日刊IWJガイド「IWJの財政がまたまた大ピンチです! 5月もあと2日、IWJの活動をご寄付・カンパでご支援ください!」2022.5.30号~No.3546号


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■はじめに~IWJの財政がまたまた大ピンチです! 5月もあと2日、IWJの活動をご寄付・カンパでご支援ください!<インタビュー告知>本日、午後6時30分より岩上安身によるエコノミスト 田代秀敏氏インタビュー第4弾、「『長期化するウクライナ紛争~米国の代理戦争の代償』田代秀敏氏による『米ドルの黄昏とアテナイ覇権喪失の教訓』」をお送りします。

■【中継番組表】

■ツイッター「IWJ_Sokuho」5月29日、対露制裁の鉄槌が自らの身に? ロシア産資源の禁輸措置で欧州は大混乱、ロシア産天然ガスに代わるガス供給源がない!? ガスプロムの海外顧客54社のうち「約半数」がルーブルの口座を開設! いつまでも足並みの揃わないEUは5月中にロシア産石油の禁輸措置に踏み切れるのか? 粛々と割安のロシア産石油を輸入するアジア諸国は、2022年4月に初めてロシアの石油の最大の輸入先となる! 対露制裁で世界のエネルギー資源市場の再編成が進行!

■5月発行の「岩上安身のIWJ特報!」は3月3日収録の「ロシア軍侵攻で世界に衝撃! 東の『台湾有事』危機と西の『ウクライナ有事』危機が同時に迫る!(第4回)岩上安身によるインタビュー 第1069回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行します! ぜひ、「まぐまぐ」からご登録ください!! バックナンバーの単独購入も可能です! サポート会員になればバックナンバーすべて読むことができます!
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■はじめに~IWJの財政がまたまた大ピンチです! 5月もあと2日、IWJの活動をご寄付・カンパでご支援ください!<インタビュー告知>本日、午後6時30分より岩上安身によるエコノミスト 田代秀敏氏インタビュー第4弾、「『長期化するウクライナ紛争~米国の代理戦争の代償』田代秀敏氏による『米ドルの黄昏とアテナイ覇権喪失の教訓』」をお送りします。

 おはようございます。IWJ編集部です。

 本日、午後6時30分より、岩上安身によるエコノミスト 田代秀敏氏インタビューの第4弾、「ウクライナ紛争後の世界はどうなるのか? 田代秀敏氏による『米ドルの黄昏とアテナイ覇権喪失の教訓』」をお送りします。ぜひ御覧ください。

 シリーズ第1弾は、人口減少と高齢化の日本を、ウクライナ紛争と経済制裁によって引き起こされる世界的な食糧・エネルギー不足による『狂乱物価』の大波が襲ってきたら、日本はどうなってしまうのだろうか、というテーマでお送りしました。

 GDPの2倍超にもなる約1200兆円の財政赤字はどうなるのか、いつまでも続けられる金融緩和によるバブルがいつ弾けるのか、全く止まる気配のない円安はどこまで行くのかなど、大変刺激的なお話をうかがいました。

※「米国の代理戦争が引き起こす食糧・エネルギー不足により『狂乱物価』の大波が日本を襲う!」~岩上安身によるインタビュー第1074回 ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏 2022.5.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505554

 シリーズ第2弾は、多重危機を抱える日本経済に、コロナ禍とウクライナ紛争、そして前代未聞の経済制裁が、どのように作用するのか、米国に追従して対露制裁に加わり、最大の貿易相手国である中国敵視にも加わることで、さらなるリスクが生まれるのではないかというテーマでお送りしました。

 ウクライナ紛争とロシアへの制裁で、エネルギー資源・原材料・食料などが世界で軒並み高騰しており、資源輸入国である日本は窮地に立っています。台湾有事をにらんで自民党は防衛費をGDP2%にすると主張していますが、その財源はいったいどこにあるのでしょうか? 増税か、さらなる赤字国債の増発しかありません。米国追従で中国排除のIPEFに参加して、最大の貿易相手国である中国を敵視すれば、日本は輸出先を失います。

※「今や世界経済の大転換機、世界は人口減少期にはいった! 米国の代理戦争が引き起こす食料・エネルギー不足により『狂乱物価』の大波が日本を襲う!」(第2回)~岩上安身によるインタビュー第1075回 ゲスト エコノミスト田代秀敏氏 2022.5.12
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505807

 シリーズ第3弾は、ウクライナ紛争後の世界秩序はどうなるのか? をテーマにお送りしました。

 ウクライナ紛争後、米国の一極支配体制が再強化されるのか、ロシア資源の禁輸国と非禁輸国とで、ドル経済圏と非ドル経済圏のように二極化するのか、ロシアへの経済制裁がロシアの弱体化よりも逆に米ドルの弱体化を招く可能性はないのか、「デジタル人民幣」が国際金融における米国の覇権を揺るがす事態にならないのか、といった問題についてお話をうかがいました。

※「米国の代理戦争が引き起こす食料・エネルギー不足により『狂乱物価』の大波が日本を襲う! 」(第3回)~岩上安身によるインタビュー第1076回 ゲスト エコノミスト田代秀敏氏 2022.5.20
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506112

 第3弾インタビューの最後に、田代氏は、金融帝国の米国が、もてる金融パワーを駆使して、制裁を繰り広げていることについて、古代ギリシャのアテネを引いて以下のように語りました。

田代氏「アテネは自らの金融帝国の力を武器化して、全ギリシャ世界における覇権を確立するわけです。それでアテネ帝国ができるんですが、それがなぜ、スパルタごときに敗北したのかと。

 それを見れば、今、アメリカはアテネが辿った道をズカズカと、何の教訓も得ずに進んでいるかのように見えます」。

 第4弾となる本日のインタビューでは、田代氏に、現在の米国の姿と、古代ギリシャの金融帝国アテネの興亡について、現在進行中のウクライナ紛争の最新の情報を見つつ、詳しくうかがう予定です。ぜひ、御覧ください。

 IWJの財政がまたまた大ピンチです! IWJの活動には市民の皆さまのご寄付・カンパが欠かせません! 今月5月も残り2日ですが、月間目標額の41%とまだ4割です! 5月の未達成分237万4045円と第12期の9カ月間にわたる累積の不足金額309万5534円とを、あわせると546万9579円が5月末までに必要となります! ぜひ、マスメディアとは一線を画し、ウクライナ報道で孤軍奮闘するIWJの活動をご寄付・カンパでご支援ください!

 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 IWJの財政は、またまた大ピンチとなりつつあります!!

 IWJでは、今期第12期の年間の予算を立てる上での見通しとして、代表である私、岩上安身への報酬をゼロにすることを筆頭に、支出をぎりぎりまでにしぼった上で、IWJの運営上、1カ月の間に必要なご寄付・カンパの目標額を月額400万円と見積もらせてもらっています。

 昨年8月から始まったIWJの今期第12期は、5月で10カ月目に入りました。

 今期スタートの8月1日から4月30日までの9カ月間の累計の不足分は、309万5534円となっています。

 5月は1日から27日までの27日間で、134件、162万5955円、目標額の41%分に相当するご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます! とはいえ、5月も残り2日ですが、月間目標の5割にも届いておらず、5月の未達成分は237万4045円となります。

 4月末までの不足分309万5534円と、足し合わせると、5月末までに546万9579円が必要となります!

