランド国務次官が1月26日、「ノルドストリーム2が海底の金属の塊になっていることを知って、政府は非常に満足していると思う」と発言したことも取り上げました。ヌーランド国務次官の発言については『日刊IWJガイド』2月3日号でもご紹介しました。

※はじめに~オバマ政権下で、2014年ユーロマイダン・クーデター当時、ウクライナ担当だったヌーランド米国務次官、上院公聴会で天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」が「海の底の金属の巨塊」になって嬉しいと失言! この失言を報じたロシア『RT』は、昨年9月のパイプライン爆破は西側のテロという主張を繰り返し、「最大の受益者は米国」と指摘!! ラブロフ露外相は米国要人による「興味深い自白」と指摘!(日刊IWJガイド、2023.2.3号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51836#idx-1

 ハーシュ氏は、2022年2月7日のバイデン大統領の発言の前に、すでにヌーランド国務次官が、ロシアの侵攻の約1ヶ月前、2022年1月、「ロシアがウクライナに侵攻すれば、ノルドストリーム2は前進しない」と発言したと述べました。ヌーランド国務次官は、ロシアの行動を予期していたかのようです。

ハーシュ氏「ヴィクトリア・ヌーランドが発表した声明は、実は大統領の声明より前に発表されたものです。昨年の1月下旬に発表されたものです。当時、委員会では、情報機関やオペレーション・コミュニティの多くの洗練された人たちが、『できる』という結論を出し、ホワイトハウスも『可能だ』と言われたのでしょう。それがあの発言につながったのだと思います」

 つまり、ヌーランド氏の発言が行われた2022年の1月末時点で既に米国のバイデン政権のトップは、ノルドストリームの爆破作戦が実現可能であると考えていたことになります。

 ヌーランド国務次官が「ロシアがウクライナに侵攻すれば、いずれにせよ、ノルドストリーム2は前進しない」と述べたことは、2022年1月27日付け米『フォックス・ニュース』が報じています。

※State Dept vows Nord Stream 2 will be a ‘hunk of metal at bottom of the ocean’ if Russia invades Ukraine(FOX NEWS、2023年1月27日)
https://www.foxnews.com/politics/state-dept-vows-nord-stream-2-hunk-metal-bottom-ocean-russia-invades-ukraine

 ハーシュ氏は、1949年にNATOが創設された時からの同盟国であるノルウェーの重要性に触れ、スウェーデンとデンマークにも了解を得なければならなかったが、「バルト海で演習を行う」という説明に両国がどのくらい納得していたかどうかはわからない、と述べました。

 ハーシュ氏は、ノルドストリームがドイツ経済の牽引力になってきたと指摘しました。

ハーシュ氏「私たちが話しているパイプライン、ノルドストリーム1は2011年に完成し、ノルドストリーム2も実際には完成していましたが、ドイツが準備をしていた(天然ガスを)汲み上げるパイプラインは全長750マイルです。シベリアに膨大な量のガスを蓄えているロシアから、直接ドイツに(天然ガスが)送られます。

 ノルドストリーム1は、ドイツ経済と西ヨーロッパにとって天の恵みだったと言えるでしょう。彼ら(ロシア)は非常に低価格で非常に多くのガスを生産しているため、ロシアが供給していたガスの一部を、ロシアが反対することなく、ドイツ政府が転売して、実際に利益を得ることができたのです。

 その結果、ドイツ経済は巨大化しました。活況を呈しています。自動車はご存じのとおりです。ドイツには世界最大の化学会社、BASFがあります。そして誰もが、(ノルドストリームが破壊された)今は、地獄のような生活を送っています。ドイツはとても寒くなっています。怒りが渦巻いています」

※ここから先は【会員版・中略】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

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 ハーシュ氏へのインタビューの続きは、後日、この日刊IWJガイドにてご紹介します。

