日刊IWJガイド「12日の東京の新たな感染者は166人!大阪府では、45人!全国では447人の新たな感染者! 全国で7000人超!! ソフトバンクグループの孫正義氏が月産3億枚の医療用マスク無利益提供を表明!」2020.4.13日号 ~No.2769号


┏━━【目次】━━━━━━━━━━━━━
┠■はじめに~昨日12日の東京の新たな感染者は166人! 大阪府では、45人! 全国の30の都道府県で合わせて447人の感染が新たに発表されています。 医療用マスク不足が叫ばれる中、ソフトバンクグループの孫正義氏が月産3億枚の医療用マスク無利益提供を表明!
┠■【中継番組表】
┠■週末連続テレビ出演した吉村洋文・大阪府知事に「#吉村寝ろ」のハッシュタグ!? 橋下徹氏以来の維新府政に「失政の責任者」と追及の声!他方、ちゃっかり橋下氏はPCR検査を受検!!
┠■<新記事紹介>コロナ禍で緊急事態宣言! 見えてきた「安倍独裁」へのシナリオ!? 岩上安身が引き出した総理の「本音」を痛烈解説! 2020.3.27ジャーナリスト浅野健一氏インタビューから
┠■<本日の再配信 1>本日午後8時45分より「世界の『緊急事態条項』を検証!自民党改憲草案の『異常性』に迫る~岩上安身によるインタビュー 第610回 ゲスト 早稲田大学法学学術院教授 水島朝穂氏」を再配信します!
┠■<本日の再配信 2>本日午後7時より「2019年12月、東京江東区のUR住宅で、72歳と66歳の兄弟が餓死した。国民の居住の安定と福祉を目指す公的住宅でなぜ餓死が起きるのか?~3.28緊急会見『公的住宅での困窮死・孤立死をなくすために』」を再配信します!
┠■日本ではコロナ対策だけではなく、報道も大幅に遅れている! 欧米では「補償のある休業」と徹底した「検査と隔離」によって、感染者拡大がピークにさしかかりつつあり、社会復帰のため「抗体検査」が導入されている! 日本の既存メディアでは「抗体検査」の詳細な記事はまだほとんどなし!
┠■自己申告制で手続きが複雑な日本の給付金のダメダメさに対して、ドイツの現金給付の迅速さ! 背景は「堅実性」には何が必要かという戦略的認識の違いが! ドイツ在住の方の体験談では、 フリーランスに対しコロナ給付金3ヶ月分、約107万円が迅速に振り込まれた!
┠■IWJのYouTubeチャンネルMovie Iwj への登録をぜひ、お願いします!目標は10万人突破! 登録の呼びかけ・拡散もお願いします! 
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はじめに~昨日12日の東京の新たな感染者は166人! 大阪府では、45人! 全国の30の都道府県で合わせて447人の感染が新たに発表されています。新たに医療用マスク不足が叫ばれる中、ソフトバンクグループの孫正義氏が月産3億枚の医療用マスク無利益提供を表明!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 日本の南部海上で発達しながら移動している低気圧は、2020年4月12日に西日本の広範囲に雨を降らせましたが、本日13日の早朝には関東沖にも低気圧が発生し、関東甲信の山沿いや中国山地でも雪が予想されています。東北は午後に降雪の予報が出ています。宮城県石巻市の「北上川」東部にある北上山地周辺では、積雪が30cmを超えるかも知れません。付近にお住いの方はお気をつけください。

※本州山間部は大雪に 東北では積雪30cm超も(ウェザーニュース、2020年4月12日)
https://article.auone.jp/detail/1/2/2/150_2_r_20200412_1586677101939739

 東京都では昨日12日、新たに新型コロナウイルスに感染した人が、166人であることがわかりました。このうちの約90人は、中野区の病院から発生しているとのことです。

 また、昨日全国の30の都道府県で合わせて447人の感染が新たに発表されています。大阪府では、新たに45人の感染者が明らかになりました。日本国内の感染者数の累計は7000人を超えました。

※国内感染者7000人超 東京166人―新型コロナ(時事ドットコム、2020年4月12日)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020041200159&g=soc

※国内感染確認7000人超 死者136人(クルーズ船除く)新型コロナ(NHK、2020年4月12日)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/

※大阪府 新たに45人の感染確認 計811人に 新型コロナウイルス(NHK、2020年4月12日)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200412/k10012383251000.html

※東京・中野の病院で87人感染確認 院内の感染計92人(朝日新聞、2020年4月12日)
https://www.asahi.com/articles/ASN4D5RZZN4DUTIL012.html

 病院が感染ハブとなる院内感染は、台東区の永寿総合病院や新宿区の慶応大学病院をはじめ、全国で広がっています。毎日新聞は4月4日、全国で感染した医師や看護師などの医療従事者が、少なくとも153人だと報じました。

 医療現場では、人手も、防護服も、消毒液も、医療用マスクも十分とは言えず、コロナ専用の発熱外来を別の敷地に設置するなどの対策も遅れていると言われています。こうした設備投資は、病院やクリニック単体では過大な負担となります。政府の迅速な支援が必要です。

※医療従事者153人の感染判明 院内感染も発生 医療崩壊の懸念 新型コロナ(毎日新聞、2020年4月4日)
https://mainichi.jp/articles/20200404/k00/00m/040/127000c

 また、WHO(世界保健機関)は4月11日、8日までに報告のあった52か国の集計から、世界で少なくとも2万2073人の医療従事者が感染したことを発表しました。

※医療従事者の感染2万2千人 52カ国の集計、WHO(東京新聞、2020年4月12日)
https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2020041201001246.html

 イタリアでは4月9日の時点で、100人の医師が感染により死亡したことが明らかになっています。

※イタリア、医師100人が新型コロナの犠牲に(AFPBB、2020年4月10日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3277969

 世界中の医療現場で、PPEと呼ばれるマスクやゴーグル、手袋やガウン、帽子などの個人防護具の不足が叫ばれています。

 安倍総理は一昨日4月11日の新型コロナウイルス感染症対策本部で「医療物資の不足を緩和する」と述べ、サージカルマスクを4500万枚、全国の医療機関に配布するとし、さらに1000万枚の追加を発表しました。

 安倍総理はさらに、緊急事態宣言の対象となった7都府県に100万着のフェイスシールドと7万着のN95マスクを配布し、さらに今月中に70万枚のN95マスクを配布すると約束しました。

※新型コロナウイルス感染症対策本部(第28回)(首相官邸、2020年4月11日)
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202004/11corona.html