 今月5月を含めて、7月末に迎える今期末までの残り2カ月と2日間でこの赤字を削って、不足分をゼロにできるかどうか、どうか皆さまのお力で、ご支援ください!

 IWJの会員数は現在3241人です。そのうちサポート会員は1108人です(2022年4月30日現在)。本当に心苦しいお願いではありますが、会員の皆さま全員が1688円ずつカンパしてくださるか、サポート会員の皆さまが全員1人4937円ずつカンパしてくださったならば、なんとかこの赤字は埋められます!

 伏してお願いいたします! どうか皆さまのお力で、この窮状をお助け願います!

 下記のURLから会員登録いただけます。ぜひ、会員登録していただいてご購読・ご視聴お願いいたします。
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

※ご寄付・カンパを取り扱っております金融機関名です。どうぞ、ご支援のほどよろしくお願いします。

みずほ銀行
支店名 広尾支店
店番号 057
預金種目 普通
口座番号 2043789
口座名 株式会社インデイペンデント ウエブ ジヤーナル

城南信用金庫
支店名 新橋支店
店番号 022
預金種目 普通
口座番号 472535
口座名 株式会社インディペンデント.ウェブ.ジャーナル

ゆうちょ銀行
店名 〇〇八(ゼロゼロハチ)
店番 008
預金種目 普通
口座番号 3080612
口座名 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル カンリブ

 IWJホームページからもお振り込みいただけます。

※ご寄付・カンパのお願い
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身拝

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◆中継番組表◆

**2022.5.30 Mon.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh1・大阪】11:00~「松井一郎・大阪市長による水道橋博士への名誉棄損訴訟・第1回 口頭弁論後の記者会見―登壇:水道橋博士、米山隆一弁護士」
視聴URL: http://twitcasting.tv/iwj_areach1

 松井一郎大阪市長による水道橋博士への名誉棄損訴訟・第1回口頭弁論後の記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた水道橋博士関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e6%b0%b4%e9%81%93%e6%a9%8b%e5%8d%9a%e5%a3%ab
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【IWJ_YouTube Live】14:00~「第4回 食品添加物の無添加・不使用表示について 国会議員を招いての意見交換会」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 「食品表示問題ネットワーク」主催の意見交換会を中継します。これまでIWJが報じてきた食の安全関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e9%a3%9f%e3%81%ae%e5%ae%89%e5%85%a8
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【IWJ_YouTube Live】18:30~「岩上安身によるエコノミスト 田代秀敏氏インタビュー」
視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

 岩上安身によるエコノミスト田代秀敏氏インタビューを中継します。これまでIWJが報じてきた田代秀敏氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%94%b0%e4%bb%a3%e7%a7%80%e6%95%8f

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◆中継番組表◆

**2022.5.31 Tue.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

【IWJ速報5月28日】マリウポリ陥落後、ロシア軍が東部ドンバス地方に猛攻で、ウクライナ軍志願兵らが戦闘拒否? ダボス会議でのキッシンジャー氏とソロス氏の対決が話題! サイト「ミロットボレット(Mirotvorets)」はキッシンジャー氏を「ロシアの犯罪の共犯者」として「暗殺リスト」と言われるブラックリストに掲載! ロシアの歴史家兼ジャーナリスト、 イゴール・ホルモゴロフ氏はウクライナとロシアの切っても切れない関係を主張!ロシア国営メディア『RT』は、マリウポリ陥落で潮目が変わり「西側はウクライナを裏切る」との論説を発表!
元ウクライナ大統領のヤヌコビッチ氏が「ウクライナは主権の完全な喪失に直面しており、ポーランドと合併される可能性がある」と警鐘!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506554

「ウクライナ紛争は戦争はまだまだ続く」! 「ロシアによるウクライナ侵攻から3ヶ月、紛争は長期化するのか、対露制裁が世界、日本に及ぼす影響は?」~岩上安身によるインタビュー第1076回 ゲスト ロシアNIS経済研究所 所長・服部倫卓氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506303

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■ツイッター「IWJ_Sokuho」5月29日、対露制裁の鉄槌が自らの身に? ロシア産資源の禁輸措置で欧州は大混乱、ロシア産天然ガスに代わるガス供給源がない!? ガスプロムの海外顧客54社のうち「約半数」がルーブルの口座を開設! いつまでも足並みの揃わないEUは5月中にロシア産石油の禁輸措置に踏み切れるのか? 粛々と割安のロシア産石油を輸入するアジア諸国は、2022年4月に初めてロシアの石油の最大の輸入先となる! 対露制裁で世界のエネルギー資源市場の再編成が進行!

 IWJは、ツイッターアカウント「IWJ_Sokuho」で、ウクライナ情勢をツイートしています。テレビでは流れない情報や、石油・天然ガスなどの資源問題、ウクライナの実情もあわせて、多角的にウクライナ情勢をお伝えしています。ぜひ、一度御覧ください。

※IWJ速報@IWJ_Sokuho
https://twitter.com/IWJ_Sokuho

 『ウォール・ストリートジャーナル』は27日、「欧州のロシア依存脱却に暗雲、代替ガス確保難航―カタール、アルジェリア、リビアからのガス調達もいばらの道」という記事を掲載、今になってようやく、ロシア産天然ガスに代わるガス供給源がないと指摘しました。本当に、何を今さら、という話です。

※【速報7324】(WSJ、27日)「欧州がロシアからのエネルギー輸入を完全に断つのは一筋縄ではいかないことが改めて浮き彫りとなっている。ロシアは欧州大陸へのガス供給の38%を占める」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530770252854083585

 ウクライナ紛争の背景には、欧州の優良な天然ガス市場から、安価なロシア産天然ガスを追い出したい米国の思惑があることは、IWJはこれまでもたびたび指摘し、報じてきました。

※IWJ検証レポート! 「米国が狙った独露間の天然ガスパイプラインノルドストリームの阻止!! その1」~ウクライナ危機の背景には、ユーラシアに安定と繁栄をもたらす欧露間の天然ガスパイプラインでの結びつきを嫌い、仲を引き裂く米国の戦略が! 米国の狙い通り、ドイツとロシアを結ぶ新パイプライン「ノルドストリーム2」の認可が停止に! 2022.4.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505188

 欧州にとって、ロシア産エネルギー資源のうち、もっとも依存脱却が困難なのは天然ガスです。欧州の需要の約4割を、パイプラインで運ばれる割安なロシア産天然ガスで賄ってきたからです。

 『ウォール・ストリートジャーナル』は、欧州は、カタールやアルジェリア、リビアなどから、ロシア産天然ガスの代替を調達しようとしているが、交渉は難航している、と報じました。これらの地域には、政情が不安定でリスクが高いということもあります。

 カタールは有力な輸入候補先のひとつです。カタールは世界有数のLNG(液化天然ガス)生産国で、現在は生産能力の40%増強に向けて290億ドル(約3兆7000億円)相当のプロジェクトを進めています。