 IWJは、ハーシュ氏のスクープ記事を号外でご紹介しました。ぜひあわせてお読みください。

※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5

※「ノルドストリームの爆破計画を立て、実行したのは米国とノルウェー」というスクープを出した伝説のジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏に、ドイツメディアがインタビュー! ハーシュ氏、爆破計画に加担したノルウェーの動機と、バイデン政権の動機を語る!「バイデンはドイツがウクライナ支援から寝返えらないように、ノルドストリームを爆破した」! CIA関係者でさえ「恐怖を覚えた」という爆破作戦を「極悪非道」と非難!(日刊IWJガイド、2023.2.16号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51880#idx-2

■IWJは最大の経済的危機です! 第13期6ヶ月間の累積の不足額は、1月末時点で1117万円にまで増えてしまいました! 岩上安身からのIWJの借り入れ総額は、現時点で1600万円になります! 岩上安身の私財には限界があります! このままでは、皆さまのご支持・応援、会費、そしてご寄付・カンパによるご支援がなければ、活動が立ち行かなくなります。米国が自らの覇権維持のために世界の緊張を高める「新たな戦争前夜」にあって、偏向メディアにかわって、正確な情報をお届けすべく、IWJは精いっぱい頑張りますので、緊急のご支援のほど、よろしくお願いします!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 IWJの第13期も半期の折り返しを過ぎ、この2月で7ヶ月目に入りました。

 第13期が始まった8月から1月末まで、月間目標を下回る月が続き、この6ヶ月間の累積の不足額は、現時点で1117万1000円と、1000万円を超えてしまいました!

 2月1日から15日までの15日間でいただいたご寄付は、72件、88万4500円です。これは、単独月間目標額390万円の23%に相当します。

 厳しい経済状況の中、IWJにご寄付をお寄せいただき、誠にありがとうございます。

 しかしながら、IWJの内部留保も底を尽き、12月は、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、500万円をIWJにつなぎ融資することでしのぎました。そして、今年に入り、1月も私が、さらに500万円をIWJにつなぎ融資することを決めました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けてまだ未返済の残高は約600万円。この2ヶ月間のつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 加えて今年に入って年頭からスタッフの中にコロナ感染者が出て、1月末まで6人の感染者を出しており、予定されていたインタビューを2件延期せざるをえなくなりました。また、新たなインタビューの予定も入れることもできなくなり、1月はインタビューが1本もない月となってしまいました。岩上安身によるインタビューにご期待いただいていた会員や応援・支援くださっているIWJファンの皆さまには、大変申し訳なく思っています。

 幸い、1月27日を最後に、体調を崩す者や、検査で陽性になった者も出ていないため、社内での感染の拡がりはストップしたものと思われます。2月からは巻き直す勢いでインタビューを入れていきたいと存じます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費とご寄付・カンパの両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 2023年「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために全力で頑張ってゆきたいと思います。

 2月に入って、ウクライナ紛争の局面は、「ウクライナ=善 vs ロシア=悪」という西側メディアのバイアスのかかった報道でも、ウクライナ軍の敗色はごまかせなくなってきています。

 2月12日の日刊IWJガイドでお伝えしたように、2月に入って、西側メディアの報道やシンクタンクの分析が変わってきました。

 『ニューヨーク・タイムズ』がウクライナ軍が東部ドンバス地域で劣勢になっていると報じ、『ウォール・ストリート・ジャーナル』は西側諸国が約束した戦車は「春の大攻撃」に間に合わないと報じ、米シンクタンク・戦争研究所(ISW)もロシア軍側の優勢を伝えました。

 2月9日、10日とゼレンスキー大統領は、ロンドン、パリ、ブリュッセルに武器支援、特にジェット戦闘機供与を「おねだり」する弾丸ツアーに打ってでましたが、手ぶらで帰国せざるを得ませんでした。