 「サージカルマスク」は、マスクを装着した人から微生物を含む粒子が排出されるのを防ぐもので、手術などで血液や体液由来の病原体にさらされるのを防ぐ役目もあります。

 「N95マスク」は、微生物を含む外気からマスクを装着した人を守るためのものです。

※マスクの種類や形、効果(北海道薬剤師会)
http://www.doyaku.or.jp/guidance/data/63.pdf

 医療現場ではこれらの医療用マスクやアルコール消毒剤の不足が続いています。

 他方、医療現場ではこうした高機能の特殊なマスクだけが使われているわけではありません。病院には薬剤師、事務や給食、清掃、機材管理、警備など、医師や看護師以外にも多くのスタッフが働いています。こうした人たちの多くは、私たちがドラッグストアで購入するのと同じ、ごく普通の不織布のマスクを使っています。市中でも、マスクは不足し、一般市民が入手するのは困難になっていますが、医療現場すらこうした普通のマスクも足りません。

 医療従事者へのアンケート調査からは「マスクが一人当たり週に1枚配給制になり2週間経過した」(勤務医)、「ホテルや銀行、企業などが、豊富に持っている中で、不特定多数の患者の薬を素手で触ることもよくある薬局が消毒用品をずっと買えないのはなぜ?不思議でならない。世間の人に伝えたい。貴方達の力となる医療機関がこんなに苦労しているのです。未開封のマスクやエタノールがあれば処方箋とともに供出してください」(薬剤師)といった回答が寄せられています。

 他にも「マスク、アルコール消毒液が入らずマスクに至っては個人私物を利用。品薄の中、買い求めることもできず、手製の布マスクも各自準備」(薬剤師)、「ロビーや入口に出しておいた消毒液の紛失も発生。チェーンによる固定を始めた」(その他の医療従事者)といった回答も見られます。

※「マスク、週1枚のみ」「ホテルにあるのに、医療現場にない?」、悲痛な訴え(医療維新、2020年3月31日) 
https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/746127/

 この記事を執筆する記者の家族も病院に勤務していますが、不織布のマスクを何回も洗濯しながら使っています。これが、医療現場の現状なのです。

 医療現場に働く者は、対コロナ戦線の最前線に立って奮闘しているわけですが、そこに必要な医療物資が届かない。緊急事態宣言をしたあとも、状況はなにも変わらず、アドバルーンは威勢よく打ち上げる安倍政権ですが、本当に重要なロジスティックス(物資の輸送・適正配置)に関しては無能というしかありません。現代がもし本当の「戦前」で、安倍晋三氏が東条英機のような独裁的権力をふり回し、回りが、現在の安倍政権の幹部の面々のような無能無策な阿諛(あゆ)追従者ばかりだったらと思うと、本当にゾッとします。

 前線の兵士に物資は届かず、兵は見殺しになり、第二次大戦の末期のように、勝てる戦争であっても必敗でしょう。

 そういう意味でも安倍政権にもとで「有事」をおこさせてはなりませんし、改憲して緊急事態条項を導入し、「安倍独裁」を実現させてはならないと、改めて強く思います。

 話をマスクに戻します。

 消費者庁はマスクについて、「現在、予防用にマスクを買われている方が多いですが、感染症の拡大の効果的な予防には、風邪や感染症の疑いがある人たちに使ってもらうことが何より重要です。マスク不足を解消するために官民連携して、毎週1億枚以上のマスクを消費者の皆様にお届けします」として、買い占めをしないよう呼びかけ、ガーゼマスクやタオルなどの代用品と共にこまめな手洗いを訴えています。

※新型コロナウイルス感染症の拡大に対応する際に消費者として御注意いただきたいこと(消費者庁、2020年4月10日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/notice_200227.html#cov03

 そのような中、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が11日、独自にマスクの生産ラインを設立し、5月から月産3億枚の医療用マスクを無利益で供給するとツイッターで明らかにしました。

 「出来ました。世界最大マスクメーカーBYD社と提携し、SB用製造ライン設立。5月から納品、月産3億枚 (医療用高機能N95を1億枚、一般用サージカルを2億枚) 。政府マスクチームと連携を図り、医療現場をはじめ、一人でも多くの人々にSBは無利益でマスクを供給します」

※孫正義氏のツイート(2020年4月11日)
https://twitter.com/masason/status/1248929312775921666

 孫氏は3月11日に「新型コロナウイルスに不安のある方々に、簡易PCR検査の機会を無償で提供したい。まずは100万人分。申込方法等、これから準備」とツイートしましたが、その後、同日夜には「検査したくても検査してもらえない人が多数いると聞いて発案したけど、評判悪いから、やめようかなぁ。。。」とツイートしていました。

※孫正義氏のツイート(2020年3月11日)
https://twitter.com/masason/status/1237670955826069504

※孫正義氏のツイート(2020年3月11日)
https://twitter.com/masason/status/1237703396196413440

 孫氏の検査キットに関するツイートには、経済評論家の上念司氏が「医療崩壊が起きる」と難癖をつけた動画をYouTubeにアップした上、ツイッターでも「やめてください」と返信リツイートしていました。

※上念司氏のツイート(2020年3月11日)
https://twitter.com/smith796000/status/1237683810709278721

 上念氏に限らずですが、安倍政権のその時々の顔色をうかがい風見鶏のように言うことを変える「御用文化人」が多すぎます。

 PCR検査の過少は、宣言前のかつても宣言後の今も改まっていない安倍政権下の過った方針のひとつです。孫正義氏のような篤志家が身銭を切って政府の至らない所を補おうとしているのにいらぬ事を言って邪魔をする。上念氏は、検査を増やさないなどとした自身の講論を改めて、孫氏に対しても謝罪訂正してから、出直すべきです。

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◆中継番組表◆

**2020.4.13 Mon.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【タイムリー再配信 617・IWJ_YouTube Live】19:00~「2019年12月、東京江東区のUR住宅で、72歳と66歳の兄弟が餓死した。国民の居住の安定と福祉を目指す公的住宅でなぜ餓死が起きるのか?~3.28緊急会見『公的住宅での困窮死・孤立死をなくすために』」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501

 3月28日に収録した、「住まいの貧困に取り組むネットワーク」、「国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)」主催の集会を再配信します。これまでIWJが報じてきた新型コロナウイルス関連の記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/special_new-coronavirus

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/471048
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【タイムリー再配信 618・IWJ_YouTube Live】20:45~「世界の『緊急事態条項』を検証!自民党改憲草案の『異常性』に迫る~岩上安身によるインタビュー 第610回 ゲスト 早稲田大学法学学術院教授 水島朝穂氏」
視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