 カタールのタミム・ビン・ハマド・アールサーニ首長は、英国とドイツを訪問し、両国とエネルギー協力の強化に向けた取り決めを結びましたが、条件をめぐって交渉が難航しており、関係者全員が大きく歩み寄る必要があり、交渉は数カ月にわたる可能性が高い、と『ウォール・ストリートジャーナル』は報じています。

 難航する理由は、カタールが、欧州の窓口になっているドイツから他国への転売を嫌っていること、カタール側は10年以上にわたる供給契約を求めていること、カタール産ガスは長距離の海上輸送が、必要でロシア産ガスよりも割高になること、です。

 困難な交渉がうまくまとまったとして、カタールが今後数年に新たに増強する生産能力をすべて欧州への輸出にまわしていたとしても、実は、これまでに押収が受け取ってきたロシア産ガスの量のすべて補うことはできません。

 『ウォール・ストリートジャーナル』は、南欧諸国は、アルジェリアとリビアからのガス輸入拡大に期待を寄せていた、と指摘しています。両国は欧州向けの既存パイプラインを備えています。

 しかし、リビアは政情が不安定であり、アルジェリアは西サハラを巡る係争を抱えています。

 アルジェリア産天然ガスは、モロッコを通過して地中海を横断するパイプライン経由でスペインに輸送されています。

 『ウォール・ストリートジャーナル』によると、スペインはウクライナ侵攻前から、アルジェリア産天然ガスの調達を拡大する方向で、アルジェリアと交渉を進めていましたが、アルジェリアはスペインへの供給を阻止し、販売を完全に打ち切る構えを見せています。

 スペインが、モロッコが主張する西サハラの領有権を認めたことに、アルジェリアは反発しているのです。4月には、アルジェリアからスペインへの供給は35%減少しました。

 スペインは当面、アルジェリアから輸入してきた不足分を埋め合わせるために、割高な米国産LNGを輸入している、ということです。

 イタリア石油・ガス大手ENIも、アルジェリアとリビアからの輸入を増やそうとしています。

 『ウォール・ストリートジャーナル』によると、ENIは2024年末までにアルジェリアからのガス輸入量を最大で年間90億立方メートル拡大することでアルジェリアと合意しました。イタリアへの輸出拡大に向けて、リビアへの投資を計画している、ということです。

 しかし、リビアはカダフィ政権が2011年に倒された後は、派閥争いが続き、エネルギー生産がしばしば寸断されるなど、不安定な政情が続いています。

 カダフィ政権が倒され、カダフィ大佐が殺害されたリビア内戦では、NATOは反カダフィ勢力を支援し、米英仏を中心とした多国籍軍がカダフィ政府軍への空爆、米国は「オデッセイの夜明け作戦」を展開するなど、軍事介入しました。皮肉なことに、今、自ら振り下ろしたNATOの拳の結果が欧州に帰ってきています。

 岩上安身は「欧州は、冬の本格的な訪れの前、秋のうちに、最終的な覚悟を決めなければならない。このまま、米国とウクライナに足並みを揃えて、破滅的な冬を迎えるという覚悟を決めるのか。それとも軟化して、ロシアとの間に妥協点を見出すか。仮にそうなると、米欧間で、隙間風が吹くことになるだろう」とコメントしています。

※【速報7328】(岩上安身)「欧州は、冬の本格的な訪れの前、秋のうちに、最終的な覚悟を決めなければならない。このまま、米国とウクライナに足並みを揃えて、破滅的な冬を迎えるという覚悟を決めるのか」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530770396865495043

 『ワシントンポスト』は24日、「欧州は、ガス供給停止を回避するため、プーチン大統領の要求を受け入れる」という記事を出しました。プーチン大統領は、ロシア産ガスを購入する「非友好国」は、ルーブルで支払うことを求めました。プーチン大統領が指示した支払い方法は、欧州諸国はロシア側が指定する口座にユーロで支払い、それを銀行がルーブルに交換した後、ロシアが受け取るというトリッキーなものでした。

 「ガスプロムバンクに2つの口座を作るというこのシステムにより、ヨーロッパは天然ガスの支払いを技術的にはユーロで行い、ロシアはルーブルで受け取っていると言うことができる-プーチンは『非友好的』な国々にこの要件を課している」(『ワシントンポスト』、24日)

 このトリッキーな支払方法により、欧州はなんとかロシア産の天然ガスを手に入れることができて、ロシア側はガスの輸出代金の徴収ができるというだけでなく、ルーブルが事実上の決裁通貨となることで、ルーブルの価値を維持し、支えることもできます。

 これによって、当面は米国からの制裁から逃れ、他方でドル決裁の必要性がなくなることで、「非ドル化」が進行し、基軸通貨としてのドルの価値が漸減されていくことになりそうです。

※【速報7330】『ワシントンポスト』は24日、「欧州は、ガス供給停止を回避するため、プーチン大統領の要求を受け入れる」という記事を出しました。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530781453440585728

 EUは、今年末までにロシアのガスを3分の2に減らすことを約束すると述べ、2027年頃には全面禁輸も可能だと表明していますが、資源国である米国とは異なり、ロシア産ガス輸入の全面禁輸が本当に可能なのかどうか、わかりません。

 NATOのストルテンベルグ事務総長は、ロシア産ガスについて、経済的利益を安全保障よりも優先しないよう西側諸国に要請しました。ロシアからガスを買い続ければ、クレムリンが仕掛けた戦争を非難し、ロシアのオリガルヒを制裁し、ウクライナに武器を供給しながらも、ロシアにお金を送るということになります。矛盾しているといえば矛盾しているので、それほど安全保障第一というならば、即時、ロシア産ガスの輸入停止を断行すればいいのではないのでしょうか。

 ストルテンベルグ事務総長のいうとおりに、プーチン大統領が要請する、トリッキーなルーブル払いを拒否したポーランドとブルガリアは、4月下旬にガスプロムによる新制度の導入を拒否したために、ガス供給量を減らされ、いまやポーランドへのガス供給は停止されています。ポーランド首相はロシアの措置は「直接攻撃」であると非難しました。

 ポーランドが「非難」しているのは、ロシア産ガスが送られなくなって、非常に困っているからでしょう。悲鳴の代わりのようなものだと思いますがとはいえ「非難」するのは、お門違いであると思われます。ポーランドに限らずNATO諸国は、いずれロシア産ガスから脱却し、ウクライナを支持して、ロシアに勝利すると宣言しているのですから、その宣言通りの現実が「ルーブル払い拒否」によって前倒しになっただけのことです。いずれNATOに従えば、欧州はポーランドと同様の事態に直面します。

 フィンランドも、NATOへの加盟申請に対する報復として、同様の供給停止を受けています。ロシア側は、フィンランドがガス代を支払わない以上は停止するしかない、と「報復」の意図を否定していますが、停止のタイミングを見ればそのままロシアの主張を受け入れることは難しいでしょう。

 しかし、より多くの欧州の国々はストルテンベルグ事務総長の要求とはことなる対応をしたようです。

 『ワシントンポスト』(24日)によれば、オーストリアのOMV社、イタリアのエニ社、ドイツのユニパー社などがルーブル払いのための口座を設けていると報じています。さらに、「ロシアのアレクサンダー・ノバク副首相は先週、ガスプロムの海外顧客54社のうち『約半数』がルーブルの口座を開設したと述べた」とも報じました。