 欧州では、これまでのようにウクライナを支援していていいのか、「春の大攻撃」でウクライナは抵抗できるのか否か、見極めようとしているのかもしれません。

 ゼレンスキー大統領は9日ツアーの最後に、最もウクライナ支援に熱心なポーランドに立ち寄り、ドゥダ大統領と会談をおこないました。

※はじめに~ゼレンスキー大統領は、ロンドン、パリ、ブリュッセルを駆けめぐるツアーで戦闘機をおねだりするも、渋る欧州各国から確たる成果は得られず、取り付けられたのは、「NATO仕様の最新戦闘機によるパイロットの訓練の約束」のみか!? ウクライナが訴える2月後半のロシア大規模攻撃に、欧州主力級戦車は届かないと『ウォール・ストリート・ジャーナル』!『ニューヨーク・タイムズ』、米シンクタンク戦争研究所もロシア側の優勢を認める! イーロン・マスク氏のスペースX社は、ウクライナ軍が依存する同社のインターネットサービス「スターリンク」の軍事利用の禁止を一方的に発表!(日刊IWJガイド、2023年2月12日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51864#idx-1

 しかし、ドゥダ大統領は、12日、BBCのインタビューに対して、F-16航空機の派遣は「非常に重大な決定」であり、「簡単に実施することはできない」と述べました。

※Laura Kuenssberg: Jets to Ukraine decision ‘not easy’ says Poland(BBC、2023年2月12日)
https://www.bbc.com/news/world-europe-64602603

 F-16航空機の「玉突き派遣」をポーランドにやらせようともくろんでいる(ように見える)バイデン大統領は、今月20日から22日のどこかで、ポーランドを訪問する計画を明らかにしましたが、その会談の行方はまだ見えません。

※米大統領、20-22日にポーランド訪問 ウクライナ情勢巡り首脳会談へ(ロイター、2023年2月10日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-poland-biden-idJPKBN2UK1SE

 ウクライナ情勢は、米軍制服組トップのマーク・ミリー統合参謀本部議長が昨年10月に「ウクライナは勝てない」と発言した通りに進んでいるように見えます。

 ウクライナ紛争について西側メディアはこれまで「ウクライナの反撃が成功」、「ロシア軍が膨大な被害を出している」と、一貫してロシア劣勢、ウクライナ優勢の報道を繰り返してきました。

 IWJは西側メディアの情報とロシアメディアや第3国メディアの情報を突き比べ、情勢は必ずしもウクライナに有利ではないことを、5月のマリウポリ陥落の時点からお伝えし続けてきました。

※【特集】ロシア、ウクライナ侵攻 !!
https://iwj.co.jp/wj/open/russiainvadesukraine

 欧米諸国による、さらに高度な武器支援、NATO仕様の主力級戦車の供与などによっても、決定的に戦局を変えることできないであろうこと、ロシア軍がウクライナから追い出され、東部とクリミアを奪還される見込みがありえるなどという、テレビに出ている軍事評論家の根拠のない甘い言説には、IWJは一切与しませんでした。

 仮に、NATO諸国から供与された長距離砲やジェット戦闘機を用いて、ウクライナ軍がロシア領内に攻撃し、モスクワに向かって侵攻したりすれば、ロシアが報復のために小規模の限定的な戦術核兵器を用いるリスクは、確かに絶対にないとは言いきれません。ロシア自らも、レッドラインを踏み越えてきたら核使用もありうると、何回も忠告しています。しかし、実際にそうなれば、米国も核兵器の使用に踏み切り、核のエスカレートの連鎖は止めらない、といった指摘を、IWJは繰り返ししてきました。

 2月に入って、ウクライナ紛争初期の段階で、ロシアとウクライナの和平交渉に携わったナフタリ・ベネット元イスラエル首相が、「この戦争は米国主導の戦争」と述べました。この事実も、日本の大手メディアを含む西側メディアは大きく報じてはいません。

※ナフタリ・ベネット元イスラエル首相が爆弾発言! ウクライナ紛争は「主に米国が主導する戦争」であり、「アメリカ人に、私は言いたいのです。『私はプーチンの耳を持っている。私はパイプになり得る』と」、ゼレンスキーは「『私を助けてくれますか』と電話してきたんです」!(その1)(日刊IWJガイド、2023年2月9日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/category/guide#idx-4