 2016年2月に収録した、岩上安身による早稲田大学法学学術院教授 水島朝穂氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた水島朝穂氏関連の記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e6%b0%b4%e5%b3%b6%e6%9c%9d%e7%a9%82

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/287146

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◆中継番組表◆

**2020.4.14 Tue.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【タイムリー再配信 619・IWJ_YouTube Live】20:00~「『ナチスの手口』『緊急事態条項』の正体に迫る!岩上安身によるインタビュー 第602回 ゲスト 升永英俊弁護士」
視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

 2016年1月に収録した、岩上安身による升永英俊弁護士インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた升永英俊氏関連の記事は以下のURLからご覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%8d%87%e6%b0%b8%e8%8b%b1%e4%bf%8a

[記事URL] http://iwj.co.jp/wj/open/archives/281877

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

コロナの影響を受ける水商売・風俗産業の女性たち。ナイトクラブ自粛要請に「話題にすらあげられない存在、闇には葬らないで欲しい!」「給付しろって思うけど、それは誰にでも。どんな職業でも!」
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/472771

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■週末連続テレビ出演した吉村洋文・大阪府知事に「#吉村寝ろ」のハッシュタグ!? 橋下徹氏以来の維新府政に「失政の責任者」と追及の声! 他方、ちゃっかり橋下氏はPCR検査を受検!!

 政府が4月7日に発令した緊急事態宣言の指定地域の一つ、大阪府の吉村洋文知事は、10日の午後から夜にかけて読売テレビ「情報ライブ ミヤネ屋」、読売テレビ「かんさい情報ネットten.」、NHK「かんさい熱視線」と3つの情報番組に生出演しました。

 吉村知事はテレビ出演の合間に記者会見を行い、翌日の11日も午前の読売テレビの情報番組「ウェークアップ!ぷらす」に出演した上で、午後は新型コロナウイルス担当の西村康稔経済再生担当相と7都府県知事との会議に参加したことから、ツイッターで、「#吉村寝ろ」というハッシュタグがトレンド入りしました。

※#吉村寝ろ 対策奔走の吉村大阪府知事気遣うツイート相次ぐ(産経新聞、2020年4月11日)
https://www.sankei.com/west/news/200411/wst2004110013-n1.html

 この産経の記事について吉村知事本人が、「ちゃんと寝てます。しんどいのは府民、国民の皆様の方です。橋下さんの言葉を借りれば、政治家は使い捨てでいいんです。この先、さらに厳しい状況になるかもしれませんが、国難を一致団結して乗り越えましょう」とツイートしました。

※吉村洋文大阪府知事のツイート(2020年4月11日)
https://twitter.com/hiroyoshimura/status/1248942025530957824

 吉村知事は政府に対し、休業補償した際の事業者への補償を要求していましたが、政府はこれを拒否しました。吉村知事は10日、「休業要請をした場合の補償の問題。国はしないと判断した。東京都は独自の協力金をするようですが、正直に申し上げて、大阪の財政力では、東京都の真似はできません。東京都の財政力は別格です。命を守る為のお金、大阪独自の経済対策は打っていきますが、東京と同じことができないことをお許し下さい」とツイートしました。

※吉村洋文大阪府知事のツイート(2020年4月10日)
https://twitter.com/hiroyoshimura/status/1248592700984573953

 これに対して松井一郎大阪市長は「吉村知事は補償無しで休業要請をするでしょう。結果事業者のみなさんから袋叩きにされるでしょうが、大阪の市町村長は(温度差あり)一緒に袋叩きに合う覚悟です」とツイートしました。

※松井一郎大阪市長のツイート(2020年4月10日)
https://twitter.com/gogoichiro/status/1248573710895738881

 また、橋下徹氏は11日、「今更言っても仕方がないけど、僕の前の太田府政までが使ってはいけない減債基金5100億円を使い込んだ。僕と松井さん、吉村さんでほぼ回復。太田府政までが使い込みをやっていなければ約4000億円は使えたのに、ほんと腹立つね」とツイート。

※橋下徹氏のツイート(2020年4月11日)
https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1248900770524573696

 さらに吉村知事が「太田府政までの使い込みは酷かったですが、橋下さんの『破産宣言』からの予算ひっくり返し(無茶苦茶)、大改革によって、その後はずっと黒字、減債基金も僕の任期でほぼ回復です。府の財政も健全化しており、東京都の真似はできませんが、大阪独自の強烈な中小企業、個人事業者支援策を打っていきます」と、引用リツイートしました。

※吉村洋文大阪府知事のツイート(2020年4月11日)
https://twitter.com/hiroyoshimura/status/1248912353560690688

 これに対してツイッターでは橋下徹氏、松井一郎現大阪市長、吉村知事ら、歴代の維新の大阪府知事による府政を批判するツイートが見られます。

 岩上安身によるインタビューにもご登場いただいた戦史・紛争史研究家の山崎雅弘氏は、大阪在住の一般の方の「大阪府の吉村知事は、功労者ではなく失政の責任者です。医療と保健の体制を解体縮小して医療崩壊を招き、外国客とカジノ頼みの政策で大阪の経済を弱体化させ、困窮する市民へは補償をせず僅かな融資だけ。

 今の大阪の混乱を招いたのは、吉村知事や維新政治の責任が大きい。#吉村寝ろ なんておかしい」というツイートを引用リツイートし、次のようにツイートしています。

 「【大阪府の吉村知事は、功労者ではなく失政の責任者です】私もNHK大阪がこの人物を『頼れるリーダー』のように持て囃すのを見て強い違和感を覚える。彼と松井一郎氏の維新は、合理化の名目で大阪の保健所等の検査態勢を縮小してきた張本人だろう。なぜそこに触れないのか」

※山崎雅弘氏のツイート(2020年4月11日)
https://twitter.com/mas__yamazaki/status/1248895640165216257

 「補償なき休業」の要請と並んで問題なのは、「検査の過少と、無症者、軽症者の隔離の不徹底」です。こうした点もあわせて考える必要があります。検査が不徹底である限り、自分がコロナに感染しているかどうかわからない無症者は「補償なき休業」のために糊口をしのぐ仕事を探して街に出ざるをえません。その人の群れの中に、自覚なき感染者(ステルスキラー)が混じるのは、もはや避けようがありません。補償をすること、そして検査を徹底すること、この2つなくして、オーバーシュートを食い止めることなど不可能です。

 安倍政権におもねる「御用文化人」として、上念司氏と同様に「検査をやりすぎるな!医療崩壊を招く」と声高に主張してきた橋下徹氏は、自身の軽度の発熱を理由に、PCR検査を受けた後に言説を変節させてきました。橋下徹氏の言説は以下の通りの変遷をたどっています。

