日刊IWJガイド・非会員版「六ヶ所再処理工場がミサイル攻撃を受ければ、日本の総人口の約71%が避難を強いられる! 残されるのは、人が住めない荒廃した土地だけ!」2022.11.25号~No.3725号


┏━━【目次】━━━━
■はじめに~六ヶ所再処理工場だけでもミサイル攻撃を受ければ、日本の総人口の約71%が避難を強いられる! 避難面積は日本の総国土面積の約37万8000平方キロメートルを上回る! 残されるのは、30年以上も人が住めない荒廃した土地だけ! IWJは講演者の鈴木達治郎長崎大学の核兵器廃絶研究センター教授に直接質問!~第278回原発ゼロ・再エネ100の会(世話人<拡大会議>)オンライン講演会

■8月から始まったIWJ第13期は、10月までの第1四半期の3ヶ月間で累積の不足金額が682万4870円に達してしまいました! 目標額の約半分です! 累積の不足額と今月の月間目標額390万円とを合計すると、今月末までに1072万4870円が必要ですが、11月24日現在、ご寄付・カンパは88万3100円と目標額の8%にとどまっています! 今後とも精いっぱい頑張ってまいりますので、どうぞご支援のほど、よろしくお願いします!

■【中継番組表】

■<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その5)>第一部 ロシア零年「第二章 母なる、されど病める大地―一九九一年九月~十一月―」(part2)

■<IWJ取材報告>「自由に取材し、番組を編集し、自由に報道する。NHKの会長が一番やらなければいけないことは、組織の中の自由を確保すること!!」~11.22「前川喜平さんを次期NHK会長候補に!」NHK西口前街宣行動

■<新記事紹介 1>「台湾有事」にロシアが参戦!? 米国は極東でロシアにウクライナ紛争の第二戦線を開かせ、軍事力分散を図る!? 元米国防次官補の論文をロシアメディアが批判! ロシアメディアは、米国はウクライナ同様、極東でも「(米国は)無様に負ける」と息まくが、米露とも「世界大戦」化した時、日本が戦場として巻き込まれてしまうリスクには無関心!

■<新記事紹介 2>エリザベス女王死去前の調査で、なんと英国人4人に1人が、女王の在位終了で君主制終了と答えていた! 他方、日本の大手メディアの皇室意識調査は初めから天皇制擁護の観点で組み立て! 女王死去報道に欠けていたのは、大植民地帝国の支配者としての負の側面!

■<IWJサーバーメンテナンスのお知らせ>IWJでは、11月28日(月)午前8時から午後3時まで、サーバーメンテナンスを行います。メンテナンス中は、IWJの一部サービスが一時利用不可になります。
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■はじめに~六ヶ所再処理工場だけでもミサイル攻撃を受ければ、日本の総人口の約71%が避難を強いられる! 避難面積は日本の総国土面積の約37万8000平方キロメートルを上回る! 残されるのは、30年以上も人が住めない荒廃した土地だけ! IWJは講演者の鈴木達治郎長崎大学の核兵器廃絶研究センター教授に直接質問!~第278回原発ゼロ・再エネ100の会(世話人<拡大会議>)オンライン講演会

 おはようございます。IWJ編集部です。

 11月24日朝9時から、第278回原発ゼロ・再エネ100の会(世話人<拡大会議>)がオンラインで開催されました。

 テーマは、「民生用原子力施設への軍事攻撃:核セキュリティ・安全保障の観点から考える」という大変アクチュアルなものです。

 冒頭、事務局長の阿部知子衆議院議員(立憲民主党)から「ウクライナのザポリージャ原発を含む民生用原子力施設への軍事攻撃が現実に考えられる事態になってきましたので、核セキュリティ・安全保障の観点から考えてゆくということで、今日は、長崎大学の核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎先生に講演をお願いしています」と挨拶がありました。

 最初に、原子力規制庁から現状の政府の認識の説明がありました。

 規制庁は、次のように、「核セキュリティ」の概念は、そもそも、核物質の盗難防護から始まったと説明しています。

 「核セキュリティの考え方は、核不拡散政策、つまり、核物質の盗難防護というものの一環で始まったものです。最近は、核セキュリティには武力攻撃に対する防護対策も含まれるようになりました」