※はじめに~ナフタリ・ベネット元イスラエル首相が爆弾発言!(その2)「あなたはゼレンスキーを殺すのかと。プーチンは『ゼレンスキーを殺すつもりはない』と言いました」(日刊IWJガイド、2023年2月11日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51861#idx-1

 もうひとつ、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出しました。

 IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。

※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5

 こうした一連の状況は、岩上安身とIWJが報道してきた、2014年からの見通しが間違っていなかったことを証明しています。

 この紛争は、米国主導の戦争なのです。

 米国は、悪魔のような謀略で、同盟国のドイツも多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、欧州に天然ガスと石油を高値で売りつけて市場を奪い取ったわけです。

 米国は、邪悪な国家テロを起こして、他国を都合よく操作する、そんな「クソッタレ」帝国主義国家であることが明らかになりました。こんな「クソ」帝国によって、日本はウクライナ同様に、米国の対中戦争の「代理戦争」のコマとされつつあることに、日本国民は真剣な危機感と怒りを抱く必要があります。

 米国政府と西側メディアは、3日「中国のスパイバルーン事件」を大々的に報じ、ブリンケン国務長官の訪中を取りやめ、米中関係の緊張緩和を拒否しました。

 米軍は4日、「中国のスパイバルーン」を撃墜しています。同時期にすっぱ抜かれているノルドストリーム爆破事件については、シーモア・ハーシュ氏の言う通り、欧米のメインストリーム・メディアは一切報道もせず、バイデン大統領はそ知らぬ顔をし続けています。

※はじめに~「中国のスパイバルーン事件」で、訪中取りやめのブリンケン米国務長官は「国家主権の侵害」と主張! 一方、米国防総省は「軍事的脅威はない」として撃墜指示をスルー! ドイツメディアが「バイデン大統領がCIA長官経由で、ゼレンスキー大統領に領土の20%を割譲し停戦するよう勧めた」とスクープ、米政府は全面否定! ゼレンスキー大統領は東部に固執! ウクライナ紛争の行方をめぐって揺れるバイデン政権!(日刊IWJガイド、2023.2.5)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51842#idx-1

 さらに、10日、バイデン大統領の命令で、米軍のF-22戦闘機がアラスカ州上空を飛行していた物体を撃墜しました。この正体不明の物体は、小型車程度の大きさで、高高度を飛行していたということです。米国による気球撃墜は、まるで米中対立の火種を燃え上がらせようとしているかのごとくです。実際、米国以上に日本のマスメディアは、この気球の「空騒ぎ」に狂奔していますが、これは肝心なことから目をそらさせ、人々を誘導してゆく、典型的なスピンコントロールであるといえます。

 さすがに『ロイター』ですらも、撃墜を報じた記事に「飛行物体は軍事的脅威を与えるようなものではないといい、こうした場合に大統領が関与することは珍しい」と書き添えました。

※米、アラスカ上空で物体撃墜 小型車程度の大きさ 大統領が命令(ロイター、2023年2月10日)
https://jp.reuters.com/article/usa-object-idJPKBN2UK1VF

 米国が、中国の脅威を煽れば煽るほど、そしてそれに日本政府や日本社会が乗っていけば乗るほど、日本は危機に近づいてゆきます。

 岸田文雄総理は、1月早々に昨年末閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて岸田総理は鼻高々でした。

 しかし国会での議論と承認がなされなくても、閣議決定し、米国からの承認があれば軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 バイデン大統領は、「これほど日米関係が緊密になった時はなかった」などと全面的に支持を表明、岸田総理は「トマホーク」の購入まで約束してしまいました。

 たしかに、これほど緊密に自衛隊が米軍の支配下に組み込まれたことはなく、日本が米国の対中「代理戦争」のコマとして米国の戦略に組み込まれたことはかつてなかったことでしょう。日本国民として、決して喜ぶべきことではありません。