※橋下徹氏「10~40歳の元気な人は家で寝とけ」“全員PCR検査”は不要(サンケイスポーツ、2020年2月29日)
https://www.sanspo.com/geino/news/20200229/geo20022917280021-n1.html

※橋下徹氏、生放送で新型コロナウイルス感染症の検査数で西村康稔担当相へ提言…「モーニングショーから文句を言われようが検査数については絶対、絞っていくんだと…テレ朝に負けないでください」(スポーツ報知、2020年3月15日)
https://hochi.news/articles/20200315-OHT1T50048.html

「今は来るべき流行に備えて医療機関にできる限り余裕を確保しておく時期。貯金と同じ。貯金は節約しないとできないでしょ?軽症者はできる限り自宅療養で回復してもらう。陽性が分かれば貴殿のような人たちが医療機関に治療を求めて殺到する。それを防ぐのが国家マネジメント」
 
※橋下徹氏のツイート(2020年3月16日)
https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1239516883583266816

「早期治療って今、治療法がないんですよ。治療法、治療薬が出れば早期検査は当然。今、検査で陽性が出れば、軽症でも入院、報告、濃厚接触者調査。治療法もないのに陽性と聞いた患者は医療機関に対応を求めるでしょ?貴殿のような人がね。それで医療崩壊して重症者の命を救えなくなる」

※橋下徹氏のツイート(2020年3月16日)
https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1239516882299809792

 その後、橋下氏は、自身の発熱後、PCR検査を受けていたことが明らかになりました。なんということでしょう。一般人では、検査を受けることが難しいとされるPCR検査をどうやって受けられたのかにも疑問が残ります。ぜひこちらの記事をご参照ください。そして、橋下氏の受けた処遇と比べてください。

※コロナ犠牲の父、ひつぎ越し抱く 道内遺族「人ごとと思わないで」(北海道新聞、2020年4月12日)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/411541

※橋下徹氏、PCR検査受けていた 結果は陰性 5日の在宅生出演後に再び喉の不調(スポーツニッポン、2020年4月11日)
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2020/04/11/kiji/20200411s00041000179000c.html

 橋下徹氏は、自身がPCR検査を受けたのちに、PCR検査が過少だと、過度なPCR検査を不要とする主張をしてきた自身の言説をコロっと覆しました。

※橋下徹氏、検査数が少ないPCR検査の改善へ提言…「安倍さんたち政治家が『検査を増やす!』と威勢よく言っても、現場事情を改善しなければ組織は動かない」(スポーツ報知、2020年4月11日)
https://hochi.news/articles/20200411-OHT1T50028.html

※日刊IWJガイド・日曜版 「だからいわんこっちゃない!真っ先に同盟国・米国から不信を突きつけられた検査過少の日本!」2020.4.5日号~No.2761号
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/39928

■<新記事紹介>コロナ禍で緊急事態宣言! 見えてきた「安倍独裁」へのシナリオ!? 岩上安身が引き出した総理の「本音」を痛烈解説! 2020.3.27ジャーナリスト浅野健一氏インタビューから

 4月11日現在、新型コロナウイルスの国内の感染者は、クルーズ船を除いて6005人、死亡者は94人に上りました。安倍晋三総理は4月7日、東京をはじめとする7都府県に緊急事態宣言を発令したものの、ロックダウン(都市封鎖)はせず、「人と人の接触を7割から8割削減すれば感染者数を抑えられる」として、強制力のない外出自粛を国民に呼びかけています。

 一方、緊急事態宣言に先立って開かれた衆議院の議院運営委員会では、日本維新の会の遠藤敬議員が、「現行憲法は、未知のウイルスとの闘いを想定していなかった。憲法改正による緊急事態条項の創設が不可欠だ」と主張し、安倍総理は、待ってましたとばかりに、「新型コロナウイルスへの対応も踏まえつつ、国会の憲法審査会の場で、与野党の枠を超えた活発な議論が展開されることを期待したい」と応じました。

※衆議院インターネット審議中継(2020年4月7日)
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=50005

 岩上安身は3月14日、新型コロナウイルス対策の特別措置法の成立を受けて行われた総理会見に参加し、「特措法の非常事態宣言がひとつの布石となって、国民を慣らし、その後に(改憲で)緊急事態条項を導入するのではないか、という懸念がある。これは『安倍独裁』を可能にする」という質問を、安倍総理に直接投げかけました。以下の記事を、ぜひご覧になってください。

※総理会見で岩上安身が直撃質問!「報道、言論の自由は担保されるのか?」「非常事態宣言で国民を慣らし、改憲で緊急事態条項を導入!?」安倍総理は「安倍独裁」を否定せず「国民が選ぶこと」と回答!! 2020.3.16
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/469996

 新型コロナウイルス感染への恐怖と不安が広がる中で、特措法にもとづく緊急事態宣言が現実となった今、これが国民の改憲への心理的ハードルを下げ、「安倍独裁」への慣らし運転になるのではないか――。

 総理会見で安倍総理に、「安倍独裁」という言葉を用いて直接質問した岩上安身のその懸念は、やはりというべきか、今、現実のものとなりつつあります!

 2020年3月27日に岩上安身が行った、ジャーナリストの浅野健一氏へのインタビューの中から、その危機感を語った部分を抜粋し、3月14日の安倍総理記者会見とあわせて編集したハイライト動画を、YouTubeにアップしました。

※コロナ禍で緊急事態宣言! 見えてきた「安倍独裁」へのシナリオ!? 岩上安身が引き出した総理の「本音」を痛烈解説! 2020.3.27ジャーナリスト浅野健一氏インタビューから
https://youtu.be/dgIXL0EHIi4

 このハイライト動画にテキストをつけ、記事としてアップいたしましたので、ぜひご一読ください! SNSでの拡散も、ぜひよろしくお願いいたします1

※コロナ禍で緊急事態宣言! 見えてきた「安倍独裁」へのシナリオ!? 岩上安身が引き出した総理の「本音」を痛烈解説! 2020.3.27ジャーナリスト浅野健一氏インタビューから
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/472816

 IWJのYouTubeチャンネル「Movie Iwj」は、IWJの動画の中からハイライト場面を抜粋して、お忙しい方にも、手短に見ていただける動画を数々アップしています。新しい動画を頻繁に更新していますので、「Movie Iwj」へのチャンネル登録もぜひ、お願いいたします!

