日刊IWJガイド・非会員版「日米首脳会談後の共同会見で、バイデン米大統領が台湾有事での武力行使を明言!! ロイターは『戦略的曖昧さからの逸脱』と指摘!」2022.5.24号~No.3540号


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■はじめに~ツイッター「IWJ_Sokuho」5月23日、日米首脳会談後の共同会見で、バイデン米大統領が台湾有事での武力行使を明言!! ロイターは「戦略的曖昧さからの逸脱」と指摘! ホワイトハウス当局者は「台湾に対する政策に変更はない」と火消し!!

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■【中継番組表】

■ツイッター「IWJ_Sokuho」5月21日・22日(その3)、マリウポリ陥落! マリウポリで起こった複数の疑惑の事件や出来事をタイムラインにしました! ロシア国防省はルガンスクの制圧は近いと発言! ロシアは三度デフォルト回避へ利払いを完了、それでも 米国はあくまでロシアをデフォルトに追い込むのか?

■「ウクライナが勝利の可能性」「ロシア軍が苦戦」という大手メディアの戦況報道や専門家の分析は本当か!? キエフに続きハリコフを奪還したウクライナ軍! しかしロシア軍は本当にキエフやハリコフの占拠を目的にしていたのか!?
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■はじめに~ツイッター「IWJ_Sokuho」5月23日、日米首脳会談後の共同会見で、バイデン米大統領が台湾有事での武力行使を明言!! ロイターは「戦略的曖昧さからの逸脱」と指摘! ホワイトハウス当局者は「台湾に対する政策に変更はない」と火消し!!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 IWJは、ツイッターアカウント「IWJ_Sokuho」で、ウクライナ情勢をツイートしています。テレビでは流れない情報や、石油・天然ガスなどの資源問題、ウクライナの実情もあわせて、多角的にウクライナ情勢をお伝えしています。ぜひ、一度御覧ください。

※IWJ速報@IWJ_Sokuho
https://twitter.com/IWJ_Sokuho

 来日中のバイデン米大統領は23日午前、皇居で徳仁天皇と会見後、午前11時から午後1時過ぎまで、元赤坂の迎賓館で岸田文雄総理と日米首脳会談を行いました。

※【速報7118】NHK、23日「岸田総理大臣とアメリカのバイデン大統領との日米首脳会談は、東京 港区の迎賓館で23日午前11時すぎから始まり、」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528611048017625088

 23日付けNHKは、岸田総理大臣が首脳会談で「バイデン大統領の今回の日本訪問は、いかなる状況にあってもアメリカがインド太平洋地域への関与を強化し続けることを示すものであると、心から歓迎する」と述べたと報じています。

 さらにこのNHKの記事は、「会談の詳しい内容は明らかになっていない」としながら、次のように首脳会談の中身を「したとみられる」と報じています。

 「ウクライナ情勢をめぐってG7で結束し、ロシアに対する厳しい制裁や、ウクライナへの支援を継続する方針を確認したとみられる」

 「中国を念頭に、日米両国で抑止力と対処力を強化する方針で一致したとみられる」

 「『反撃能力』の保有や防衛費増額の自民党の提言も踏まえ、防衛力を抜本的に強化する考えを伝えたほか、アメリカの核戦力と通常戦力の抑止力によって日本を守る『拡大抑止』の強化を確認したとみられる」

 「核ミサイル技術開発を強化する北朝鮮への対応をめぐり、日米韓3か国で緊密に連携していく方針を確認したとみられる」

 「バイデン大統領は、中国への対抗を念頭においたIPEF(アイペフ)=インド太平洋経済枠組みを23日立ち上げる考えを表明し、岸田総理大臣は参加の意向を伝えたものとみられる」

 また、23日付けNHKは、「日米首脳会談で、両首脳が安全保障理事会を含めた国連の改革と強化の必要性で一致し、バイデン大統領から、安保理改革が実現した場合には、日本が常任理事国になることに支持が表明された」ことがわかったと報じています。

※【速報7123】NHK、23日「日米首脳会談で、安全保障理事会など国連改革の必要性で一致。バイデン大統領から、安保理改革が実現した場合には、日本が常任理事国になることに支持が表明されたことが分かった」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528614478006210560

 日本は、ドイツ、イタリアと共に国連憲章第53条、第107条(旧敵国条項)で、「旧敵国」とされています。

 1995年の国連総会で、日本とドイツは旧敵国条項を憲章から削除する決議案を提出し、賛成多数によって採択されました。しかし、実際に削除されるためには、憲章の改正手続が必要であり、憲章は国際条約に該当するため、各国における批准が必要です。

 また、2005年の国連総会特別首脳会合で採択された「成果文書」では、旧敵国条項について「『敵国』への言及の削除を決意する」と明記されました。

 2006年4月6日の参議院外交防衛委員会では、当時の麻生太郎外務大臣が、敵国条項について、1995年の国連総会で「死文化、死んだ文章、既に死文化しているとの認識を示す決議案というものが圧倒的多数の賛成で既に可決をされておりますんで、死文化したというのはもう現実であります」とした上で、2005年の成果文書について、次のように答弁しています。

 「成果文書におきましても、この条項において敵国への言及を削除するとの決意というものがなされております。

 ただ、今おっしゃいますように、これを正式な文章から削除するためには加盟国の3分の2の批准というものが必要とされておりますんで、これは安保理改革を含む話とちょうど関連をするところでもありますので、敵国条項の削除については今後とも求めていくのは当然のこととして、今現実問題として死文化されておるというところまで、日本、ドイツ、いろいろ努力をした結果というものは既に11年前(1995年)にでき上がっておるところではございます」。

 つまり、日本(とドイツとイタリア)は、国連安保理改革とあわせて敵国条項の削除を求める方針だということです。

※国連憲章の旧敵国条項(第五十三条、第百七条)に関する質問主意書(衆議院、2009年6月19日)
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a171569.htm

 一方、日米首脳会談後に行われた共同記者会見では、米国人記者が「台湾有事が起きた場合に米国が軍事的に関与するか」と質問しました。

 23日付け日本経済新聞は、この質問にバイデン大統領が「『はい(YES)。それが我々の約束だ』と発言した」と報じました。

※【速報7124】日本経済新聞、23日「バイデン氏は記者から台湾有事が起きた場合に米国が軍事的に関与するかを問われ『はい(YES)。それが我々の約束だ』『台湾について平和と安定のコミットメントは変わらない。一方的な現状変更の試みに反対する』」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528632412866957313

 この米国人記者の質問と岸田総理、バイデン大統領の回答を日本テレビのノーカット中継から拾い出すと、以下のようになります。

米国記者「(岸田総理に)もし中国が台湾を統一しようとしたり攻撃しようとしたら、どのように対応しますか? そしてアメリカはどのように対応すると思われますか?