 具体的な顧客名は明らかにされていませんが、ルーブル払いを要求された「非友好国」は、ほとんどが欧米諸国ですから、相当数の欧米の資源企業がロシアの求めに応じたことになると推測されます。

 ドイツ政府関係者も25日、ロシアへのガス代金支払いを『EUの規則に準じて」ユーロやドルで行っていることを認めています。

※【速報7345】ロイター(25日)「ドイツ政府関係者は25日、ロシアへのガス代金支払いを最近、ユーロやドルで実行できていると明らかにした。支払いは欧州連合(EU)の規則に準じて行われたとしている。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530791260344418304

 「ノルドストリーム2」の完全停止に踏み切ったドイツですら、まだロシアからの天然ガスを購入し続けています。『ロイター』(25日)は、「ロシア政府は25日、国営天然ガス独占企業・ガスプロムの元ドイツ子会社、ガスプロム・ゲルマニアの関連企業に対し、90日間のガス供給を承認したと発表した」と報じました。ロシア政府は2週間前、ガスプロム・ゲルマニアと関連企業に対する制裁措置として、ガス供給の停止を発表していましたが、ドイツが夏の間にガスを貯蔵できるように譲歩しました。

 夏の間にガスを備蓄しないと、半年後にやってくる晩秋から冬の季節を、暖房なしで過ごさなければならなくなるのですから、これは死活的な問題です。
 
※【速報7342】ロイター(25日)「ロシア政府は25日、国営天然ガス独占企業・ガスプロムの元ドイツ子会社、ガスプロム・ゲルマニアの関連企業に対し、90日間のガス供給を承認したと発表した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530791148943732736

 それでもドイツが、ロシアとの関係を修復したのかというと、必ずしもそうとは言えません。

 『CNN』は26日、「ドイツ国会の予算委員会は26日までに、社会民主党政権をかつて率いたシュレーダー元首相(78)がウクライナ侵攻後もロシア企業との関係を断絶していないなどして同氏が国会内に維持する事務所の閉鎖を求める処分を下した」と報じました。

 ゲアハルト・シュレーダー氏はプーチン大統領との長年の密接な個人的な関係があるとされ、「ノルドストリーム」の運営会社の役員や、ロシア国営の石油最大手ロスネフチの重職に就任したこともあります。ロシアとドイツの天然ガスの供給は1973年に始まりますが、1998年から2005年までドイツ首相を務めたシュレーダー氏はロシアとの関係を重視し、次のアンゲラ・メルケル政権も中露との関係を重視していました。オバマ政権がメルケル氏の個人電話まで盗聴していたことは大きな問題ともなりました。

 『CNN』によると、ドイツ国会は公式サイト上で、シュレーダー氏の元首相としての特権を剥奪すると発表しましたが、年金受給や個人的な警護措置を受ける資格に変更はないとしているということです。

 ドイツは、片手ではロシアからガスを買いながら、もう一方の手で、ロシアとの関係を築いてきた政権担当者に制裁を加えるという支離滅裂な政策を進めています。

 冷戦時代の1973年の昔から、ドイツとロシア間に友好と経済的利益と共存関係を模索してきた、ドイツの東方外交の歴史全体が否定されようとしているのですから、米国のドイツ国内における巻き直しがいかに功を奏しているか、ということでもあります。
 
※【速報7346】CNN(26日)「ドイツ国会の予算委員会は26日までに、社会民主党政権をかつて率いたシュレーダー元首相(78)がウクライナ侵攻後もロシア企業との関係を断絶していないなどして同氏が国会内に維持する事務所の閉鎖を求める処分を下した」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530791301775781888

 ドイツはさらに、天然ガスが不足すれば、石炭を使う方針まで打ち出しました。ハベク経済相が天然ガスが不足した場合に備えて、政府が石炭、マズートを使用する火力発電所を再稼働できる緊急法令を用意したということです。

 ドイツがこれまで進めてきた脱酸素を旗印とするグリーン政策は、どこにいったのでしょうか。ショルツ連立政権には「緑の党」も参加しており、さらに急進的な脱炭素政策を進めるはずでした。すべての歯車が狂い始めています。

※【速報7350】スプートニク(29日)「ブルームバークは、独で天然ガスが不足した場合に備え、政府が石炭、マズートを使用する火力発電所を再稼働できる緊急法令をロベルト・ハベク経済相が用意したと報じた。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530791681112834048

 しかし、石炭の時代にまで戻れるドイツは、ポーランドに比べると、まだマシかもしれません。ポーランドは、石炭に戻ることすらできないかもしれません。ロシアメディア『RT』は、「ポーランドは石炭を使い果たしつつある」という記事を出しました。ポーランドは石炭消費量の約20%、ガスの50%、石油の60%以上をロシアから輸入しています。

 ポーランドの国有資産副大臣のピョートル・ピジク氏は、27日、「(ポーランドの)企業は、ロシアからの輸入を阻止した後、国内での石炭の販売を制限している」と、議会での演説で述べました。販売制限のために、ポーランド国民は石炭の購入で困難に直面していることも認めています。

 石炭が不足する中で、ポーランド国民は、「1トンあたり2,500~3,000ズウォティ(700~800ドル)で再販業者から石炭を購入することを余儀なくされており、公式価格の約1,000ズウォティ(234ドル)よりもはるかに高い」と『RT』は報じました。

 3月、ポーランド政府は、2022年末までに、石油、ガス、石炭を含むすべてのロシアのエネルギー輸入を終了すると発表していますが、その欠落を埋める具体的な手だては講じられていません。今後ロシアからのエネルギー資源禁輸が予定通りに順調に進むとは到底思えません。

 ポーランドはこの冬、凍死者を出してでも、強行するのでしょうか? 物資の絶対的な不足に直面すると、インフレだけでなく、闇社会が社会をむしばむようになります。闇でのガスやオイルの高値での取引が横行し、経済状態とともに治安も悪化し、ウクライナの紛争を支援するどころではなくなるのではないかと予想されます。

※【速報7353】RT(29日)「ポーランドの企業は、ロシアからの輸入を阻止した後、国内での石炭の販売を制限していると、国有資産副大臣のピョートル・ピジク氏は金曜日の議会での演説で述べた。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530791866031288320

 混乱を極める欧州ですが、その反対にアジアでは粛々とロシア産ガスを購入し続けています。お隣の韓国も、です。

 『スプートニク』は、「韓国ガス公社(KOGAS)はロシアのLNGを以前通り購入しており、いかなる変化も予定しておらず、ロシアとの間で起こり得る問題については『良心的』に議論する用意がある」と報じました。ロシアは韓国に対しては、ルーブルで支払うよう要請していないと見られています。

 『スプートニク』によると、「ロシア側とは年間150万トンのLNG購入に関する長期契約を交わしており、KOGASが2021年に購入した天然ガス全体の4%を占めている(年間の消費量は3800万トン)」ということです。

※【速報7357】スプートニク(29日)「KOGAS(韓国ガス公社)はロシアのLNG(液化天然ガス)を以前通り購入しており、いかなる変化も予定しておらず、ロシアとの間で起こり得る問題については「良心的」に議論する用意がある。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530792308060598272