※YouTubeチャンネルはこちらから(右側の赤いチャンネル登録という項目をクリック!)
https://www.youtube.com/channel/UCO6c-ejeQxxKArNHWieU2OQ

 岩上安身によるジャーナリスト浅野健一氏インタビューの全編は、以下のURLよりご視聴ください。

※「咽頭がん手術で声帯を失う前にIWJで日本の記者クラブ問題を話したい!」岩上安身によるインタビュー 第988回 ゲストジャーナリスト浅野健一氏 2020.3.27
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/470970

 IWJは自民党改憲案に盛り込まれた緊急事態条項の危険性を訴え続けています。ぜひ、以下の特集もご覧ください。

※これこそ「ナチスの手口」!9条を含めすべての現行憲法秩序を眠らせ、日本改造を行う「緊急事態条項」 この上ない危険性!!
https://iwj.co.jp/wj/open/%E7%B7%8A%E6%80%A5%E4%BA%8B%E6%85%8B%E6%9D%A1%E9%A0%85%E7%89%B9%E9%9B%86

 またIWJ書店では、岩上安身が梓澤和幸弁護士、澤藤統一郎弁護士とともに、日本国憲法と自民党改憲草案を逐条で読み解いた『前夜 増補改訂版』を販売しています。この機会にぜひお買い求めください!

※【増補改訂版】前夜 日本国憲法と自民党改憲案を読み解く
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=169

 SNSのフェイスブックにも、「ヤバすぎる緊急事態条項の改憲発議を阻止する会」という公開グループを作っています。さまざまなコンテンツを紹介しています。下記URLからぜひ参加してください。
https://www.facebook.com/groups/337211516972771/

■<本日の再配信 1>本日午後8時45分より「世界の『緊急事態条項』を検証!自民党改憲草案の『異常性』に迫る~岩上安身によるインタビュー 第610回 ゲスト 早稲田大学法学学術院教授 水島朝穂氏」を再配信します!

 本日午後8時より、2016年2月13日に収録した「世界の『緊急事態条項』を検証!自民党改憲草案の『異常性』に迫る~岩上安身によるインタビュー 第610回 ゲスト 早稲田大学法学学術院教授 水島朝穂氏」を冒頭のみオープンで、その後は会員限定で再配信いたします。

 憲法学者で有事法制にも詳しい水島氏は、自民党改憲草案の緊急事態条項について、かねてより警鐘を鳴らしてきました。

 岩上安身が世話人に名を連ねる「憲政の常道(立憲政治)を取り戻す国民運動委員会」が、2016年1月19日に開催した記者会見では、集団的自衛権の行使容認や安保法制の暴力的強行採決を行ってきた安倍政権にとって、「足りなかったのは国民や自治体への統制と義務づけだった」と述べ、それが緊急事態条項で完遂すると指摘しました。

※2016/01/19 櫻井よし子氏に公開討論を要求!安倍政治が壊した「古きよき日本」を取り戻す~護憲派から改憲派の憲法学者、ジャーナリストら200人でつくる「立憲政治を取り戻す国民運動委員会」
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/283121

 岩上安身によるインタビューで、水島氏は緊急事態条項で国民の自由や人権を奪うことについて、「その目的は、市民の戦力化。最後まで国民を戦力として利用すること」であると指摘しました。

 海外にも緊急事態条項と同様の憲法、法律があります。しかしそれらには、必ず「チェック機能」や「歯止め」が盛り込まれています。

 しかし、自民党が導入を目論む緊急事態条項には、こうした「チェック機能」や「歯止め」が一切、省かれています。書かれているのは単純に、「緊急事態の際には、時の内閣に全権力が集中する。法律も自由に作るし、予算も自由に使うが、国民は無条件に従え」ということのみです。

 水島氏は、「かつて大日本帝国で緊急事態宣言が発動され、何が起こったか?」と、問いかけ、緊急事態宣言が戒厳令とセットになり、憲法が空洞化するという恐ろしい歴史の闇を紹介しました。

 コロナ禍によって、特措法における緊急事態宣言が発出されましたが、これは改憲によって導入される緊急事態条項とは似て非なるものです。この特措法の緊急事態宣言によって、「緊急事態宣言というのは、恐いと思っていたが今回の宣言で危ないものではないかとわかった。改憲による緊急事態条項も危ないものではないのではないか」という油断が生じかねません。安倍総理とその周辺の動きを見ていると、このコロナ禍を奇貨として政治的に重用し、改憲による緊急事態条項へと導こうとする意志が見てとれます。

 まずは改憲による緊急事態条項とは何か、改めて確認する必要があります。

 詳しくはぜひ、本日の再配信をご視聴ください!

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【タイムリー再配信 618・IWJ_YouTube Live】20:45~
「世界の『緊急事態条項』を検証!自民党改憲草案の『異常性』に迫る~岩上安身によるインタビュー 第610回 ゲスト 早稲田大学法学学術院教授 水島朝穂氏」
視聴URL(冒頭以降は会員限定): https://iwj.co.jp/wj/open/archives/420867

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 この機会にぜひ、IWJ会員へのご登録もお願いいたします。

※会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは、サポート会員にお切替えいただいて、あるいはかつて会員だった方は再開して、ご支援ください!
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

■<本日の再配信 2>本日午後7時より「2019年12月、東京江東区のUR住宅で、72歳と66歳の兄弟が餓死した。国民の居住の安定と福祉を目指す公的住宅でなぜ餓死が起きるのか?~3.28緊急会見『公的住宅での困窮死・孤立死をなくすために』」を再配信します!

 本日午後7時より、2020年3月28日に行われた「住まいの貧困に取り組むネットワーク(住まいの貧困ネット)」、「国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)」による緊急記者会見「公的住宅での困窮死・孤立死をなくすために」を再配信いたします。

 「昨年の12月、東京・江東区のUR住宅で、72歳と66歳の兄弟が衰弱した状態で発見され、最終的に餓死にいたってしまった。これが、NHKの報道により明らかとなり、私たち『住まいの貧困に取り組むネットワーク』と『国民の住まいを守る全国連絡会』のメンバーが中心となり、この餓死問題の調査団を立ち上げ、行政およびUR都市再生機構への聞き取り調査などを行ってきた」

 冒頭、住まいの貧困ネット世話人の稲葉剛氏は、餓死事件の経緯をこう説明しました。

 稲葉氏はさらに、「現在、新型コロナウイルスによる各種自粛の動きが引き起こした経済危機が進行している」と述べ、「私たちは炊き出しなどの貧困者支援を行っているが、その場に、今まで見たことのなかった若い世代の人々が増えてきている」と懸念を示しました。

 「多くの人たちが、雇い止めや解雇による収入減の憂き目にあっている。このような人々が、家賃滞納により、家を追い出され、ホームレスとなり、自分の生活を維持することができなくなっていくのが常だ」

 こう解説した稲葉氏は、すべての大家さん、不動産業者、そして家賃保証会社に向けた「緊急アピール」を読み上げました。

 また、住まい連代表幹事の坂庭国晴氏は、「公的住宅に限らず、日本各地で発生している餓死や凍死などの事例が、なぜ起きるのか」「国民の居住の安定と福祉を目指す公的住宅で『餓死』といった、ある意味では考えられない事態がなぜ起こるのか。どうすれば、こうした困窮死や孤立死をなくすことができるのか」と、問いかけました。

 この続きはぜひ、本日の再配信をご視聴ください!