 (バイデン大統領に)そして大統領も、どのように対応するか教えていただけますか?」

岸田総理「台湾については、今回の首脳会談の中でも議論となりました。台湾海峡の情勢は、台湾に関する両国の基本的な立場は変更がないことを確認した上で国際社会の平和と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸関係については平和的に解決をうながしていく、こうしたものでありました。

 日本はアジアにおいて、力による一方的な現状変更、これは許してはならないと思います。だからこそ、今回、ウクライナの情勢についても、力による一方的な現状変更、これは許してはならないということで、国際社会と協力しながら強い制裁に参加をし、人道支援を行なっている、こうしたことです。

 アジアにおいても、平和や安定が守られるために、日本としては自らの防衛力を抜本的に強化するとともに、日米同盟、私たちの国にとって唯一の同盟関係であります日米同盟、これをしっかりと強いものにしていかなければならない。このように思っています。

 そして、その際に、日本としても拡大抑止をはじめとする、アメリカの対応について信頼をしています。ぜひ、より、この大切な日米同盟の強化が、多くの国民、関係者にしっかり信頼され、そして、そのことが結果として地域の平和と安定につながるよう、引き続きバイデン大統領とともに協力をしていきたい、このように思っています」

バイデン大統領「台湾に対する政策はまったく変わっていません。台湾で平和と安定にコミットします。それから、台湾海峡について、まったく何も変化はありません。そして、現状を変えてはいけないということです。ひとつ追加するならば、台湾関係がどうしてそんなに重要なのか、ということです。

 プーチンは大変な代償を払いましたよね、ウクライナでの残虐な戦争のために。そして、アメリカの放送局も言っていると思いますが、学校を爆破しています。軍事的な目標のないところ、学校、あるいは博物館をどうして攻撃しなければなりませんか? 病院、そして保育所もです。

 ですからとにかく、ウクライナを抹殺したいんでしょう。彼は征服はできなくても、アイデンティティを奪うことができる。しかし、そのために、ロシアは長期的な代償を払わなければなりません。このような心ない戦争のためです。制裁がそれをやってくれるでしょう。

 ウクライナだけではありません。もし、事実、彼があれだけやったことで、そして、例えば、ウクライナとロシアの間に関係の改善があって、制裁が維持可能でないとしたら、中国はどう考えるでしょうか? このような代償だったら払ってもいいと、台湾を力で制圧するということを考えないでしょうか?

 (中国は)非常に危険な飛行もしているわけです。もうすでに。

 でもアメリカはコミットをしています。約束しました。そして『One China Policy(一つの中国)』です。そして私たちがすべてやってきましたけれども、だからといって、中国に(台湾侵攻の)能力がないということではありません。そして、台湾を奪っていいということにはならないわけです。

 ですから日本と他の国ともしっかり寄り添って立ちます。それが起こらないように。そしてそのような心にしないように。誘惑をされないように。

 世界がどれだけ強力だったかということです。あのようなロシアの行動が、このような結果になるかという、長期的な…」

記者「ウクライナに対しては軍事的に対処しないということですが、台湾を守るために軍事的に介入されますか?」

バイデン大統領「はい(YES)、そう約束しましたから介入します。

 いいですか、こういう状況です、わかりますか。『One china Polisy』を、署名もしました。すべてがそこから始まっています、関係は。しかし、力で押さえつけるということ、奪うということは、これは適切ではありません。この地域を混乱させてしまいます。

 そして他の世界でも同じことが起こるかもしれません。ウクライナと同じことが起こるかもしれない。だから、もっと私たちの負担は重くなるでしょう。(と、岸田総理を見る)

 ありがとう」

※【速報7125】日本テレビ、23日【ノーカット】日米首脳共同記者会見より「米国記者:(岸田総理に)もし中国が台湾を統一しようとしたり攻撃しようとしたら、どのように対応しますか?そしてアメリカはどのように対応する思われますか?」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528655766839697408

 23日付けロイターは、この記者会見でのバイデン大統領の発言を「台湾に関するいわゆる戦略的曖昧さという米国の既存の政策からの逸脱」だと報じています。

※【速報7140】ロイター、23日「バイデン米大統領は23日、東京で行った一連の中国批判的な発言の中で、台湾を守るためなら武力行使も辞さないとの考えを示した。台湾に関するいわゆる戦略的曖昧さという米国の既存の政策からの逸脱と思われる」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528673021384220673

 ロイターは、以下のように報じています。

 「バイデン米大統領は23日、東京で行った一連の中国批判的な発言の中で、台湾を守るためなら武力行使も辞さないとの考えを示した。

 バイデン氏の発言は、就任後初の日本訪問で、岸田文雄首相が見守る中行われたが、台湾に関するいわゆる戦略的曖昧さという米国の既存の政策からの逸脱と思われる。

 中国は民主主義国家である台湾を『一つの中国』の一部である自国の領土とみなしており、米国との関係において最も敏感で重要な問題であると述べている。

 日本の指導者との共同記者会見で、記者がバイデン氏に、もし台湾が攻撃された場合、米国は台湾を防衛するのかと尋ねると、大統領はこう答えた。『そうだ』。

 『それが我々の約束だ』と彼は言った。(中略)