 ロシア産石油の禁輸も、難航しています。

 5月4日、フォンデアライエン欧州委員長は、EUはロシア産石油を年内に禁輸するという方針を掲げましたが、直後にハンガリーから反論が出され、その後混乱しています。

 27日に発表された、G7の気候・エネルギー・環境相会合の声明は「石油とガスの産出国に責任ある姿勢での行動と、国際市場の引き締まりに対応することを求める。特にOPECには重要な役割があることを指摘する」と石油輸出国機構(OPEC)が増産をより迅速に進め、ロシア産石油の穴を埋めるように促しました。

※【速報7360】G7の気候・エネルギー・環境相会合「石油とガスの産出国に責任ある姿勢での行動と、国際市場の引き締まりに対応することを求める。特にOPECには重要な役割があることを指摘する」。(ブルームバーグ、27日)
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530805864533479424

 しかし、OPEC加盟国と、ロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は6月2日の閣僚級会合で、2021年の合意に基づき、今年7月の原油生産目標を日量43万2000バレル引き上げることを決める方針を堅持する姿勢を見せました。EUやG7が要求する増産には応じない姿勢です。

※【速報7361】ロイター(27日)「石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」は6月2日の閣僚級会合で、昨年の合意に基づき今年7月の原油生産目標を日量43万2000バレル引き上げることを決める方針だ」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530805904484237313

 『ブルームバーグ』(29日)によると、欧州委員会は28日、加盟各国の合意が難航するロシア産石油の禁輸について、ハンガリーが主に利用するドルジバ・パイプライン経由の輸入を容認する修正案を各国に提示しました。とうとう、禁輸に反対するハンガリーの要求に屈した形です。

 いったんロシア産石油の年内禁輸をぶち上げたEUとしては、とりあえずハンガリーの要求を飲むことで、早期に、修正案をまとめたい意向のようですが、修正案は穴だらけのものになりそうです。海上輸入ができない、内陸部に位置するスロバキアやチェコも、ロシア産石油からの脱却に懸念を持っているからです。

 欧州委はブルガリアに2024年6月ないし12月までの移行期間を認め、クロアチアの減圧軽油輸入を禁輸の対象外とすることも提案したと、『ブルームバーグ』(29日)は伝えています。

※【速報7363】ブルームバーグ(29日)「欧州委員会は28日、加盟各国の合意が難航するロシア産石油の禁輸について、ハンガリーが主に利用するドルジバ・パイプライン経由の輸入を容認する修正案を各国に提示した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530806010440749056

 EUは修正案を、数日中にまとめたいようです。『ロイター』(26日)は、「ドイツのハベック経済相は26日、欧州連合(EU)はロシア産石油の禁輸について、数日以内に合意が可能との認識を示した」と、報じました。

 どう文書をまとめたとしても、実行不可能な攻撃的宣言になるか、振り上げた拳をおろせないまま、事実上、輸入を認めていくか、どちらかです。

 欧州全体が、ウクライナのことをあわれんでいる場合ではない、自分達は米国に食い物にされているだけではないか、と気づかない限り、欧州全体の没落は避けられないように思われます。

※【速報7367】ロイター(26日)「ドイツのハベック経済相は26日、欧州連合(EU)はロシア産石油の禁輸について、数日以内に合意が可能との認識を示した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530806186723115009

 アジアでも、原油市場の形が変化しています。インドは割安な価格でロシア産原油を購入していますが、今度はスリランカもインドに続くことになりそうです。

 スリランカは独立以来、「最悪の経済危機に見舞われている」(ブルームバーグ、28日)とされていますが、国際通貨基金(IMF)との協議がまとまるまで、インドからの支援を受けるようです。

 『スプートニク』(29日)は、「スリランカは深刻な燃料不足を背景に、ドバイを拠点とするコーラルエナジーを通じて、9万トンのロシア産石油を7260万ドルで購入する」と報じました。

※【速報7368】ブルームバーグ(28日)「独立以降で最悪の経済危機に見舞われているスリランカは、国際通貨基金(IMF)との協議がまとまるまでインドからより多くの支援を期待している。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530806330604556289

※【速報7369】スプートニク(29日)「スリランカは深刻な燃料不足を背景に、9万トンのロシア産石油を7260万ドルで購入する。カタールの衛星テレビ局、アルジャジーラが報道した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530806376024657920

 対露制裁を恐れ、多くの船主がロシア産原油の取り扱いを避ける中で、中国などの企業が、「海上積み替え」という異例の手法で、ロシア産石油を輸入していると、『ブルームバーグ』(26日)が報じました。

 『ブルームバーグ』(26日)は、船舶ブローカーの話として、「ロシアのESPO原油は比較的小型のタンカーで極東コズミノ港から韓国の麗水沖に運ばれ、そこで中国に向かう大型タンカーに積み込まれる」と説明しています。

※【速報7371】ブルームバーグ(26日)「多くの船主がロシア産原油の取り扱いを避ける中、東シベリアからの原油調達を絶やさないよう、少なくとも中国の買い手1社が異例な手法を採っている。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530806714827948032

 IWJは、インドの調査報道機関が明らかにした、ロシア産の石油が闇取引で欧州各国に向かっている現実を、4月28日発行の号外第23弾「インドのメディアがロシアの石油は秘密裏に欧州に出荷されているとスクープ! ロシアのタンカーでは目的地不明のタグが大活躍! 西側は自分たちにはローカル・スタンダードがあると考えている」でお伝えしています。

※【号外第23弾】「インドのメディアがロシアの石油は秘密裏に欧州に出荷されているとスクープ! ロシアのタンカーでは目的地不明のタグが大活躍! 西側は自分たちにはローカル・スタンダードがあると考えている」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505251

 インドのロシア産石油の輸入も加速しています。『RT』は27日、「(ロシア)商工省によると、3月のロシアのインドへの石油輸送量は396,000トンを超えた。これは前月から15%以上の増加であり、年間ベースで40%の増加」だと報じました。インドは今年の初めから5670万トンのロシアの石油を輸入しており、これは1年前より12%多く、ロシアからのインドの石油購入は今月さらに約48万7500トンに増加する予定だということです。

※【速報7373】RT(27日)「商工省によると、3月のロシアのインドへの石油輸送量は396,000トンを超えた。これは前月から15%以上の増加であり、年間ベースで40%の増加です。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530806783123820544

※「ウクライナ紛争は戦争はまだまだ続く」! 「ロシアによるウクライナ侵攻から3ヶ月、紛争は長期化するのか、対露制裁が世界、日本に及ぼす影響は?」~岩上安身によるインタビュー第1076回 ゲスト ロシアNIS経済研究所 所長・服部倫卓氏 
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506303

 なんとかインドにロシア産石油の輸入をやめさせたい米国が、また動き始めました。

 『ロイター』(25日)は、「米財務省は、ローゼンバーグ・テロ資金調達・金融犯罪担当次官補が24日にインドに出発したと発表した」と報じました。インドのロシア産原油購入抑制を目指し、政府当局者や企業などと協議するということです。