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【タイムリー再配信 617・IWJ_YouTube Live】19:00〜
「2019年12月、東京江東区のUR住宅で、72歳と66歳の兄弟が餓死した。国民の居住の安定と福祉を目指す公的住宅でなぜ餓死が起きるのか?~3.28緊急会見『公的住宅での困窮死・孤立死をなくすために』」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501

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■日本ではコロナ対策だけではなく、報道も大幅に遅れている! 欧米では「補償のある休業」と徹底した「検査と隔離」によって、感染者拡大がピークにさしかかりつつあり、社会復帰のため「抗体検査」が導入されている! 日本の既存メディアでは「抗体検査」の詳細な記事はまだほとんどなし!  

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、厳しいロックダウンが続く欧米では、一方で前向きな報道も聞かれつつあります。1日あたりの新規の感染者のペースが落ちてきていて、ピークを迎えつつある、という可能性が示唆されています。

 4日に、スペインのペドロ・サンチェス首相は、死者の数が2日連続して減少したことを受けて、「感染のピーク通過に近づきつつある」と述べました。

 また、イタリアも感染者の減少傾向が続いており、政府の専門機関は、「危機的な状況は脱した」という見解を示しています。

 ニューヨーク州では、8日にクオモ知事が「(感染者増加の)カーブは平坦化している」と説明しました。この後、ますますカーブの傾斜が緩やかになり、やがてピークに達すれば、その後は感染者が減少していくことも期待できます。

 それにともなって、住民の外出制限や店舗の営業制限を解除するかを判断するため、感染が社会にどの程度広まっているかを知ることが必要になります。そこで「抗体検査」の重要性が高まります。

 「抗体検査」とは何か。日本の政府や自治体、メディアがほとんど取り上げないので、日本の読者にとっては耳慣れない言葉かもしれません。

 「抗体」とは、ウイルスなどの異物が体内に入り込んだ時にウイルス等を追い出すために働く血中の免疫グロブリンというタンパク質です。異物が体内にはいったときに、その異物がもつ抗原と結合する特異的な抗体を作り、異物を除去していきます。各人の体内における、コロナウィルスの抗原と特異に結合する抗体の量を調べることで、その人が過去にコロナウイルスに感染し、克服したことがあるかどうかを調べるものです。

 この新型コロナの「抗体検査」については、現在日本では、詳しく報道されていません。IWJスタッフが参考のため日本語の記事を探しましたが、以下にソースを書いた朝日新聞の論座以外は見当たらず、結局英語の記事を参考にせざるをえませんでした。

 諸外国での報道は、抗体検査が社会にとってどう有用か、あるいはどのような問題点があるかなど、読者の疑問を想定して、それに答える形で詳細に報道しています。

 他方、日本の既存マスメディアでは取り上げられてはいないものの、ツイッターには antibody test(抗体検査)というワードが過去一時間で140件ツイートされるなど、議論を呼んでいる様子がわかります。

 既存メディアでは、ネットで散見される悪質なデマ情報をことさらに過大視、ネットの情報を信じないよう、「正しい知識」(要するに政府の発信する情報)を身につけようなどと繰り返し呼びかけていますが、政権に忖度して及び腰の日本の既存メディアの報道の質は、決して高いものではなく、質の高い情報はネットでしか得られないのが現状です。

 一方、日本では、緊急事態宣言後も、いまだにPCR検査が過少な状況から抜け出せていません。休業の補償をしないことを繰り返し政府がアナウンスしているため、結局、中途半端な外出自粛しか実現していません。

 症状のある人もない人も検査を受けられないため、自分がコロナ感染者かどうかわからないまま大量の人々が、生活のためにやむなく動き回り、感染が広がり続けることが想定されます。

 過少な検査で判明した感染者数よりも、実数はその何倍にもなると推測され、状況は悪化の一途を辿っています。諸外国の報道や議論の内容と、日本の政府の姿勢、そして記者クラブメディアの報道の質に、あまりにもレベルの差がありすぎます。

 新型コロナウイルスに感染しても、無症状であったり、軽度での症状ですぐ治っていたりで、感染を自覚できないケースがあります。そういう人たちが、自分にはウイルスへの抗体があり、他者に感染させることなく、人と会っても問題なく社会活動を営むことができるということがわかれば、不安を払拭し、仕事や社会的な活動を再開する「資格」を得た、という自信にもつながります。

 そういう意味で「抗体検査」は、社会や経済の立て直しに必要な手続きなのです。人々にとって抗体があるという証明を手にすることは、外出し、活動を再開する「パスポート」の役割を果たすのです。

 「抗体検査」はすでに中国、シンガポール、韓国などの東アジアの国々で実施されています。

 また英国の疫学の研究で有名な、インペリアル・カレッジのニール・ファーガソン教授は、30日の時点で、英国において「抗体検査」は適合可能性の最終段階にあり「数日内に」利用できると期待感を示しました。

 また、米国のカルフォルニア州でも、ドライブスルーの検査場を設けて10日から大規模な「抗体検査」を行っています。

 IWJでは、新型コロナウイルスに関する「インペリアル・カレッジ」の調査レポートを抄訳して紹介しています。日本の現状にも関わってくるIWJ調査レポートを、ぜひご覧ください。

※IWJ調査レポート!2ヶ月の徹底した社会隔離(ソーシャルディスタンシング)政策と、1ヶ月の緩和のローテーションを18ヶ月続けなければいけない必要性がある!? 英国がコロナ対策を大きく転換させた契機となったインペリアル・カレッジ報告書を仮訳!日本政府と全国民必読! 2020.4.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/472074

 日本でも岩手県盛岡市の検査装置開発・セルスペクトが、抗体検査キットを開発したと報じられています。「2時間で96検体を検査でき、PCR検査よりも短時間に多くの人を調べられる」とのことです。抗体ができていない感染直後の検査には向きませんが、1検体の検査コストは「PCR検査の10分の1程度」とされています。