 バイデン氏の発言を受けて、ホワイトハウス当局者は、台湾に対する政策に変更はないと述べた。中国外務省は、米国は台湾の独立を擁護すべきではないと述べた。

 大統領の国家安全保障担当の補佐官は、バイデンが台湾に関する質問に答えるとき、席を移動し、バイデンをよく観察しているように見えた。何人かは、彼が台湾防衛を明確に約束したように見えたので、下を向いていた。

 バイデンは10月にも台湾防衛について同様の発言をしている。その時、ホワイトハウスの報道官はバイデン氏が米国の政策の変更を発表したわけではないと述べ、あるアナリストは、この発言を『失言』と呼んだ。

 ホワイトハウスは、月曜日の発言は米国の政策の変更を表すものではないと主張したが、米国海兵隊の元大佐で、現在は日本戦略研究フォーラムの研究員であるグラント・ニューシャム氏は、意味は明らかであると述べた。

 『この声明は真剣に受け止めるに値する』とニューシャム氏は言う。『中国が台湾を攻撃すれば、米国は黙っていないという十分明確な声明である』と。

 ワシントンは台湾に自衛手段を提供することを法律で義務づけられているが、中国が攻撃した場合に台湾を守るために軍事介入するかどうかについては、『戦略的曖昧さ』という方針を長年とってきている。(中略)

 今回の訪日では、日本、インド、オーストラリアの『クワッド』首脳との会談が予定されている。

 岸田氏は、米国が長年歓迎してきた、より強固な防衛態勢をとる用意が東京にあることを強調した。

 岸田氏はバイデン氏に対し、日本は報復能力を含む防衛力を強化するためのさまざまな選択肢を検討すると述べたといい、日本の防衛政策の転換の可能性を示唆している。

 これには防衛予算の『かなりの増加』が含まれると岸田氏は述べた。

 海上自衛隊の元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は、台湾をめぐる紛争における日本の役割は、アメリカの作戦を可能にし、アメリカの資産を守る手助けをすることだろう、と述べた。

 『日本の役割は相当なものだ。日本は安全保障上の抑止力を生み出す存在なのです』と語った。

 岸田氏は、国連安全保障理事会の改革を求める声が高まる中、日本が常任理事国になることについてバイデン氏から支持を得たと述べた。中国とロシアが常任理事国である」

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 おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。

 IWJでは、今期第12期の年間の予算を立てる上での見通しとして、代表である私、岩上安身への報酬をゼロにすることを筆頭に、支出をぎりぎりまでにしぼった上で、IWJの運営上、1カ月の間に必要なご寄付・カンパの目標額を月額400万円と見積もらせてもらっています。

 昨年8月から始まったIWJの今期第12期は、5月で10カ月目に入りました。

 今期スタートの8月1日から4月30日までの9カ月間の累計の不足分は、309万5534円となっています。

 5月は1日から23日までの23日間で、113件、146万7955円、目標額の37%分に相当するご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます! とはいえ、5月の3分の2を過ぎて月間目標の約4割弱にとどまっており、IWJの財政は、今月すでにピンチとなりつつあります!!

 4月末までの不足分309万5534円に、5月の未達成分253万2045円を足し合わせると、5月末までに562万7579円が必要となります! 今月5月を含めて、7月末に迎える今期末までの残り3カ月で赤字を削って、不足分をゼロにできるかどうか、どうか皆さまのお力で、ご支援ください!

 IWJの会員数は現在3241人です。そのうちサポート会員は1108人です(2022年4月30日現在)。本当に心苦しいお願いではありますが、会員の皆さま全員が1737円ずつカンパしてくださるか、サポート会員の皆さまが全員1人5079円ずつカンパしてくださったならば、なんとかこの赤字は埋められます!

 伏してお願いいたします! どうか皆さまのお力で、この窮状をお助け願います!

 また、3月16日に宮城県・福島県で震度6強を記録した地震の際に大規模停電が起きて、その影響で、インタビューや動画配信に必要なIWJの設備が故障し、その修理費用が約70万円かかります。

 この故障を完全に修理することができないと、再配信ができません。現在、対応中ですが、いまだに再配信ができず、ご不便をおかけしていて、申し訳ありません。1日も早く復旧できるように、ご支援と、ご理解をたまわれればと思います。

 引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

 ロシアによるウクライナへの侵攻と、それに対する世界中からの反発・非難は、米英とNATOによる、ウクライナへの事実上の「参戦」という段階に至っています。

 米国の真の狙いは、実現できるかどうかは別として、恒久的に米軍が欧州を軍事的に支配し、ロシアを米国に抵抗できないレベルにまで弱体化することにあります。それが米国の単独覇権の維持・強化になると、一般の米国国民はともかくとして、少なくとも米国の支配的な一部、軍産複合体やネオコンらは思っているからです。

 ロシアのウクライナ侵攻は、その米国の単独覇権の維持・強化戦略を推し進めるための口実として、巧妙に利用されました。

 バイデン大統領は、5月3日、「ロシアとの戦いは、民主主義と中国などの専制主義との戦いの戦線のひとつに過ぎない」と指摘したと、『AFP』は伝えています。

 また、同日『RT』は、「中露に対する『文明の戦い』の最初の『実戦の戦闘』を戦っている」とバイデン大統領の言葉を伝えました。

 これらのバイデン大統領の言葉を、驚くべきことに日本のマスメディアはほとんど報じていませんが、これは重要な発言です。

 ところがバイデン大統領は、本音がぽろりとこぼれ出たのでしょう。「主体」は米国であり、「民主主義」対「専制政治」というイデオロギー上の戦いのために、中国とロシアに対する「文明の衝突」をこれから戦うというのです。そして、「ウクライナはその最初の実戦なのだ」というわけです。次の標的は中国です。当然、「実戦」は、これからも続く予定なのでしょう。

 そして、さらに今日の訪日でバイデン大統領は「台湾を守るために軍事介入するか?」という記者の問いに対して、はっきりと「YES」と答え、「そう約束しましたから介入します」と明言しました。