 規制庁は、原子力発電所を例として、許認可等に係る法規制体系の全体像を示しました。

 法規制体系は、3つの柱からなります。

 第一に、セーフティ(安全性)です。施設の健全性を担保するハード面の規制と、保安活動の妥当性を担保するソフト面の規制があります。

 第二に、セキュリティ(核物質防護)です。これには、核物質の盗難や武力攻撃、情報システム・セキュリティなどが含まれます。

 第三に、セーフガーズ(保障措置)があります。これは、核物質の核兵器への転用がないことを確認したり、核物質の在庫量に変化があたときなどに、IAEA(国際原子力機関)の査察を受けるものです。

 しかし、規制庁が、「核物質防護対策の基本的骨格」として示したのは、原子力施設の周囲に壁を構築して、侵入者が入れないようにするというのが、基本だというのです。

 規制庁が示したイメージ図には、警察の常駐部隊による警備や海上保安庁の巡視船艇による監視警戒とありますが、「台湾有事」や「朝鮮有事」に日本が米国の盾として、巻き込まれた場合、中国や北朝鮮に1000発以上実践配備されたミサイルの連続攻撃を想定しなくてはなりません。

 さらに、ロシアのウクライナ侵攻で明らかになったのは、軍隊が長期間、原子力施設を占拠するという可能性です。

 少数のテロリストを想定して、施設周囲に壁を構築したところで、戦車や装甲車の部隊で攻め込まれたら、サブマシンガン等を携行し、24時間警備している警察の原発警備部隊でも防ぎようがないのです。

 テロではなく、軍事攻撃だと認識して、重要な民間インフラを守るため、自衛隊法78条にもとづき、自衛隊が出動したとしても、それで間に合うかどうか、また、撃退できるかどうかという問題が残ります。

 3月にロシア軍がザポリージャ原発に侵入したときは、重戦車2台と10台の装甲車で侵入しました。

 事実上、規制庁の描く「核物質防護対策の基本的骨格」は、破綻しています。

 長崎大学核兵器廃絶研究センターの鈴木達治郎副センター長・教授の講演は、興味深いものでした。

 講演には、次の5つの論点がありました。

※ここから先は【会員版】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!

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■8月から始まったIWJ第13期は、10月までの第1四半期の3ヶ月間で累積の不足金額が682万4870円に達してしまいました! 目標額の約半分です! 累積の不足額と今月の月間目標額390万円とを合計すると、今月末までに1072万4870円が必要ですが、11月24日現在、ご寄付・カンパは88万3100円と目標額の8%にとどまっています! 今後とも精いっぱい頑張ってまいりますので、どうぞご支援のほど、よろしくお願いします!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 11月も下旬になり、師走の足音が聞こえ始めました。8月から始まったIWJの第13期も、5ヶ月目を迎えようとしており、第2四半期も1ヶ月が過ぎようとしています。

 8月から10月までの第1四半期の3ヶ月間は、ご寄付・カンパが月間目標額に達成する月がないまま、累積の不足分は682万4870円と、マイナスが大きく積み上がってしまいました。

 今月11月のご寄付・カンパの目標額390万円に、累積の不足額682万4870円を加えると、11月のご寄付・カンパの目標額は、1072万4870円となります。

 11月は24日までの24日間で93件、88万3100円のご寄付・カンパをいただきました。ご支援くださった皆さま、本当にありがとうございます。しかし、この金額は、今月末までの累積月額目標額1072万4870円の8%でしかありません。11月が残り6日となった時点で、月間の目標額の8%ということは、あと92%分、984万1770円が必要となる、ということです。大変困難な、厳しい見通しです。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、IWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費とご寄付・カンパの両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 IWJは、市民の皆さま、お一人お一人が会員となっていただくことと、ご寄付・カンパをいただくことで、政治権力におもねり、広告スポンサーに牛耳られている記者クラブメディアとは一線を画した、独立市民メディアとしての活動を貫いてきました!