※新型コロナウイルス検査キット、盛岡の企業開発(岩手日報、2020年4月11日)
https://www.iwate-np.co.jp/article/2020/4/11/76153

 ただし、「抗体検査」は万能でなく、抗体は感染から7日から10日経たないと検出できないことや、検査の精度が問題視されています。

 また新型コロナウイルス抗体がどれくらいもつのかは、これから研究しないとわかりません。さらに、抗体が検出されていても、それが弱い場合だと、感染を防ぐことができないケースもあります。

 とはいえ、自分自身が抗体を持ち、よほどのことがない限り再感染の心配はしなくていいのだ、引きこもった自宅から出て、社会生活に戻っていいのだ、という自信をもつこができることは、医療従事者を筆頭に、社会を構成する誰にとっても意味があることです。いったんはボロボロになった社会も、経済活動も、少しずつ立て直していくことができるでしょう。PCR検査に消極的であった、そして今なお消極的であり続けている日本においては、「抗体検査」を並行して取り入れれば、実際の「感染拡大」を把握することもできますし、個々人が自分はどう行動すべきか、指針を得ることもできます。また長期的で大規模な検査を実施すれば、感染がどのように広がってくかを知るための有用なデータともなりえるでしょう。

※コロナ対策 抗体検査を急げ 日本のお粗末な対応を是正するには、他国に学ぶしかない(論座、2020年4月10日)
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020040900010.html?page=3

※Will an Antibody Test Allow Us to Go Back to School or Work?(THE NEW YORK TIMES、2020年4月10日)
https://www.nytimes.com/2020/04/10/health/coronavirus-antibody-test.html

※An antibody test for the novel coronavirus will soon be available(THE ECONOMIST、2020年4月2日)
https://www.economist.com/science-and-technology/2020/04/02/an-antibody-test-for-the-novel-coronavirus-will-soon-be-available

 なお、諸外国から遅れをとっているのは、報道だけではありません。日本は諸外国から何より人権意識を学ばなくてはいけないでしょう。政府も、自治体も、国民も、です。

 日本では、PCR検査を過少にしか実施せず、検査数を減らすことで感染者数を抑え、事態の深刻さを隠蔽して、政権の施策が功を奏しているからだと安倍総理自身がアピールしていたりします。早期にPCR検査を受けられず、適切な治療が受けられなくて、重症化し、手遅れとなって亡くなった方々が現実に存在するのにもかかわらず、です。

 また、風俗業やキャバクラ店などに勤務している人は、当初、給付の対象外とするなど、政府・自治体の姿勢は冷たく、そうした「お上」の市政に悪ノリした差別的ヘイトスピーチが水商売・風俗業の女性に向けられる、職業の「貴賤」(この言葉自体、今日ではふさわしいものではありませんが)や社会的な身分を問うことなく、誰しも平等に検査されなければならない基本的人権をないがしろにする政治がまかり通っています。

 思いつきで始めた一世帯あたり2枚の布マスク配布、事業費が、なんと466億円にふくれ上がったり(事業者を公募で募集せず、安倍政権の地元の山口県の企業に集中して発注。事業者側にとって、売れ残りの心配もない、こんなおいしい話はありません)、記者会見で、この中途半端な緊急事態宣言の失敗した場合の政治「責任は負わない」ことを平然と安倍総理が断言したり、新型コロナウイルスのパンデミックにより、安倍政権の不誠実さと弱者へ切り捨ての姿勢がますます浮き彫りになりました。しかしそんな政権を選挙で選んでしまったのは、日本国民です。特に自民党と公明党に投票した人々、そして選挙そのものに背を向けてきた無関心・無気力層です。その事実を深く顧みる必要があります。

 少なくともこの「抗体検査」においては、諸外国から学び、日本で有効的に活用され、正確な感染者の把握と人々の社会活動復帰への貢献に、役に立てられることを願います。

■自己申告制で手続きが複雑な日本の給付金のダメダメさに対して、ドイツの現金給付の迅速さ! 背景は「堅実性」には何が必要かという戦略的認識の違いが! ドイツ在住の方の体験談では、 フリーランスに対しコロナ給付金3ヶ月分、約107万円が迅速に振り込まれた!

 IWJでは、ドイツ在住で、コロナのために休業を余儀なくされたフリーランス(自営業者)の方へ取材し、ドイツ州政府の給付金の支払われ方について、お話をうかがいました。

 日本では、コロナの影響で収入が減った人や、事業者に対する給付金は、対象がいまだに絞り込まれすぎ、手続きが煩雑すぎて、誰にとってもわかりづらく、結局、条件が厳しすぎるために国民のほとんどはもらえないと批判されています。

 しかも申請時には法務局は大混雑で、社会的距離(ソーシャルディスタンス)が取れていません。申請するために列に並ぶことで、あらたなクラスターを生み出してしまう懸念があります。審査に通って給付金をもらえたとしても振り込みは随分先の話で、その前に生活費が底をつく、との悲鳴があがっています。

 日刊IWJガイドの4月9日号でも、収入が下がった世帯に対する30万円の給付について「5800万世帯の8割は給付金を受け取れない」との見方を紹介しました。

※緊急事態宣言で居酒屋や水商売は大打撃! 一方、「満員電車」は相変わらず! そして宣言発出後も自粛対象業種はいまだに不明!!(日刊IWJガイド、4月9日号)
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20200409

 30万円給付について批判を受けた政府は10日、これまでの「住民税非課税水準」に代わり、減収後の「月収」を基準にすることにしましたが、具体的な申請方法や支給時期などはいまだに不明です。

 この件に関しては、本日の日刊IWJガイドの別の記事「東京都内で新たに190人以上が新型コロナウイルスに感染していることが確認!! 安倍総理は、全国に対し夜の繁華街での接客伴う飲食店利用自粛を呼びかけたものの、給付基準は厳しく、補償もなし!!」でご紹介しています。ぜひご覧ください。

※30万円給付、どうすれば? 見えない詳細、高まる不安(朝日新聞、2020年4月11日)
https://digital.asahi.com/articles/ASN4B7RQ1N4BULFA01B.html

 また政府からは、中小企業には最大200万円、フリーランスを含む個人事業主に最大100万円の現金給付も提示されています。事業収入が前年同月比で半減以下になった場合に差額が補填されるというものです。しかしこの給付についても、細部の条件はいまだに詰められていません。

 こうした日本の現状に対して、ドイツなど欧州ではもっと迅速に給付が行われるとの声を聞きます。

 本当でしょうか? 半信半疑でしたが、ドイツ在住の河内聰雄(こうちあきお)氏がフェイスブックで紹介している、フリーランスへの給付例の報告に驚きました。迅速、簡単に3ヶ月分、約107万円が振り込まれたというのです。