 『ロイター』(25日)によれば、米政府高官は3月、ロイターに対し、インドのロシア産原油輸入急増について、インド政府を「大きなリスク」にさらす恐れがあると警告した、ということです。これはもはや脅迫です。これこそは、自由主義陣営のリーダーを自認する米国のやることなのです。インドが脅しに屈しなければ、次はインドを対象に制裁を行うことでしょう。その時点で、クアッド(米国・日本・インド・豪州4か国による中国包囲網構想)は崩壊します。

 「現在の米制裁には他国によるロシア産原油の購入を阻止する効力はないが、政府当局者らは他国の購入制限につながる可能性のある二次的な制裁を検討している」(ロイター、25日)

※【速報7376】ロイター(25日)「米財務省は、ローゼンバーグ・テロ資金調達・金融犯罪担当次官補が24日にインドに出発したと発表した。/インドのロシア産原油購入抑制を目指し、政府当局者や企業などと協議する。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530806905903673344

 奇妙な小競り合いも、起こっています。

 26日、米国がギリシャ周辺でロシアの運航船に積まれたイラン産原油を押収したことをギリシャ海運・島しょ政策省が明らかにしました。イランもロシアも米国によって制裁を受けているため、米国が押収した根拠が「イラン産原油であるためかロシア関連タンカーへの制裁措置のためかは不明」だと『ロイター』(26日)は報じました。

※【速報7379】ロイター(26日)「ギリシャ海運・島しょ政策省の関係筋などは26日、米国がギリシャ周辺でロシアの運航船に積まれたイラン産原油を押収したと明らかにした」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530807017203703809

 『産経新聞』(26日)は、拿捕された船「ペガス」は、ロシアとイランが協力して船名や船籍を偽装しており、「イランの最高指導者に直属する革命防衛隊の原油密輸や資金洗浄に関与した疑惑がある」と推測しています。

※【速報7381】拿捕された船「ペガス」は、ロシアとイランが協力して船名や船籍を偽装、イランの最高指導者に直属する革命防衛隊の原油密輸や資金洗浄に関与した疑惑がある。(産経、26日)
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530807170274856960

 実際のところは不明ですが、『ロイター』(25日)は、ロシアとイランが接近していることを示唆する記事を出しています。『ロイター』(25日)によると、ロシアのノバク副首相は25日、イランと石油・ガスの相互供給や物流ハブの設置について協議した、ということです。

 ノバク副首相は、訪問先のイランでロシア国営テレビに対して、「何年も制裁下にあるイランの経験について話し合った」とし、「相互に商品輸送を図るためにイランは主要な物流ハブになり得る」、「両国間のモノの貿易量は現在の年間1500万トンから数年内に5000万トンに拡大する潜在性がある」との見解を示しています。もちろん、この二日間で拡大する貿易の決裁に、ドルは使われないでしょう。両国の思惑通りに貿易量が膨らめば、非ドル化がまた進むことになります。

 ノバク副首相は「ロシアがイラン北部にエネルギーを供給し、イラン南部からアジア太平洋地域に石油・ガスを輸出する可能性に触れ、近い将来に合意締結があるかもしれない」と述べました。

 ロシアのラブロフ外相は、3月18日にモスクワで行われたロシアのテレビ局RTのインタビューに応じました。ラブロフ外相は、欧州は完全に米国に支配されており、欧州連合はほとんど無力であると述べ、「西側諸国のパートナーにいつか頼ることができるという幻想があったとしても、この幻想はもはやない」と断言しました。「我々は西側に対してドアを閉めているのではなく、西側が閉めているのだ」と。

 ラブロフ外相は、「アメリカ人が望んでいるのは、地球村のようなものではなく、アメリカ村のような、あるいは、強いものがものを支配する酒場のような一極集中の世界だ」とし、「モスクワは米国が支配する世界秩序を決して受け入れないだろう」と予告しました。

 ラブロフ外相は、「これからは、我々自身と、我々と共にある同盟国だけに頼らなければならない」と述べ、「ロシアは東に目を向けるだろう」と予告しました。「中国、インド、ブラジルなど多くの国が、保安官のように振る舞う『アンクル・サム(米国)』に命令されることを望んでいない」と指摘しました。

※ロシアは、西側についての1991年以降の「幻想」は終わったという(Russia says post-1991 ‘illusions’ about the West are over、Reuters、2022年3月18日)
https://www.reuters.com/world/europe/russias-illusions-about-west-are-over-lavrov-says-2022-03-18/

※【速報7382】ロイター(25日)「 ロシアのノバク副首相は25日、イランと石油・ガスの相互供給や物流ハブの設置について協議したと明らかにした。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530807218895192064

 船を拿捕され石油を取り上げられたイランは、ペルシャ湾で2隻のギリシャの石油タンカーを押収しました。『ポリティコ』は、「米国に原油を没収させたことに対する明らかな報復」だと指摘しています。ギリシャ外務省は「イランが船舶を乗っ取った」と、不満を述べているということです。イラン側は、「湾岸海域での違反で2隻のギリシャのタンカーを押収した」と説明しているということです。

 イランは、2015年にいったん成立した核合意をめぐって米国と交渉をしていますが、『ポリティコ』によると、「バイデンは、イスラム革命防衛隊(IRGC)をテロリストのブラックリストに残すことを最終決定し、2015年の核合意を回復するための国際的な取り組みをさらに複雑にした」ということです。

 米国は、ロシア制裁を実効性のあるものとするために。一度は産油国であるイランに増産を求めようとし、そのために、核合意での歩み寄りを進めていたはずですが、イスラム革命防衛隊のテロリスト扱いをせめなかったために、交渉をこじらせ、かえってイランとロシアの接近を招いたことになります。

※【速報7386】POLITICO(28日)「ギリシャがイランのタンカーを押収し、米国に原油を没収させたことに対する明らかな報復として、イラン軍がペルシャ湾で2隻のギリシャの石油タンカーを押収したことについて、ギリシャはイランを「海賊行為」だと非難」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530807692339871744

 欧州の中では、比較的ロシア産エネルギー資源への依存度が低い英国でも、インフレのために、ジョンソン政権は難しい舵取りを余儀なくされています。『ブルームバーグ』(27日)は、スナク財務相が26日下院で、インフレに苦しむ市民を支援する財源をつくるため、石油・ガス企業の利益に超過利潤税を課すことを明らかにしたと報じました。

 「石油・ガス企業の利益に25%の特別税を課して約50億ポンド(約8000億円)を調達し、国内の最貧困層800万世帯余りにそれぞれ650ポンドを一回限りで支給する」ということです。石油・ガス企業は、どの国でも(ロシアでも)、かつてない資源価格の高騰のために、大きな利益を手にしているからです。

 超過利潤税(windfall profit tax)は、一時的に大儲けをした企業に科す税金であり、新自由主義的な傾向の強いジョンソン政権は消極的でしたが、先の統一地方選で与党が大敗し、保守党の支持率が労働党を昨年12月以来下回り続ける中で、庶民生活を支援する政策を取らざるを得なくなったといえます。ロシア産資源エネルギーへの制裁は、文字通り、英国の政権の政策変更にも及んでいます。

※【速報7392】ブルームバーグ(27日)「英国政府は石油・ガス企業の利益に超過利潤税を課す。生活費の急騰に苦しむ市民を支援する財源とする狙いがある。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530807938511962112