 権力に不都合であっても、真実を追及し、権力の監視を行う「ウォッチドッグ」の役割を果たし続けることが可能になります。これも、市民の皆さまのお支えがあってのことです。

 また、大新聞、大手テレビが、足並みをそろえてウクライナ紛争において情報操作を行っている現状を御覧になればわかるように、権力と大資本から距離を置く独立メディアが存在しないと、真実はまったくわからなくなってしまいます。それは結局のところ、めぐりめぐって、私たち自身の生存や生活を、脅かすことになります。

 10月17日の日刊IWJガイドを読んでいただければわかる通り、ウクライナ紛争と対露制裁によって、米国の同盟国は、欧州も日本も「巻き添え被害」にあっています。欧州の市民はその真実に気づき、ドイツやチェコのプラハだけではなく、パリにおいても市民が立ち上がって反NATOの抗議の声をあげていますが、欧州のマスメディアも日本のマスメディアも、そうした動きを意図的に報じようとしません。

 我々のような独立メディアが存在しなければ、この事態を人々が知るすべもないのです。独自の視点で真実の報道を続けるIWJの存在価値を、ご理解いただき、お支払いいただければと思います。

※日本のマスメディアが伝えない欧州の現実! インドメディア『WION』が、フランスの「反NATO」デモをレポート!「NATOから離脱しよう!」、「Let’s get out of NATO!」「NATOのためにフランスはウクライナの『巻き添え被害』を受けている」! フランスの高級紙『ル・モンド』は、石油会社従業員による賃上げデモを報じるも、「反NATO」デモはスルー!? 米英NATOウクライナのために、『巻き添え被害』を恐れているのは日本も同じ!! メディアの情報操作によって、その事実にすら気づかない日本国民!(日刊IWJガイド、2022年10月17日号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51419#idx-6

 日刊IWJガイド11月23日号でお伝えしたように、17日付のロシアメディア『RIAノーボスチ』は、11月11日までにロシア軍が撤退したヘルソン州で、親ロシアの活動家39人が、ウクライナの治安部隊に射殺されたと報じました。しかし、ヘルソンの粛清を西側メディアはまったく伝えていません。

※ヘルソンでウクライナ軍が親ロシアの活動家住民39人を射殺! 74人が連行され行方不明! 日本のマスコミを含む西側主要メディアはこの事実をまったく伝えず! ウクライナ側に一方的に偏った視点の西側の政府発表や偏向報道を改め、今こそ普遍的な人権の視点を!(日刊IWJガイド11月23日号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51564#idx-4

 また、改憲による緊急事態条項の創設は、統一教会が自民党の背中を押して、実現に向けて推進してきた政策です。統一教会という「反日・反社会的カルト」を、日本社会から追放し、政治への介入をやめさせるとともに、この危険な緊急事態条項の憲法への導入を阻止するために、私と、IWJのスタッフは、全力で立ち向かいたいと思います!

 また、インタビュー用のカメラが故障した件ですが、修理の見積もりが修理業者から出まして、修理費は合計で約7万円強ですむことになりました! 一時は、買い替えの可能性もありうるとお伝えし、ご心配をおかけしました。

 なお、IWJのスタジオでの岩上安身によるインタビューは、今週もまだできませんが、出張してのインタビュー、Zoomを使ってのインタビューは可能だと思われますので、3台のカメラが修理工場に行っている間も工夫を重ねてインタビューを行いたいと存じます。

 皆さまにはぜひ、ご支援いただきたく、IWJの存続のために、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。

 どうかIWJ会員の皆さま全員のお力で、IWJをお支えください!

 下記のURLから会員登録いただけます。ぜひ、会員登録していただいてご購読・ご視聴お願いいたします。

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 ぜひとも、サポート会員様におかれましては、会員をそのままご継続いただき、一般会員様におかれましては、サポート会員へのアップグレードを、無料で日刊IWJガイド非会員版を読み、ハイライト動画を御覧になっている無料会員の皆さまにおかれましては、有料の一般会員登録をぜひともお願いいたします。

 また、休会中の皆さまは、メールやお電話をいただければ、すぐに会員を再開できます。一度退会された方でも、改めて申し込みをいただくことで再び会員になっていただくことが可能です。

※ご寄付・カンパはこちらからお願いします。
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

※以下は、IWJの活動へのご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします。

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 IWJホームページからも、お振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身


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◆中継番組表◆

**2022.11.25 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee

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◆中継番組表◆

**2022.11.26 Sat.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「自由に取材し、番組を編集し、自由に報道する。NHKの会長が一番やらなければいけないことは、組織の中の自由を確保すること!!」~11.22「前川喜平さんを次期NHK会長候補に!」NHK西口前街宣行動 2022.11.22
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512395

「台湾有事」にロシアが参戦!? 米国は極東でロシアにウクライナ紛争の第二戦線を開かせ、軍事力分散を図る!? 元米国防次官補の論文をロシアメディアが批判!
ロシアメディアは、米国はウクライナ同様、極東でも「(米国は)無様に負ける」と息まくが、米露とも「世界大戦」化した時、日本が戦場として巻き込まれてしまうリスクには無関心!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512435