 IWJは、侵攻直後から、このウクライナ侵攻から始まった動きが、極東に飛び火して、台湾をめぐる米中の対立と連動する可能性があると、散々、警鐘を鳴らしてきました。バイデン大統領の一連の発言は、対露戦線と対中戦線を直接、つなげるものです。2つの地域での戦争を連動させようとしている「主体」は米国なのです。

 これまで、侵攻された当事国であるウクライナと侵攻したロシアが「主体」で、米国を含む西側諸国は、「第三者」的立場でウクライナに連帯を表明し、加害国のロシアに抗議していたはずです。

 バイデン大統領は、彼が口にしている言葉通り、ロシアの次の標的は中国だ、と言わんばかりに、中国の排除を目的としたIPEFをひっさげて、アジアへやってきました。

 問題なのは、日本の岸田総理は、IPEFの中身が何なのか、わからない段階で、そしてTPPやRCEPなど、日本が既に参加している自由貿易協定のルールと、IPEFのルールが異なる場合、どちらを優先するのか、など、大切なことが国内で何も議論されていないうちから、参加を表明してしまっているのです。これは国会軽視もはなはだしいというべきでしょう。

 米国の「同盟国」という名の「従属国」である日本は、国民の大多数が気づかないうちに、米国が段取りしたロシアと中国を相手に「世界大戦」を戦う「連合国」のメンバーに加えられています。日本国民はまず、1人でも多く、この事実に気づかなければなりません。

 極東まで米国が戦線を広げてきた場合、ウクライナや東欧・西欧がそうであるように、日本が米国にとって都合の良い対中ミサイル前線基地とさせられてしまう危険性があります。日本がウクライナのような運命をたどり、国土を戦場として提供して、米国の戦争の道具と化してしまうようなことは絶対に避けなければいけません!

 日本が台湾有事によって、米国の戦争に巻き込まれた時、中国だけでなく、北朝鮮やロシアをも同時に相手して、日本が戦わなくてはならない可能性が出てきます。しかもミサイル戦の時代であり、日本全土がミサイルの射程距離内に収まっているので、すぐに全土が戦場となります。

 米国の支援があっても、そんな戦いを現実に遂行できるのか、その上で、核を保有したその3カ国に勝つことができるのかといえば、誰が考えてもまったく不可能でしょう。

 勝敗以前に、日本は開戦早々、全土をミサイルで空爆されて、軍事拠点と重要なインフラを破壊されます。日本は現在のウクライナのような状態となり、経済や、国民生活は破綻します。

 ウクライナの今年のGDPは、現時点で昨年の半分となる予想です。日本も参戦した場合は、GDPはそうしたレベルにまで落ちるでしょう。

 そんな状態に陥ったとき、少子高齢化に直面している「老いた」日本国民が、過酷な現実を受け入れ、乗り切れるでしょうか。仮に敵国に対して、日本列島に配備された自前のミサイルによって一定の痛撃を与えることができたとしても、相手には最後の手段として、3カ国とも核攻撃というカードが残されています。日本に勝ち目はありません。

 米国から核弾頭をシェアリングされ、中距離ミサイルの弾頭を核弾頭に切り替えたとしても、核抑止が効くかどうか。

 日本に配備されたミサイルの弾頭を、通常弾頭から核弾頭に取り替え終わるまで、おとなしく待ってくれるほど、中・露・北朝鮮という、すでに核を保有済みの3カ国がお人よしだとは思えません。

 イスラエルのように沈黙のうちに、秘密裏に核武装を行うのではなく、元首相の安倍晋三氏のような人が、国民的雑誌『文藝春秋』5月号で「ニュークリアシェアリング(核共有)」の必要性を鐘や太鼓を鳴らすように宣伝しているのですから、始末におえません。かえって敵の先制攻撃を誘発してしまうリスクとなります。

※「核共有」の議論から逃げるな 中国・ロシア・北朝鮮からこの国を守るために(安倍晋三・文藝春秋2022年5月号
https://bungeishunju.com/n/n6dd51d4070f0

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 どうか、ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます!

岩上安身拝


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◆中継番組表◆

**2022.5.24 Tue.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】9:45メド~「岸信夫 防衛大臣 定例会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 岸信夫防衛大臣による記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた防衛大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e9%98%b2%e8%a1%9b%e5%a4%a7%e8%87%a3

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◆中継番組表◆

**2022.5.25 Wed.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・エリアCh1・京都】15:20~「フェミ科研費裁判 判決言い渡し後の支援者集会」
視聴URL: http://twitcasting.tv/iwj_areach1

 「国会議員の科研費介入とフェミニズムバッシングを許さない裁判支援の会(略称・フェミ科研費裁判支援の会)」主催の集会を中継します。これまでIWJが報じてきた名誉棄損関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%90%8d%e8%aa%89%e6%a3%84%e6%90%8d

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

「米国の代理戦争が引き起こす食料・エネルギー不足により『狂乱物価』の大波が日本を襲う!」(第3回)~岩上安身によるインタビュー第1076回 ゲスト エコノミスト田代秀敏氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506112

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■ツイッター「IWJ_Sokuho」5月21日・22日(その3)、マリウポリ陥落! マリウポリで起こった複数の疑惑の事件や出来事をタイムラインにしました! ロシア国防省はルガンスクの制圧は近いと発言! ロシアは三度デフォルト回避へ利払いを完了、それでも 米国はあくまでロシアをデフォルトに追い込むのか?