 日本がこのまま米国追従を続け、米国の一極覇権を支えるのか。そもそも依存している米国は、信頼に値する国家なのか!? 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国として中立を確立し、地域の勢力均衡をめざす多極的な外交姿勢をめざすべきではないのか。日本がどの道を進むかで、米中覇権争いの捨てゴマにされるかどうか、決まってしまいます。

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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身


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◆中継番組表◆

**2023.2.20 Mon.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】16:00~ 中学校英語スピーキングテストESAT-Jを都立高入試選抜に用いることの問題点の説明と都議会文教委員会の正常化を求める保護者記者会見
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 これまでIWJが報じてきた教育委員会の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e6%95%99%e8%82%b2%e5%a7%94%e5%93%a1%e4%bc%9a

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◆中継番組表◆

**2023.2.21 Tue.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「菅直人(元首相)は『経産省は原子力推進側だから規制委員会に加えてはいけない』と決めていたが、いつの間にやら経産省に独占され、規制委員会ではなく推進委員会になっている」~ 2.17 原発反対八王子行動 2023.2.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514126

木村真氏「原発推進・軍備大増強など、安倍にもできなかったことを岸田はやろうとしている。それらも含めてアベ政治からの決別を求める」~ 2.18 7年目に突入!森友問題 ~アベから岸田につながるウソ・改ざん・隠ぺい政治を終わらせよう!! ~ 2023.2.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514160

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■<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その38)>第二部 蒼ざめた異族「第六章 ロシアの〈他者〉なるチェチェン ―一九九一年十一月―」(part10)

 岩上安身は、1989年から1994年まで、29歳から35歳まで、足かけ6年かけて、崩壊前夜のソ連から、ソ連崩壊後の「民主ロシア」誕生の裏面まで、現地で取材しました。

 現地取材をまとめた著書『あらかじめ裏切られた革命』(1996年、講談社、講談社ノンフィクション賞受賞作)は、当時のソ連・ロシアの実態を記録した貴重な資料ですが、残念ながら絶版となっており、入手困難な状況となっております。

 ウクライナ紛争の長期化、そして西欧諸国が世界を支配してきた構造、米国による一極支配構造に揺らぎが見え始めた今こそ、改めて1991年のソ連崩壊前後に戻って、歴史を振り返る必要があると思われます。日刊IWJガイドで、『あらかじめ裏切られた革命』の復刻連載を進めていきます。ぜひお読みください。

 下記URLから、初回の復刻連載(その1)をお読みいただけます。

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その1)>序文「ゴーリキーパークの世界精神」(日刊IWJガイド、2022年11月20日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51557#idx-4

 直近の復刻連載は、下記URLからお読みいただけます。

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その36)>第二部 蒼ざめた異族「第六章 ロシアの〈他者〉なるチェチェン ―一九九一年十一月―」(part8)(日刊IWJガイド、2023年2月15日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51877#idx-9

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その37)>第二部 蒼ざめた異族「第六章 ロシアの〈他者〉なるチェチェン ―一九九一年十一月―」(part9)(日刊IWJガイド、2023年2月19日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51905#idx-4

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◆兄弟民族の苦悩

 十一月二十三日、モスクワへ帰る前日――。

 北オセチア自治共和国とのボーダー付近にあるイングーシュのナズラニ地区では、千人余りの住民が集まって集会が開かれていた。

 「ロシア最高会議が、抑圧された民族の名誉回復に関する法律を採択したにもかかわらず、ロシア指導部はそれを実践しようとはしない! 我々の祖先の土地はまだ北オセチアに組み込まれたままで、返還の兆しすらないばかりか、北オセチア側は我々に対しテロ行為を繰り返している!」

 激しい口調で、カラクール羊の帽子をかぶった長老が演説している。半世紀前の強制移住から故郷の地へ帰還が許されたとはいえ、イングーシュ人にとっては失地のすべてが返還されたわけではない。一部の土地は今も北オセチアに併合されたままで、その領有をめぐってオセチア人とイングーシュ人との対立がエスカレートし、すでに十人余りの死者を出しているのだ。しかしながら、内戦の泥沼へずるずると足を踏み入れながらも、イングーシュ人自身は、自分達がどんな道を選択すべきか迷っている様子である。