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■<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その5)>第一部 ロシア零年「第二章 母なる、されど病める大地―一九九一年九月~十一月―」(part2)

 岩上安身は、1989年から1994年まで、29歳から35歳まで、足かけ6年かけて、崩壊前夜のソ連から、ソ連崩壊後の「民主ロシア」誕生の裏面まで、現地で取材しました。

 現地取材をまとめた著書『あらかじめ裏切られた革命』(1996年、講談社、講談社ノンフィクション賞受賞作)は、当時のソ連・ロシアの実態を記録した貴重な資料ですが、残念ながら絶版となっており、入手困難な状況となっております。

 ウクライナ紛争の長期化、そして西欧諸国が世界を支配してきた構造、米国による一極支配構造に揺らぎが見え始めた今こそ、改めて1991年のソ連崩壊前後に戻って、歴史を振り返る必要があると思われます。日刊IWJガイドで、『あらかじめ裏切られた革命』の復刻連載を進めていきます。ぜひお読みください。

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その1)>序文「ゴーリキーパークの世界精神」(日刊IWJガイド、2022年11月20日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51557#idx-4

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その2)>第一部 ロシア零年「第一章 書記長のいない八月 ―一九九一年八月―」(前半)(日刊IWJガイド、2022年11月22日号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51562#idx-6

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その3)>第一部 ロシア零年「第一章 書記長のいない八月 ―一九九一年八月―」(後半)(日刊IWJガイド、2022年11月23日号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51564#idx-7

※<岩上安身『あらかじめ裏切られた革命』復刻連載(その4)>第一部 ロシア零年「第二章 母なる、されど病める大地―一九九一年九月~十一月―」(part1)(日刊IWJガイド、2022年11月24日号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51569#idx-4

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◆「ソ連軍」―「共産党」=マフィア!?

 あるソ連人の軍事ジャーナリストは、ソ連軍人の士気についてこう語る。

 「もしソ連軍の将校や下士官に、それぞれの自由にしていいから、ソ連軍に残るかどうか決めなさいといったら、間違いなく半数がやめるでしょう。それくらい彼らはソ連軍に絶望している。彼らがためらっているのは、やめても職が見つかるかどうか不安があること、軍人としてつとめあげれば年金や住宅がもらえること、そんな消極的な理由からにすぎません。もっとも、実際には現在でも軍人用の住宅は不足しているし、給料も年金も現在のインフレ下では生活の足しにはなりそうもないのですけど」

 民主勢力の批判にさらされてきたソ連軍では、八月政変以降、徹底的な軍備削減政策がとられ、大量の解雇者が生み出されている。陸軍大尉のアレクサンドル・リャボフ(四十六歳)も、来年にはクビを切られることが確定した一人だ。

 「父の遺産をあわせて、いま貯金は五千五百ルーブルある。二十数年間、倹約してコツコツ貯めたお金だけれど、今となっては資産と呼べるものではなくなってしまった。この金はどうにもならなくなったときの非常用に確保しておくつもりだけど、今のインフレ下では銀行に預けておくとどんどん目減りしていってしまう。どうしたものか…」

 彼はそれでも、フラットを所有しているので、住む場所には困らないですむ。悲惨なのは、転属を重ねてきて、今まで住宅を購入する機会のなかった将校である。ソ連内務省国内軍の中佐、ゲオルギー・ガブリロフ(三十六歳)は、財産と呼べるものは何も持っていない。長年勤めていたカザフからモスクワへ転属となったものの、まともに住居を割り当ててもらうこともできず、知人のフラットの一間を間借りしてしのぐことになった。

 「月給は一ヵ月前に七百五十ルーブルから一千百ルーブルに上がりました。去年(九〇年)は三百ルーブルでしたから、四倍近くになったことになる。しかしこの部屋の家賃は一ヵ月五百ルーブル。月給の半分が消えてしまう。まあしかし、それでも私は幸運なほうです。住宅不足のモスクワではこれは安いほうだし、そもそも間借りできること自体、運がいいんですから」

 彼の言葉は強がりでも、自己慰撫でもない。東欧から撤退してきたソ連軍将校とその家族の生活は、どん底の極みにある。彼らは中央アジアや力フカスなどへ分散され、テントやバラックで夜露をしのいでいるありさまだ。