 ロシア国防省は21日、マリウポリの完全制圧を発表しました。

 「過激派が潜伏していた企業の地下施設は、ロシア軍の完全な支配下に置かれた。5月16日以降、工場内に封鎖されたアゾフ・ナチスとAFU軍人の合計2439人が武器を捨て、降伏した。

 531人の武装勢力の最後のグループは5月20日に降伏。アゾフ・ナチのいわゆる『司令官』は、マリウポリ市民の憎悪と、数々の残虐行為に対する報復を望む町民から(守るため)、特殊な装甲車で工場の領域から連行された。

 ウクライナの武装勢力から工場とマリウポリ市を完全に解放した作戦の完了について、ロシア国防相S・ショイグ陸軍大将がプーチン大統領に報告した」。

※【速報7069】ロシア国防相、21日「4月21日からウクライナの武装集団「アゾフ・ナチ」が封鎖していたマリウポルのアゾフスタル製鉄所の領域は完全に解放された」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528363559381794816

 『BBC』も「ロシア軍は20日、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリでウクライナの部隊が立てこもっていたアゾフスタリ製鉄所で、全面勝利を宣言した。最後まで残っていたウクライナ兵士が投降した」と報じました。

※【速報7068】BBC、21日「ロシア軍は20日、ウクライナ南東部の港湾都市マリウポリでウクライナの部隊が立てこもっていたアゾフスタリ製鉄所で、全面勝利を宣言した。最後まで残っていたウクライナ兵士が投降したという」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528363464062046208

 ロシアのマリウポリ完全制圧宣言に対して、ゼレンスキー大統領は21日、ロシアとの戦争で、勝利は戦場で獲得するものの、最終的な終戦は外交を通じてしか実現できないと述べた、と『BBC』が22日、報じました。ハリコフでのウクライナ軍の善戦で勢いづいていたと思いきや、マリウポリの敗北に、ゼレンスキー大統領は相当、落胆している様子です。

ゼレンスキー大統領「勝利は困難なものになる。血を多く流し、戦場で勝ち取るが、戦争の終結は外交を通じて獲得するものだと、私は確信している。

 交渉のテーブルに着かなくては、終わらせることができない事柄がある。我々は全てを取り返したいが、ロシアは何も返したがらないからだ」(BBC、22日)

 ゼレンスキー大統領は、アゾフスタリ製鉄所に立てこもっている部隊に徹底抗戦を命じながら、ロシアがアゾフスタリに籠城中の部隊を全滅させるようなことがあれば、交渉は打ち切ると宣言していました。今になって「交渉のテーブルに着かなくては、終わらせることができない事柄がある」とは、どういう心境の変化なのでしょうか。

 ロシア大統領府ペスコフ報道官は、5月18日時点で、「交渉は全く進んでいない。ウクライナの交渉担当側に、このプロセスを継続する意欲が完全に欠けているようだ」と、ウクライナ側が交渉を断ち切ったと述べています。最後の和平交渉は4月22日でした。ロシア側とウクライナ側の主張が食い違うのは新しいことではありません。むしろ主張が一致することの方がほとんどない、というべきですが、それにしても、停戦交渉を両国はやる気があるのかないのか、どちらなのでしょうか。

※【速報7075】BBC、22日「ゼレンスキー大統領は21日、ロシアとの戦争で、勝利は戦場で獲得するものの、最終的な終戦は外交を通じてしか実現できないと述べた」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528364138371903491

 米国の独立メディア『ポリティコ』は20日、「ロシア当局は、製鉄所を守っていた何人かを戦争犯罪について調査し、彼らを『ナチス』、犯罪者と呼び、裁判にかけると脅迫した。それは彼らの運命についての国際的な懸念を招いている」、と報じました。どんな懸念なのでしょうか。捕虜となったアゾフ兵が拷問にかけられたり、足を撃たれるなどの虐待を受ける懸念が高まっているということなのでしょうか。信頼性の高いメディアとして、IWJはしばしば『ポリティコ』を引用していますが、この国際的懸念についてはやや疑問があります。

 ロシア国防相は、投降したアゾフの司令官らを、怒りに燃える市民から守るために、装甲車で護送した、としています。しかし、本当に「市民から守る」ためだけなのでしょうか。ウクライナ政府は、アゾフスタリ製鉄所に籠る部隊に、逃げたり投降すれば射殺するという命令を出していました。「不都合な真実」を語り出せば困るのはウクライナ政府です。アゾフらが投降して、無防備な状態で連行すると、キエフによって狙撃される可能性があると懸念し、用心したのかもしれません。

※【速報7080】POLITICO、20日「ロシア当局は、製鉄所の擁護者の何人かを戦争犯罪について調査し、彼らを『ナチス』、犯罪者と呼び、裁判にかけると脅迫しました。それは彼らの運命についての国際的な懸念を招いている」。
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528364373169033216

 マリウポリはウクライナ東部のドンバス地方とクリミアをむすぶ戦略上の要衝であり、アゾフ海の重要な港湾都市です。2月24日のウクライナ侵攻からロシア軍の最大の標的の1つでした。マリウポリでは、さまざまな「事件」が起きました。

 3月9日に起こった産科病棟に対する攻撃で、世界の非難がロシアに集まりましたが、のちにアゾフが産科病棟を軍事施設に転用していたとの声が上がりました。IWJは、検証記事を紹介しました。

※【号外第16弾】「スクープ!? 米国メディアのプロパガンダに世界中が騙されていた!? マリウポリの産科病院の空爆はなかった! 西側メディアの一面トップを飾った救出された妊婦が一部始終をロシア国営テレビに激白! 産科病院はアゾフ連隊に占拠されていた! IWJは映像に付けられた配信内容を紹介するテキストを全文仮訳! 日本のメディアも一斉にセンセーショナルに報じたこの事例、皆様もぜひ、ご一読ください!」2022.4.9
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/504542

※【マリウポリ攻防戦のプロパガンダ検証 その1】マリウポリでプロパガンダ合戦! ロシア軍爆撃の産科病院はアゾフ拠点とのロシア主張にファクトチェック!! しかし救出された妊婦激白「空爆なかった」「病院をアゾフ占拠」! IWJがテキスト全文仮訳!(前編)2022.5.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506067

※【マリウポリ攻防戦のプロパガンダ検証 その2】マリウポリでプロパガンダ合戦! ロシア軍爆撃の産科病院はアゾフ拠点とのロシア主張にファクトチェック!! しかし救出された妊婦激白「空爆なかった」「病院をアゾフ占拠」! IWJがテキスト全文仮訳!(後編)2022.5.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506069