 大混乱の欧州を尻目に、粛々とロシア産資源を輸入し、拡大しているアジア諸国ですが、ついにアジア諸国が欧州を追い抜き、ロシアの石油の最大の輸入国になったと『RT』が27日に報じました。

 「ブルームバーグは金曜日、シンガポールに本拠を置く分析会社Kplerを引用し、アジア諸国が2022年4月に初めてロシアの石油の最大の輸入国となり、ヨーロッパを追い抜いたと報じた」(RT、27日)

 前述のラブロフ外相の言葉が、ほんの短期間の間に、現実のものとなり。「アジアシフト」が実現してしまったことになります。

 『RT』(27日)によると、「先月(4月)は、約7170万バレルのロシア原油がアジアに配送」されました。約7170万バレルという量は、「ウクライナでの軍事作戦開始前にロシアがこの地域に出荷した量の2倍以上に相当する」ということです。輸出倍増の原動力となっているのは、中国とインドです。

 『RT』(27日)は、ロシアの石油のほとんどは、インドと中国に出荷された、と分析しています。ロシアは最近、その石油に25%の大幅な割引を提供し、メディアの報道によると、インドと中国の両方がここ数週間、より低価格で慎重に購入しているとのことです。

 Kplerの上級石油アナリストであるジェーン・シー氏は、「アジアの関心のあるバイヤーの中には、政治的立場をとるよりも経済学に動機付けられている人もいる」と述べています。

 上述した「海上積み替え」の中国船は、決して特異な存在ではないようです。『RT』は、「アジアは海上でロシアの石油を受け取っている。業界コンサルタントのFGEによると、ロシアのアジアとの貿易拡大により、近い将来、海上輸送される石油の量は4500万から6000万バレル増加する」と指摘しています。

 Kplerによると、海上輸送は2月下旬には、わずか1900万バレル(ウラル原油)と570万バレル(極東ESPO原油)でした。しかし、5月26日の時点で、ロシアの主力であるウラル原油約5700万バレルと極東ESPO原油730万バレルに大幅に増加したということです。

※【速報7395】RT(27日)「ブルームバーグは金曜日、シンガポールに本拠を置く分析会社Kplerを引用し、アジア諸国が2022年4月に初めてロシアの石油の最大の輸入国となり、ヨーロッパを追い抜いたと報じた。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530808053658189824

 対露制裁によって、世界のエネルギー資源市場の再編成が進んでいます。

 同時に、地政学的再編も進むのではないかと思われます。ことによれば、米国が最大の脅威として攻撃する相手は、「中露」の2国から「中露印」の3ヶ国になるかもしれません。その時は、米国とその従属国である欧州・日本は新興の途上国の大半を不必要に「敵」に回してしまうかもしれません。

5月20日にマリウポリのアゾフスタリ製鉄所を陥落させた後、ロシア軍は東部ドンバス地方での攻勢を強めています。

 27日『ロイター』は、ルガンスク州のガイダイ知事が州の大半をロシア軍が制圧し、ウクライナ軍は捕虜になることを避けるために、撤退せざる得なくなるかもしれない、と語ったことを伝えました。ロシア軍はルガンスク州の要衝セベロドネツク市を数日間包囲し、27日に市内に入ったとのことです。

 同じく27日、ウクライナ東部の親ロシア派は27日、セベロドネツク市から西方に40-50km離れた鉄道拠点、リマンを完全掌握したと表明しました。

 『AFP』(27日)も、親ロシア派武装勢力の発表を報じ、「リマンは、ウクライナ政府が現在も掌握している東部の主要な都市に通じる戦略的に重要な場所」にあると指摘しました。ロシア国防省も28日、リマンが「ウクライナの民族主義者から完全に解放された」と発表しました。

※【速報7401】ロイター(27日)「ルガンスク州のガイダイ知事は27日、州の大半の地域がロシア軍の手に落ちる中、ウクライナ軍は兵士が捕虜になるのを避けるために、最後まで残っている州内の拠点から撤退せざるを得なくなる可能性があるとの見方を示した」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530932989286154240

※【速報7409】AFP(27日)「ウクライナの親ロシア派武装勢力は27日、東部リマンを制圧したと発表した。リマンは、ウクライナ政府が現在も掌握している東部の主要な都市に通じる戦略的に重要な場所にある。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530933438915543042

※【速報7411】TASS(28日)「ドネツク人民共和国とロシア軍の民兵は、ウクライナの国民主義者からクラスニー・ライマン市を解放しました。ロシア国防省の公式代表であるイゴール・コナシェンコフ少将は土曜日に発表しました。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530933540128292864

 28日、チェチェン共和国からのボランティア部隊を率いるカディロフ氏は、セベロドネツクはロシア軍とLNRの軍隊の完全な支配下にある、と主張しました。

カディロフ氏「ナチスは敗北した。彼らのすべての地位は破壊された。都市は解放された。住民は安らかに呼吸することができる。これから、彼らはもはや危険にさらされない。チェチェン共和国からの戦闘員が街をきれいにし始めたことを知るとすぐに、すべてのバンデラ分遣隊は、セベロドネツクから恥ずかしそうに逃げました。もっと素晴らしいニュースがすぐに来ます!」

※【速報7412】RIA(28日)「カディロフは、セベロドネツクは、ロシア軍とLNRの軍隊の完全な支配下にあると発表しました」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530933583484833793

 ただし、『BBC』(28日)は「ロシアは現在、ルハンシクの90%以上を支配」していると伝え、『AFP』(28日)は「ロシア軍は現在、ルガンスク州のセベロドネツクとリシチャンスクの2都市に向け進軍」していると伝えました。

※【速報7418】BBC(28日)「ロシアは現在、ルハンシクの90%以上を支配しており、2月24日のロシアの侵攻以来、ドネツクで大きな進歩を遂げた。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530933849848287232

※【速報7419】AFP(28日)「ロシア軍は27日、東部ルガンス州の要衝セベロドネツクに対する攻勢を強めた。同州を含む同日には現地の親ロシア派武装勢力が、要衝の町を掌握したと主張した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530933914176323584

 『時事通信』(29日)は、「ロシア軍はセベロドネツクなどの孤立化を図っている」ようだと指摘しました。鉄道拠点であるリマンを制圧されると、セベロドネツクへの補給が困難になるためです。

 『時事通信』によると、ウクライナのレズニコフ国防相は28日、米国やデンマークを含む欧米諸国から対艦ミサイルや榴弾砲などがウクライナに届き、配備が進んでおり、これらを活用して、抗戦を強化する姿勢を示した、ということです。

※【速報7425】時事(29日)「ルガンスク州のガイダイ知事は29日、セベロドネツクとリシチャンシクについて「状況は著しく悪化している」と説明。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530934163359928325

 『NHK』は29日、ロシア側は東部ドニプロペトロウシク州の大規模な兵器工場、ルハンシク州のウクライナ軍の弾薬庫や兵器を破壊したと発表したと報じました。

 『NHK』は、米国のシンクタンク、「戦争研究所」による28日の、「セベロドネツクをめぐる戦いのあと、どちらが勝ったとしても、そこでロシア軍の攻撃は運用面と戦略面ともピークとなり、その後はウクライナ側に反撃を始めるチャンスが訪れるだろう」との予測を紹介しました。

※【速報7429】NHK(29日)「ロシア国防省は29日、ウクライナに対しミサイルでの攻撃を続け、東部ドニプロペトロウシク州で大規模な兵器工場を破壊したほか
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1530934635990900738

■5月発行の「岩上安身のIWJ特報!」は3月3日収録の「ロシア軍侵攻で世界に衝撃! 東の『台湾有事』危機と西の『ウクライナ有事』危機が同時に迫る!(第4回)岩上安身によるインタビュー 第1069回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行します! ぜひ、「まぐまぐ」からご登録ください!! バックナンバーの単独購入も可能です! サポート会員になればバックナンバーすべて読むことができます!