 約百万人の将校・下士官のうち、現在、約二十万人分の住宅が不足しており、その家族をあわせれば八十万人近くが、急ごしらえのバラックか、軍用の格納庫や倉庫に仮住まいしている。何世帯も押しこめられたそこには、暖房設備もなく、温かいお湯を供給するボイラーもない。キッチンもバスもトイレも共同で、薄いベニヤで仕切られただけの部屋では、プライバシーはもちろん保たれるはずもない。にもかかわらず、軍の予算の大幅な削減が進められつつある現今では、あわれな軍人とその家族の生活が改善される見込みはまるでない。

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■<IWJ取材報告>「自由に取材し、番組を編集し、自由に報道する。NHKの会長が一番やらなければいけないことは、組織の中の自由を確保すること!!」~11.22「前川喜平さんを次期NHK会長候補に!」NHK西口前街宣行動

 11月22日午後12時より、東京都渋谷区のNHK放送センター西口前にて、「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」による街宣行動「前川喜平さんを次期NHK会長候補に!」が行われ、往来の人々やNHK職員に、NHKの問題点などを訴えました。

 この街宣は、11月4日に、東京・衆議院第二議員会館にて開催された記者会見に続く、「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」による2回目の行動です。

※「政府のいいなりには絶対にならない。そういう公共放送こそが本当の公共」~11.4市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会 主催「前川喜平さんを次期NHK会長候補に!」記者会見―登壇:前川喜平氏(元文部科学事務次官)2022.11.4
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512172

 22日の街宣では、国立音楽大学名誉教授で元NHK経営委員の小林みどり氏、法政大学社会学部教授で元NHK記者の大崎雄二氏、ジャーナリストで元NHKのチーフプロデューサーの長井暁(さとる)氏、NHK元ディレクターの池田恵理子氏らが登壇し、NHKの現状、そして、前川氏を次期NHK会長に推す理由について、スピーチを行いました。

 元文部科学事務次官の前川喜平氏自身もスピーチを行い、NHKのあり方について、メディアについて、さらに民主主義に対する思いを、次のように訴えました。

前川氏「はからずも、NHKを大変心配している市民の方々に要請を受けまして、市民が推薦する次期NHK会長候補ということになったわけでございまして、経営委員会が私を選ぶ可能性はほとんどないとは思いますが、しかし、『本来市民に開かれたNHK』であれば、私が自分で言うのは変ですけれども、有力な候補になり得るのではないかと思っております。

 メディアと教育。私は、教育行政をずっとやってまいりましたが、メディアと教育は民主主義の基本なんです。メディアと教育が崩れれば、民主主義は崩れます。いま、崩れかけているんです。今、世界が専制主義か、民主主義かという岐路に立たされている。

 民主主義が危ない。アメリカだって危ない。日本はもっと危ない。民主主義がつぶれた国もたくさんある。香港もミャンマーも。民主主義はどこから崩れていくか? メディアと教育から崩れていきます。

 この2012年に第2次安倍政権ができてから、もう10年になりますが、この10年の間に、この民主主義の崩壊はかなり、音を立てて進んできたと思います。何とかここで食い止めなければならない。そのためには、もちろん、教育が大事です。

 これは、教育の現場にいる教師たちがどれだけ頑張ってくれるか、ということが大事になってくるわけで、逆に言うと、文部科学省や教育委員会が余計なことはしないということが大事なのですが。

 同じように、メディアが非常に危ない。このメディアが国民の『知る権利』に本当に奉仕する力になっているのか?

 この『報道の自由』と『教育の自由』、そして、『学問の自由』。これは民主主義を支える両輪だと言っていい。『知る権利』と『学ぶ権利』が実現されて初めて、民主主義を支える、賢明な主権者も育つわけです。

 メディアが政府のウソばっかり垂れ流していたら、真に国民は本当のことを知ることができません。本当のことを知ることができなければ、間違った政治を正すこともできません。

 そういう状態で、もうどんどんどんどん進行しているのが、今現在の状況だろうと思います。そうやってメディアをコントロールすることによって、(自民党の)長期政権というものが実現してきたんだ。

 これを何とか逆転させなければ、本当に日本の民主主義が危ないと私は思っております。

 そういう思いがあるからこそ、突然のご依頼でございましたけれども、このNHK会長候補というのをお引き受けしたわけでありまして、もし、万が一NHK会長になった暁には、これは本当に私はNHKをもっともっと明るく、自由な場所にしていきたい。