 3月16日には、「子どもたち」という言葉が中庭に描かれた劇場が爆破される事件が起きました。これも事件直後から、ロシアに非難が集中しましたが、こちらもアゾフによる爆破だったとする説が出ています。

※【号外第14弾】マリウポリでの「ロシア軍による劇場攻撃で300人死亡」の情報源は、当時マリウポリにいなかったたった一人の「親アゾフ当局者」によるものと判明!! 米独立メディア『ザ・グレーゾーン』が、最初に記事を共同執筆したBBCの仲介者兼レポーターのウクライナ人女性を「民族主義的なウクライナの広報」と指摘! さらにBBCが「ロシア弱体化」を明確に意図した英政府の秘密プログラムに参加していた事実も暴露! 2022.4.4
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/504340

※【IWJ速報3月18日】ツイッター「IWJ_Sokuho」ウクライナ情勢関連ツイートまとめ! マリウポリの劇場破壊は、「ロシア軍による空爆」か「#アゾフ大隊による爆破」か? 米国は殺人ドローンを供与! 2022.3.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/503637

※日刊IWJガイド・非会員版「攻防続くマリウポリ住民の証言! 攻撃したのは『ウクライナ軍だったんだ』激白! メディアはその事実を報道せず、『ロシアつぶし』に加担」2022.04.21号~No.3507号
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/50640

 4月19日、アゾフスタリ製鉄所に民間人とともに立てこもったアゾフにロシア軍が降伏を呼びかけましたが、アゾフはこの申し出を拒否しました。

※日刊IWJガイド・非会員版「攻防続くマリウポリ住民の証言! 攻撃したのは『ウクライナ軍だったんだ』激白! メディアはその事実を報道せず、『ロシアつぶし』に加担」2022.04.21号~No.3507号
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/50640

 4月21日、プーチン大統領は、アゾフスタリ製鉄所への攻撃を止め、代わりに「ハエ一匹通れないよう」包囲するよう命令、持久戦にでました。プーチン大統領は、市街地は完全に制圧したと発表。

※日刊IWJガイド・非会員版「ロシアへの抗議で半数の国々が退席との情報も、退席は米、英、加、EUのみで、日、独も残り米英に追随せず!! G20は4対16に分裂!」2022.04.22号~No.3508号
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/50649

 4月26日、アントニオ・グテーレス国連事務総長がモスクワでプーチンと会談し、アゾフスタリ工場から民間人を避難させることで合意を得ました。

※【IWJ速報4月26日・27日】プーチン大統領が国連事務総長と侵攻後初会談! 米国が同盟国40カ国と会合! OSCEが、情報隠蔽と砲弾提供!? ロシアはポーランドとブルガリアへのガス供給停止! 2022.4.28
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505268

 5月7日、アゾフスタリ製鉄所から「すべての民間の女性と子どもたち」の避難が完了しました。

※日刊IWJガイド・非会員版「『大祖国戦争勝利77周年に際しての諸外国の指導者、国民に対する祝賀のメッセージ』をクレムリンが、5月9日の対独戦勝記念日前日に発表!」2022.5.9号~No.3525号
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/50755

 5月16日、アゾフスタリ製鉄所から、多くの負傷者を含むアゾフの最初の一団である264人が投降しました。

※日刊IWJガイド・非会員版「マリウポリの製鉄所で16日、アゾフ連隊の退避開始! エストニアで16日、NATOが大規模演習を開始!!」2022.5.18号~No.3534号
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/50806

 マリウポリとアゾフスタリ製鉄所を制圧したことは、ロシア軍にとって大きな戦果です。また、プーチン大統領が主張する「非ナチス化」政策についても、アゾフをとらえ、裁判に持ち込むことができれば大きな成果を得られることとなります。

 アゾフから解放された住民女性の談話を、駐日ロシア連邦大使館がツイートしています。

避難した女性「(アゾフに)こういって脅迫されました。『ここで死ぬなら、お前たちも道連れだ』と」。

 住民の証言は、必ずしも真実とは限りません。特にロシア軍の保護下にあればロシアにとって不都合な発言はしないでしょう。

 しかし、追い詰められたアゾフが、アゾフスタリ製鉄所というソ連時代から存在する強固な地下要塞に閉じこもって防衛戦を展開していた事実、しかもなぜか民間人が地下に一緒に籠って出てこない、あるいは出てこられなかったという状況を鑑みれば、アゾフが住民を「人間の楯」にとって、外へ出さなかった可能性は十分にありえます。

 そう考えると、アゾフはあれほど抵抗していたのに、住民を解放した後、わずか10日ほどで降伏した理由が納得できます。

※【速報7089】ロシア駐日大使館は、避難した女性の証言をツイート「(アゾフに)こういって脅迫されました『ここで死ぬなら、お前たちも道連れだ』と」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528365468104654851

 マリウポリが陥落しても、それでもまだ、ウクライナ紛争は終わる気配を見せません。

 『CNN』は21日、ロシア軍が20日、ウクライナのハルキウ州ロゾワにある文化センターを砲撃し、ウクライナ大統領府によると、11歳の子ども1人を含む少なくとも7人が負傷した、と報じました。

※【速報7090】CNN、21日「ロシアのミサイル1発が20日、ウクライナのハルキウ州ロゾワにある文化センターに命中し、ウクライナ大統領府によると11歳の子ども1人を含む少なくとも7人が負傷した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528365528422948870

 『時事通信』は20日、ロシア軍はウクライナ東部ドンバス地方の完全制圧を狙っている、として、ルガンスク州のウクライナ政府統治下にある重要都市セベロドネツクへの攻勢を強めている、と報じました。

 「ドネツ川の東に位置するセベロドネツクはロシア側支配地域に近く、ルガンスク州での『ウクライナ軍の最後の抵抗拠点』の一つと考えられている。ロシア軍にとっては西進への『障害』で、陥落させればルガンスク州全域を抑えるための突破口となる」(時事、20日)

※【速報7091】時事、20日「ウクライナ東部ドンバス地方の完全制圧を狙うロシア軍は、ルガンスク州のウクライナ政府統治下にある重要都市セベロドネツクへの攻勢を強めている。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528365591094231041