 この投稿は、現地で給付を実体験された方による、非常にリアリティのある内容であり、日本の私達にも参考になると考えたため、河内氏に掲載の許可をお願いし、快諾をいただきました。

 河内氏は、富山県で自然農を営んだ後、2006年にドイツ、シュトゥットガルト市へ家族で移住。現在は「自由教育」や「教育芸術」で知られる「シュタイナー教育」を行う学校(ヴァルドルフ学校)で、授業のフィールドである有機農園を管理する仕事を務めています。娘さんが一人いらっしゃって、この学校の1年生とのことです。

 河内氏の奥さまは教員資格を持ち、フリーランスの教員として、別のヴァルドルフ学校で、障害者教育について教えているとのことです。今回の給付金は、奥さまの申請に対して振り込まれたものです。

 なお河内氏からはIWJについて、「陰ながらですが、心はいつも応援しています」とのメッセージをいただいています。ありがとうございます。

 以下に河内氏に許可をいただいた投稿をご紹介します。給付制度についても詳しく書かれています。

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 本日(4/7)、妻が申請していたフリーランスへのコロナ給付金が振り込まれました!!

 なんと3ヶ月分、まとめて9,000ユーロ(約107万円)! 発表通りでした。

 1ヶ月あたり3,000ユーロ(約36万円)の緊急支援。先週インターネットで妻が申請、面倒な証明書類をいろいろ用意しなくても良くて、国籍問わず、迅速な対応で、即振り込みしていただきました。

 相当数の方々が一気に応募していますが、それを一々精査していては時間と手間ばかりかかって緊急支援にはなりませんよね。必要事項が正しく記載されていれば、まずはどんどん振り込んでいるのでしょう。

 (これはバーデン・ビュルテンベルグ州による緊急援助プログラム。4/2までに21万件の申請を受ける。その週内に第1段として約3,500件、総額3,640万ユーロ支払済。今回妻が受けた緊急援助は、その第2段で4/7に支払済。)

 納税番号で紐づけられているので、虚偽記載があっても後で調べられるわけで、まずはとにかく、より多くの人を救済支援していくという政策なんだと思います。まさに緊急支援対応です。

 思うに、日本で今回行われるやり方って、いろいろとハードルを設けて、振るい落として、出し渋るという、旧来型の助成金申請への対応、そのままじゃないでしょうかね。

 今は非常事態宣言もされ、緊急支援すべき段階なのに、発想と手法が、従来どおりをなぞったまま。

 実際、申請できる対象者は相当限られてしまうようですし、申請書類を精査する現場の担当職員の負担も相当なものでしょうし、申請者だって必要書類を揃えて何枚も記入する負担は相当なものでしょうし、しかも窓口で対面で書類申請だなんて、外出を控えるべき時なのに大矛盾してるし、受理されて振り込まれるまでに時間もかかってその間に生活困窮も進むだろうし、、、と、支援から程遠くなっている感じもします。

 各国それぞれ事情の違いはあると思いますが、せめて行政の現場に関しては、他国の先例から柔軟に学ぶ姿勢を持ってもらえたらいいのですが。

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※河内聰雄氏のフェイスブック・ページ
https://www.facebook.com/AkioKohchi

 ドイツの援助プログラムは州によって異なるようですが、このバーデン・ビュルテンベルグ州の例から見る限り、たいへん簡潔、迅速に給付がなされている模様です。

 「緊急事態」を「宣言」するということは、「平時」の行政の事務手続きでは間に合わないので、思いきって手続きを簡略化して困窮者への救済を先行する、ということも含まれているはずです。

 それがドイツでは、州政府レベルでもしっかり理解されて、大胆で迅速な手が打たれる。

 他方で日本では緊急事態を宣言する目的も意味も手段もろくに理解されていないために、このような「平時」と同様のもたつきと混乱が広がるのだと思われます。

 他方、現在、「週に約35万件」ものコロナウイルス検査を実施しているドイツでは、感染者数が10万人を超え、米国、イタリア、スペインに次ぐ感染拡大が報告されていますが、致死率は1.6%で、イタリア12%、スペイン、フランス、英国約10%、中国4%、米国約3%等に比べ、驚くほど低いと報じられています。

※【新型コロナ】ドイツ、驚くほど致死率が低い5つの理由─感染者数は10万人を超えるが…(クーリエジャポン/ニューヨーク・タイムズ、2020年4月10日)
https://courrier.jp/news/archives/196553/

※A German Exception? Why the Country’s Coronavirus Death Rate Is Low(The New York Times)
https://www.nytimes.com/2020/04/04/world/europe/germany-coronavirus-death-rate.html

 その理由は、感染者の平均年齢の低さ、検査数の多さ、早期・広域検査による隔離、検査と追跡の徹底、医療体制の充実、メルケル首相のリーダーシップなどがあげられています。

 日本の医療体制や医療水準がドイツに比べて格段に劣るとは思われませんから、日独で違いがあるとすれば、検査を徹底して行うか、徹底して抑制するかの違いであり、あとは首相のリーダーシップの差でしょう。この点は、相当な落差があると思われますが。

 また、ドイツでは、経済対策としては、7500億ユーロ(約89兆1000億円)、「GDP比では日本の経済対策とほぼ同等の約22%」が当てられると報じられています。

※新型コロナの経済対策、欧州はドイツ流の雇用維持策を域内に拡大(日経ビジネス、吉田 健一郎、2020年4月8日)
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/040800093/

 記事によれば、ドイツの支援策は企業と雇用維持を主眼としているとされます。その中で「時短勤務手当」は、「時短勤務で削減された給与の最大67%を補填し、時短勤務を適用した雇用主に対して、社会保障費を政府が全額肩代わりする」という内容です。これにより失業を防いでいるとのことです。こうしたドイツの取り組みを、欧州連合(EU)は加盟国に広げていこうとしているとのことです。

 検査の過少を改め、徹底して検査を行うこと、「有事」には「平時」とは違う、簡単な事務手続きで行政組織を動かすこと、それだけでなく、医療対策にせよ、経済対策にせよ、具体的な給付の方法などについても、ドイツに見習うべき点は多々ありそうです。もちろん、最も見習うべきは、首相となる人の選び方あること間違いありませんが。

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 それでは、本日も1日よろしくお願いします。

IWJ編集部(岩上安身、木原匡康、近藤ゆり、西谷恵、城石裕幸、中村尚貴)

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岩上安身サポーターズクラブ事務局
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