 自由に番組を編集する。自由に取材し、自由に報道する。NHKの会長が一番やらなければいけないことは、その組織の中の自由を確保することです」

 前川氏は、NHKや国という大きな組織の中で働くこと、そして、その中で生きていくことについて、NHKで働いているであろう人々に向けて、次のように呼びかけました。

前川氏「私は文部科学省に勤めている間は、『面従腹背』というのを、実は座右の銘として、公言はしませんが、自分の心の中で、おかしな命令には心の中ではあらがう。表面上は従わざるを得ないことが多いと思いますが、しかし、心の中ではあらがう。こういうつもりで、仕事をしていたんです。(中略)

 恐らく、そういう思いで仕事をしているNHKの職員がたくさんいらっしゃるはずです。

 私は、出口のないトンネルはない。春の来ない冬はない。こんなNHKがいつまでも続くわけがない。いつか、皆さんが自由に、本当に市民のために仕事ができる。そういう時代が必ず来ると。それを信じてくじけずに頑張っていただきたい。

 心の中の自由は決して売り渡してはいけない。自由があるからこそ、本当の公共性というものが生まれます。精神が隷属した人間には、本当の公共性を実現する力はありません。

 本当の自由の中からこそ、本当の公共性も生まれる。だから、くじけずに頑張っていただきたい。時に、心ならずも、しなければならないことがあるでしょう。そのときには仕方がないと思って、諦めてやることも仕方がない。そういう場合もあると思うんですよ。

 しかし、魂を売ってはいけない。自分の魂をなくしてはいけない。これは強く訴えたいと思います。魂を売ってはいけない。

 今、一時的に貸すことはあっても仕方がない。一時的に貸すことがあっても、貸した魂は後でちゃんと取り返す。貸した魂は取り返す。そして、自分の魂を大事にする。本当の自由を大事にする。絶対に売り渡してはいけないです」

 「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」は現在、賛同署名に取り組んでいます。また、12月1日(木)には、NHK経営委員会に申し入れ書と賛同署名を提出し、前川喜平氏、金平茂紀氏、上西充子氏ほかが登壇するシンポジウムを開催する予定です。

※市民とともに歩み、自立したNHK会長を選んでください!(change.org)
https://www.change.org/p/%E5%B8%82%E6%B0%91%E3%81%A8%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%AB%E6%AD%A9%E3%81%BF-%E8%87%AA%E7%AB%8B%E3%81%97%E3%81%9Fnhk%E4%BC%9A%E9%95%B7%E3%82%92%E9%81%B8%E3%82%93%E3%81%A7%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84

 街宣行動の詳細は、ぜひ全編動画をご視聴ください。

※「自由に取材し、番組を編集し、自由に報道する。NHKの会長が一番やらなければいけないことは、組織の中の自由を確保すること!!」~11.22「前川喜平さんを次期NHK会長候補に!」NHK西口前街宣行動
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512395

■<新記事紹介 1>「台湾有事」にロシアが参戦!? 米国は極東でロシアにウクライナ紛争の第二戦線を開かせ、軍事力分散を図る!? 元米国防次官補の論文をロシアメディアが批判! ロシアメディアは、米国はウクライナ同様、極東でも「(米国は)無様に負ける」と息まくが、米露とも「世界大戦」化した時、日本が戦場として巻き込まれてしまうリスクには無関心!

 米国の元国防次官補で軍事アナリストのセス・クロプシー氏が、香港を拠点とする英語メディア『アジア・タイムズ』に2022年9月1日付けで「ロシアはウクライナを超えて、どのように対立をエスカレートさせるのか~インド太平洋におけるロシアの脅威は、米国と同盟国が認識し、抵抗する必要がある」と題した論文を寄稿しました。

※How Russia may escalate conflict beyond Ukraine(ASIA TIMES、2022年9月1日)
https://asiatimes.com/2022/09/how-russia-may-escalate-conflict-beyond-ukraine/

 ウクライナ紛争について、「西側の評価では、ロシア海軍の力が過小評価されている」というクロプシー氏は、「ロシアの地上軍が受けたダメージと、ウクライナでの作戦が要求する資源の増大を考慮すると、ロシアの海軍はクレムリンに残された最も有効な戦力だ」と論じ、ロシアがインド太平洋地域で米国と同盟国に「圧力をかける能力がある」と警告しています。