 「我々イングーシュ人はチェチェン人と兄弟なのだから、ひとつの国家をつくり運命をともにするべきだ」とある者は主張し、別の人間は「いや、友好関係は保つにしても、独立志向のチエチェン人とは一線を画して、ロシアの中にとどまるべきだ」と反論する。イングーシュ人達は、いま二つの極に引き裂かれているのだ。一つの極は、ドゥダーエフ政権の急進路線とは一線を画し、ロシアにとどまりつつ、北オセチアとの問題を「穏健」に解決しようとする方向。もう一つの極は正反対に、チェチェンと運命をともにして、ロシアからの離脱をはたし、一致団結して北オセチアと対決していく方向に活路を見出そうとする道である。

 「エリツィンは九一年六月の大統領選の前に、選挙キャンペーンの一環として、このナズラニ地区を訪れ、我々の前で領土の返還を公約しているんです」と、イングーシュ民族委員会のリーダーの一人、ハジミラット・カストエフは言う。

 「だからこそ、我々はエリツィンを支持した。その公約を実現するならば我々はロシアを信頼して、どのような形になるにせよ円満な共存関係をつくりあげたいと思う。しかし、いったん権力を手に入れてしまったら、知らん顔をして公約を反古にするというのならば、話は別です。かつてボリシェヴィキは、農民に土地を、諸民族に自決の権利を与えることをスローガンにして支持を集め、権力を手に入れた。ところが、連中はその約束をまったく果たさなかった。エリツィンがボリシェヴィキと同じように裏切るならば、我々は一切の妥協をせず、チェチェン人達と団結して、武力をもって戦う」

 一人の人間の中でも、状況次第では一方の極から他方の極へと振り動く、そんな不安定な振幅を抱え込んでいるのである。そして誰もが民族の将来をめぐって大きく揺れながらも、結局のところ進路の決定は、今後のロシア指導部の決断と実行次第であるという点にいきつく。

 しかしやっかいなことは、イングーシュ人と対立しているオセチア人もまた、スターリニズムの犠牲者なのである。彼らは南北に分断され、北は自治州としてロシア共和国に組み入れられ、南はグルジア共和国の一部とされた。現在、南オセチアはグルジアからの離脱を求め、それを許そうとしないグルジアとのあいだで血で血を洗う激しい戦闘を展開している。分断された民族の統一を願う南北オセチア人の要求もまた、決して不当なものであるとは、いえないのだ。

 独立を望むグルジアはロシアと対立し、やはり独立と民族統一を願う南オセチアはグルジアと対立する。その南オセチアとの統合を望んでいる北オセチアは、イングーシュからの領土要求に脅かされていると感じているため、「寄らば大樹の陰」でロシア連邦から離脱しようとはしない。

 イングーシュはといえば、一方ではチェチェンとともにロシアから独立したいという誘惑にかられてはいるが、そうなればロシアの巨大な力をバックにした北オセチアとの駆け引きに不利になってしまうので、やむなくロシア連邦にとどまろうとする。

 そしてチェチェンのドゥダーエフ大統領は、断固としてロシアからの独立路線をひた走りつつ、南北オセチアやダゲスタンやカバルディノ・バルカリア自治共和国などのイスラム系・北カフカス諸国を統合するトランス・ナショナルなカフカス共同体を夢想し、同時にキリスト教国のグルジアの独立を支持しているのである。

 何というややこしさ!

 そして、ややこしければややこしいほど、大国ロシアにとっては有利になる。諸民族を「分断して統治する」というのが、ツァーリのロシアからソビエト政権まで一貫した支配の論理だった。民主化されたといわれる現在のロシアがその論理を踏襲するならば――その兆候はすでにみえているのだが――エリツィンが民主主義の仮面をかぶったツァーリと称される日が、遠からずやって来るのかもしれない。(第6章了、次回第7章へ続く)

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

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IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵)

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