 ロシアのショイグ国防相は20日、ウクライナ東部ルガンスク州について、完全制圧は近いと述べています。

※【速報7093】時事、20日「ロシアのショイグ国防相は20日、ウクライナ東部ルガンスク州について完全制圧は近いと主張した。親ロシア派の支配地「ルガンスク人民共和国」について「『解放』は完了に近づいている」と強調した。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528366111334748160

 ロシア軍はルガンスク州・ドネツク州の制圧を目指し、また、黒海沿いに回廊を築き、ウクライナを内陸国とし、モルドバにつなげることを目指しているという指摘もあります。ウクライナ側が停戦を求めておらず、ロシア側も停戦を求めていないとすれば、ウクライナ紛争は、マリウポリ陥落では終わりません。

 欧米諸国から過酷な経済制裁を受け、デフォルトに追い込まれつつあり、かつ、欧米諸国が次々と軍事支援をウクライナに送り込み、フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟申請するなど、ロシアが追い込まれているニュースが連日続きます。表面的に報じられている情報にもとづく限り、ロシアはこの先、いったいどこまで持ち堪えられるのだろうかと思ってしまいます。ロシアは国際的に孤立し、窮地に追いやられているようにしか、マスメディアは報じていないからです。

 しかし、マスメディアから受ける、「ロシア必敗」というイメージは、本当に現実を正しく反映したものでしょうか?

 『共同通信』は21日、ロシア財務省は20日、ドル建てとユーロ建ての国債について計約127億円相当の利払いを実施したと発表した、と報じました。27日期日の利払いを一週間前に完了したのです。

※【速報7094】共同、21日「ロシア財務省は20日、ドル建てとユーロ建ての国債について計約127億円相当の利払いを実施したと発表した。欧米メディアが報じた。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528366218931228672

 ロシア連邦証券保管振替機関(NSD)は、2026年5月償還債のクーポン7125万ドル(約91億円)と、36年5月償還債のクーポン2650万ユーロ(約36億円)の資金を受け取ったと発表しました。ロシア財務省は「完全に」債務を履行したと表明しました。『ブルームバーグ』が21日、報じました。

※【速報7096】ブルームバーグ、21日「ロシア連邦証券保管振替機関(NSD)によると、NSDは2026年5月償還債のクーポン7125万ドル(約91億円)と、(続く)
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528366488025186306

 しかし、米国のイエレン財務長官は18日、ロシアが米国内のロシア債保有者に支払いを履行することを可能にしている制裁免除措置について、延長する公算が小さいと、明らかにしました。米国の制裁免除措置は25日が期限です。

 仮に、米国が制裁免除措置を延長しなければ、ロシアはデフォルトと認定される可能性が非常に高まります。米国は、何が何でもロシアをデフォルトに追い込もうと、躍起になっています。

※ロシアの債務支払い容認措置、米国は延長しない公算-イエレン長官(ブルームバーグ、2022年5月19日)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-05-18/RC31J7T1UM0X01

 デフォルトの危機がある一方で、ロシアはしっかり貿易で稼いでいるという情報もあります。

 ロシア経済は、本当に窮地にあるのでしょうか?

 ロシアの通貨ルーブルが一時急落したものの、すでに、ウクライナ侵攻以前の水準に戻っていることはお伝えしました。

※米国がブチャなど民間人虐殺でロシア追加制裁! ロシア最大銀行の資産凍結もエネルギー関連除外! EUの制裁もガスと原油除外!! ルーブル高騰でハンガリー等ルーブル決済希望! 経済制裁でロシア破綻困難!? 2022.5.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/506051

 しかし、それだけではありません。驚いたことに、制裁を受けているはずの天然ガスの販売も「絶好調」のようで、外貨獲得もできているそうです。

 ロシアメディア『RT』は21日、フランスの新聞『レコゼー』を引用し、「エネルギー価格の高騰により、ロシアは2022年にヨーロッパ諸国へのガス販売で記録的な1000億ドルを稼ぐことができた」と報じました。

 『レコゼー』によれば、ロシアの「ガス販売による収入は昨年のほぼ2倍になる」ということです。この数字には、石油、石炭、その他の鉱物など、他のロシアのエネルギー資源の販売による利益は入っていません。天然ガスの分だけです。

 ロシアのエネルギーに対する広範な禁輸制裁にもかかわらず、27のEU諸国がガスプロムに1日あたりおよそ2億ドルを送り続けていると、『レコゼー』は報告しています。ロシアは今でも、いや、制裁によって価格が高騰しているからこそ、豊富な天然ガスで大いに儲けているのです。

 いったい、何のための制裁だったのでしょうか!? 天然ガスの輸入・消費国である欧州の国々の人々は、「馬鹿馬鹿しい」という思いをそろそろ抱くべきでしょう。米国主導の制裁に乗って、ロシアが苦しむのではなく、欧州に負担がかかっているのです。資源国である米国は痛くもかゆくもありません。

※【速報7099】RT、21日「フランスの新聞レゼコーは今週、シティバンクのアナリストを引用して、エネルギー価格の高騰により、ロシアは2022年にヨーロッパ諸国へのガス販売で記録的な1,000億ドルを稼ぐことができたと報じた。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528366728912470017

 天然ガスだけではありません。ロシアは石油の売り上げも好調です。

 『TASS』は19日、ロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相が19日に、「ロシアは石油輸出を回復」させており、業界の危機について話す必要はないと述べたと、報じました。

 ノヴァク副首相は、4月に石油生産はいったん減少したものの、5月の石油生産を1日あたり20万~30万バレル(bpd)増加させたと説明しました。6月も生産の回復が続くと述べています。

※【速報7102】TASS、19日「ロシアのアレクサンドル・ノヴァク副首相は木曜日に、ロシアは石油輸出を回復させており、業界の危機について話すことは不可能だと述べた。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528366875004260352