 クロプシー氏は、ロシア軍が「台湾有事」に参戦すれば、中国側が圧倒的に有利になると懸念を示す一方、極東でロシアに圧力をかければ、ウクライナ戦線におけるロシア軍の戦力を東西に分散させ、ウクライナ戦争においてロシア軍を弱体化させることができるとも論じています。

 この『アジア・タイムズ』のセス・クロプシー氏の論文を、9月5日付けロシア『RIAノーボスチ』が取り上げ、「ウクライナで苦戦するワシントンは、極東に第二戦線を開こうとしている」と批判しました。

 その上で『RIAノーボスチ』は、「しかし、そこでも(ワシントンは)無様に負けることは間違いない」と息巻いています。

※Американцы хотят открыть второй украинский фронт(РИА Новости、2022年9月5日)
https://ria.ru/20220905/front-1814377692.html?utm_medium=referral&utm_source=infox.sg&utm_campaign=exchange

 すなわち、米露ともに、「台湾有事」にロシア軍が参戦することによる影響を、おのおのに都合よく解釈しているのです。

 米露両国のうぬぼれと闘争心が高じて、極東で本当に「世界大戦」として現実化した時には、日本と、日本の自衛隊は、このままでは何の主体性も示すことなく、薄ぼんやりとなりゆきまかせで動員されてしまうでしょう。

 米国とロシアに対し、そして中国に対しても、ウクライナ、台湾に対しても、「戦争はやめろ!」「戦線を拡大するな!」と我々日本人は先頭に立って「NO WAR!」を主張しなければいけないはずです。

 私たちの暮らしの、すぐそばにまで「世界大戦」という「巨大な怪物」が迫ってきているのです。

 詳しくは、下記記事を御覧ください!

※「台湾有事」にロシアが参戦!? 米国は極東でロシアにウクライナ紛争の第二戦線を開かせ、軍事力分散を図る!? 元米国防次官補の論文をロシアメディアが批判! ロシアメディアは、米国はウクライナ同様、極東でも「(米国は)無様に負ける」と息まくが、米露とも「世界大戦」化した時、日本が戦場として巻き込まれてしまうリスクには無関心!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512435

■<新記事紹介 2>エリザベス女王死去前の調査で、なんと英国人4人に1人が、女王の在位終了で君主制終了と答えていた! 他方、日本の大手メディアの皇室意識調査は初めから天皇制擁護の観点で組み立て! 女王死去報道に欠けていたのは、大植民地帝国の支配者としての負の側面!

 今年2022年の物故者中、最も話題になったのは、9月8日に96歳で亡くなった英国女王エリザベス2世であることは間違いないでしょう。国葬は各国に中継され、日本の天皇皇后をはじめ多くの国賓が参列しました。

 ところが、女王死去の4ヶ月前の調査報告では、なんと英国人の4人に1人が、女王の在位終了が、君主制をやめるタイミングと考えていたことが判明しました。

 現実には国民の85%が10年後も君主制が残ると考えてはいるものの、特に若者、少数民族、スコットランドの住民等を中心に、君主制支持が弱まっているのは事実です。今後、英国の君主制に何らかの変化が訪れる可能性があります。

 他方、日本の皇室に関する大手メディアの世論調査では、そもそも皇室の存続を問う選択肢がありません。天皇制擁護を大前提に、質問が組み立てられているのです。

 さて、今回のエリザベス女王死去に関する世界の大手メディアの報道で、決定的に欠けていたのは、女王が大植民地帝国の支配者だった負の側面でした。

 オーストラリアの政治団体、ソーシャリスト・オルタナティブ・レッド・フラッグは女王死去の翌日、「最も血なまぐさい植民地帝国(おそらく今日の米国に次ぐ)の積極的指導者だった」とコメントしています。

 女王の足跡に関して今後、植民地の君主としての行動も検証されるべきでしょう。それは、日本の皇室に関しても同様のはずです。

 詳しくは、下記記事を御覧ください!

※エリザベス女王死去前の調査で、なんと英国人4人に1人が、女王の在位終了で君主制終了と答えていた! 他方、日本の大手メディアの皇室意識調査は初めから天皇制擁護の観点で組み立て! 女王死去報道に欠けていたのは、大植民地帝国の支配者としての負の側面!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/512464

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 皆さまにはご迷惑をおかけいたしますが、何とぞご了承いただきますようよろしくお願い申し上げます。

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