 IWJではメルマガサイト「まぐまぐ」で、「岩上安身によるインタビュー」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて「岩上安身のIWJ特報!」として、毎月発行しています。

 5月は、3月3日収録の「ロシア軍侵攻で世界に衝撃! 東の『台湾有事』危機と西の『ウクライナ有事』危機が同時に迫る!(第4回)岩上安身によるインタビュー 第1069回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏」の前半部分を、第558号(その1)から第560号(その3)として発行いたします。

 2022年2月24日、ついにロシアは、ウクライナに侵攻しました。「ロシアがウクライナを攻撃するぞ!」と、1月から騒ぎ立ててきた米国のバイデン大統領の「未来予想」が現実となった瞬間です。

 侵攻に先立つ2日前の2月21日、プーチン大統領はウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立を承認しています。ロシア語話者が多く住むこの地域の安全確保のために、ロシアは一定数の部隊を出すだろうと思われていました。

 しかし、ロシア軍はウクライナの首都キエフ(キーウ)、第2の都市ハリコフ(ハルキウ)、南部の諸都市など、ウクライナ全土に侵攻を開始。これに全世界が驚愕し、プーチン大統領への反発と非難が湧き上がりました。

 また、プーチン大統領は2月28日、核戦力を含むロシア軍の戦力を特別態勢にするよう、ショイグ国防相、軍参謀総長に指示しています。この「指示」はプーチン大統領が核兵器使用の脅しをかけたとして受けとめられ、「プーチン=巨悪」という西側のプロパガンダに拍車をかけました。

 ロシアによるウクライナ侵攻から1週間が経った3月3日、岩上安身は元外務省国際情報局長の孫崎享氏に4回目となるインタビューを行いました。

 孫崎氏と岩上安身は、今回の侵攻で、核保有国同士は核を使用しないという相互確証破壊戦略(MAD)が崩れつつあることを懸念し、「これまでは、相互確証破壊戦略によって、核保有国同士が睨み合いをしても、『これ以上はやらない』という絶対のラインがあった。しかし、(そのMADという絶対のラインが崩れつつあり)これからは人類史上初めて、相互に核兵器を使用する世界になるのかもしれない」と危機感をあらわにしました。

 孫崎氏は、「米ロの対決の中で、ウクライナが駒として使われた」と指摘しています。そして、ゼレンスキー大統領が「横暴な大国に蹂躙されても逃げずに戦うヒーロー」のような存在になったことを、このように解説しました。

 「非常にうまかったなぁ、と思う。我々は、コメディアン出身の大統領が戦略的にすごい事をしてくるとは思わない。ところが、後ろにしっかり(米国が)いるわけだよね」。

 その米国は、ウクライナと合同軍事演習をやってきたにもかかわらず、いざ、ロシアが攻めてきたら派兵はせずに、自国製の兵器をどんどん供与するだけです。この図式を東アジアにあてはめれば、もし、台湾有事などの米中対決になれば、米国は背後にひいて、日本が駒として使われることは想像に難くありません。

 孫崎氏は、「ウクライナの運命と、日本の運命は、決して別物ではない」と警鐘を鳴らしました。

 各号の大まかな内容がわかるよう、以下に目次を掲載します。ぜひ、ご一読ください。

(第558号の目次)
・相互確証破壊戦略にほころび!? 人類史上初めて「核ミサイルを相互に撃ち合う時代」が到来してしまうのか?
・反トランプの期待を集めたバイデン大統領と軍産複合体との結びつき! 米国の歴代政権の中でも「より戦争する大統領」に!

(第559号の目次)
・核配備へのハードルが急激に低下したタイミングで、わざわざ「核共有」を言い出して日本を危険に晒す安倍元総理!
・米ロ対決の狭間で丸め込まれ「駒」として使われたウクライナ! 次の「駒」になるのは日本では!?

(第560号の目次)
・「2日で陥落」と思われたウクライナが抵抗!「ゲリラ戦の象徴」スティンガーミサイルを欧米が提供し、戦いは長期化へ!
・傭兵募集禁止条約を批准しているはずのウクライナが「義勇兵募集」の条約違反! もし、日本人が応じたら私戦予備罪に!
・ロシアとの停戦交渉の矢先、欧州委員長が「ウクライナはわれわれの一員」とEU加入の誘い水!「ウクライナは踊らされている」

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 また、孫崎氏に行ったインタビューは、以下のURLから御覧いただけます。こちらもぜひあわせて御覧ください。

※「この国(日本)には考える場所がない」東の「台湾有事」危機と西の「ウクライナ危機」が同時に迫る!~岩上安身によるインタビュー 第1066回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏 2022.1.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501593

※「米国の方が現状変更」!「東の『台湾有事』危機と西の『ウクライナ有事』危機が同時に迫る!(続編)」~岩上安身によるインタビュー 第1067回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏 2022.1.31
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/501693

※ウクライナ東部独立は悪? 東の「台湾有事」危機と西の「ウクライナ有事」危機が同時に迫る!(第3回)~岩上安身によるインタビュー 第1068回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏 2022.2.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/502334

※ロシア軍侵攻で世界に衝撃!東の『台湾有事』危機と西の『ウクライナ有事』危機が同時に迫る!(第4回)~岩上安身によるインタビュー 第1069回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏 2022.3.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/503032

 また、2014年のユーロマイダンの騒乱と、ヤヌコビッチ政権の崩壊、ロシアによるクリミア編入とウクライナ東部の戦闘、停戦協定である「ミンスク合意」へと経過を辿ってきた一連のウクライナ危機については、以下の特集も、ぜひあわせて御覧ください。

※【特集】ウクライナ危機 2013年~2015年 ~ユーロ・マイダンクーデターからウクライナによるロシア語話者への迫害・殺戮まで~
https://iwj.co.jp/wj/open/ukraine

 また、岩上安身はウクライナ軍の一部で、極右ネオナチ組織の「アゾフ連隊」について危機感を示している六辻彰二氏に3回連続インタビューを行っています。こちらもぜひあわせて御覧ください。

※米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く!~岩上安身によるインタビュー 第1070回 ゲスト 国際政治学者 六辻彰二氏 2022.3.25
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/503870

※米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く!第2弾~岩上安身によるインタビュー 第1071回 ゲスト 国際政治学者 六辻彰二氏 2022.3.30
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/504186

※ブチャ市での民間人大量殺害事件を検証! 米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く! 第3弾~岩上安身によるインタビュー 第1073回 ゲスト 国際政治学者 六辻彰二氏 2022.4.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/504401

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、富樫航、城石裕幸、中村尚貴)

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