 つまり、ロシアは石油も増産し、輸出しているのです。

 ロシアに対する制裁に参加しているのは、世界のうち日本を含む35カ国のみ。制裁に参加していない国々は、悠々とロシア産の原油を輸入していますし、インドのように昨年よりも多く輸入し、ディーゼル油に精製して欧州へ売りつけている国もあります。制裁はまったく馬鹿馬鹿しい限りです。日本も、いち早く制裁をやめて「通常化」すべきです。

※【号外第23弾】「インドのメディアがロシアの石油は秘密裏に欧州に出荷されているとスクープ! ロシアのタンカーでは目的地不明のタグが大活躍! 西側は自分たちにはローカル・スタンダードがあると考えている」2022.4.28
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505251

 では、ロシアはピンチではないのか? というとそうではありません。

 ロシア本国に対するハイブリッド攻撃も、まだ目立たない形ではありますが、増えています。

 『TASS』は20日、「プーチン大統領は金曜日(20日)に安全保障会議を開き、ロシアの情報インフラに対するサイバー攻撃の数は近年数倍に増加していると述べ、大規模なサイバー戦争が国に対して効果的に行われていると付け加えた」と報じました。

 具体的な詳細は分かりませんが、ロシアに対するサイバー攻撃が増加していることは確かなようです。

 ロシアへの攻撃は、サイバー攻撃にとどまらず、ウクライナ側から、ロシア領内の民家に対し、砲撃が行われています。西側のメディアは、子どもや女性やお年寄りが犠牲者になったかどうかなど、ウクライナ側の犠牲者については詳報しますが、ロシア側の被害については、まったく報じていません。

 『TASS』は19日に、ロシア領内のベルゴロド地方のソロキ村が、過去数日間にウクライナ領土から数回(の攻撃で)火災に見舞われ、59戸の家屋が被害を受けたことを報じています。

※【速報7109】TASS、19日「ベルゴロド地方のソロキ村は、過去数日間にウクライナの領土から数回火災に見舞われ、59戸の家屋が被害を受けたと、ヴャチェスラフ・グラドコフ地方知事は木曜日に語った」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528367412403634177

 さらに21日には、ロシア領内のクルスク地域のグルシュコフスキー地区にあるテトキノの住宅地が、21日にウクライナ軍の火事にさらされました。『TASS』が21日、報じました。

※【速報7110】TASS、21日「クルスク地域のグルシュコフスキー地区にあるテトキノのロシアの住宅地は、土曜日にウクライナ軍の火事にさらされた、とクルスク地域の知事ローマ・スタロボイトは言った。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528367461711872001

 フィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請を受けて、ロシアは軍事的な配置を国境付近に配備する計画です。セルゲイ・ショイグ国防相が、年末までにロシアの国境近くの西部軍管区に12の軍事ユニットが編成されると明らかにした、と『TASS』が報じました。

ショイグ国防相「年末までに西部軍管区に12の軍事ユニットとサブユニットが形成される」(フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟することに対抗)。

※【速報7111】TASS、20日「ロシア国防相のセルゲイ・ショイグは、ロシアの国境近くでのNATOの蓄積に対応して、西部軍管区にいくつの軍隊が編成されるかを明らかにした。」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528367515000504320

 ポーランドのマテウス・モラウィッキ首相は19日、「NATO軍を恒久的に駐留させるための軍事基地の建設」に賛成している、と述べました。

 ロシアは、ポーランドが、かつて自国領であったウクライナ西部を実効支配することを目論んでいるのではないかという疑いを持っています。ポーランドは欧州側の鍵を握る存在になりつつあります。

※【速報7113】TASS、19日「ポーランド当局は、NATO軍を恒久的に駐留させるための軍事基地の建設に賛成している、とマテウス・モラウィッキ首相は木曜日の会議で述べた」
https://twitter.com/IWJ_Sokuho/status/1528367609145884672

■「ウクライナが勝利の可能性」「ロシア軍が苦戦」という大手メディアの戦況報道や専門家の分析は本当か!? キエフに続きハリコフを奪還したウクライナ軍! しかしロシア軍は本当にキエフやハリコフの占拠を目的にしていたのか!?

 マスメディアの報道を、毎日、浴びるように受け取っていると、ロシアが苦戦しウクライナが反撃に転じている、というニュースが嘘であるとは思えなくなってきます。しかし、現在のマスメディアは、信用がなりません。戦況報道も検証の必要があります。

 タイを拠点とする米国人地政学アナリスト、ブライアン・バーレティック氏による『ザ・ニューアトラス(The New Atlas)』というYouTubeチャンネルで、ウクライナの戦況について14日、「ウクライナがハリコフ(ハルキウ)での戦いでロシア軍に勝利した」という報道は誇張だと報じています。

 バーレティック氏は、14日付けの英紙『ザ・ガーディアン』が、「ウクライナがハリコフを包囲して奪おうとするロシア軍を撃退して『ハリコフの戦いに勝利した』と主張している」と指摘した上で、次のように論じています。

※Ukraine has won the battle of Kharkiv, analysts say, as Kyiv warns of ‘long phase of war’(The Guardian、2022年5月14日)
https://www.theguardian.com/world/2022/may/14/ukraine-has-won-the-battle-of-kharkiv-analysts-say-as-kyiv-warns-of-long-phase-of-war

 「ただ、ロシア軍はハリコフを奪おうとしていたわけではない。ペンタゴンでさえ、ロシア軍の第一の目的はドンバス地方であり、他の目的は二次的であると考えている。

 ハリコフ周辺のロシア軍は、固定化作戦に従事している。ウクライナ軍がドンバスに援軍を送ることができないように、ハリコフ周辺に引き留めておくことができれば、ロシアの固定化作戦は成功である。

 西側メディアが戦場での些細で表面的な利益を大きな『勝利』として誇張しなければならないという事実は、ウクライナの成功が実際にはいかに小さいものであるかを物語っている」。

※Ukraine “Wins” Battle of Kharkov that Never Happened(The New Atlas、2022年5月14日)
https://youtu.be/O4aWzAqOcf4

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 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、城石裕幸、中村尚貴)

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